注文していた部品類が揃ったので※、昨日、電源部を作った。この部分は僕のオリジナルだ。まあ、買って来た部品を繋げるだけの「簡単なお仕事」wではあるが、それなりに試行錯誤して検討・設計した。構成は図の上半分を参照のこと。
※一番最後に届いた電源部の部品は、当初、納期が一週間とのことで随分先だと思っていたら、実際には2日くらいで届き、なかなか嬉しかった。「見掛けによらず できる子じゃん」て感じだったw
電源部は、外部の直流電源(ACアダプタのような、単一出力のスイッチング電源を想定。「元電源」と呼ぶ)から、DC-DCコンバータでアンプに使う電源(±15V)を生成する。また、DC-DCコンバータのあとにリップルフィルタを入れて、生成した電源に含まれる雑音を除去する。その仕様は以下のとおりである。
- 入力(元電源): DC 10-35V, 約35W以上 (約1(35V時)-3.5(10V時)A以上)
- 出力: DC ±15V, 最大1A (30W)
例によっていくつか想定外のことがあったものの、大きな問題はなく※、まあサクっと動いた。
※ただし、その前の準備作業で思わぬ失敗をして、アンプ部の部品(DCサーボ基板と繋ぐコネクタ)を一個壊してしまった。何とか補修したが、どうにも安定性に不安があって気に入らないので、(これを書いている時に)別のうまい方法を考えた。それについてはアンプ部の作成の稿(予定)で書く。
以下に経過を書く。例によって箇条書きで済ませる。
- 元電源選び
- 入力の電圧範囲が広いため、動作確認や当面使うのには手持ちのいくつかの電源装置のどれかが使えそうだ。ただ、なるべく雑音の少ないものを使いたいので、電源に含まれる雑音を測って比べてみたら、意外な結果になった。
- 以下の電源の出力の可聴帯域(20Hz-20kHz)の雑音をPCで測定して比べた。
- TDK スイッチング電源: EAK 12-1R3: 12V, 1.3A: 昔買ったもの。
- Fineness power ACアダプタ: 型番不明: 12V, 2A他: NovacのUSB-SATAインタフェース つなが〜るKIT(NV-TW130U)の電源
- パナソニック ACアダプタ: CF-AA6372B: 16V, 3.75A: ノートPC Let's noteの電源
- Enermax ATX電源: EES500AWT II: 12V, 24Ax2他: 以前PCで使っていたもの。
- LITE-ON ACアダプタ: PA-1900-32: 19V, 4.74A: 小型PC Vision-HTの電源
- SAYA ACアダプタ: 型番不明: 24V, 2.7A: 今使っているアンプの電源
- サイズ ATX電源: SPGT4-500P: 12V, 37.5A他: 今のPCの電源
- バッファロー ACアダプタ: WA-12M12FU: 12V, 1A: イマイチだったルータの電源
- 測定の際、電源の出力をそのままPCに入れると電圧がオーバーするので、抵抗で1/11(1kΩと10kΩを使用)に分圧し、上限の2.8V(2Vrms)以下になるようにした。
- 実際には直流はカットされるから分圧しなくても良かったのかも知れないが、サウンドカードの入力段が壊れる可能性がある。: 今思えば、入力の前に適当なコンデンサやHPFを入れて直流をカットしたほうが、更に正しい結果が得られたかも知れないが、周波数領域での分析なので理論的には関係ないはずだ(が、サウンドカードの初段のつくりによる)。
- それに、HPFなどを入れると超低域の雑音が測定できなくなってしまう。
- 実際には直流はカットされるから分圧しなくても良かったのかも知れないが、サウンドカードの入力段が壊れる可能性がある。: 今思えば、入力の前に適当なコンデンサやHPFを入れて直流をカットしたほうが、更に正しい結果が得られたかも知れないが、周波数領域での分析なので理論的には関係ないはずだ(が、サウンドカードの初段のつくりによる)。
- 主な結果を以下に示す。
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- 電源の雑音の比較: TDK(緑), Fineness(紫), Enermax(オレンジ), SAYA(青)の電源の雑音 (灰色は背景雑音)
- Fineness(紫)とSAYA(青)の電源の雑音 (灰色は背景雑音)
- LITE-ON(紫)とパナ(赤)の電源の雑音 (灰色は背景雑音)
- 電源出力の雑音の点で一番良かったのはTDKとFineness power(以下Fineness)だった(→ グラフ: 緑: TDK, 紫: Fineness)。大容量ならSAYAかEnermax(→ グラフ: 青: SAYA, オレンジ: Enermax)だ。
- Fineness powerは型番がなく、検索しても出て来なくて全く謎なのだが、なぜか電源の質はいいようだ。そういうこともあるのだろうか?
- ↑更に、ラベルに書かれているJETの番号で調べたら、"shen zhen feitianying electronic factory"のF1205-20-4Pという型番のものと同じ(最後の"4P"が"6P"でコネクタが違うものもあるし、"Fly power"という名前のものもある。その場合の型番は"SPP34-12.0/5.0-2500")感じだが、会社名からして不審だ。謎は深い・・・
- SAYAは音にこだわっている割には、180Hzとその高調波の雑音が大きく、アンプ内のフィルタで除去しているのだろうが感心しない。しかも、TDKに負けるのはともかく、得体の知れないFinenessにすら中低域で負けているのもおかしい(→ グラフ: 青: SAYA, Fineness(紫))。
- とはいえ、グラフのフルスケールは約123dBなので、雑音が多いところでも88dB程度(@180Hz)のダイナミックレンジはあるから、僕的には問題ない。が、Finenessは98dB程度(@50Hz)だから、やっぱり(何回目かの)「どうよ?」な気はする。
- パナは一流企業なので()電源も質がいいかと期待したが、予想外にひどかった(→ グラフ: 赤)。Enermaxはちょっと雑音が多いが(→ グラフ: オレンジ)、LITE-ON(→ グラフ: 紫)よりは(もちろんパナよりも)いい。
- まあ、PCの電源に雑音の少なさを求めるのは、八百屋で魚を求めるようなものなのかも知れない。デジタル回路なら、一定量以下の雑音があっても まず動作には関係ないし(それがデジタルだ)、デジタル回路自体が雑音を発生させるので。
- サイズ(ATX電源)は稼働中のPCに繋げて測ったせいか、かなり雑音が多かった。だから、仮にアンプをPCの中に入れるにしても、PCの電源を使うのは得策ではなさそうだ。バッファローも かなりひどかった。 (これらのグラフは省略した)
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- それで、Fineness powerの出力は、丁度、BA3886に合うPCのペリフェラルコネクタ(4ピン)なので、定格には容量が不足しているけど、動作確認や通常の使用には十分と思われるので、当面使うことにした。
- それの「本体」のつなが〜るKITは時代遅れになってしまって(「2TBの壁」に非対応)、使えるドライブがほとんどなく、どうしようかと思って居たのも丁度いい。
- なお、電源の雑音は時間領域(通常の波形)で見ることが多いが、それだと「(スイッチング電源は)ギザギザしてて(やっぱり)イカン」程度で、実害やひどさや周波数分布が良く分からないから※、この測定のように周波数領域で見たほうがいいのではないかと思う。
- ※例えば、確かに波形を拡大すればギザギザして見えるかも知れないが、重要なのは本来の音の振幅との比ではないか?
- あるいは、雑音の量が少ないように見えても、雑音が特定の周波数やその高調波に集中していたら良くないだろう。そういうのは波形では分からないだろう。
- そういう論法は、良く見るデジタル音のビット数とかサンプリング周波数に関する詭弁(例: 「波形が階段状になっている(から音質が悪い)」)に似ている。
- 言っとくけど、デジタルだったら何でも、途中の波形は階段状になっている(それがデジタルだ)。それを最後にフィルタを通して、(アナログの)音にするのだ。
- 確かに、何でも上限の決まった正弦波で表していいのかという議論はあるが、階段状になっていること自体に問題はない。
- ※例えば、確かに波形を拡大すればギザギザして見えるかも知れないが、重要なのは本来の音の振幅との比ではないか?
- 作成(実装他)
- あらかじめ、届いた部品の動作確認などをしてから組み立てた。
- そういう時に使うミノムシクリップ付きコードに接触の悪いものがあり(3本目)、時々変な値が出たり謎の現象が起こって、訳が分からず時間や労力を無駄にした。
- 昔自分で作ったもので、まさに「身から出た錆」だがw、直すのも面倒なので、使えるコードが減る一方でなかなか困る。
- 元電源の接続に使うコードを作り、電源基板を作り、基板に電源スイッチ、元電源、DC-DCコンバータ(入力)、電源ランプを接続した。また、DC-DCコンバータの出力とリップルフィルタを接続した。
- 電源スイッチは昔、何か(車にCDを繋げた?)に使うのに作った物が捨てずにあったので、とりあえずそれをそのまま使い、今回は中に電源ランプを入れた。
- 電源基板と言っても大したものではなく、スイッチとランプの接続端子、元電源の逆接続保護回路、電源ランプ(LED)用抵抗が載る程度だ。
- 逆接続保護回路はDC-DCアダプタの説明書にならい、ショットキーバリアダイオードとリセッタブルヒューズ(ポリスイッチ)で作った。
- LEDは30V(±15V)で光らせるため、事前の検討・試行で10k-20kΩにすることにしたのだが、今確認したら5Vで明るさ決めをした時に使った3.3kΩが付いていて、想定より小さいので慌てているw (下手したら壊れていた・・・) (2/7 昼)
- → 抵抗値を再調整し、6.8kΩにした(これくらいの差なら、壊れることはなかった)。昼なので明る目になっているのかも知れない。
- こうやって まとめを書くのは、結構意味があるな^^
- なお、電源ランプの端子は+と-の色分けがないので、間違って逆に接続した時にLEDが壊れないように、逆接続保護用のダイオードを追加した。
- 数少なかった想定外のことは、以下である。
- 事前確認の時に分かったことだが、Finenessの出力コネクタにはGNDが1本しかなく、12Vの隣のGNDピンはないので、それしか使っていないと電圧が取れない。 → GND2本を繋げて、どちらでもいいようにした。
- 本来は、12Vの隣が12VのGNDということではないのだろうか? PCはどっちも同じ?
- スイッチとランプ用端子の脚が太くて基板の穴に入らなかった・・・ → ヤスリで削った。
- 同様に、端子自体が大きくて、角が基板固定ネジに当たるので、削った。
- 電源ランプのLEDが予想以上に小さかった。2mm角くらいかと思って居たら、1mm角以下の感じで、ほとんど見えない。そのため、付属のリード線も細い。これでは下手するとちぎれてなくなりそうだ・・・
- なお、ランプの色を(赤でも緑でも黄色でも青でも白でもピンクでもなくw、)アンバーにしたかったので、手頃なものでは「オレンジ」が近いかと思ってこれを選んだが、まあまあかな。
- もう少し赤が強いといいのか。まあ、これはこれで、昔のアイロンのランプ(ネオン? → これ?)みたいでいいや^^
- なお、ランプの色を(赤でも緑でも黄色でも青でも白でもピンクでもなくw、)アンバーにしたかったので、手頃なものでは「オレンジ」が近いかと思ってこれを選んだが、まあまあかな。
- リップルフィルタ接続用のハーネスは、仕方がないのだが、入出力用と正負電源端子用を共用しているので、コードの色が黒で負電源の出力、赤でGNDだったりする。まあ、電位の高低は間違っていないが、黒はGNDのイメージなので間違えやすい気がしたので、コネクタに付いているコードを入れ替えて、負電源側は赤、GNDは黒にした。
- 本来は負電源側は青などにして欲しいが、高くなるんだろうな・・・
- 事前確認の時に分かったことだが、Finenessの出力コネクタにはGNDが1本しかなく、12Vの隣のGNDピンはないので、それしか使っていないと電圧が取れない。 → GND2本を繋げて、どちらでもいいようにした。
- 動作確認・雑音測定
- 作業の区切りの都度動作確認を行って問題があれば修正し、できてから動作確認をして、問題なく動作したのでホッとした。
- それから この電源部での雑音を測定した。元電源はFinenessの他にEnermaxでも試した。また、リップルフィルタの効果を調べるため、フィルタをバイパスした場合も測定した。更に、フィルタのFG(ケース)をGNDに接続する効果も調べるため、非接続の場合も測定した。
- なお、電源の雑音は時間領域(通常の波形)で見ることが多いが、それだと「(スイッチング電源は)ギザギザしてて(やっぱり)イカン」程度で、実害やひどさが良く分からないから、上のグラフのように周波数領域で見たほうがいいのではないかと思う。
- すると、基本的には元電源の雑音量に依存するが、フィルタを入れると2kHz以上の雑音が少し(5dB前後)減るようだ。 (→ グラフ: 紺: フィルタなし, 水色: フィルタあり)
- フィルタの資料の減衰特性のグラフは10kHzからだし、「本製品はスイッチング電源のリップルノイズ減衰専用フィルタで、ライン周波数では減衰を期待できません。」とあるので、可聴帯域での効果が低いのは仕方ない。
- 僕もそこに期待していたのではなく、高周波のリップルが音に影響する(可能性があるのかないのかは不明)のを防ごうと思って使った。
- なお、FGをGNDに接続する効果は見られなかった。 (→ グラフ: 水色: FG-GND接続, 紫: 非接続) ただ、この環境では背景雑音と電源の雑音が同じくらいなので、そもそも雑音が少ないから分からないのかも知れないので、一応、接続することにした。
- 元電源をEnermaxにした場合は、元からの高域の雑音(10kHz辺り)が出る。 (→ グラフ: オレンジ)
- それから、SAYAの電源(単体)と比べると、中低域(100Hz-1kHz)で勝っているように思われる。 (→ グラフ: 緑: SAYA単体, 水色: BA3886(元電源= Fineness), オレンジ: BA3886(元電源= Enermax))
- 仮設置
- それから、電源部の各部品をベースの上に仮止めして少し綺麗にし、不意に部品が外れてショートするなどのリスクを減らした。
- 元電源の接続用コードを作った。
- 端子のピンが太くて基板の穴に入らないので、削った。
- 端子の角がネジと干渉するので、削った。
- 電源基板を作った。端子に電源スイッチを繋いだところ。
- 電源ランプを作った。電源onで ちゃんと点灯する
- LEDは予想以上に小さかった(赤丸の中)。
- 電源の雑音の測定: リップルフィルタをバイパスするアダプタ (中央の白い物に挟まれた黒い長方形)
- リップルフィルタを通した場合の電源の雑音を測定中
- 電源部をベースに仮設置した。
- 上から
- BA3886の電源の雑音: 元電源がFineness(紺: フィルタなし, 水色: フィルタあり, 紫: FG非接続)とEnermax(オレンジ)の比較 (灰: 入力ショート時の雑音)
- BA3886の電源(水色: Fineness, オレンジ: Enermax)とFineness単体(赤)とSAYA単体(緑)の雑音の比較
その後・・・
- 電源基板上の端子の高さが予想外に高くて(約1.3cm)アンプの背が無駄に高くなるので、基板をフィルタの前に移した。
- ただ、これでもフィルタの前に無駄な空間ができて「なんか馬鹿みたい」なので(図右側の灰と水色の四角(端子)の上下の白い部分)、もう少し何とかしたい。
- 実際には、入れるケースによって全く問題なくなる可能性がある(逆に、これのために入らないこともある)ので、その時に調整したい。
- 今気付いたが、ケースに入れる時に端子を捨てて直付すればいいのか?www
- この失敗は、配置図を描く時に上からの見た目を中心に考えていたからで、3D CADを駆使すれば防げたのだろうが、さすがにそれはオーバースペックだ。そもそも使ったことがないw
- ただ、これでもフィルタの前に無駄な空間ができて「なんか馬鹿みたい」なので(図右側の灰と水色の四角(端子)の上下の白い部分)、もう少し何とかしたい。
- 寝ながら、電源に実際に負荷を掛けて挙動やベースの放熱効果を確認したくなったのだが、負荷抵抗に必要な容量(W数)が予想以上に(というか、予想していなかった)大きくて(例: 15W)、しかも、抵抗の値によっては最大出力(30W → ±1A)をオーバーするので、手持ちのもの(8Ω, 10W)では無理なことが分かった。
- 買うと結構高く付くので、アンプが出来たら手持ちの抵抗を繋げて、出力を絞って(というか、そもそも10Wも出ない予定・設計・見積りだから全く安心このうえないw)正弦波を出して確認することにした。
- 電源基板の端子の高さが予想以上に高かったので、仮にフィルタの前に移動してみた。
- 上から
- 電源基板移動後の配置図
ひとまず、一番重要な電源部ができた。次はアンプ部の組み立てである。今日やろうと思って居たが、眠いし、これを書いて一仕事終わった感wがあるし、作業項目を書き出したら結構あるし、これを書いていて思わぬミスが見つかり 慌てずにやったほうがいいと思うから、明日以降になりそうだ。
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