製作中のアンプの音・性能に関しては もう最後の詰めの段階、実際にあるのかどうか知らないが、「最後のレンガ」を差し込みつつあるって感じだ。

 

アンプの置き場所と雑音の謎

近頃は変更・調整するたびに特性を測っているのだが、先月末頃、なぜか歪みが増えたと思って調べたら、特性測定用コードに雑音(最初はPCからだと思った)が入っているためであることが分かった。歪みと雑音は別のものなのになぜ関係しているかというと、測定に使っているソフトREWはTHD+NでなくTHDを測っているはず(明示されていない)で、雑音があっても歪みは独立に測定できるはずだが、雑音があると その周波数の歪みも増えてしまうようだ。

おそらく、歪み測定の前か後に無音時の雑音を取得して差し引いているのだろうが、雑音の量が変動すると差し引く量が不足して歪みが多くなるのではないか。

それで、なるべく雑音が少なく(「静かに」)なるようにしようとした。

調べたら、PCよりもAC電源の周波数(50Hz)とその高調波の雑音が多く、アッテネータや接続コードから入っていることが分かった。その他には他の部屋のインバータかららしき7kHz辺りの雑音が広い山として入ることがある。更に、USBかららしき8kHzや、PCかディスプレイかららしき15kHzの雑音が鋭い山として入ることがある。試行錯誤したら、コードの置き方を変えると雑音の量が結構変わるが、それ以上に、アンプ本体の置き場所や置き方で随分変わることが分かった。もちろん、時間による変動は大きい。

なお、アンプ内部のDC-DCコンバータも雑音源ではあるが、意外に影響は少ない。また、それに電源を供給する電源コードからの雑音も意外に少ない。ただ、もちろんそれらに特性測定用コードを近付けると雑音は入る。

コードの置き方は、なぜか、床に置くよりも、いかにも雑音が多そうなPCの上に置くほうが雑音が少ないことが分かった。

アンプの置き場所については、当初予定していた右のスピーカーの下はなぜか雑音(50Hzとその高調波)が多くて駄目だった。そして、コード同様、(コードで思い付いた)PCの上一番良かったのが不思議だ。想像だが、PCのケースは結構厚い金属(鉄)で、そのすぐ上にコードやアンプを置けば雑音(主に床から来る?)がアンプに入るのを防げるのではないだろうか。アンプのケースはプラなので、基本的に雑音が入りやすいのだろう。PCの雑音は(意外と言ったら悪いが、)ケースできちんと遮断されているようだ。

PCのケースで雑音が遮断されるとなれば、「もしかして、PCの中に入れれば完璧?」と思いもしたが、きっと中はPCの雑音の嵐だろうから、まあ止めておく。

置き方も結構シビアで、90°回転させるだけで雑音の量が変わるので、好きには置けず、雑音と使い勝手をうまく調整する必要がある。結局、PCの上で入力端子を手前に、スピーカー端子が左に来るように置くことにした(ほぼ確定)。

その時、入力や特性測定用コードはきっちり堅くまとめるのは良くなく、ふんわりさせるくらいがいいようだし、なぜかPCの左側に垂らすのは駄目だし、PCの下に押し込んでも良くなく、写真のように、右に垂らして床にだらしなく置くのがいいようだ。ちょっと「なんだかなぁ」であるw

その他に、PCのマウスを操作するどころか、マウスに触るだけで雑音が増えるので、正確に測定するのはなかなか大変である。

いずれにしても、上記のすべては聞こえないレベルの雑音なので(もし、聞こえるような雑音が出たら、星一徹のように全部捨てるくらいの勢いだ)※、そこまで厳密に測ってセッティングする必要はないのだが、自分で作ったものなので一度は最高の性能(限界)を測りたいと思ってやっている。* 実際に使っている時は、そういう最高の性能は発揮されないし、されなくても分からない(から問題ない?w)。

※無音時にアンプから出る雑音(残留雑音)の総量は、例えば-98dBFS RMS(最新の、一番「静か」な時の値)で、電圧にすると15μV程度である。一方、スピーカーに出ている音は例えば150mV程度だし、部屋の暗騒音の音圧は分からないものの-40dBFSとすると、余裕は58dB(振幅は約800倍、パワーは約6.3万倍)となるから、無音時でもまず聞こえないだろう。(実際に聞こえない)

*要するに、作ってできたら ただ聴いて、証拠もなく定性的に、「やっぱり いい音だ!」と満足・ドヤ顔するのでは、技術者として全く失格・あり得ないと思っているのだ。少なくとも、いい音だと思ったら、どうしてそうなのかを考えなければいけない。

 

なお、「雑音」と言っても、その量はとても小さく(サウンドカードの限界に近い、というか越えていそう※)、上記のように耳では聞こえない。 だから、正確には「雑信号」だろうし、「ノイズ」と書くほうが通りやすそうだが、日本語では同じことなので「雑音」と書いている。

※使っているサウンドカード(ASUS Essence STX II)のダイナミックレンジは、入力は118dB(A)、出力は124dB(A)。

 

特性測定用アダプタを作った。

そのように微小な信号(雑音)を測って比較するためには、測定に使うコード類は、それまでのテキトーなミノムシコードなどでは雑音が入りやすいうえに安定性や再現性がなくて駄目なことが分かったので、特性測定用アダプタを作った(もったいないので、汚くて却下したピンジャックを使った)。これをアンプとスピーカー保護基板を繋ぐコネクタの間に挟めば、いつでも測定できる。

ついでに、特性測定時のスピーカーの代わりの負荷抵抗の安定性を向上させるのと着脱が容易になるように、バナナプラグを平らにして接触を改良(希望)したもので負荷抵抗を作ったり、大量の抵抗(10Ωを10本)を並列に繋いで力技で消費電流測定用アダプタも作った。アナログテスターしかないので大雑把にしか測れないが、有効数字2桁くらいで消費電流が測れそうだ。

試しにBA3886の消費電力を測ったところ、アイドル時は約4.6W(24V 0.19A)と、以前AC電源用の測定器で測った時の値(約6W)に概ね合った。また、10W(片チャネル)出力時は約18Wとなった。この時、DC-DCコンバータの損失を差し引いた損失は約4.6Wで、エコではないが、僕は許せる。

 

謎の雑音

そうして測っていたら、変な問題に気付いた。時々、2kHz以下の広い帯域で雑音が瞬間的にかなり(10-20dB)大きくなる(グラフ: 青と赤)のだ(「平坦な雑音」と呼んでいる)。アンプの回路や実装に何か問題があるかと心配になって いろいろ調べ、試行錯誤したのだが、原因は分からなかった。

その過程で、スピーカーに振動が加わって電力が発生して起こっていることも疑ったが、違っていた。確かに、スピーカーの前面を紙などで叩くとスペクトラムが近い雑音は出る(グラフ: 水色とオレンジ)が、アンプにスピーカーを繋げていなくても起こったので関係ないことが分かった。それに、そこまで大きい振動なら体感するはずだ。

そして、そのスペクトラムの形状から、どうやらパルス状の雑音(信号発生器で試したら、矩形波(デューティ比50%)で15Hz, -65dBFSが最も近い形状となった(グラフ: ベージュ))で、パルス幅は約33ms、振幅は約0.7mV程度のようであることが分かった。

想像ではアンプからそういう雑音が出ることはなさそう(出るとしたら正弦波的だと思う)*なのと、僕の部屋の機器が原因でないことは確かめたので、外部の機器(例: 水道のポンプ)からAC電源経由で入っていると想像している。オシロスコープがあれば確認できるが、ないので確証はない。※

*一つ気になったのは、アンプ出力のオフセットが大きくなり、それがDCサーボで補償される時にパルス状になることだが、オフセットが突然急激に増減することは余り考えられず(なだらかに変化するのではないか)、また、サーボのLPFの周波数を下げて応答速度を下げても効果がなかったので、違うと考えた。

※理論的には、ちゃんと分圧すれば(例: 1/100)、PCのサウンドカードでも見られるが、さすがにそれをする勇気は全くない。ただ、AC電源のコード(片方)に入力のコードを隣接させれば波形が見られるかも知れないが、他の雑音が混ざる可能性はある。

スピーカーから出る雑音の大きさ(振幅)は-83dBFS程度(約85μV)で大きくはないが、パルス性なので聞こえるかも知れない。今気付いたが、もしかすると、以前起こっていた「ポツポツ」雑音はこれが原因だったのかも知れない。ただ、近頃聞こえないのが不思議ではある。残留雑音を少なくしようとしていろいろ改良したので、以前より出るレベルが小さくなったからかも知れない。

(6/12 7:53) その後、更に調べたところ、アンプの電源on直後(例: 2分以内)に雑音が出やすいことが分かった。ただし、しばらくoffにしていて温度が低くなっている時にonしないと起こらない。ということから、アンプの温度が急に・大きく変化する時に起こるのではないかと推測した。確かに、日中はほとんど起こらず、朝と夕方に起こることが多い。

雑音の発生元は以下を推測している。

  • DC-DCコンバータ
  • アンプ基板

DCサーボ基板やスピーカー保護基板なしでも雑音は起こったので、それらは関係ない。今はDC-DCコンバータが怪しいが、それを確定させるのはなかなか大変だ。あと、アンプICの電源変動除去性能(PSRR)は高いのに、除去できないほど大きな雑音が出ているというのも考えにくい(当初疑っていたAC電源経由だったとしても同様)。そもそも、PSRRはリップルが対象で、パルス性雑音には関係ないのかも知れない。

(6/13 9時) 更に調べて、雑音が出ない時は同じ状況で何度繰り返しても出ないので、アンプの問題ではなさそうな感じだ。怪しいのは、サウンドカード(ASUS Essence STX II)のADCである。時々不調になって、何かの雑音が入ったりACの雑音を拾ってしまうのではないかと想像している。以前、過電圧を入れたのが悪かったのか。

残念なのは、もう一個のオーディオインタフェースのScarlett Soloは、(何度比べても)サウンドカードより性能が数段(歪みは1桁大きく、雑音は2倍以上多い)悪いので、アンプの特性の測定には使えないことだ。

 

残留雑音を減らそうとしたら歪みが減った。

残留雑音、特に50Hzとその高調波が大きくて(グラフ: 青)気になるので減らそうと思い、検索して見付かった情報※を参考に試行錯誤した。影響が大きいのは、いわゆる「グラウンドループ」だと思われた。昔読んだ、「オーディオの線はまとめないほうがいい」という説を信じて ばらばらにして居た線の引き回しが悪いように思えたので、対処した。

※雑音対策に関しては いろいろな説があり、1点GNDがいいのか悪いのか書いている方によって異なり、どういう方針にするか迷ったが、下に書いたように1点GNDを止めようとしたら大出力時の歪みが増えたので、基本的には今までのやり方(= 使用したアンプキットのもの, 入力以外は1点GNDする)を継続した。

具体的には、+とGNDの線を離すとコイルやアンテナになってしまって、そこに外から雑音が入るということなので、可能な限り、信号や電源の+とGNDが隣接するようにした(くっつけた)。可能な場合はツイストした(撚った)。以前は、クロストーク(セパレーション)に良さそうだからとLとRを離したが、それもGNDと一緒にくっつけた。気になるのでクロストークを測ったが、悪化はしていないようだった。

ただ、それらの対策の効果を測ったところ、残念ながら今ひとつだった。逆に悪くなったかも知れない(実は、上に書いた、コードの置き方の影響で悪化したように見えたのかも知れない)。ただ、一つ、思わぬ効果があった。

以前は、電源の線(22AWG)が充分太いのとコネクタ(XH)の容量も充分なので、GNDを線1本でコネクタ経由で1点GNDと繋いで居たのだが、試しにコネクタを通さずに直接繋ぐ線(太目にした)を追加したところ、大出力時(例: 14W)の中低域の歪みが随分減った(グラフ: 青・赤 → 水色・オレンジ)。どうやら、GNDの容量が足りなかったようだ(インピーダンスが高かったということなのか)。まあ、こんな大出力は実際に出すことがないので、雑音と同様に体感できないのだが、やっぱり、作ったものはちゃんとしたいので、改善できて良かった。

あと、妙だったのは、以前、基板の銅箔が破れたと思って補修として接続したのが逆効果だったことだ。実際には、元々パターンはそこで切れていて(写真: 黄色の枠内)破れておらず、一方で別の箇所では繋がっている(写真: 赤の破線)のに、切れていると思ったところを接続した(写真: オレンジの破線)ら歪みが増え、その接続を外したら歪みが減った。

なぜか、寝ながら、「(あそこの)パターンは元々切れていたのでは?」と思い付いて、配線前の写真を見たら確かにそうだった。すごく不思議だ。

その辺りはパターンを作る技なのか、僕がまだ見落としているところがあるのか、分からない。

似たようなこととして、(1点GNDは良くないという説を信じて、)電源のGNDと信号のGNDを基板上で接続したら(1点GNDへの線は減らしていない)、大出力時の歪みが増えた。1点GNDの効果・重要性が示されたのだろうが、まだ良く理解できていないので、どうも腑に落ちない。

あと、アッテネータから雑音が入る(ケースを触ると雑音が増大する)ので、ボリュームと一体化した。ボリュームのケースは金属なので、今度は触っても大丈夫になった。

 

コードの交換が効いた・・・

逆に、雑音に意外に効果があったのは、PC(サウンドカード)との接続に使うコード(ピンコード)だった。それまでは、「コードなんてなんでも同じだ」と思って居たが、雑音が入りやすいものとそうでないものの違いがはっきり出た。コードの作り(外側の網線の濃さ?)の差が出るようだ。手持ちだとオーディオテクニカの太いものが一番良く、ソニーのは結構良かったが、出所不明なコードは金メッキで太くても雑音が多かった。あと、JVCのは外見はいいけどイマイチだった。一つ言えるのは、プラグの金メッキは雑音の点ではコードの品質とは関係ないことだ(「あんなの飾りです」?)。

それで、オーディオテクニカのは50cmくらいで短くて不便なので、長くて良いものを探したところ、ヨドバシなどのレビューでエイトワンという謎の会社のが良さそうだったので試したら、本当に良く、あっさりとオーディオテクニカを越えた。値段は数分の1だろう(買ったものは1.5mのもので500円くらいだった)。それに気を良くして測定用コードもそこのにしたが、残念ながら大きな違いは出なかった。だから、アンプの入力から入る雑音の影響が大きいのだろう。

なお、手持ちのオーディオテクニカのコードはシェルが金属だが、どこにも繋がっていなくて、単に物理的な強化(と見栄えの向上)にしかなっていない(浮いているので、抜け止めにすらなっていない)。ただ、これをGNDに接続すると、触った時に雑音が入るので難しい。普通にプラスティックで絶縁するのが(、安っぽく見えるけど)一番良さそうだ。

いずれにしても、これはあくまでも数値の話であって、聞いて雑音が減ったことが分かるかというと分からないしw、音質の改善の有無・違いが分かるかも疑問だ(僕はないと思う)。

 

そんな訳で、「いかにもオーディオマニア」な、意味あるのかないのか分からない微細な改良作業をしていた。効果は数値だけで実際には違いは分からないはずだが、広い帯域で雑音があると音が濁るのか、雑音が減ると見かけ上の歪み(THD+N)が減るので、それで印象が良くなっている可能性はある。実際、何度も書いているように、音がいい・良くなった(正確には、忠実度が上がった)、あるいは変わった感じはする。

 

現在の残件は、最終的な特性を測る(→ 完成!)以外では、ピンジャックの中心電極がプラグと一緒に回ってしまって(接着などいろいろやったが、どうしても解決できない)、線に力が掛かって いつかは切れるので交換する(以前、シンプルで良さそうだと書いたものを見付けた: WTN-20-1263Gのようだ)ことと、そのついでに注文した電解コンデンサで、粗悪コンデンサの代わりに付けたタンタルコンデンサを換えること程度だ。

タンタルコンデンサ自体は悪くないのだが、故障時にショートするとのことなので なるべく避けたいと思う。あと、本来の容量に戻す意味もある。

なお、今までに費やした金額は、約3.6万円(楽天などのポイント利用約5千円を除く)となった。

 

PS. こういう技術的な稿を書く時は やたらに疲れるが、原因が分かった。自分の意見(や文句や愚痴w)を書くのなら厳密な証拠・根拠は不要だし、必ずしも理路整然とする必要もないが、技術的な場合は全然そうではないので、それが大変なのだ・・・

意見なら、「僕が間違っていた・嘘だった」で終わるが、技術的な場合はそうは行かない。

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