次期アンプBA3886の放熱で ちょっと思い付いて試したら、高級車のエンジンカバーのような感じになったw
なお、実用化版は気のせいか醜くなった模様。
(3/29 18:29) ようやく熱対策が一段落した。今までにしたことを順序を追って書く。
- ベース(土台兼放熱板, アルミ製の2.5→3.5インチ ドライブアダプタ)にアンプIC LM3886(以下、3886)とDC-DCコンバータ(以下、コンバータ)を取り付けて(写真は取り付け部)放熱するようにしたところ、電源を入れて少し(30分くらい)すると急に3886が熱くなることに気付いた。
- いろいろ調べてみると、コンバータがかなり熱くなり、その熱がベースを伝わって3886を熱していることが分かった。
- それで、ベースでは駄目だと考えてヒートシンク(アルミ製)を買って付けてみたが、残念ながら、いかにも冷えそうな外見からの期待に反して今ひとつ冷えなかった。何度か試したが諦めて、ベースに戻した。
- どうも、サイズ(4x4x2cm)が小さいのとフィンの間隔が狭い(強制空冷に向いているようだ)からのようだ。
- 最適なフィンの間隔については、下記の「回路・基板設計者−」を参照した。現状の2倍程度の間隔がいいようなので、フィンを1枚おきに撤去したかったが、さすがに無理だった。
- 熱抵抗を計算してみると、いろいろな方式があって、どれが正しいか分からないのだが、ベースに比べてすごくいい値ではなかった。
- 以下に、参考にしたページとそれで見積った値を書く。
- ヒートシンク熱計算妥当性?
- ベース(両面, 約1mm厚, 240 cm2): 約4℃/W
- ヒートシンク(約2mm厚, フィンを考慮しない= 64cm2): 2個の場合、約3.5℃/W
- 回路・基板設計者のための失敗しない基板熱設計のポイント
- ベース(縁を考慮しない= 1×104 mm3): 約20K/W
- 明らかに値がおかしいので、この方式(包絡体積で見積もる)の想定に合っていないようだ。
- ヒートシンク(3.2×104 mm3): 2個の場合、約5K/W
- ベース(縁を考慮しない= 1×104 mm3): 約20K/W
- 放熱の基本設計
- ヒートシンク: 市販品の例の40×20×40mmの剣山型ヒートシンクに近いので、6.8 ℃/W辺り
- ヒートシンクの大きさの決めかた
- ベース(24000 mm2): 約3℃/W
- ヒートシンク(約2mm厚, フィンを考慮する= 22400 mm2): 2個の場合、約2℃/W
- 放熱板、放熱器(ヒートシンク)の放熱設計法
- アルミ板で作った放熱器(ヒートシンク)の熱抵抗
- ベース (片面の面積: 120 cm2): 約7℃/W
- 包絡体積に依存する場合の熱抵抗
- ヒートシンク (32 cm3): 2個の場合、約6℃/W
- アルミ板で作った放熱器(ヒートシンク)の熱抵抗
- さまざまな値が出て、どれを信じればいいか分からなくなったが、結局、最後のページ(アスナロネット)が実際の開発経験に基づいていて一番確からしそうなので、以下と推定した。
- ベース: 約7℃/W
- ヒートシンク(2個): 約6℃/W
- そして、結局、単体ではベースとヒートシンクの放熱能力は同等と推定した(数値は異なるが、「回路−」以外のページでの見積りでも「大差ない」結果になっている)。
- 更に、ベースにはいろいろな部品が載っていたり下にケースがあったりするので、ヒートシンクより放熱が良さそうだと推定した。
- なお、3886の仕様(要求条件)としては、周囲の温度が40℃の時、内部損失を10W(電源電圧が±20Vの時に出力0-20W(8Ω))とすれば(← かなり厳しい想定)、冷却板の最大の熱抵抗は9.8℃/Wなので、上のどちらでも問題ないはずであり、「冷えない」・「熱い」というのは僕の個人的な感想とか好みのようだ。
- ただ、電子部品の寿命の点から、できるだけ冷やすに越したことはないのは確かである。
- ヒートシンク熱計算妥当性?
- 細かい話だが、ヒートシンクを付けるに当たり、(別に書くが、問題があると疑って居た(が、結局、問題はなかった))DCサーボ基板(以下、サーボ基板)を使うか迷っていた。サーボ基板はアンプ基板の下部に(子ボードとして)取り付けるため、その有無でアンプ基板の高さが変わる。すると、ヒートシンクの高さも変わってしまって、サーボ基板の着脱時に調整が必要で面倒になる。
- → それで、アンプ基板を上下逆に設置することにした。(→ 配置図) そうすれば、サーボ基板を付けても(全高は高くなるものの)ヒートシンクの高さは変わらない。
- ただ、結局、ヒートシンクを使わないことにしたので、残念ながら、このエキセントリックwな配置はボツになった。
- どうも、サイズ(4x4x2cm)が小さいのとフィンの間隔が狭い(強制空冷に向いているようだ)からのようだ。
- 試しにコンバータをベースから離そうと、また、熱気が3886に伝わらないように上方に置こうとして、リップルフィルタ(以下、フィルタ)に載せたら、確かに3886はそれほど熱くなくなった。
- その配置でなるべく高さを低くしたかったので、フィルタを上下逆に付け、その底板※を外してできた窪みにコンバータを少し浮かせて設置することにした。
- ※底板は鉄製で、アンプに使っているコイル(写真中央少し上の茶色い丸い物2個)に影響を及ぼしそうなので、外した。ただ、コンバータのケースも鉄製なので、実際には意味はなさそうだ。 → その後、コンバータのケースは真鍮製であることが分かったので、意味はあったかも知れない。
- それに、シミュレーション例によれば、数cm離れていれば影響はなさそうな感じ(あくまでも、アナログ的な直感)だった。
- こうしたくなったのは、3886をベースに押し付ける板(以下、押え板)を鉄製の部品(PCのスロットカバー)で作ったら、途端に耳閉感が起こったからだ。
- これが、良く言われている(が、僕は信じて居なかった)、「鉄(磁性体)は音を悪くする」の原因・実例なのかと実感した。
- ところが、今調べてみると、鋳鉄製のインシュレータなんてのが(もちろん「音にいい」という主張なのだろう)売られていたりして、謎は多いwww
- 書いたあとで気になったが、コイルの近くにはスピーカー端子もある。材質を調べても分からなかったが、試しに磁石を近付けても付かないようなので、磁性体ではなさそうだ。色や柔らかさから、真鍮だろうか?
- 写真を見ていて思い出した。この配置の時は、コンバータをベースの下側に取り付けていて、それもコイルの近く(写真の押え板の左辺り)だったから、コンバータのケースの影響もあって、かなり ひどかったのではないか。 ← コンバータのケースは真鍮製なので、音への影響はなかった(ただし、熱の影響はあった)。
- この工夫には余り効果はなさそうなものの、とりあえずコンバータの置き場所ができたのがメリットである。
- ※底板は鉄製で、アンプに使っているコイル(写真中央少し上の茶色い丸い物2個)に影響を及ぼしそうなので、外した。ただ、コンバータのケースも鉄製なので、実際には意味はなさそうだ。 → その後、コンバータのケースは真鍮製であることが分かったので、意味はあったかも知れない。
- 更に、コンバータが熱く(50℃前後)なって なんとなく嫌なので、缶(保存用ビスコ)の蓋(アルミ製)で作った放熱板を付けたところ、若干冷えた。
- メーカーに聞いたところ、コンバータの使用温度の上限は85℃で、部品には充分なマージンを確保しているとのことで、寿命が短くなる心配は全くないのだが、気分的に少しでも冷やしたいと思った。
- コンバータとフィルタのメーカーのコーセルには何度か質問しているが、個人の素人にも関わらず いつもちゃんと教えて下さって、とてもありがたい。
- 放熱板はアルミのような物なら何でもいい訳ではないようで、薄いと放熱効率が悪いのか、アルミ箔では温度が下がらなかった。
- 放熱板の効果を確認後、接触面に熱伝導グリスを塗布してみたが、あまり効果はなかった。放熱板が平坦でないためか。
- あと、コンバータの表面に製品ラベル(PP?)が貼ってあるので、その上にグリスを塗っても無意味なのかも知れない。
- なお、3886に使えなかったヒートシンクを使おうとも思ったが、ケース内に充分なスペースがないのとベースに熱を伝えたくないので見送った。
- 更に温度を観察していると、部屋の微妙な気流(エアコンや扇風機やドアの開閉)にも影響されることが分かった。
- 結構前から置き場所にしたいと思って居た、スピーカーの下(台の重しの上)には風が来ないらしく、温度が高目だった。 (PCをスピーカーと垂直に設置していて、下記のPCの風が当たるようにする前)
- それから、カバー天面には埃よけを付けて塞ぐことにしているのだが、いろいろ試したら、コンバータの放熱板の上さえ開けていれば、他を全部閉じてもそれほど熱くならないことが分かった。
- 天面を塞ぐのに矛盾しているが、やっぱり少しでも冷やしたいと思い、上記の気流の件から、PCの後ろ側に置いて ケースファンの排気(「廃気」?)に当てて冷やすことを思い付いた。
- 排気の温度を測ったら全然熱くないので(高負荷時は不明)、使えそうだった。
- BA3886をスピーカー台の重しの上に載せると(かつ、PCをスピーカーと平行に設置した場合)丁度ケースファンの排気が当たりそうなので試したところ、まあまあ冷える(例: 無風-0.9℃, 室温+17.3℃)ことが分かった。
- この時、置き方が重要で、アンプ基板が風に平行になるように置かないと冷えないことが分かった(→ 参照: 配置図)。垂直(対面)だと風が通らず、熱気が排除されにくいのだろう。
- 冷え方はファンの回転数にかなり依存する。回転数はHDD温度に比例するように制御しているので、HDDの負荷はもちろん、間接的に室温にも比例することが期待できる。ただ、何かしら風があれば温度が下がるので、それで充分だ。
- なお、コンバータの温度は風の有無には余り影響されず、例えば室温+23.5℃前後だった。
- 風を当てたら当てたで生まれる余計な心配は、風で埃が飛んで横から入って溜まらないかである。が、それは様子を見て対処することにした。
- DCコンバータを上下逆にしてベースに取り付ける時、フィルタの底板の一部が出っ張っているので、アルミ箔で高さを揃えた。
- 買ったヒートシンクを3886に付けた。
- ヒートシンクを試したが、今ひとつだった。
- ヒートシンクが今ひとつ冷えなかったので、アルミのベースに戻した。
- PCのスロットカバーで正式な押え板を作ったが、鉄製のせいか、音が今ひとつだった。
- コイルに鉄の押え板が接している。これが耳閉感の原因だった?
- コイルと外部の鉄などの影響を考えるのに参考にした、ヘリカルコイルのインダクタンスの解析例 (ムラタソフトウェア: Femtet)
- 3886の押さえ板をPCのドライブベイのレールで作った。
- 押さえ板を交換し、DCコンバータを移動して。
- DCコンバータの熱が3886に伝わりにくくするため、フィルタの上に載せて割り箸で少し浮かせた。
- DCコンバータの放熱の改良にアルミ箔を試す。 → 効果なし。
- DCコンバータの放熱の改良に缶のアルミの蓋を試す。 → 効果あり。
- DCコンバータと放熱板にグリスを塗布した。
- 放熱板をダクトテープで押さえた。
- 改良したDCコンバータの放熱板の効果を評価中。
- 埃避けのために天面を塞ぐ板をクリアフォルダーで作った。
- クリアフォルダーでは熱が篭ってしまった。
- 天面を塞ぐ材料を薄いPEに換えた。
- BA3886をPCの後ろのファンの風が当たるところに置いて、冷却性を向上させた。
- 一段落した状態
- 現状のBA3886の配置図
というところで、熱にも なかなか苦労したが、とりあえずは落ち着いた状態だ。
こうして試行錯誤してみると、特にスマフォなど小さい製品を作るメーカーの方の苦労の かけらが分かった気がする。部品を詰め込んで小さくすると同時に、雑音も熱も対策しないといけない、もちろん性能も上げないといけないのだから、全く大変だ。
僕は特に詰め込んで小さくする必要はなかったのだが、例によって酔狂で挑戦したwww
この件で残って居るのは、暫定的にダクトテープで貼っている放熱板を「ちゃんと」取り付ける(マジックテープを考えて居る)ことと、フィルタの中身が底部に押し付けられて力が掛からないようにする(ゴムスポンジなどを敷くことを考えて居る)作業程度だ。
それから、全体としても大分進んだ。あとは正式な特性・性能の測定・評価や部品をベース・ケースにちゃんと取り付けるとかコードの長さを調整するなどの細かいことが残って居る程度だ。(この先は長くないと信じてw)大体1か月掛かったか。
なお、題では「次期アンプ作り」だが、BA3886は もうすっかり「現行」になっており、今までのアンプは単なる「電源中継コネクタ」に成り下がっている。音と特性の良し悪しについては「ちゃんと」比較する必要があるが、とりあえずは問題なく聴けているし、印象としてはこっちのほうがずっといい。
聴いていると、例によって、「初めて聞く音」が何度も出るのだが、それはきっと、別のことだと思う。
PS. スピーカー端子の材質について調べていたら、あるブログに興味深い記述があった。そういうのに一番いい材料は銀や銅で、ポピュラーな真鍮はそれらより数倍導電率が低いので駄目だとのこと。「へえ」と思って調べたら、正しかった。Wikipedia: 「電気抵抗率の比較」によれば、それらの電気抵抗率(Ω・m)は
- 銀: 1.59 ×10-8
- 銅: 1.68 ×10-8
- 黄銅(真鍮): 5.00〜7.00 ×10-8
で、確かに真鍮の抵抗は銅の約3倍である。が、「逆の目糞鼻糞」である。どちらもものすごく小さい。10 nΩ・mのオーダーで、オーディオ機器で使う量で抵抗値の違いは大きくない。仮に音質が抵抗率に比例するのなら、真鍮には音を悪くする「何か」が数倍多いのだろうが、果たしてそういうこと・物はあるのか。僕は違いが分からないのだが、銅線中の酸素の量や結晶の方向みたいなものか。
更に、もっとおもしろいことは、他の電子機器同様、オーディオ機器でも部品や線の接続に多用されている半田は、鉛(今は鉛フリーなので、例えば銀や銅になっているようだ)と錫の合金であるが、それらの電気抵抗率(Ω・m)は
- 錫: 1.09 ×10-7
- 鉛: 2.20 ×10-7
と、銅や真鍮などに比べて1桁大きいことだ。鉛フリー半田なら鉛は関係ないが、錫の影響は多大なはずで、金メッキは音が柔らかくなってしまい、ニッケルメッキは抵抗が大きくて駄目だというほど鋭敏な耳の持ち主であれば、錫なんて通したら、きっととてつもなく軟弱な音がしてクラクラしてしまいそうだが、それは許せるのだろうか??
やっぱり、そういう方は半田付けなどという邪悪な手法は使わず、溶接とか銀ろう付け(← 実は純銀ではないようだ)しているのかも知れないな。すごいことだwww
更に言えば、そもそも、半導体に使われるシリコンなんて とんでもなく抵抗率が大きい(3.97 ×103 Ω・m)※うえにわざわざ不純物を含ませてすらいるから、そういうのはHi-Fi再生には全く向かないのではないだろうか。だから真空管?* 是非、教えて欲しい。
※ゲルマニウムはちょっと良い(6.90 ×10-1 Ω・m)。ガリウムやヒ素は随分良いが、それでも錫レベルだ。
*仮に真空管自体は音がいいとして(ただ、電極の材質の音がモロに出そうだが、それはどうなのかという疑問はある)、真空管アンプに使われるトランスにはとんでもない長さの銅線が使われており、それこそ電気抵抗率が効いて音が劣化しそうだが、それは問題ないのだろうか?
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