換気扇の間欠運転システムのタイマー、あるいは周期的on/off制御回路を自作しようと試行錯誤していたのだが、うまく行かないのと柔軟性がないために諦めて、市販のタイマーを使うことにした。
確認のために短いon/off周期にしていた時は さまざまな無茶がありながらも動いて居た感じだったが、実際のon/off周期(例: on: 15分, off: 1時間)にするとうまく動かなくなった。
後述の「非安定マルチバイブレータ版」では、実際の設定でも最初の「一瞬」(1周期= 約1時間)は うまく行ったのが謎だ。たまたまとか勘違いだったのだろうか。そのあとに「改良」しようとして いじったのが悪かったか。あるいは、無茶のために素子(トランジスタ、コンデンサ、抵抗)が壊れるとか特性が劣化して、動かなくなったのだろうか。
確かに、何度か試している時に過電流で抵抗が焦げて異臭がしたから、その前後のコンデンサやトランジスタも駄目になったのかも知れない・・・
その後もいろいろ試したがモノにならなかった。後述の「コンデンサ+リレーでのラッチ版」だけは ちゃんと動いたが、リレーを2個も使うのは綺麗でないので却下した。そのリレーを1個に減らそうとしたら、トランジスタが増えるうえに ちゃんと動かなかった。
試した回路と簡単な説明を、シミュレータまたは実際に組んで試した順に列挙する。
- 元々の案 (コンデンサ版)
- コンデンサを充放電し、その電圧でリレーをon/offさせようとした(イメージはグラフを参照)が、後述のように、充放電をヒステリシス処理していないために期待どおりには動かなかった。
- 具体的には、充分放電する前(放電開始から0.7Vくらい下がった程度)に充電が始まってしまい、on/off周期が想定より随分短くなった。
- コンデンサを充放電し、その電圧でリレーをon/offさせようとした(イメージはグラフを参照)が、後述のように、充放電をヒステリシス処理していないために期待どおりには動かなかった。
- コンデンサ+しきい値回路+フリップフロップ版
- しきい値回路(図の左側, 使用したシミュレータのサンプルのSchmitt Triggerを参照した)とフリップフロップ(図の下部)で充放電の制御をしようとしたが、フリップフロップではヒステリシス処理(後述)にはならないために、うまく動かなかった。
- このしきい値回路はシュミットトリガと書いてあるものの、期待するようには動かなかった。グラフを見ると、縦線の幅が狭い(= 僕の設計不足)せいだろうか?
- しきい値回路(図の左側, 使用したシミュレータのサンプルのSchmitt Triggerを参照した)とフリップフロップ(図の下部)で充放電の制御をしようとしたが、フリップフロップではヒステリシス処理(後述)にはならないために、うまく動かなかった。
- 非安定マルチバイブレータ版 (シミュレーションのみ。実際の回路では試さなかった。)
- コンデンサ+フリップフロップ版
- 2のしきい値回路は不要な(効果がない)気がしたので省いたが、動かないことに変わりはなかった。
- 非安定マルチバイブレータ版
- マルチバイブレータの左右の回路の(CRの)時定数を別にするのには無理があるようで(論外?)最初は動いたものの、実際の条件・設定(on: 15分, off: 1時間)で試したら動かなくなってしまった。
- コンデンサ, コンデンサ+フリップフロップの改良版
- ちょっと思い付いたことをしてみたが、本質的でなく効果はなかった。
- 非安定マルチバイブレータの改良版
- 5はトランジスタの過電流や電源が不安定とか接触不良などの問題で動かなかったかと思って改良したが、同様の結果だった。
- コンデンサ+リレーでのラッチ版:
これだけは成功した(と思って居たが、実はシミュレーションのみだった)。- リレーを1個追加し、それに充放電の制御を補助させた(後述)。
- また、PNPトランジスタのコンパレータ回路(参照)で充放電のしきい値を検出するようにしている。
- コンデンサ+トランジスタでのラッチ版 (シミュレーションのみ)
- 8のリレー2個はスマートでないのでラッチ回路をトランジスタにしてみた(図の右端, 参照)が、ラッチ回路の動作が期待と異なっていたために、うまく動かなかった。
- 具体的には、ラッチ回路は、デジタル的に入力電圧がしきい値(例: 0.7V)を超えたら出力が高電圧(例: 6V)になるが、僕が期待していたのはヒステリシスやシュミットトリガだったので、うまく行くはずがない。
- 8のリレー2個はスマートでないのでラッチ回路をトランジスタにしてみた(図の右端, 参照)が、ラッチ回路の動作が期待と異なっていたために、うまく動かなかった。
- コンデンサ+しきい値(PNPトランジスタ)版 (シミュレーションのみ)
- コンパレータ回路(図の中央・下部の点線で囲まれた3つの部分, 8と同じもの)で充放電のしきい値検出をするようにしたが、ヒステリシス処理していないために、やっぱりうまく動かなかった。
- コンデンサ+しきい値(NPNトランジスタ)版 (シミュレーションのみ)
- PNPトランジスタの使い方が良く分からないせいもあり、やたらに電流を食って動作に影響を及ぼしたので、NPNトランジスタで簡易なコンパレータを実装してみたが、抵抗で入力を分圧するのが良くなくて今ひとつだった。
- この辺りになると、何を目的・目標にして回路を構成してるのか(要するに「何がいいか」が)曖昧になり(とにかくリレーを減らしたいだけだった)、考えに誤り・抜けが見つかったら その対処のための部品・回路を増やしたので、どんどん複雑になってしまった。(本末転倒)
- 元々の案 (コンデンサ版)
- コンデンサ+しきい値回路+フリップフロップ版
- 非安定マルチバイブレータ版 (シミュレーションのみ)
- コンデンサ+フリップフロップ版
- 非安定マルチバイブレータ版
- コンデンサの改良版
- コンデンサ+フリップフロップの改良版
- 非安定マルチバイブレータの改良版
- コンデンサ+リレーでのラッチ版 (シミュレーションのみ)
- コンデンサ+トランジスタでのラッチ版 (シミュレーションのみ)
- コンデンサ+しきい値(PNPトランジスタ)版 (シミュレーションのみ)
- コンデンサ+しきい値(NPNトランジスタ)版 (シミュレーションのみ)
- 非安定マルチバイブレータ版が動いている様子
- いつもながら雑然とした作業机の様子
- コンデンサの電圧(縦軸)とリレーのon/off条件
一番のポイントは、コンデンサの充放電のタイミングをヒステリシス(あるいはシュミットトリガ)処理する必要があることだ。言い換えれば、最初の発想の「コンデンサの電圧が しきい値低(Vl)以下なら充電、しきい値高(Vh)以上なら放電」という単純な処理では済まないことに薄々気付いて居ながら、思い付いたことをするばかりで根本的な対処をしなかったことが悪かった。
(ずっと、どうすればいいか分からなかったのだが、)ヒステリシス処理をしないと、充電が終わって電圧がVhを超えて放電を開始して少しするとVhを下回るので、すぐに放電が停まって充電が始まる(か何もしないか)の繰り返しになってしまう。グラフではV1(左のVhに相当する)とその少し下辺りの約0.7Vの幅でチョロチョロ上下することになる(例: 図の下部右側3つのグラフの小幅な上下)。そのため、たとえ希望のon/off時間比が実現できても、周期の長さの上限が大幅に短くなる。
それを防ぐには、充放電を以下のようにしなくては ならない。
- コンデンサの電圧がV2以下になった場合、V1以上になるまで充電し続ける。
- コンデンサの電圧がV1以上になった場合、V2以下になるまで放電し続ける。
→ 電圧がV2とV1の間では、電圧が上昇している場合は充電し、下降している場合は放電する。
※上のV1, V2はグラフに対応する。
ソフトなら容易に実現できるのだが※、アナログ回路では僕には かなり難しかった。上の「コンデンサ+リレーでのラッチ版」では追加したリレーで放電処理を保持してヒステリシス処理を実現できた。
※そもそも、ソフトの場合は(クロックで生成される)時間をカウントすればいいので、こういう処理自体が要らない。
今となっては、上のシュミットトリガの参照ページにはトランジスタでの回路が載っているので、2の「コンデンサ+しきい値回路+フリップフロップ版」のしきい値回路をそれに換えれば(更に、フリップフロップも要らないのではないか)できるかも知れない。が、コンデンサの充放電でon/off時間を設定するのは、設定可能な時間に上限(コンデンサの容量や抵抗値による)があるうえに周期やon/off時間の比率の変更・調整が容易でも柔軟でもないので諦めた。
という訳で長い回り道をしたが、間欠動作のできるタイマーを注文して届くのを待っている。
でもまあ、最初の僕の考えがイマイチ(実用性に欠ける)だったことが原因も合わせて確認できたし、疲れたけどいろいろ遊べたから良しだ。
今回はAmazonでなくAliExpressにした。というのは、Amazonは(嫌いだし)品数(出店数)が少ないうえに割高な感じ(AliExpressを見て気付いた)だし、機能について問い合わせても(単に「マニュアルを下さい」だけだが)碌な回答がなかったので嫌になり、なおきさんが以前使われて興味があって、試しにサイトを見てみたらすごい品数と割安なので※感激した。
※ただし、送料を合わせると それほど安くならないのが残念だ。いろいろまとめて買うと いいかも知れない(が、楽天のようにそれぞれの店が別なので、一箇所で全部揃わないと割高になる)。それでも、今回は最初だったので、360円くらいのクーポンが使えたのはありがたかった。
タイマーは、メーカー名不詳(いくら探しても出て来ず、医療関係らしい資料に それらしい名前(Belong International Co.)があったが、サプライヤーかも知れない)のXY-WJ01というものにした。いくつか比較して、機能が一番僕の要望に合っていた(かつ豊富な)のと、比較した中では一番新しそうだったからだ。なお、ほとんど同じ仕様で基板単体のもの(XY-LJ02)は安いが、ケースがあったほうが安心なので これにした。単体では約500円で送料とクーポンでの割引きを合わせて約540円だった。
ちなみに、同じものをAmazonで見ると最低でも1125円なので、送料込みで比較すると、Amazon(マーケットプレイス)は220円以上高い。
参考までに、タイマーの要求条件と比較した機種を以下に挙げる。
タイマーの要求条件
- 基本的な仕様・機能
- デジタル式: アナログ(ボリューム)だと設定の調整が難しそうだし、知らないうちにズレる可能性があるので。
- アナログのほうが単純だし設定のバックアップが不要なので いいとも思ったが、安定性を重視して止めた。
- On/off時間(期間)が独立で、それぞれ2時間以上設定可能なこと。
- 繰り返し動作が可能なこと。
- 設定が保存可能なこと。
- デジタル式は、電源を切ったら「設定がパー」になることを心配した。
- デジタル式: アナログ(ボリューム)だと設定の調整が難しそうだし、知らないうちにズレる可能性があるので。
- スイッチ: リレー
- 機械的な強さやサイズではMOS FETだが、電気的な弱さがあるように思うので。
- 電源: 12V
- 追加リレーの電圧(12V)と合わせるため。
- 可変なら なお良い。(将来別の用途に使えるかも知れないので)
- 表示: LED/LCDどちらでも良い。
- なるべくケース入り
- 基板だけのものは安いが、うっかり触ってトラブルが起こったり埃が溜まるので、結局 自分でケースを用意することになるから元からあったほうが良い。
- 価格: 1000円前後
比較した機種
※ほとんどの中身は いくつかのシリーズで同じもののようだが、メーカーどころか型番すらないものがあって、特定しにくい。
- XY-LJ02 (= HW-751?): 基板
- XY-WJ01: ≒XY-LJ02のケース入り(微妙に異なる)
- XY-LJ02との違い: XY-LJ02は、
- micro USB(5V)での給電が可能。 → おそらく、XY-WJ01も5Vで動くはず。
- そもそも外部にリレーを追加する予定で12Vを使うので、問題ない。
- リレーのNC(normally closed)接点の端子も出ているが、XY-WJ01はNO(normally open)接点のみ。 → そもそも外部にリレーを追加する予定なので、NOだけで問題ない。
- 使う時は基板のリレーから取れるはず。
- リレーの容量が大きい。: AC 125V 10A, DC 30V 10A (XY-WJ01はAC 110V 5A, DC 14V 10A) → そもそも外部にパワーリレーを追加する予定なので問題ない。
- micro USB(5V)での給電が可能。 → おそらく、XY-WJ01も5Vで動くはず。
- シリアルポート(UART)付き (XY-LJ02も)
- 使う予定はないが、あとで使えば便利かも。
- XY-LJ02との違い: XY-LJ02は、
- YYC-2S, YYC-2: 基板またはケース入り
- 2Sと2の違いは表示桁数?
- 電源電圧が固定なので見送った(ただし、今回は12Vだけで使う)。
- DIY MOREのタイマー: ケース入り
- XY-WJ01に似ているが、機能は異なる。
- 電源電圧が固定なのと、外部トリガー(今回は使わない)がないので見送った。
- DDC-431, DDC-432: (≒ YYC-2S?) ケース入り
- 違いはスイッチがリレー(431)かMOS FET(432)か。
- MOS FETは動作音がしなくていいのだが、使い方を誤った場合に壊れそうな気がしたので却下した。
- これは電源電圧は固定でない。
- 違いはスイッチがリレー(431)かMOS FET(432)か。
- (ディスプレイが2行のもの): ケース入り
- 電源電圧が固定なので見送った。
- (ターミナルのネジ用穴が天面にあるもの): (= YYC-2S?) ケース入り
- 電源電圧が固定なので見送った。
- (ボタンが四隅にあるもの): (= YYC-2?) ケース入り
- 電源電圧が固定なので見送った。
PS. AliExpressを見ていて興味が湧いたものとして、PWMコントローラやWi-Fiリレーがあった。前者は特に使う あてはないが、後者は今回の用途に使えそうだった。 − PCで換気扇をon/offする(プログラムを作る)のは容易だし、とても柔軟に制御できる。ただ、制御するPCなどを常時稼働させる必要がある(または停めている時は制御しない)のと、Wi-Fiモジュールの初期設定が大変そうだったので、今回は見送った。ただ、あとから今回買ったタイマーのトリガ入力に繋げることはできそうだ。
全くの杞憂だろうが、実はそのWi-Fiモジュール("ESP-01", "ESP-01S": 有名なようだ)に脆弱性があって、外部から侵入されて勝手に操作されることはないのかと思う。
という訳で、電子回路などで欲しい機能があったら、AliExpressを探すと大抵あるような気がした(それが ちゃんと届くかや まともに動くかは別問題で、リスクは高目だが・・・)。
(2/16 6:13 わずかに加筆・修正)
naoki: 2022-02-15 00:39
まさか、れんとさんがAliExpressを使う日が来ようとは思いませんでしたw
僕は今、ScanSnap S1300(←直そうとして直せなかったS1500ではありません。予備のS1300です)用のパッドユニットをヨドバシドットコムで注文しましたが、取り寄せで2週間前後掛かる見通しで、もしかしてAliExpressに発注してるのかな?と思ったりしました。
僕は電子工作は不得手(というより分からない)ですが、Wi-Fiリレーの件は面白そうと感じました。Wi-Fiを介して、色々出来そうですね。
れんと: 2022-02-15 03:38
●まったくですw あの品揃えには なんかハマりそうですが、例によって配送の状況が今ひとつ変で(発送から数日経っても出ず)、段々イライラして来ましたが、中国はそんなものだと思うしかないと思ってますw
そうか、ヨドバシも実はAliExpressからって ありそうですねw
Wi-Fiリレーはおもしろいですよね。しかも安い(ただし使える保証はないw)。昨夜、(これを買う前に、)古いWi-Fiルータやスマフォで代わりにならないかと思いました。
ルータだと、何かの設定でLED(他でも良い)をon/offできれば、その電圧をリレーを動かす契機にできます。スマフォも、LEDやバイブの電圧が使えないかと思います。