完結編: 「ないものねだりの子守唄? (振り出しに戻る・・・)」に書きましたように、結局、設置の変更は失敗でした。特に、本稿で書く予定だった、スピーカーの位置を動かすと共振が強くなって良くないことが分かりました。それで、本稿を予定通りに書いても余り意味がないので、最終的な結論に合わない箇所はその旨注記することにしました。 (2019/11/22 12:40)


(Fixed a hole! (pt. 1) の続き)

スピーカーも動かす・・・

聴く位置を後ろにずらす(45cm)ことで音質がかなり改善されたのだが、そこで不満だったスピーカーの遠さ(+ディスプレイの邪魔さ)を緩和するために、スピーカーを少し手前(聴く位置の近く)に移動したくなった。これがなかなかの大作業だった。。。

  1. 検討・準備
    1. スピーカーを少し移動して試す。
    2. 比較・検討
    3. 止めたが、やっぱり動かすことに。
    4. 台を探す → 良さそうなものがあったw
  2. 移動!
  3. 特性の確認、イコライザの調整、評価
    1. 特性の確認
    2. 最初の調整、評価
      • やっぱり、スピーカーが近いといい。ダイレクトな感じや音に包まれる感覚がいいし、リアルさが違う。
      • ただ、曲によっては(例: "Sun King")低音が弱く感じることがあった。
    3. 改良、評価 → 耳痛
      • イコライザの設定の不備で新たにできていた115Hzの谷を緩和しようとした。その時に手抜きをしようとして、以前耳が痛くなったイコライザ"Triple band parametric with shelves" (今使っているもの"4-band parametric filter"より設定可能範囲が広いので、楽に調整できる)を使った。
      • 最初は問題なかったのだが、時間が経ったらやっぱり駄目だった(耳が詰まる感じになった)。疲れかも知れないので翌日に再度試したが、やっぱり駄目だった。手抜きはいけないようだ。
    4. 元のイコライザを再度改良し、115Hzの谷の緩和に成功。
      • 今までのところ、危ない曲はあったものの、耳痛は起こっていない。
    5. 再度評価
      • "Sun King"の低音(バスドラ)の調査 → 実は、元々軽目・弱いのでは?
  4. 調整・改良・後始末
    1. 台の改良
      1. がたつきの調整
      2. 安定性の向上
      3. 下部にフェルトを貼る。
    2. 各要素の位置の記録
      • 作業などで一時的に移動しても復元できるように、配置図を描いた。

      • 位置を記録したので、位置の目安のマーク(マスキングテープ)は剥がした。
    3. 各機器・ケーブルの整理: 大幅に整理して、かなりすっきりした。
  5. 終わった → 疲労困憊
  6. と思いきや、耳痛が・・・ → 対処・調査中の記録 → 結局解決できずに、元々の配置にもどした。経過などについては「ないものねだりの子守唄? (振り出しに戻る・・・)」の「試したことと結果」を参照のこと。 (11/22)

残件

注: この配置は中止したので、以下は実施しない。なお、他にも山や谷があり、それらの一覧と原因の推測を「ないものねだりの子守唄? (振り出しに戻る・・・)」の「山・谷と原因の推測」に記載した。 (11/22)

  • 75Hzの谷
    • 聴く位置を移動したら、60Hzの代わりにできてしまった。60Hzとは別な定在波のモード(奥行き+高さ または 幅+高さ?)によるようだが、何とかできるものだろうか?
    • → クローゼットを閉めて試したが、なぜか耳が痛くなってしまった。聴く位置を少し変えてもみたが、今ひとつだった。どうやら、今の構成(位置、イコライザ設定)が最適な感じだ。
    • なお、この周辺の周波数について楽器(シンセのベース)で音量を聴き比べたが、違いが分からなかった。倍音があるためだろうか。なので、実用上の問題は大きくなさそうだ。
  • 143Hzの山
    • スピーカーや聴く位置の関係があるのだろう、143Hzの山が強い。今までもあったのだが、スピーカーを移動したら、更に3dB程度強くなって15dBくらいになった。イコライザで下げて補正できては居るが、(気分的に)余り好ましくない。
    • ただ、曲を聴いても発振のような破綻はしておらず、楽器(シンセのピアノ)で確かめてみたら、他の音より若干大きい程度で大きな問題はなかったので、ひとまずは保留にしているが、不自然には違いないので、やっぱり何とかしたい。
    • とは言え、これは天井と床に起因するようで、聴く位置がその中央なので、おいそれとは直せない。スピーカーも聴く位置も、高さを大きく変えることが難しい。他には前後だろうが、これ以上後ろには行きたくない。音の拡散を狙って、大きい球形などの音を拡散しそうなランプシェードを検討したのだが、聴感上の問題がなかったので保留している。バランスボールを床に置いて改善があるか見てみるのも意味があると思っているが、そんなものは持ってないし、買ったら後で困るw

聴いた感想

注: 共鳴などのため、この配置での音は良くないことが分かった。ただ、元に戻したあとでの感想とは異なるので、その比較を「ないものねだりの子守唄? (振り出しに戻る・・・)」の「配置を変えて良くなったと思った曲を改めて聴いてみて」に記載した。 (11/22)

評価で曲を聴いた時の、生の感想をいくつか紹介したい。どのくらい音が改善できたか、想像・理解して頂ければ幸いである。

  • 聴く位置を後ろに移動した後
    • Abbey road (The Beatles): 一番最初に試した。
      • 音が遠い感じ。直接感や音に包まれる感じが減った気がする。
        • 注: 一番最初の印象がこれなので、スピーカーとの距離や位置関係は予想以上に重要そうだ。
      • 低音が少し増えたかも。 → 慣れが要る※(ブーミーになっていた)。 → イコライザを修正したら音がすっきりして聴きやすくなった。
        • ※注: イコライザの設定が不完全だったために違和感があったようだ。
      • 中高音(例: ギター)がクリア・リアルになった気がする。
        • 音量が大きいだけ?
        • 机での反射が減ったせい?
    • ラフマニノフ ピアノ協奏曲 第2番 (ルガンスキー)
      • 何となく低音がいい。少し増えた。
      • ピアノのすごみのある音がリアルな感じ。
      • イコライザを調整後は少し低音が減ったが、クリアな感じになった。適切なレベルではないか。
    • Solid state survivor (YMO)
      • "Technopolis"
        • (音量がすごく大きい!)
        • いい感じ。低音が(すごく出ているのに)破綻していない。
        • エレクトリックギターがリアル。
      • "Absolute Ego Dance"の頭の音のキレがすごい。
        • バスドラもいい。ちょっと身体に響く感じ。
      • "Rydeen"のイントロも、今までになくいい。
        • 低音が分厚くなった感じ。
      • "Behind The Mask"のハイハットを小刻みに叩く音がいい。
      • "Day Tripper"の頭の低音(シンセベース?)が今までに聞いたことがない音でいい。低音が身体に来る。
      • "SOLID STATE SURVIVOR"の頭から鳴り続ける高音(電子音だが、シンバルとかパーカッションっぽい)がいい!
    • 全体的に・その他
      • Spotifyの音は何となく少し鮮度が落ちる感じ(耳が疲れたのかも)。キレ・迫力が少ない。音量正規化しているから?
      • 以前と比べて良くなったことが多い。
  • スピーカーを手前に動かした後
    • (注: この配置は中止したので、記載しない (11/22))

副作用など

  • 疲労、ひどいだるさ(10/28頃まで): 肉体労働と測定や調整に神経を遣ったせいだろう。身体は、特に脚や肩や腕が痛かった。それから、日記に書く日付が重複して一日遅れていたのに、さっき(10/29 夕)まで数日間全然気付かなかった。なんか、重症っぽい・・・
  • ひどい腰痛(10/25頃から): 10/27頃からは、なぜか起きる時がひどい。以前から寝過ぎるとなっていたが、今回は寝過ぎていないのにひどい。良くない姿勢で重い物を持ったり作業したり、中腰や四つん這いで作業したり、測定の時に立ったり座ったりを繰り返したせいか。
  • 酒の飲み過ぎ(10/25頃): 音が良くなって気分が良かったのか、その日は大き目の瓶だったせいもあるが、気付かないうちに限度を超して飲んで気持ち悪くなって、急遽歯も磨かずに寝た。
  • 不眠(10/26から2日間): 珍しい。原因不明。疲れ過ぎるとなるのか。
  • 耳の不調: 合わないイコライザによる痛み以外に、それ以前からあった突発性難聴的な詰まったような感じになるのがぶり返した。右耳が悪い。疲れのせいか。折角音が良くなったのに、余り長くは聴けなくて残念だったが、10/27夕方頃から治ってきた。
    • 注: 耳の不調は、疲労もあるだろうが、共鳴などで変質した音を聴き続けたたために起こった可能性が高い。配置を戻したらほとんど治った。 (11/22)
  • 壁に貼っていたカレンダーがスピーカーに隠れて見えなくなったので、カラーボックスの横に移した。思わぬ誤算だw
  • 副作用とはちょっと違うが、余りにも音が良くなったため、ちょっとデチューンした、気軽に聴ける「普段遣い」の音もあるといいかもと思った。聞き疲れではないのだろうが、いつも「真剣勝負」な感じなので聞き流すのがもったいない気がするのかも知れない。ただ、切り替えし忘れるのが嫌なので、やらないと思う。

お世話になっているツール・サイト

  • 音響特性測定ソフト: Room EQ Wizard (REW): これがなければ始まらない。Windows版などもあるようだ。
  • UNIX/Linuxの計算機: bcコマンド(-lを指定): ボタンをクリックしなくていいので、僕には「電卓」アプリより便利 (計算にはGoogle検索も利用している。関数を使う時はこっちの方が便利)。
  • 高精度計算サイト: 周波数と波長の変換: 日々の暮らしに欠かせないw
  • デシベル計算: 3dBとか6dBなどのピンと来るもの以外の計算に、便利に使っている。時々繋がらない?
  • 定在波シミュレーションソフト: Stndwave2: シミュレーション結果はそれなりに合って目安にはなるが、やっぱり実際の特性を確認しないと駄目。

その他

  • 特性の測定に使っているソフトREWには、RoomSimというStndwave2相当の定在波シミュレーション機能があることに今回初めて気付いた。が、使い勝手はいいものの、機能が不十分なのでStndwave2に戻った。特に、200Hzまでしか計算できないので、いい配置になったと思ってもStndwave2(500Hzまで可能)で確認したら200Hz以上が駄目でがっかりした(実際には、定在波の影響を調べるのは200Hzまでで充分なのかも知れないが、経験が浅いので分からない)。あと、グラフの縦横比の関係で凹凸が浅く見えるので、特性がいいと誤解しやすかったのも良くない。
    • RoomSimに感心して寄付しようとしたのだが、PayPalは日本からの寄付ができずに諦めたら、そのあとで上記の問題に気付いたので、寄付しなくて(できなくて)正解だったw まあ、それ以前に特性測定で随分お世話になっているから寄付してもいいのだが、できないものは仕方ない。
  • 特性測定・調整時(特にイコライザの調整時)は、PCの操作と(測定に影響が出ないよう)マイクから離れることを繰り返すのだが、中腰や床に膝をついて操作をすると疲れるし、腰に悪い。しかし、椅子に座ると測定開始時にすばやく離れられないし、椅子は結構大きいので測定に影響しそうだ。そこで、昔スピーカーの台に使っていて、今回も試行中に使った、高さ35cmくらいの木箱が役に立った。操作時に座れて楽だったし、小さいから邪魔にならず、すぐに立てるので便利だった。それでも測定が多かったので、尻が痛くなったw
    • 測定時には椅子より木箱の方が便利

  • 余りにも測定・調整を繰り返すので、毎回離れるのが面倒になって、木箱に座ったまま測定していたら(低音の測定だったので、波長が長いから少しくらい何かあっても関係ないだろうと思った)、自分の身体の影響で低音が強くなってしまったためにデータが無効になって、イコライザを作り直す羽目になった。手抜きは良くない。その後は、測定中は明子姉ちゃんや家政婦さんのように壁の陰に隠れて見守ることにしたw
  • そういう点では、前にも書いた気がするが、リモートでゆったり座ってPC操作や測定開始ができるようにするなど、本質的な改善が必要だ(などとやっていると、それはスタジオを作るみたいなもので、段々何をしているか分からなくなって来る)。
    • 更に、(言葉が合っているか分からないが、)RPAのように、オーディオ機器の配置・再生特性調整を自動でやってくれるロボットがあったらいいなあと、今思った。これがあれば、もう腰も尻も痛くならないし、筋肉痛からも解消されるw
  • USBオーディオインタフェースScarlett Soloを買う時は、使うのは多くて年に数回くらいだろうと思っていたのだが、いいのか悪いのか、意外に多かった。毎回出して仕舞うのが面倒なので、今はカラーボックスの棚を増やして常置している。
    • 注: この作業のために使っていたら、Scarlettが壊れてしまった。酷使はしていないのに、随分弱いと思う。 (11/22)

最後の数言(の予定だったこと)

お金じゃないのよいい音は

高い機器を買うのは否定しないけど、「そのすごいやつが本当にいい音出しているか、評価・確認した?」と聞きたい。大抵の人は測定器・測定できる仕組みなんか持ってないはずだ。

(2019/11/22追記) 大抵の方が測定器を持っていないと決め付けていましたが、実際にはお持ちの方もいらっしゃることを知りました。決め付けたことをお詫びします。

すると、「測定器なんかでいい音が出せる・分かる訳がない。数値に現れないものがあるのだ。音の良し悪しは耳で判断するのだ」などと言う人が居る。最終的には感性・好みで判断することには同意するが、人間の感覚ほど定量的でなく再現性もないものを※、どうして音質の基準として使えるのか全くの謎だ。基準が怪しかったら、何をしているのか分からないではないか。「少し科学を学んでくれ」って言いたい。

※と言いつつ、目分量は結構当てになることも今回実感した(例: 何かの長さに差があれば大抵分かる)。でも、数値では表せないし再現性もないし、精度は機械には及ばない。

 

(2019/11/22 12:40 注記追加・補足・修正・訂正し、完成とする。; 11/22 14:00 デシベル計算のサイトを追加)

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11件のコメント

  1. 寂夜:

    れんとさん、こんばんわ。初めまして、寂夜と申します。

    ブログを拝見して、部屋の音響改善と言う本質的な事をしっかりされているのを読み、感心させて頂きました。部屋のピーク/ディップは相当なものなのですね。僕などはスピーカーの位置をずらして、違和感の少ない位置にするくらいで、いい加減なものですから。

    米HP社のAudio AnalyzerやPreAMP内蔵Level計、4chオシロ等の計測器も所有しており、20Hz~100kHzのレベル(0.01dB精度)と歪率の測定が出来るのですが、計測用の校正されたマイクが有りません。アンプ整備時に使うだけになっています。

    一度20Hz~20kHzスイープでスピーカーを鳴らしたことは有り、中低域の激しいピークとディップを耳にしました。その山谷が小さく感じる位置にスピーカーを多少移動しましたが、マイクを使っての計測はしておりません。

    真面目にやると正にスタジオを作っている様になり、生活空間としてのリビングと隣室(計18帖)が、使い勝手も見た目も悪くなってしまうだろうと思ったからです。また、そのための労力も並大抵ではないと思いました。

    定量的な「音質の基準を知る」とはかけ離れていますが、実際に部屋の音響を整えるのはなかなか大変な事で、多くの人が手付かずなのは「音質第一」で生活するのが困難だからかと思います。

    それでも、アナログレコードや自作DACから整備調整したSANSUI D907F/G/Xアンプで駆動する、Rogers PM510/Studio1/Studio5、Bayma 30cm FullRengeから流れる音楽は、緻密な音像型ではなく包み込む様な音場型で、仕事で疲れた心を癒してはくれます。

    ヘタレの言い訳に過ぎない事は重々承知しておりますが、凡人はこれをもって良しとしている方々が多いと思うのです。・・・何の為のオーディオか、良音質の追求なのか多様な生活の質なのか・・・各人各様の優先順位が有るのではないでしょうか。

    PS:以下は戯言としてお聞きください。

    高価な機器はなかなか揃えられないものですが、例えば Beyma 10AGN(25cm,@8,700円)や12GA50(30cm,@13,900円)の様な安く高効率でツイーター不要のフルレンジユニットを、ハードオフやヤフオクなどで売っている古くて十分な容積を持った25cm/30cm口径のジャンクスピーカーの箱に入れて※聞かれると、重低音は全く出ませんが、周波数特性の良し悪しとは異なる「音質」を体験できるかと思います。何故WE社のスピーカーやOLD JBL等々の効率100dB越えのスピーカーを愛好する方が居るのかを窺い知れるかも知れません。※※

    https://dp00000116.shop-pro.jp/?pid=109848626
    https://dp00000116.shop-pro.jp/?pid=4719653

    ※同口径のウーハーを外してコレを入れ、スコーカーやツイーターは付けたまま配線だけ外します。背圧を大変嫌うユニットなので、バスレフダクトのポートパイプを先ずは取り外してバッフル板厚だけにします。

    ※※アンプは出力は小さくとも小音量時の特性が優れた機種をお使いください。中古のSANSUIならD707F辺りが1万円台で手に入ります。D707F/D907Fシリーズは設計余裕が十分に取ってあり、古くても部品交換不要な個体が多いです。ボリュームやスイッチの「ガリ」は接点洗浄剤スプレーで治ります。

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  2. れんと:

    ●はじめまして。いろいろお教え頂き、ありがとうございました。

    すごい計測器をお持ちですね。持っていないと決め付けてしまって、済みませんでした。なお、ご存知かも知れませんが、校正されたマイクは、ものすごいものでなければ、計測用のコンデンサマイクが数千円から入手できます。中には特性のグラフが添付されているものがあります。ただ、コンデンサマイクは電源が要るので、お持ちの機器にそのまま付くかは不明です(電源も、楽器用のが安く手に入ります)。僕は、Dayton AudioのEMM-6というのを使っています(そろそろ寿命かも知れません)。電源は、以前はBehringerのを使っていました(今はADCに入っています)。

    本当に、部屋の特性は呆れるほど酷いです。どこに行っても駄目です。本文冒頭に書いたように、まだ「完結編」を書いていないのですが、実は、聴く位置の移動もスピーカーの移動も諦めました。共鳴がひどく、そのためイコライザでの調整量が多いせいか、耳がおかしくなったのです。結局、最初の位置に戻しました・・・

    それから、Beymaというメーカーは知りませんでしたが、おもしろそうですね。フルレンジは結構好きです。大口径でも高域が出るのは意外です。内側の小さいコーンのおかげなのでしょうか。

    アンプは、おっしゃるとおり、小音量時の特性が重要だと思います。今のメーカーは、なぜか、家庭では使いもしない100Wとかのハイパワーをうたっていますが、そういう物(有名メーカー)で小音量時の音がひどいものがありました。SANSUIは昔から気になっていましたが、良かったんですね。僕は、数Wの小さいのを使っています。

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  3. 寂夜:

    こんにちわ。早速のレス有難うございました。

    オーディオでは無いですがメーカーの設計者だったので、アンプを作ったり調整するのに計測器は必要だと。でも個人で持つと校正が高くて大変です(^^;(Audio Analyzer 8903Bの校正は16万円)
    https://service.keysight.com/infoline/public/product-service.aspx?laf=mya&pn=8903B&lc=jpn&cc=JP

    構成済みマイクが数千円とは思ってもみなかったです。コンデンサーマイクの電源なら作っても良いですね。ただ実際に部屋の特性を計っても暗くなるだけかな・・・。それとマイク以外の計測系もPC+Softでは公的機関へ提出可能な確度が出ないのでお金が掛かりそうです。
    https://www.marubun.co.jp/product/system/qgc18e0000000lu8.html

    リスニングポイントとスピーカー位置の移動、諦めてしまわれたのですか・・・。どのみち平衡面で囲まれた普通の部屋では定在波が生じピーク/ディップが出ますから、コンサートホールのように部屋を作り直さないと満足は出来ないでしょうね・・・私の様な凡人には無理です。私もグライコでの補正には否定的です、仮にレベルだけフラットに出来ても位相差まで修正できませんから。セッティングは下記が割と参考になりました。
    https://www.ippinkan.com/cm/setting_1/setting_1.htm

    フルレンジにも色々あますが、10AGN/12GA50は現代的なフルレンジの逆を行く設計なんです。ご存知の通り振動板面積が同じならコーンは重いほど最低共振周波数は容易に低く出来ます。でも重いコーンを動かすから反応は鈍くなり高音は出なくなるし効率も落ちる。それをマルチウェイで高音を出し、強力な磁気回路と大パワーアンプで音圧を確保する。特に分割振動が少ない小口径大振幅のスピーカーはこうならざるを得ない。デスクトップスピーカーでは仕方ない事ですが。

    10AGN/12GA50の磁気回路も弱くはありませんが、コーンはとても軽くて堅いただのパルプ紙なんです。大口径で分割振動はコルゲーションで抑えているだけ、高域は更に硬くて軽いサブコーンで出しています。往年のWEやJBL D130のような(これらは今でも大変高価ですが)設計です。こんな大口径フルレンジ、今は本当に稀な存在です。

    そんな設計だから低域は100Hz辺りから自然なダラ下がりなんですが、そこを第二高調波と第三高調波で人の音感補正を利用して低音を感じさせている。高音はサブコーンが上手く効いて20KHzまで伸びています。そして何より100dB/W辺りの高効率、今の83dB/W程度のスピーカーと比べれば電気→音響変換効率は電力比で50倍です。

    重低音は出ないけど全域で軽いコーンから流れる音楽は、アタックや微細な音への反応が速く「繊細で活が良い」。大口径軽量コーンらしい軽くフワッと来る低域も独特で面白いです。但しこれを活かすには背圧を掛けない事が前提で、大容量のバスレフか大きめの後面開放のエンクロージャが必要です。

    私は10AGNでこれは面白いと感じ、すぐより大口径の12GA50に移行してしまったので、10AGNは使用僅か半月でデッドストックになっています。もし、れんとさんが数千円で中古の「箱」を手に入れて本当に使って下さるなら差し上げます。広帯域低歪ではないですが、音楽を奏でるスピーカーとして面白い事は確かですよ(^^;

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  4. 寂夜:

    SANSUIのアンプは昔から定評が有りました。特に607/707/907シリーズ発売後の評価は恐ろしく高く、当時売れるアンプの1/3はこの機種だったそうです。D607F/D707F/D907Fはこの07シリーズの三代目で、設計者として見て凄い事をやっているんです。

    フィードフォワード型アンプがそれで、片チャネルに2組のアンプを搭載し、その一方は「歪を消す」ためだけに使っているんです。その後に普及したバランスアンプも片チャネル2組のアンプを持っていますが、2組のアンプが直接アンプの大出力を作っています。しかしフィードフォワード型ではアンプの1組は出力増強には全く貢献しない、歪を消すためだけに(多大なコストを掛けて)存在しています。

    このためD907Fでは±70V(140V)もの高電圧強力電源を搭載して大出力を確保しています。バランスアンプなら±20V(40V)も有れば同じパワーが出せるのにです。そこまでして歪を無くし低出力時の音質向上を図っている、採算ベースに載せ難いアンプなんです。当時JBLの総代理店で高価なJBLが飛ぶように売れいたSANSUIだから出来た「儲からないアンプ」と言えるでしょう。

    回路図を良く読み込んで実際のアンプ内部を見ると、流石にD607Fはコスト切り詰めの影響が分かりますが、D707F/D907Fは回路も使用部品も十分な設計余裕が取られており、今でも40年前のアンプとは思えないほど現存率が高く、高価で取引されています。D607F/D707F/D907Fの後継機がD607G/D707G/D907Gで、ここまでがフィードフォワード型アンプで回路も殆ど同一です。その次のD607X/D707X/D907Xからフィードフォワード型を排して今流のバランスアンプになっています。

    昨今のデジタルアンプ(D級アンプ)は小型で大出力で電源部も簡素化できる「儲かるアンプ」(一聴した時には低音も高音も良く出てキレが有る音を出し易い、でもじっくり聞くと・・・)ですが、フィードフォワード型アンプは正にその対極に有る「儲からないアンプ」なんです。整備調整済み完動品だとD707Fなら5万円弱くらいしますが、「ガリ」等がある難アリ品なら1万円台で入手出来ます。この07F/07Gシリーズは友人の分も含め何台も(無償で)整備調整しています(^^;

    連続出力100Wなんて家庭では絶対使いませんが、音楽のピークは平均値の100倍ものエネルギーを必要とするので、フルオーケストラのff時でも音楽を歪ませない、が必要なら最大出力が100W有っても間違っていないと思います。ただその100Wアンプの0.1W出力時の音質が良くないとダメですね。なのでフィードフォワード型は(儲からないけど)理に適っているんです。

    アンプもまた、時代背景を含めた存在理由に歴史が有り、回路設計自体が変化していてとても面白いですよ。

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  5. れんと:

    ●(再び)お教え、ありがとうございます。設計をされていたんですね。僕はソフトの者なので、(こういう表現は適切ではないと思いますが、)ハード、特にアナログの設計ができる方はすごいと思います。僕もたまに回路図を読んだり調べたりと挑戦するのですが、なかなか分からないことが多いです。

    そうですね、PCでの測定はあくまでも簡易なものですので、寂夜さんの指向されるような本格的なものではないです。ちゃんとしたマイクは2桁くらいは高そうです。

    おっしゃるとおり、実際に部屋の特性を測定するとがっかりします。やっぱり、(「完結編」に書こうとしているのですが、)定在波が最大のネックです。特に、天井と床の間がどうにもならないです。共鳴が強いとイコライザで調整してもし切れないですし、し過ぎると音が悪くなってしまいます(鮮度が落ちる感じです)。その点では天井を斜めにしたいのですが、お金が掛かりますし、そもそも賃貸なので無理です^^

    あと、僕も位相が気になっていました。調整すればするほど、位相がおかしくなると思います。それが耳閉感や痛みの原因になのかと想像しています。ですので、イコライザなどは最小限にしようとしています。

    ご紹介頂いたセッティングで、斜めに置くのは、(そのページを見ていたのかどうか分からないですが、)実は今回も試しました。が、やっぱり駄目でした(上に書いた、上下の定在波が特に駄目でした)。ただ、普通の置き方に比べると良かったです。波長が長いので、(ムートンのような)敷物が本当に効くとは思っていませんでした。疲れたのでしばらく休みますが、また挑戦するかも知れません。

    Beymaのスピーカーはおもしろそうですね。見た目は似ていても、他のフルレンジとは違って、それでないと駄目なようですね。低域は、僕の経験でも、100Hzくらいまで出れば充分な気がします。それ以下は、振幅はあっても、まともに出ているか分からないです。

    そして、10AGNの件、ありがとうございます。興味はあるのですが、それに合う箱は結構大きくなって、僕の部屋には無理がありそうなのと、今のスピーカーが寿命になったら、同じくらいのサイズ(17cm?)のもので試してみようと思っていたので、うれしいのですが、遠慮させて下さい。

    あと、Beymaについて、もしご存知なら教えて頂きたいのですが、一回り小さい17cmくらいのものも同じ傾向でしょうか。「大口径軽量コーン」と書かれていたので、違うかも知れませんね。よろしくお願いします。

    (次のコメントには追って返信致します)

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  6. れんと:

    ●SANSUIのアンプですが、D707Fなどを調べたら、まさに僕が最もオーディオに熱中していた頃のものでした。とはいえ、当時は子どもだったので、そもそも買えないのと、黒ずくめで外見が好きでなかったのと、今で言う中二病的な反発があって避けていました^^ 近頃は素直になって、詳しくは分からないながらも、ちゃんと作っていて良さそうだと思っていました。でも、調べたら、SANSUIのアンプはその後いろいろ出ていたんですね。それだと、十把一絡げにいいとは言えなさそうです。

    フィードフォワード型のご説明をありがとうございました。上に書いたような訳で、当時は中身が分からずに「なんかすごそうだ」としか思ってなかったのですが、確かにいいですね。本来のアンプで発生する歪の量を予測して打ち消すんですね(よくできるものだと思います)。それなら、あのすごい電源も納得できます。

    デジタルアンプは、簡易にパワーを出すためのものとか「本物ではない」気がして、好きではないです。数年前に、(とてもはやっている)DENONのを検討しましたが、そういう理由で却下しました。

    なるほど、高出力にも意味があったんですね。いつも小音量で聴いているので、そこまでは意識していませんでした。

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  7. 寂夜:

    こんにちわ。

    れんとさんはソフト屋さんだったんですね。プログラマも凄い人は確かに居るので、ハード屋と同じではないでしょうか。アナログハードは「ちゃんと動くまで」と「良い音を出すまで」で難易度が全然違うんです。そこはデジタルと違う所かも知れません。

    あらゆる計測は「その値は本当に正しいのか」が付きまとうから大変ですね。個人使用なら構わないのですが、人様に出すモノだと最終的に「国家標準に対してのトレーサビリティの程度」に行き付いてしまうんです。

    一般家庭では天井と床の平行面はどうにもならないですよね。吸音材とか使っても低域の共振は取れるものではないですし。位相まで考えると私達素人に出来ることは限られていると思います。ブックシェルフスピーカーなら背面と側面の壁から50cm以上離し床面との間に空間を設けるくらいが良いところです。コンサートホールはやっぱり凄い(^^;

    Beyma使って思ったのですが、100Hz以下がダラ下がりでも、その帯域の音の高調波(2倍3倍の周波数)が有ると、人は低音が出てると感じるようです。聴覚器官の特性から、脳はそう補正しているんでしょうね・・・

    10AGNについては大型バスレフか後面開放か1.5m四方平面バッフルが必要ですが、後面開放なら縦・横・奥行き30cm以上から使えるそうです。低域の量感はセッティング次第でしょうが、活きの良さや繊細さは出せるでしょう。
    https://minkara.carview.co.jp/userid/277037/blog/24878621/

    Beymaは欧州のプロフェッショナル・スピーカーユニット・メーカーなので、10AGN系列のものは12AG50(30cm)・10AGN(25cm)・8AGN(20cm)だけですね。同じ設計では小口径では低域が出せないと言う事なんでしょう。16.5cmだと6CX200FEが出ていて、軽量コーンではありますが聴いた事が無いので音は分かりません(しかもお高いw)。
    https://dp00000116.shop-pro.jp/?pid=142210209
    https://dp00000116.shop-pro.jp/?pid=109849474
    https://www.beyma.com/en/products/c/coaxial/106CX2FE8/altavoz-6cx200fe-8-oh/

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  8. 寂夜:

    SANSUIアンプの歴代607/707/907シリーズの機種は多く、回路設計も音の傾向も違います。707/907に限れば「良い部品と十二分な電源回路を搭載している」は共通ですが・・・。初代の素D〇07~4代目のD〇07Gまでが高電圧シングルSEPP構成、5代目のD〇07Xとそれ以降のα〇07シリーズが定電圧バランスSEPP構成ですね。出力の割にコストの掛かるフィードフォワードは、オーデイオ黄金期のD〇07FとD〇07Gだけです。

    「今のアンプでは聴けないSANSUIの濃い音を聴きたいなら、αシリーズじゃなくてDシリーズにしろ!」と言う人が居ますが、同じDでもD〇07/D〇07F&G/D〇07Xで音の傾向が違います。何れも分解能とか解像度とか音源の明確な定位とかはαシリーズに劣ります(この方向を求めるなら最新の高級アンプの方が優れていますね)。ただ何と言いますか「音楽を奏で人を包み込んで豊かにする」と言う点では、個人的にDシリーズが好きです。

    素〇07はちょっとコナレてないと言うか発展途上?
    D〇07はちょっとオーバー気味の濃い音でJazzに向く?
    D〇07F&Gは深くて繊細で瑞々しくほぼオールマイティ?
    D〇07Xは力強く低音のガツンと来るアタックに強い?
    私の現用機は、SANSUIではD907F・D907G・D907Xの3台で整備調整済み、他にメーカーメンテのLuxmanが2台です。LuxmanはSANSUIに比して「穏やかで優しい」感じでしょうか・・・

    でもこのアンプの音の差、スピーカーで全然変わりますね。RogersPM510やBeyma12GA50だと差がはっきり判るのに対して、RogersStudio1やStudio5だと判り難くなり、Onkyo112EXTだともう違いが聴き取れません。(112EXTは細かい音がちゃんと出ないので、基板で買った中華デジタルアンプの方が、押しとキレが良くて合っていたりw)

    現在の市場価格を踏まえた上で、音質だけでなく整備性や設計余裕度(実力装置寿命)も考慮すると、個人的にはアナログレコード最盛期末期のD〇7FとD〇7Gが一番好きです。フォノイコライザーも凄い回路で一番コストが掛かっていますから、最近復活しているレコードも素晴らしい音で再生してくれます。

    寿命部品である電解コンデンサを、音響増幅部は最近のLuxmanが採用しているUSTJを主体に、電源部はUTWXZやUTESに交換し、要所要所を再ハンダしてクラックを除去、各種接点の洗浄をして酸化被膜・硫化被膜を除去し、バイアスとオフセットの調整するだけで、クラシック全般やヴォーカルを美しく深く鳴らしてくれます。

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  9. 寂夜:

    フィードフォワードに関して追記です。

    これは「最新のAI技術を駆使して歪予測し打ち消しています」・・・と言う訳では全然有りませんw。

    音を出す方のアンプに、数々の波形・周波数・振幅(音量)の信号を入れ、出て来た出力の歪を計測します。そして歪打消しアンプの回路と定数を調整し、この歪を打ち消す値を探し出して行くんです。

    振幅に関してはボリュームの後で主アンプと歪打消しアンプに音響信号を分配すれば良いので比較的楽ですが、その他の項目は膨大な組み合わせの信号で計測して、打消し回路の定数を追い込んで再計測・・・の繰り返し。

    そして最後はJBL社の録音スタジオ用・高効率・大型・高級モニタースピーカーでヒアリングを繰り返して微調整し、半導体部品の経年劣化(hfe低下等)の影響を主アンプと打消しアンプで揃える検証をして、やっと設計完了です。ローテク技法ですが凄い設計労力ですよね。

    後のバランスアンプでフィードフォワードを採用できなかったのは、流石に片チャネルに主2組・打消し2組の計4組、ステレオで8組ものアンプを搭載するのは、コストとサイズが大きくなり過ぎるからだったとの事です(D〇07X設計者談)。

    実際、D907Xではコストを抑えてのバランスアンプ化の代償に、かなりの回路が簡素化されています。CDの普及もあってフォノイコライザ部もかなり簡素化。構造部品なんかも金属製からプラスチック製にコストダウンされています。

    それでも「出力競争」に勝つべくD907F/Gより出力を大幅にアップし、それほど劣っていない小音量時の音質を確保しているところは、当時SANSUIのアナログ設計力なんだと思います。(でも瑞々しさや繊細さでは、やっぱりD907F/Gかな・・・)

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  10. れんと:

    ●寂夜さん:

    人間の耳(脳)はすごいですよね。おっしゃるとおり、倍音があると低音を補完するようです。低音などに谷があって、どう聞こえるか試した時、そこが基音の楽器の音を出すと、確かにそこの振幅値は小さいのに、音は問題なく聞こえます。あと、振幅だって、6dB小さければかなり小さく聞こえそうですが、そうでもないです。

    ですので、部屋などの特性がひど過ぎなければ、気にしすぎなくてもいい気はしています。が、性格なので、つい補正したくなります^^

    Beymaですが、なるほど、プロ用ですと大きい物がメインになりますね。僕のに8AGNが付くか気になりますが、いずれにしても、もう少し先になりそうです。

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  11. れんと:

    ●寂夜さん:

    本当に、D〇7F,Gの頃のSANSUIは良かったんですね。そして、今も補修して使えるのはすごいです。

    Luxmanは、DACを持っていたことがありますが、やっぱり、どこか穏やかな印象でした。「切り込んでくる音」とは反対だった気がします。まあDACでそこまで変わるのもおかしいので、思い込みかも知れませんが。

    それにしても、フィードフォワードの作りはすごいですね。AIとかと違って、補正の掛け方は余り動的ではないでしょうから、回路定数を決めるのは全く苦労と職人技の賜物ですね。アナログ回路で経年劣化まで考慮できるのも、すごいです。

    最終段なので、アンプ数は8個になるんですね。4個と思っていましたが、大変なコストだと思います。出荷時にそれらをそれぞれ調整するとしたら、嫌になります^^

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