年中行事のオーディオの配置変えの話※。振り出しに−とは言っても元の木阿弥ということではなく、「元の位置に戻った」という意味で、音としてはいい結果になった。
※こうも変えてばかりいるのは、誰だったか、偉人が「次の作品が最高だ」のように言ったとか、作曲家が頻繁に曲を改訂したり、演奏者が何度も再録するのに通じるものがあるかも知れないが、まあ、「永遠に出来損ない未完成な某Windows 10に近い」というほうが合っているかと自虐的に思うw
前回、配置が確定した直後辺りから不満が生じた。低音である。前回の特性(補正あり)を見ると分かるが、95Hz以下が出ていない。50Hz以下のような超低音はいいけど、せめて60や70Hz以上は出て欲しい気がした。実際、クラシック音楽では聞こえない音(ピアノやコントラバスなど)が結構あって、物足りなく感じた。なお、ポップ音楽では倍音で補完されるのか、概ね問題なかった。
低音が出ないのは、配置のセオリーどおりで仕方ないことだった。(僕が子どもの頃とは違い、)スピーカーはなるべく壁の近くが良い(例えば1m以内)というのが定説のようだ(離すと、壁での反射波の干渉で低音が減るため)。また、スピーカーの左右を同じ条件(対称)にした方がいいというのもある。前回の配置は非対称だった(右スピーカーのすぐ横に寝室が広がっていた)ので、後述する低音の乱れが生じ、特性が素直でなくなっていたようだ。
また、後述するが、ここでの最初の配置(直感で決めた)の特性はそれまでで一番素直だった。だから、セオリーとか直感は馬鹿にできないようだ。
ただ、移動は面倒なので、しばらくは我慢していた。が、別の問題が生じた。窓が眩しいのである。机(目)の斜め前に窓があるせいか眩しくて、日中はいつもカーテンを引く必要があるのがどうにも気分が悪いので、なんとかしたかった。それで、机やスピーカーなど、全体を壁に移動させれば窓が目の横に来るので、眩しさが軽くなるかも知れないと考えた。最初に書いておくが、結局、眩しさは減らず、相変わらずカーテンは引きっぱなしである。
どうも、僕の目は正面よりも横からの明るさに敏感なようで、車でも、日中右側に太陽がある時は、ほとんどいつもサンバイザーを右にしている(他の方を見てもそうではないようだ)。だから、眩しさを減らすには、全体を窓から離す(奥に移動させる)必要があるのだが、そうすると、「ブラックホール」(この部屋で低音が消失する領域)に近くなるのでできない。
窓の眩しさで不思議なのは、学校で窓際の人は眩しくないのかってことだ。そういえば、僕も高校で窓がすぐ脇だったことがあったのを思い出したが、その時は気にならなかったのか。歳を取って過敏になったのだろうか。部屋の照明を暗目にしているのが関係ある??
それで、5/27頃から移動の検討を始めた。まず、ここに来て最初の配置が壁際だったので、その特性(補正なし)を検討したところ、随分フラットだった。素性がいいためにイコライザのフィルタ数は左右2個ずつと少なく、耳閉感が起こりにくそうなので、試したくなった。ただ、147Hzの山が高いのと超低域が大きいのが気になった。
147Hzの山については、当時はスピーカーを本棚に載せて高くなっていたので起こったが、今はそれより低いスピーカー台に換えたので改善できるはずだ。超低域は耳閉感の原因と思われるので気になったが、フィルタで充分に減らせばいいのではないかと考えた。また、当時は全然減らしていなかったのに耳閉感がほとんど出ていなかったので、それがどうしてかは分からなかったが、希望が持てた。そして、耳閉感の原因は超低域の量だけでなく、イコライザの作りによるものも大きいのではないかと考えて、賭けてみることにした。
試しにスピーカーや机などを壁際に移動して特性(グラフは低域のみ)を測ったところ、目論見通り、147Hzの山は低かった。不思議なことに超低域(50Hz以下)がほとんどフラットだった(バスレフポートを塞いでいるから下がるはずなのだが、共振して増えているのだろう)。それは予想していたので、イコライザで落とすことにした。
- 低域の振幅の比較: 以前の配置: L: 青, R: 赤, LR: 灰; 新しい配置: L: 水色, R: オレンジ, LR: 緑
- 低域の位相の比較: 以前の配置: L: 青, R: 赤; 新しい配置: L: 水色, R: オレンジ
暫定的にイコライザを調整して聴いてみたら、音に違和感はなく、"Come together"などで低音が増えたように感じた。耳閉感の兆候はなくならなかったが(それ以前の疲労が残っていたようだ)、低域が気に入った。更にイコライザを調整して試したら、耳閉感は出なくなった。良くなった例を挙げると、ルガンスキーのラフマニノフのピアノ協奏曲 第2番 第1楽章のピアノの低音の量が増えた感じがした(それでも聞こえない低音はあった)。それから、音作りのキツい曲、ELTの"Feel my heart"は今までより迫力が増して高音もすごかったが、耳閉感は出なかった。YMOの"Solid state survivor"の曲も同様だった。全く信じられないことだった。ただ、以前気になった"The fool on the hill"の間奏の低音の少なさはほとんど変わらなかった。
この辺りの記述は、僕の大嫌いな、オーディオ製品の提灯記事レビューで評論家などが「音質評価用の曲」(曲や演奏者や表現などには全く関係なく、音質だけにしか関心がない: 作者にも演奏者にも大変失礼だ!)を聞いて(音質に関する)感想を書いているのと同じように見えるが、僕はそういう曲を決めているのでなく、好きな曲の好きな演奏を期待どおりに聴きたいから、気になったものを試しているだけである(比べるために、気になった曲を集めてリストにすることはある)。だから、僕は期待どおりの演奏が耳を痛めずに聞こえれば良い。もちろん、興味がない・好きでもない曲や演奏の音質を試すなんて、詰まらなくて無意味かつ無駄なことはしない。
「評論家はテスト信号だけ聞いてろ!!!」って思うが、なぜかそうはしないようだ。
ここまで来て、どうやら、耳閉感の原因は超低域が大き過ぎることとイコライザの作り・設定以外に、「変な・悪い音」(特に低音)もあるのではないかと気付いた。それまでの位置では、低域(70Hz付近)の左右の特性が違っている(例: グラフの75-100Hzの青(左)と赤(右)はかなり違う)ために音が「変」になって、耳や脳に負担が掛かって、耳閉感が起こっていたのではないか。イコライザについては、今までに書いたように、変な特性を補正しようとしてフィルタを多くしたり強くしたりすると、確実に耳閉感が起こる。
更に、その後、変な・悪い音の原因として低域の位相の乱れが関係しているような気がした。チャネルごとだけでなく、左右チャネルの位相が合っていないと良くないのではないかと思うが※、確証はない。直感的に書くと、低音で左右の位相がずれている場合、バスドラムのような音がわずかな時間差で左右の耳から順次入って来る(つまり、短時間で左右にぶれて聞こえる)ようなもので、頭が疲れそうだ。なお、位相の乱れが少なければ超低域を増やしても大丈夫かと思ってフィルタを軽くしてみたら耳閉感が起こってしまったので、超低域が多過ぎるのはやっぱり駄目なようだ。
※例えば、位相の比較図を見ると、以前の配置では57Hz付近で右(赤)の位相がかなり左(青)と異なっているのが関係しているのではないかと思う。新しい配置(水色とオレンジ)でも95Hz付近でずれているが、そこまでひどくはない。
それから、念のため(色気を出して)バスレフポートを塞がない場合の特性も比べてみたが、やはり全閉が良かったので、そうした。当然ではあるが、ただでさえ超低域が共振して強まっているので、バスレフポートを開けると強くなり過ぎる。
この配置で数日間試して問題なかったので、正式に全体を移動してイコライザを微調整して、6/2に確定した。
試している間にクラシックピアノの音(例: グールドの「ゴルトベルク」、ポリーニのK. 488)が悪いことに気付き、原因を調べたところ、どうやら355Hz付近の量が多いと※、そのように聞こえることが分かった(ポップ音楽では気付かなかった)ので、調整した。
※この辺りを増やすと、昔のTVとかラジオのような音に近くなる。
現在の特性、イコライザの設定と配置図を以下に示す。僕にしてみれば、この特性(特に中高域)はまったく大したものだと思う。イコライザについては、当初よりフィルタが増えてしまったが、本質的なものは2(左), 3(右)個である。33Hzはあったほうがいいけど、850Hzはなくても分からない、気分的なものだw
- 新しい配置の特性: 補正なし: L: 青, R: 赤, LR: 灰; 補正あり: L: 水色, R: ピンク, LR: 黄緑
- 補正用イコライザの設定
- 新しい配置
幸い、今日まで耳閉感は問題にならなかった(疲れで起こったことはあったが、音質に起因するものはなかった)。そして、毎回書くように、いろいろな演奏で発見(初めて聞く音)があった。それらは、低域が改善されたことと、耳とスピーカー間の障害が減ったために高域の劣化が少なくなってストレートに聞こえるようになったことによると思う。以下に少し感想を挙げる。
- The Beatles: "While My Guitar Gently Weeps - Remastered 2009": 低音がいい感じ。
- John Mellencamp: "Jack & Diane": 音がいい。特に打楽器の高音。打楽器の低音もいい。
- ポリーニ: K. 488, 第3楽章: 少しだけ、低音弦(コントラバス)を速く弾いた時の身体に響く音(叩く音に近い?)が聞こえた。
- ELO: "Hold On Tight": シンバルの高音が初めての感じ。
- 中村あゆみ: 「翼の折れたエンジェル - 2005リマスター」: イントロで今まで聞こえていなかった低音(バスドラ?)が聞こえた。
今は大きな不満はない。せいぜい、まだ低音が弱いところ(左の116Hz付近)がある程度だ。それは、今回改善できた90Hz以下のように聴いて不足を感じる訳ではなく、対処しようにも原因が分からず、一度(実は旧居でも同様なことを何度も)挑戦して失敗しているから難しい。それから、贅沢な話だが、(前回も書いたように)音がストレート過ぎて気軽に聞き流せないということはある。あとは外が眩しいことだが、これも難しそうだ。まあ、ここら辺が「次」に繋がるのかも知れない(でも、動かすのは疲れるな)・・・
と、配置が確定してすぐに不満が生ずる訳だwww
最後に、今回までに分かった耳閉感の原因の候補(更新版)を挙げる。
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超低域の音量過多
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イコライザの構成(フィルタが多い・深い・広いなど)
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超低域の左右の特性の不揃い? (今回追加)
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左右の位相が関係しているのか?
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これがなければ、ある程度超低域が多くても大丈夫そう。
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超低域の位相の特性? (今回追加)
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位相変化が素直でないと駄目なのか? → イコライザの構成に繋がるのかも。
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耳・身体の不調、疲れ
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演奏の音作り
PS. それにしても、以前も書いたように思うが、市販のオーディオ製品(特にスピーカー)を買って来て、ただ置いて音を出して、音がいいだの悪いだの言ってる人は すごくもったいないと思う。悪く言えばウマシカ、アホか馬鹿かだ。
お前、その音の特性を測った? 調整した?
と言いたいが、とんでもない数の人が対象になりそうなので、止めておく。逆説的だが、そういう人たちは、物を買えば・換えれば(いわゆる「ポン付け」)自分の希望する「いい音」が聞けると思っているのだから、ある意味幸せかも知れない。
いい音って何だよ?
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