エアコン起因の臭いについて更に調査・検討した結果、有益な情報が見付かり、この部屋での臭いの発生メカニズムが分かって来た。
まず、原因はいろいろあるにせよ、外だけでなく、エアコンから臭いが出るのは確かで、更に、(うちのエアコンのメーカーの)パナのエアコンが僕に近い状況で臭う(別機種)ことや、パナのは臭いやすい(清掃業者の話: リンク先の青字の部分)※という情報が(少ないながらも)あった。
※興味深かったのは、業者の「昔のナショナルの頃から中の構造は変わっていない」という話で、別の箇所ではあるが、僕が以前思ったことに近いことだ。極論すれば、パナのエアコンの開発者は手抜きをしている根本的な改良を怠っているってことだ。
しかも、屋外の臭い(例: 煙草臭)とエアコンからの臭いは関係があるようなのだ。というのは、以前から想像していたのだが、エアコンのフィンの表面(プレコート材)に臭いが吸着されることが分かったのだ。 (→ 例: 文献5: 2.2) また、プレコートの材質によっても臭いや臭いやすさが違うらしく、ガラス系からの臭いは僕が感じていたもの(「刺激臭」、「埃っぽい」)と同類だった。 (→ 文献3: 4.7)
そして、調べた内容から、この部屋での臭いの発生メカニズムを推測した。
臭いの発生メカニズム(推測)
- 外から臭い(VOC, HCHOなど)が入って来る。 → 臭う
- HCHOなどはセンサに出る。
- 入って来た臭いの成分(HCHOなど)や部屋の臭い(アンモニアなど)がエアコンのフィンのプレコート材に吸着され、エアコンの動作状況によって発散する。 → 臭う
- HCHOなどはセンサに出る。
- 「無機系の親水性コーティングは、(中略)臭いの吸着が起こり易い」 (→ 文献5: Description)
- 今までに吸着されたものが溜まっているのか?
- フィンのプレコート材特有の臭いが経年劣化やエアコンの動作状況によって発散する。 → 臭う
- HCHOなどでないので、センサには出ない。
- 僕が感じていた臭いがある: 「水ガラスなどのシリカ系では「セメント臭」,「乾いたにおい」,「ほこりのようなにおい」、少々の刺激や鼻を突く感覚」 (→ 文献3: 4.7)
- 経年劣化により、フィン(アルミ)が腐食して、その臭いが発散する。 → 臭う
- HCHOなどでないので、センサには出ない。
- 僕が感じていた臭いに近そうだが、確かではない。: 「鼻を突く臭気」 (→ 文献3: 4.3)
- 表面は綺麗だし、常時臭う訳ではないので、可能性は低い。
- 室内機内部(フィン、ドレンパンなど)がカビていて、胞子などが発散する。 → 臭う
2以下が正しければ、窓を塞いでも臭うし、臭ってもセンサに出ないことがある訳で、今までの謎が まるっと解決する!
謎の原因が分かった(可能性がある)のは技術者としてはうれしく、終わったも同然なのだが、悲しいのは、これを管理会社などに言っても ほぼ無意味なことだ。彼らには、「故障」かそうでないか(= 動く・冷えるかどうか)だけが問題で、他の多くの人が指摘しない限り、臭いは「個人の感覚の違い」に帰着させそうだからだ。
おそらく、長期使用(約10年)でフィンに臭いが溜まっていたり、コート材の経年劣化、更にはメーカー固有の問題?で臭いやすくなっているのだろうと想像するが、いくら臭くても冷えるうちは交換してもらえる可能性は低い。しかも、フィン自体の問題なので、仮に(以前書いた)内部清掃をしてもらっても直る可能性は低い(逆に、中を見たら「綺麗なので不要です」(→ 「気のせいです」)なんてことになりかねない)。だから、今はひたすら壊れるのを待つしかないのかも知れない・・・
一つの期待は、先日点検に来て「交換の方向で」と言ってくれた業者が頑張ってくれることだ(ちなみに、その後の連絡はまだない)。その人に上記のことを言えば、少しは進展するかも知れない。が、「そんなの聞いたことない」で理解されない気もする(これは管理会社も同様)。
調べている途中で、臭いを積極的に吸着・保持するコート材が見付かり(→ 文献4)、もしかしたらそんな余計なことをする物が使われていて、経年劣化で放出するようになったのかと思ったが、実際にはそれ以前の話で(そんな高級な物は使っておらず: 使っているなら うたい文句にするはず)、普通に吸着・放出しているようだ。
ちなみに、価格.com(文献1)の口コミからその文献を見付けたことで上記のメカニズムに達したので、そういう思い込み(プリ仮説?)は あながち無駄ではなかった。
書いてから思い付いたのだが、フィンに溜まった臭い物質を発散させるため、試しに一時間くらい最強で暖房をしてみようかと思う(内部乾燥時は暖房になり、その時は臭くなるので、熱で臭いが発散すると想像・期待する)。ただ、冬に暖房していても臭くなかったので、効果はないのかも知れない(また、発散するには水分が要るのかも知れない)。が、臭くなり出す前(初夏)に溜まった可能性もある。その場合はすぐ再発するのかも知れないが、今は窓などを塞いでいるから大丈夫かも知れない。まあ、いつもの「ダメ元」でやってみよう^^
それにしても、今は暑くて(しかも、臭うから まだ冷房してないので)、「暖房」なんて書くだけで汗が出るw
あ、臭い物質を発散させるのは、暖房の真逆の強冷(発散というより、結露水で流す)なのだろうか? でも、これはほとんど効果がなかった。それに、暖房も冷房もフィンのコート材からの臭いには効果がなさそうだ。うむ。
参考文献
- 価格.com(口コミ): 風が臭います。臭いです。 (似たような事例, 2013)
- ブログ: 「エムズの片割れ」: 臭いのため、専門業者にエアコンの洗浄を頼んだ話 (パナは臭いやすい(パナだけ臭う)という話 , 2016)
- 館山: エアコン用プレコートフィン材 (2018)
- Furukawa-Sky Review: "臭いを出さない" アメニティプレコートフィン (2007)
- 吉田他(特許出願): 防汚コーティング、それを備えた熱交換器及びその製造方法 (2013)
- 宇佐見: プレコートアルミニウム製品と最新の動向 (2005)
PS. 文献2のブログを少し見てみたら、作者は一回り以上年上の方だが、僕と書き方が少し似ていたり、ここに近い内容(昔の歌など)があったり、僕に似た趣味(オーディオ)・状況(メニエール病)なことが分かって、不思議な気分になった。
PS2. 調査中に、室内機の取り付けミス(ドレンホースの方に少し傾けないといけない)でドレンパンに水が溜まりやすくなってカビが生えて臭うという話を読んだ。実は、昔電気屋さんから聞いて設置時に少し傾けることは知っていて、以前からここのの傾き方が悪そうだと思っていたので、無理やり直した(以外に簡単に動く)。壁紙張り替え時に狂ったのか(内装業者によっては知らなさそうだ)、僕が掃除した時に動いてしまったのかは不明だ。
↑入居直後の写真を見てみたが、(エアコンだけを写したものがなく脇に写っているため、遠近法やレンズの収差の影響があるかも知れないが、)傾きは「逆」ではなかったが、水平だった。ということは、ドレン水の流れが悪かった可能性がある。内装業者がきっちり水平にしてしまったのかも知れない。
いずれにしても、今回は余り大きな関係がなさそうなので、再度やろうかと思って居たドレンパンの掃除は止めた。掃除するにしても、2個のうち手前しかできないから、余り意味がない。
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