このところ、仕事や会社でストレスや疲れが溜まったので、DAC(正確にはサウンドカード)を注文した。別に、今の音に何も不満はなく、DACを換えたところで音が変わるとは思っていないのだが、新しい遊びをしたくなったのだ。つい先日まではスマフォで遊んでいたのに、我ながら、賞味期限が短いようだw まあ、スマフォに飽きた訳ではないが、あれは生活の道具なので、一旦落ち着いたら、それ以上することはないのだ。

DACを買うのは、元はといえば、先日整理した本棚にぽつんと載っているグライコを何とかしたいと思ったところから始まった。もし、PCのソフトで音質の補正処理をするなら、DACを追加すればグライコが不要になるのだ。

それで、何を買うか考えた。基本は遊びだし、DACで音は変わらない(と信じている)ので、余り高いのを買ってもしょうもないので、概ね2万円以下で探した。条件は、電源on/off時の雑音がないこと、音質がいい(特に、雑音が少ない(=SN比が大きい))こと、外付けDACの場合は光接続ができるもの、PC内蔵DACの場合はLinuxで動くものだ。

最初は、どうしても光接続にしたかったので外付けDACだけを探したのだが、どうも、目ぼしいものが少なかったので、PC内蔵(サウンドカード)も含めて探した。いろいろな製品があったのだが、最終的な候補は以下の4つになった。

  • ASUS ESSENCE STX II (サウンドカード)
  • Yudios YD-19232K
  • オーディオテクニカ AT-HA26D
  • Topping D3

それらを以下の観点で評価した(太字は重視した点)。

  • DACチップの素性
  • 電源on/off時のノイズ
  • コンパクトさ
  • 特性(スペック)
  • 使い勝手
  • 欠点の少なさ
  • その他 (その製品の特色など)

最初の「DACチップの素性」というのは、(DACチップ自体で音は大きく変わらないと思うので、)音やスペックではなくて、メーカーや製品の思想とかスタンスをチェックした。そういうもので音は変わらないだろうが、趣味で使うので、自分で嫌なものは使いたくないのだ。

上は、正確には、今使っているアンプのメーカー、SAYAのサイトのコラムにDACの比較が載っていて、候補が使っているDACの評価を読んで、ある問題(下記のオートミュート)に気付いてチェックしようと思った。

すると、あくまでも個人的な感想だが、ESS社とそのチップ(ここではES9018)は、どうもいい加減で誠実でないという結論になった。何が問題かというと、以下の2点である。

1. ビット数の表記

ESS社がES9018のことを"Reference 32-bit Audio DAC"と、32ビットをうたっているのは明らかに誇張である。実際には、(資料に書いてあるように、)ダイナミックレンジが135dBだから22ビット程度である。仮にビット数がダイナミックレンジだけで測れないと仮定しても、25ビットすらないことは確実だろう。

一方、比較した他社(TI, Cirrus Logic)はそんなことはしていない。例えば、TIのPCM1792Aは、ちゃんと、"24 ビット 192kHz サンプリング アドバンスト・セグメント・オーディオ・ステレオ DAC"と書いている(実は、PCM1792Aのダイナミックレンジも132dB(22ビット程度)なので、それだって実現できていないが、差は2ビット程度なので、ESSの10ビットの差に比べればまだ誠実だ)。

実際には、22ビット(135dB)ものダイナミックレンジなんて家庭では無駄なので、全く実害はないのだが、企業の姿勢としては良くないし、嫌いだ。そして、そういうDACを採用して、高々と、32ビットの高音質などとでっち上げる多くの機器メーカーも嫌いだ。

社名は書かないが、「32Bit幅のダイナミックレンジを持つことで、原音に忠実に明瞭な音楽を再現します。」と書いてあるDACがある。その文章の前半は、僕から見れば、全くの嘘だと思う。確かに、32ビットのデータは入力できるけど、DACチップ単体ですら再生できない(=それを使った製品だって無理)のだから、「32ビットのダイナミックレンジ」は持っていない。実際、その製品のダイナミックレンジは32ビットの192または186dBなんて全然ない。ひょっとして「幅」にそういう意味を持たせているのか? 例えば、「32ビット幅の(データ入力ができるので、実際には32ビットではないが、それなりに広大な)ダイナミックレンジを持つ」とかかな。良く分からんが、正確な技術用語で書いて欲しいねw

2. オートミュート機能

ES9018のデータシート(入手にはNDAが要るが、流出している)を読むと(正確には、最初は上記SAYAのコラムで知った)、オートミュート機能というものがある。データシートの記述が詳細でないので正確には理解できていないが、概ね、「すごく小さな信号が連続して入力された場合、出力の音量を0にする」機能だ。もう、これだけで「結構です! じゃあまた」って感じだ。

そもそも、携帯機器やテレビとかじゃないので、もともと雑音は少ないはずだから、小さな信号を無音にする必要はないし、オーディオの思想(理想)から言って、そんなことをしてはいけない。僕に言わせればごまかしだ。もちろん、デフォルト設定はものすごく小さいレベル(-104dB:データシートの表記が分かりにくいので間違っているかも)なので、聴いても何も違いは分からないだろう(が、出力のアナログ回路の出来が悪いと、ミュート時とそうでない時の雑音量が大きく違って分かるかも知れない)。

が、この機能は自分でダイナミックレンジを狭めている訳で、104dBだと、(ビット数にすれば)17ビット程度になってしまう。20ビットもないが、それで本当にいいのだろうか?? 自己矛盾や欺瞞ではないか? 小さい音を無音にし、ミュート状態の信号で制御することで出力のアナログ回路の雑音が減らせるだろうから、SNの数値は上がるのだろうが、実際にはズルをしているのだ(以前問題になった、ヨーロッパ車の排ガスのチートと似たようなものだ)。

なお、PCM1792Aにも同様の機能はあるのだが、無音にするのは最下位ビット(正確には、値が0か-1の場合)だけだし、デフォルトでoffだから、ずっとまともだ。

長くなったが、そんな訳で、ESS社とそのチップとそれを使うメーカーは、僕は信用できなくなった(あくまでも私の考え・意見です。昔、YouTubeのピアノ演奏に対するコメントを書いたら、エゴサーチしたのか、公開している演奏なのに営業妨害のように言われたことがあるので(この件への意見は、いつか書きたい)、今回も、この件で却下した機器メーカーの社名は出しません)。

2番目の「電源on/off時のノイズ」は、今のグライコの欠点で、PCの電源のon/off前にアンプの電源を切る(切らないとスピーカーから雑音が出るので)のが面倒なので、できればそれが不要なものを選びたいということだ。

選考過程のさまざまな紆余曲折は省略して結論を書くと、注文したのは、ESSENCE STX IIである。ヨドバシで約2万円だった。もっと安いところもあるが、初期不良期間が長い方が安心なので、ヨドバシにした。それにポイント還元があるので、実質的には2千円未満の差しかない。

PC内蔵型は雑音が多い可能性があるし、いつかOSの対応がなくなって使えなくなる可能性があって心配はあるのだが、次点のAT-HA26DのDACチップはAKMのAK4396(グライコに載っているAK4393の次品種)で今と代わり映えがしないので、素性の良いPCM1792Aを使うASUSのにした。DACチップ以外に、PC内蔵ならとてもコンパクトになるのは、大きなポイントだった。

なお、雑音については、光接続に比べれば確かに多いだろうが、普通は聴こえるほどすごくはならないと予想(期待)している。実際、昔使っていたMAYA 44XTeもSE-150PCIも、雑音は聴こえなかった。それはそうで、雑音が聴こえるほどひどいカードは売れないだろうし、口コミで分かる。

DACについては、僕はずっと試行錯誤というか右往左往している(PS3を参照)。どういう訳か何台も買っては手放しているが、今は、大昔にデスクトップPC(Pentium 4)を買った時の形態(内蔵サウンドカード)に戻ってしまった。次はどう変わるのだろうか?

という訳で、実物が手に入る前から存分に遊べた感じだw

 

PS. 誠実さという点では、SAYAはかなりまともだと思う。(考えに誤りがある場合もあるかも知れないが、)印象や流行の単語や名ばかりの高性能でごまかすことなく、実質(実際の性能や使い勝手)を重視して製品作りをしている。実は、今回も、そこのUIA5100というDAC内蔵アンプがとても欲しかったのだが、遊びで買うには余りにも高い(約14万円)ので、見送った。次の製品に期待したい。

PS2. 別な誠実さでは、問い合わせへの対応もさまざまだった。あるイギリスの大学の名前みたいなメーカーや台湾メーカーを扱う代理店は、問い合わせへの回答がなかった。また、そのイギリスのメーカーのサイトは、見栄えはいいけど、重いし質問の経過表示ができるはずなのにできなくて、論外だった。事前購入の問い合わせ窓口のない中国メーカーもあった。逆に、夜中とか明け方に回答を送ってくる、不思議な熱心(?)さのメーカーもあった。

PS3. 私のDAC遍歴

  1. オンキョー SE-150PCI (サウンドカード, 2005-2011): 音が出なくなったり、ノイズが入ったりすることがあり、ひどいサポートにブチ切れて止めた。
  2. Styleaudio CARAT-TOPAZ Signature (外付け, 2011-2012): サンプリング周波数が切り替わる時に雑音がするのが気に入らなくなった。
  3. Luxman DA-200 (外付け, 2012-2013): 高かったのに電源ノイズが入るので止めた。
  4. TEAC UD-501-SP (外付け, 2013-2015): 特に問題はなかったが、大きな外付けDACの意味を感じなくなったので止めた。
  5. Behringer DEQ2496の内蔵DAC (外付け, 2015-2018): 特に問題はないが、遊びたくなったのと、更にコンパクトにしたくなったので、止める予定。
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