「微積分を知らない人が「損している」と言える訳」を読んで、いくつかの異論・違和感を持った。
まず、題が悪い。少なくともこの記事を読む限り、微積分を知らなくたって何も損はしないからだ。損するのは、「微積分の成果を使わない人」で、まず今の世の中には居ない(逆に、意識して使わないなら、微積分を知っていることになる)。もちろん、微積分を使う方面の技術者になる人は別で、知らなかったら なれない。でも、それはこの記事の対象ではない。
でも、記事に陽には書かれていない、「微積分的な考え方を生活に役立てる」という意味なら正しい。これは、以前書いた三角関数と同様だ。
次に、最初の例の「スピード違反を取り締まる」だ。この話の最後は、ある地点での車の速度を「正確に」(無限の精度で)知りたい場合は「(車の通過時刻を測定する)区間を無限に小さくすることで、無限に精度を上げられる」と言っているが、大いに疑問だ。この記事は訳者が書いたのか原著者が書いて訳されたのか分からないが、訳者が誤解しているか、著者が学者(工学者・技術者ではないという意味)なのかと思う。
僕の感覚では、時刻を測定する区間を無限に小さくしたら、誤差が増えて結果(速度)が安定しなくなってしまうだろう。車が無限に小さい距離を通過する時刻(の差)を正確に測定することができるのか疑問だし(これは原子時計などを使えばできそうだ。オーディオで良く見る、ピコ秒くらいで測れればいいのではないかw)、車は点でないから、起点と終点の間にサスペンションが上下して通過センサを通過する位置が異なった場合、かなり誤差が出るのではないか。そもそも、その「無限に短い距離」が意味を持つように、車が通過したことを無限の精度で判定することが可能なのだろうか? (無限に細いレーザーでできる? でも、反射の影響はないのだろうか?) あと、その「無限に短い距離」を無限の精度で測れるのだろうか? (一体型にする? でも、温度で伸び縮みしない? 補正する?)
まだまだあるよ。: 現状の光電管のシステムを踏襲して、車の通過を光で検出するのだろうし、光の回折を防ぐためにレーザーを使うのだろうと思うが、空気や車の動きによる光の歪みや揺らぎはどうするのかとか、(上記の心配を解消するため)測定装置を一体型にして なおかつ温度補正をするとしても、地面や空気の振動の影響は大丈夫かとか、無限の精度で測るとすれば、側に座っている警官の呼吸や動きも影響がありそうだ。考えるだけで頭が痛いしおもしろい^^
数学(者)的には無限に精度を上げられると言いたいだろうが(それはそれで実現するのはおもしろいけど)、僕は、現実的でないし意味(必要性・経済性)もないと思う。結局、メーカーや警察の人がこの話を真に受けて、意味もなく無限に精度のいい速度測定装置を作ったり買ったりしたら、なまじ微積分を知っていたために損するではないかwww (ほぼ無限に冗談)
単に、例とか言葉の使い方が悪いだけのことだが、どうも気になった。要は、
軽々しく「無限の精度で」なんて言うなよ!
ってことだ。
PS. おそらく、学者には「無限の何か」は いとも簡単なことなのだろう・・・ それでは何か一つ実現して欲しいwww
PS2. そして、僕が感心とか不思議に思うのは、その「無限」から生まれた積分や三角関数が実世界で成り立っていることだ。例えば、円の面積なんて、限りなく角度の小さい三角形の面積の総和だし、三角関数なんて、「微小な角度ではθ= sin(θ)」なんて恐ろし過ぎることを想定する場面があるが(どこまでですか「微小」って??)、それで世の中が大丈夫なのが謎だ。普通に考えれば、誤差が蓄積して爆発しそうなものだが・・・w
まあ、円の面積に関しては(、きっと三角関数についても)、最終的にそういう無限をペンと紙でやりくりしたあとの綺麗な(危ないところを無事通過した)「式」(積分や微分の公式のようなもの)になっているからいいのだろうと理解している。
上の理解が正しいとすれば、数学や物理学など、理学系の学問というのは、ふと思い付いた式を、他の人に同意してもらうために、無限を初めとするさまざまな難しいことを持ちだして説明はするが、結局は、思い付きが正しくて、最後はシンプルな式(これが最初かつ肝で、途中の細かいのはどうでもいい)なのかってことなのかと今思ったが、さすがにそうではないのだろう。僕は数学が全く苦手なので、そこらへんは全然分からない。
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