近頃、電源部の設置を正式なものにしたり電源コードを換えて、自作アンプBA3886は急激に完成に近付いた。良くある曲線でいえば、傾きがなだらかな領域に入った感じだ。

 

電源部をちゃんとした。

電源コードはXHコネクタ(ジャック)付きコードにした※。暫定的に使っていたPCのペリフェラルコネクタ(4ピン)は汎用的でいいのだが、意外に耐久性が悪くて接触不良になったためだ。コードをスイッチの端子に半田付けしても良かったが、中で受けるコネクタ(プラグ)付きコードをスイッチに繋げた。こうすることで、元電源接続用のコードを改造しなくて済むから信頼性が向上し、抜き差し回数が多くてコネクタが駄目になったらコードごと交換すれば良いので手間が省ける。それから、動作確認などの時には、スイッチを飛ばして直接DC-DCコンバータに接続することもできる。

※電源コードは少し長目にしたかったので、京商のラジコン用の30cmのものにした。太さが22AWGとのことなので、ちょうどよかった。楽天モバイルのポイントがなかったら手持ちの短いコードで自作するところだったが、ここは信頼性と耐久性を期待して奮発したw

これに関連して、元電源に以前使っていたSAYAのアンプ(SP192AB改)のACアダプタを使うので、そっちの出力もXHコネクタ(ジャック)にした。そのため、(もうないだろうが)SP192AB改を使う時のために変換ケーブル(1)を作った。更に、他の4ピンコネクタが出力の電源を使う時(主に動作確認)のためにも変換ケーブル(2)を作った。

電源部の設置方法は さまざまな検討をしたのだが、最終的には、「ボス」という ネジ穴のない所に貼って支柱にする部品を脚にして、それに基板をネジ止めし、その上にDC-DCコンバータとヒートシンクを載せることにした。見た感じは、大昔の喫茶店のテーブル型ゲーム機や阪神・淡路大震災で倒れた高架の高速道路、それから、アニメ「アラレちゃん」に出て来るニコチャン大王を連想して心許ない感じだが、それほど高くないせいか足(ベースに貼る部分)が広いせいか、容易には倒れない感じだ。実際に設置する場合は、両面テープでベースに貼るから ずっと安定するだろう。

なお、DC-DCコンバータはハリ玉で基板に(ここは もうちょっと強くしたいが、難しい: ダクトテープで補強かな)、ヒートシンクは結束バンドでDC-DCコンバータに、それぞれ固定した。これで、ダクトテープでの仮止めが排除できるはずだ。既に、外から見える部分にはダクトテープはない

 

音がいい(気がする)

音に関しては、概ね修正版(ダイオードを除去した)サーボ基板を使い出してから全く問題ない。耳閉感や圧迫感は、回路の影響もあったかも知れないが、耳の調子や疲労によるものが大きかったようだ。それどころか、近頃は、なぜか音が随分良く感じる。(別の時にも何度も書いているので信憑性が低いが、)今まで気付かなかった細かい音(高音も低音も)が聞こえたり、今まで聞こえていた音でも新たな成分に気付いたりするので※、原音(録音された音)が かなりクリアに再生されている印象だ。いかにもオーディオ的な表現をするなら、「(今まで掛かっていた)もやのようなものがなくなって、見通しが良くなった」感じだ。

妙なのは、今まで(以前のアンプを使っていた時)は、その「もや」に気付かず、ことあるごとに「いい音」に感じていたことだ。いかに僕の耳の信用できないことか・・・

※近頃印象が変わった演奏は数多いが、例えば"We are the world" (1985)は驚くほど違って聞こえる。数日前のことだったが、イントロからして違って聞こえて、別バージョンかと思うほどだ(再び掛かった今日も同じ印象)。全く謎だ。

もう一つの例は、(今試しに聴いている)ELTの"Every Best Single+3" (1999)の曲だ(例: "Dear My Friend")。どれも音が詰め込まれて過ぎていて(「海苔」状態, いわゆる「うるさい」演奏w)耳にキツいのだが、今は、キツいながらも詰め込まれた音を分解できる度合いが高まった感じだ。それに、そんな強烈な音がストレートに聞こえて来るにも関わらず、意外と耳が痛くならないのが不思議だ。

そういう点では、(ELTかどうかは不明だが、以前ちょっと聞いた気がするのだが、)ミキシングやマスタリングするの人は、(言われているように)家庭用やポータブルの低音質の機器を意識していた訳ではなく、やっぱりスタジオの普通に音がすごくいい機器を前提に音を作っていた気がする。

その理由はまだ分からないし、気のせいかも知れないが、僕が常用する音量(= 微小出力)での歪みの少なさ※が関係ありそうだ。常用音量での歪みを以前のアンプ(SP192AB改)と比較したところ、例えば1kHzではBA3886の約4倍だった。

測定例: ボリュームが12時辺り(推定出力: 約8mW)での1kHzの歪み率(THD)と歪み量

    • BA3886: 0.014%, -103dBFS
    • SP192AB改: 0.058%, -90dBFS
      • ゲインが小さいため、同じ音量になるようにボリュームを上げた。

※歪みの少なさは、BA3886というよりも、使用しているアンプIC LM3886によるところが大きい。データシートのグラフでも、1kHzのTHDは10mWでは約0.035%である。BA3886の値が小さいのは、歪みを測定している帯域が狭いことと、ゲインを10に下げている(標準は23など)ためかと推測している。

なお、SP192ABは改造(内蔵ボリュームと初段アンプをバイパス)で特性が悪化した可能性が考えられたので、歪みの小さくなるであろう、マニュアルの出力-歪み率グラフの範囲内の約500mWで測定したところ、悪くない値(0.0087%@1kHz)となったので、改造は歪みには関係ない可能性が高い。

つまり、SP192ABは微小出力での歪みが大きいことが分かった。推測だが、終段はAB級アンプではあるものの、動作の繋がり(というのか?)が今ひとつなために微小振幅での歪みが大きくなっているのではないか。あるいは、AB級といえども微小振幅では特性が悪いのか。※

※AB級の動作を調べてみたら、微小振幅では正負のトランジスタの出力を合算するようだ。だから、それらの出力の振幅のバランスやタイミングが今ひとつ「合っていない」と歪みが増えるように思う。

あと、回路例ではトランジスタのバイアスを増やすためにダイオードが使われており(→ : "Pre-biasing with Diodes")、実際にSP192ABでも見たが、今までの経験から、その非線形性が歪みを増やすような気がする(確証はない)。

書いたあとで見付かったページ: 「トランジスタ式ミニワッターPart2設計詳説」によれば、上のダイオードについて、

ここで使用するダイオードの順電圧と2個の出力段トランジスタのベース~エミッタ間電圧が奇跡的にフィットしていないと、アイドリング電流が多すぎたり少なすぎたりします。 (中略) 0.01V以下のオーダーの追い込みをしなければならないので、半導体メーカー発表の大雑把なpdfデータは使えません。

とあり、ダイオードによってトランジスタのバイアスの量が変わり、特性が左右されるように思える。SP192ABは製品なので、その辺りの選定・設計はちゃんとしていると思うが、どこかで(最初から?= 当たり外れ?)「奇跡的なフィット」が狂ってしまったのかも知れない。

そういう意味では、(片チャネル辺り)トランジスタ2個(種類が異なる)とダイオード2個それそれの個体差の積算は結構大きいだろうから、単に部品を付けるだけでなく、1台ごとに測定・調整が要るのではないだろうか。

この点では、アンプICなら、ICごとの個体差はあるものの、同じウエハーに出来た部品の特性は揃っているだろうし、メーカー基準に収まっているはずだから安心だ。 (後付けの論理)

なお、今まで見た範囲では、歪みの量は(どういう訳か)出力を変えても余り変わらないので、出力を上げると(分母が大きくなるため)歪み率が下がる。もちろん、出力の上限に近づく・超えると歪みは増えるから、主に出力が小さくなる方向での話である。

結局、それは、出力-歪み率のグラフ(→ : 一番上のグラフ)で良く見る、左から右に掛けて直線的に下がる部分のことだと気付いた。だから、普通・典型的なアンプでは歪みの量は出力に余り依存しなさそうだが、変なアンプではそうとも限らないだろう。

本稿の「歪みが少ない」などは、特に「量」と書いてない限り、歪み率を指す。

話が逸れるが、SP192ABには感心したこともある。歪みが全帯域でほぼ一定なことと、中高域の残留雑音が小さい(BA3886より約6dB小さい(= 約半分))ことだ。前者はいいのか悪いのかは不明だが、どういう理屈でそうなっているのか興味を持った。後者は、推測だが、電源フィルタの性能がいいためではないかと思っている。なんともうらやましい(そのフィルタを移植したい気分になった)が、-130dBFS以下という全く聞こえない領域の話なので、まあ、「気分の問題」である。

いずれにしても、僕に必要なのは、微小出力で音のいいアンプであることを確信した。上の「約8mW」というのは どうも値が小さい気はするが(それでも1W未満であることは確かだ)、市販製品のスペックに書かれているような、最大出力(概ね数十W)での歪み率なんて何の参考にもならない。今では、特性のグラフが書かれていることすら まずないので、結局、「能書き」と勘(や口コミや提灯記事?)で選ぶしかなく、であれば、今回のように自分で良く部品を調べ・選んで作るほうが、「当たる」確率が高そうだ。

歪みについては、(上に書いた、)歪みの量は出力にあまり関係なく、ほぼ一定という仮説が正しいなら、最大出力での歪み率から小出力時の値を推定することもできそうだ。 → 概ね、大出力で歪み率がいい(普通な)ものは、小出力での歪み率は大きくなるのだろう。だから、最大出力が小さくて歪み率が低いものがいいのは確かだ。

書いたあとで見付かったのだが、Benchmark社のページ: 「技術資料:パワーアンプの「ファースト・ワット(最初の1W)」に関するABX評価テスト」では、「スピーカーを0.01Wで駆動すると」と書いてあり、通常再生の出力として10mWは妥当な値であることを確認した。

また、「0.01W出力時の歪み成分は1Wの時の歪み成分と実質的には同等と言えます。」とあるし、ページ一番下のグラフ「アンプのTHD+N測定データ」もそのようになっている(注: このグラフの縦軸は率(%)でなく量(dB))ので、上の「歪みの量は出力にあまり関係ない」仮説も合っていそうだ。

ただ、そのページの「AB級アンプ」の回路図はB級のようなのでちょっとおかしいが、ここでは概念を説明しているので良しとする。また、AB級でも実はクロスオーバー歪みが出る気がしている。

 

余談: 上のページの下の文には大賛成だし、もしアンプを買うならBenchmarkがいいような気がして来たが(ステマじゃないよ)、きっと、「お高いんでしょ」だろうなw (← ステレオパワーアンプが約40万円と、よくある馬鹿高な製品より ずっとリーズナブルではある。)

皮肉なことに、アンプの性能指標としては、最大電力時のTHD+N(全高調波歪み+ノイズ)を最重要視する傾向があります。しかし、残念なことに、この高出力時のスペックは、「最初の1W」以下でのパーフォーマンスとは直接関係がありません。

 

スピーカー保護基板が完結(希望)

それから、スピーカー保護基板作成後に気になって居た、配線誤りによるショートの可能性については、起こり得る問題のリスクや配線(部品配置)に起因する問題の有無を検討してから写真や目視で確認した。

リスクの検討では、どこかの配線がショートした場合に起こり得る問題(例: センス入力に電源電圧が出る、センス入力がショートする)は独立(例: 複数のショートでそれらの問題がなくなることはまずない)なので、配線ミスでどこかがショートしていたら、(論理的には)何かしら動作が異常になるはずだけど それはなかったので、現時点では配線には問題ないことが分かったが、潜在的に将来問題が起こるリスクのある配線の有無が分からないので、配線の検討もした。

配線の検討で見付かった、本質的にリスクの高い配線(センス入力(スピーカー出力)と電源が隣同士になっていた)を修正し、写真の確認では電源の繋がった脚の半田に、隣のGNDに近くなっているヒゲが見付かったので、改善した。目視で気になったところも改善した。

 

そして、a few more things・・・w

以上のようなところで、BA3886の残件が大分・急速に減った。が、例によっていくつかの謎や問題(かも知れないこと)がある。最後を除き、調査中・対処方法検討中である。

  • 使う元電源によって、雑音はもちろん、歪みすら変わる。
    • 歪みの違いは電源の性能(例: 容量、負荷変動への追従速度)によるのかと推測している。
      • → 下に追記のページにより、追従速度が重要そうだ。
    • 今のところ、手持ちのうちでは、SAYAのACアダプタが一番いい。それから、以前は歪みが多過ぎて駄目だと思って居たデスクトップPC(今使っているもの)の電源(Scythe)も、実は歪みの点ではSAYA同様であることが分かった(以前は同じPCのサウンドカードで測定していたため、相互作用のようなもので歪みが多く出ていたようだ)。
      • ただ、SAYAより雑音が多い(といっても、例えば-100dBFS台のような、耳には聞こえない微小レベルでの差)ため、積極的に使う理由はないが、SAYAのアダプタが壊れた時には使えそうだ。
    • 上に追記したBenchmark社の別のページ「技術資料:「スイッチング電源はノイズまみれ」というオーディオの迷信」(このページの内容も大変興味深い)に、以下のようにあるので(太字は私が付けた)、電源と歪みは関係があることが分かった。

AHB2には、パワーアンプにしては珍しく、レギュレーターを装備した安定化電源を使用しています。レギュレーターは、THDの低減に役立ちます。当社の知る限り、AHB2よりもTHDが低いパワーアンプは存在しません。繰り返しますが、これは主にスイッチング電源の使用によるものです。

    • 余談: 上に挙げたようなBenchmark社のページを読むと、僕のBA3886での指向(例: 小出力重視、(デジタルでない)AB級アンプ、スイッチング電源、信号系にリレーは使わない)が正しいことが分かって、なかなか いい気分である^^
      • あと、AHB2の電源がアンプ基板の上25mmにあるってのも、本当に偶然ながらBA3886の配置(アンプ基板の斜め上40mm?)に似ていておもしろい。
      • それにしても、AHB2は低ゲイン指向で、最低では9.2dB(約2.9倍)が可能というのを見ると、そういうのが欲しかっただけに、LM3886(最低ゲインは10倍)でも出来たらと つくづく思う。
  • たまにスピーカーから小さい雑音(例: 「ポツッ」)がする。原因不明だし、本当にスピーカーからかも不明。無音の時しか分からない。
    • 昨夜、サーボ基板のオペアンプ(以前、片方を180°回転させて取り付けて過熱させたことがあるので、それによる不調を疑った)の左右を交換したら、しばらく出なかったが、今日の夕方に出た。だから、オペアンプは問題なさそうだ。ただ、今日はどっちから出たか分からないので、まだオペアンプが悪い可能性もある。
    • 雑音の音が、昔のアンプが寿命(おそらく、電解コンデンサが劣化した)になった時に似ているので、電解コンデンサを交換する予定である。今のコンデンサはもちろん新しいが、取り付け・設置に問題があって、脚に余計な力が掛かって不調になった可能性を疑っている。
    • あとは、アンプでなくPCのサウンドカード(の電解コンデンサ: もしあれば)が寿命になった可能性があるので、左右チャネルを入れ替えて雑音が出るチャネルが変わるかを見ている。
      • この場合は対処が難しい。
  • 上のスピーカー保護基板の改善後に動作確認をしたところ、不思議なことに、今回配線を修正したチャネル(左)の、1Hzの正弦波をオフセットとして検出する振幅が基板製作直後に比べて1dB高くなっていた。
    • おそらく温度(室温)変化によるものだろう。あと、(全く考えづらいが)今回の配線の修正でわずかに(数mm)線が長くなったので、それが効いているのだろうか?  それから、オペアンプ周りの抵抗の誤差のばらつきが温度上昇で広がったのだろうか。
    • あるいは、上記のオペアンプの左右の交換が効いているのか?
    • → ミュートしきい値で1dB(約1.1倍)くらいの差は問題ないので、この差が別の問題に起因するものでない限り対処しない。

 

PS. 本稿は3月下旬にタネを書いたのだが、その後、何度もどんでん返しがあって、2か月経った今、ようやく公開となった。

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