先日ようやく一件落着したはずの、製作中のアンプBA3886のスピーカー保護部(以下、SP保護部)。昨日、ブレッドボードに組んで調整したものをアンプ本体に繋いで聴いていたら、例によって耳閉感や圧迫感がした。

そういうのは疲れや耳の不調によることが多いのだが、ただ、SP保護部を付けた途端に出だしたので、回路に問題があるのか気になった。思い当たるのは、入力の近くにダイオードがあることだ。(→ 元の回路図) ダイオードはアンプのDCサーボ基板にも使われていて、やっぱり耳閉感の原因か疑ったのだが、その時は、超低域の歪みは悪化させるものの音質劣化には関係ない可能性が高い結論になったのだが、そもそも非線形な素子なので、何か悪さをする気がした。

ダイオードは比較的大きな抵抗のうしろにあるから まず問題ないと考えていたのだが(ただ、その前に比べると抵抗値が半分以下になったのも気になった)、回路の調整中に、ダイオードの後ろのオペアンプとの間に抵抗(回路図のRa5)を入れないと、負の電圧を入れた時に入力に繋いだテスターの針が振動する現象があり、オペアンプのフィードバックの信号が逆流するのだろうと考えた。※ 抵抗を入れてテスターの針は振動しなくなっても、耳に感ずるくらい小さな漏れがあって、それが元の音に影響を及ぼして耳閉感などを引き起こすと推測した。

※「逆流」とは書いたが、そもそも負の入力なので、外に流れ出すのが正しく、ダイオードが流れ出し方をおかしくするということなのだろう。

それで、どうにかしてダイオードを排除あるいは入力から隔離しようとした。※ そうするには、ダイオードの前にバッファアンプを置くのが良さそうだった。ただ、オペアンプのパッケージの数が増えるのは嫌だったので、いろいろ考え・シミュレータで試行錯誤したところ、以前諦めた、トランジスタ4個(2チャネル分)でオフセット検出する方法を無理矢理(?)動かすことができた。

※なお、トランジスタも中身はダイオードなので、同じような使い方をしたら同じことになると想像している。

ただ、そのままだとトランジスタが左右同じもの2個ずつ4個になって無駄な気がしたので、更に翻案(?)し、やっぱり以前止めた左右の信号をダイオードで合算する方式や、元の回路のリレー駆動電流をORにする方式も合わせて、ダイオード4個とトランジスタ2個とオペアンプ2個(1パッケージ)で作った。以下のような回路だ。

BA3886のスピーカー保護部の新しい検出方式の基本部分(LPF・正負のオフセット検出・ミュート用リレーの駆動)の回路

偶然というか狙いどおりなのだが、この回路は元の回路から部品が増えていない。逆に簡素になった感じがする。あと、オペアンプの使い方が素直になったのは いい感じだ。

ダイオードはバッファアンプ(オペアンプ)の後ろにあり、しかも、オペアンプは非反転増幅回路にして信号入力端子(図の+端子、ピン3)とフィードバック(図の-端子、ピン2)が物理的に結線されていないので、ダイオードで汚染された信号は まず入力に漏れないだろうと期待している。

「非反転増幅回路だって、オペアンプの理論的には漏れるんだよ」(イマジナリーショート?)、「GNDや電源経由で・・・」などの話は あるのかも知れないが、オペアンプやアナログ回路に詳しくないので、「期待」の話になる。

あと、「そもそもオペアンプの入力には保護用のダイオードが入ってるじゃん!」という可能性はあるが(なぜか、データシートに内部の図がないので、実際の有無は分からない)、たまたま手元にあったオーディオ用のを使ったので、そこら辺についてはひどいことにはならないだろうと、これも「期待」している。

余談だが、なぜか、今回使った抵抗の値に"68k"Ωが多い(全然意図した訳でなく、カットアンドトライで丁度いい値だった)。大昔憧れて居たCPUを思い出し、何かの縁かと思い掛けるが、そんなことはない。単なる偶然だろう・・・ でも、なぜか妙に良く使う(減る)抵抗はある。

なお、この回路では、ダイオードは信号の絶対値取得(or 整流)のためでなく、左右チャネルの信号を正負ごとに合算(実際はORのようで、そのほうが都合がいい)するために使っている。そして、正負それぞれのオフセットがしきい値を超えた場合に、トランジスタでリレーを駆動する。上側のトランジスタは正のオフセットがしきい値を超えた場合に、下側は負の場合にリレーを動かす。

この負の部分が「無理矢理」のところである。

例によって、この回路は ひらめきと試行錯誤で作ったので、「正しい」かは分からないが(いや、きっと「は?」なのだろう・・・)、今のところは期待どおり動いている(オペアンプやトランジスタの過熱もないw)。気になるのは、オフセットが負の場合は実質的にオペアンプでリレーを駆動することになるようで、以前同様、大きな(例: -15V)オフセットが入った場合にはオペアンプの出力や消費電流がかなり大きくなって絶対最大定格に近くなることだ。出力などに抵抗を入れれば緩和できるのだが、しきい値の設定が変わってしまうので、入れないことにした。

そもそもPNPトランジスタがあればいいのだと思うが、ないのでこうしている。

(5/1 10:43) シミュレートしてみたら、ただPNPトランジスタを付けるだけではうまく行かなかった。なかなか奥が深いが、今の回路はオペアンプに負荷が掛かる以外は なかなかいいようだ。

現実を考えると、入力には時定数の大きな(2秒程度)LPFがあるので、突然大きな負のオフセットが入ったとしても、LPFが壊れて直結にでもならない限り、オペアンプ以降の電圧はゆっくり上昇するため、オペアンプが過大出力になる前にアンプがミュートされて入力がなくなるので、結果的に過大出力にはならないと予想・期待している。

もう一つ気になるのは、オフセットが緩やかに大きくなる場合、リレーが動作するしきい値付近では接点の開閉が断続しそうなことである。※ 実際に、動作確認している時に、電圧をゆっくり上げた場合にしきい値付近でリレーから音(ブレーカーが落ちる前のような感じ)がした(接点が断続しているかは不明)。シュミット回路を付けてコイルの制御波形をキリッとさせるべきなのだろうが、部品を増やしたくないので今はやっていない。

※本SP保護部にはラッチ機能があるので、一旦ミュートが完了してNO接点になれば戻ることはないが、その前が問題だ。

これをSP保護部に組み込んで(というか、中心部をごっそり すげ替えてw)、昨夜から試し始めた。今までのところは、耳閉感なども含めて問題ない。以下に全体の回路図を示す。

BA3886のスピーカー保護部の回路 (新検出方式版)

それから、SP保護部を付けたことでアンプの特性が劣化しないかを確認したが、振幅・位相・THD・残留雑音・クロストーク(チャネルセパレーション)すべてで劣化は見られなかった。また、大音量の超低音がオフセットと誤認識される可能性があるので、どの程度影響があるかを調べたところ、5Hz以上ならサウンドカードの最大振幅(-3dBFS)で出力してもミュートされないことが分かったので、実用上は全く問題ない。

なお、新しい回路はバッファアンプやアッテネータによって しきい値の設定(変更)がとても柔軟で、抵抗の交換だけでできるのがうれしい(とは言え、実際に変更することはないだろうが・・・)。※ 現状のしきい値は、+1.1, -1.2Vにした。

※ただし、正負の感度差が0.1V前後ある。: おそらく、負の部分のトランジスタの回路の作りによると思われるが、どうしても解消できなかったので、アッテネータやアンプのゲインを調整して、なるべく差が小さくなるようにした。

 

そして、、、薄々気付いては居るのだが、おそらく、昨日の耳閉感なども回路の問題が原因ではなかったのだろうと思う。というのは、交換したあともしばらくは「なんか音が悪い」印象だったからだ(ただ、SP保護部を外しても直らないので、新しい回路に問題がないことは明らかになった)。

結局、最大の問題は「自分」なのだろう。ただ、いつものように、自分で作ったものなのに嫌な・気に入らない部分があるのを知りつつ我慢して使うのは嫌なので、自分なりに より良いものにした。

 

PS. この稿は題が一番凝ったかも知れないwww

  •  0
  •  0

コメントを書く / Write a comment

名前 / Name    

メール / Mail 

URL