先日、ルガンスキーのラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番をダウンロード購入したのだが、高域が若干弱いように感じた。それで、実際はどうなのか、原因は何なのか(購入元が悪い、気のせい、その他)調べてみた。

まず、第1楽章のファイル(Amazonで購入したMP3)をAudacityで周波数分析した。なお、Audacityの制限により、最初の約240秒しか分析していない。

20160818-lug-rach-p3-I-ama

高域の低下度合を調べるため、6kHzでのピークからの減少量を調べると、以下のようになった。

ピーク: -18dB
6kHz: -61.5dB
6kHz: -43.5dB

次に、同じ曲のファイルをレコチョクで購入して分析した(AACをFLACに変換)。

20160818-lug-rach-p3-I-reco

6kHzでのピークからの減少量は、以下のようになった。

ピーク: -18dB
6kHz: -61.6dB
6kHz: -43.6dB

Amazonとレコチョクの減少量はほぼ等しく、グラフの形状も同様で、聴き比べても違いを感じなかったので、元々高域が弱いのか、気のせいということになる。

それで、気のせいかどうかを判定するため、高域は問題ないと感じている、同じ作曲者のピアノ協奏曲第2番 第1楽章(レコチョク、AACをFLACに変換)についても調べてみた。

20160818-lug-rach-p2-I-reco

6kHzでのピークからの減少量は、以下のようになった。

ピーク: -22dB
6kHz: -62dB
6kHz: -40dB

第3番は、第2番より3.5dB程度減少量が多いが、第2番 第1楽章のグラフを良く見ると、6kHz付近に数dB程度の山(下の拡大図中の赤丸)があるために、減少量に差が出たと考えられ、実際の減少量は同等と考えられる。

20160818-lug-rach-p2-I-reco-2-1a

ただ、同じ作曲家の曲で同じアーティストの演奏とはいえ、別の曲なのだから、高域の減少量が同じだからといって、必ずしも同じ量の高音が出ているとは限らない。

よって、高域が弱く感じるのは、気のせいか元々の音(=制作会社 Warnerの音質管理、あるいはプロデューサーやエンジニアの耳が悪いか、そういう好みだった)と考えられる。

それから、第2番 第1楽章のグラフより、超高域(約16kHz以上)に折り返しノイズらしきものが出ている。レコチョクで購入した第3番 第1楽章には出ていないから、購入元の問題ではなく、制作時の問題と考えられる。

結論は以下のとおりである。

  • 第3番の高域が弱く感じるのは、気のせいか元々の音。
  • 第2番の折り返しノイズは、制作会社 Warnerの音質管理、あるいはプロデューサーやエンジニアの腕が悪い。

なお、第2番のグラフにある、約22kHzでの折り返しノイズらしき細い縦線は、Audacityによるものだろう。というのは、他の全く別な複数のファイル(CDから取り込んだ or Amazonからダウンロード)でも生じたからである。

 

PS. PC2とPC3は別の曲ではあるのだが、やはり、聴感上の違いは気のせいとは思えず、その原因を周波数特性の概形から突き止められないかと考え、Sigviewというツールの試用版で1/3オクターブ分析してみた。次は、PC2とPC3のそれぞれの第1楽章を1/3オクターブ分析した結果を、それぞれのピーク値が同じになるように調整して一緒にプロットしたものと、それらの差分(PC3-PC2)のグラフである。なお、横軸は周波数だが、1/3オクターブごとの番号(バンド番号)が表示されている。

疑っていたとおり、PC3は高域のレベルが若干低いことが分かった。具体的には、PC3は、約2kHz(バンド22)から約8kHz(バンド28)で2-4dB程度小さい。これが、PC3を聴いた時の、こもった感じの原因なのだと考える。(8/18 21:41; 8/19 4:42, 5:41, 7:01 グラフのスタイルを改良、修正; 8/20 11:56 わずかに修正)

PS2. 原因が分かったので、さっそく、Audacityのイコライザで補正してみた。PC3の2kHz以上を3dB程度持ち上げた。

中域に二つの山ができてしまったものの、周波数特性はPC2に近くなり、実際に聴いても、こもった感じが解消できた。(8/19 6:48)

PS3. それにしてもおもしろい/不思議なのは、初めて聞いた曲(正確には録音された演奏)なのに、その高音がちょっと弱いのに気付いたことである。もちろん、制作者がそういう音にしていた可能性があるから、正確には、「自分の好みの音」との違いが分かったということなのだろうが、その自分の好みの音は確固たるもののようで、PC2では何も問題を感じなかったのも、おもしろい。

おそらく、ピアノ協奏曲とかオケ曲全般とか、(飽きる程何度も何種類も聴いている)この曲はこういう音、というイメージができているのだろう。料理で言えば、初めてのラーメン屋で「ここのラーメンはまずい」と思うことと同様なのだろう。そして、別の見方をすれば、歳を取って頑固になったということなのかも知れない。(8/19 7:51)

  •   0
  •   1

コメントを書く

名前    

メール 

URL