(注: 試しているうちにフラッシュに問題が見つかったため、使うのは諦めた。: 9/14 10:38)
naokiさんが余り使わなくなったそうで、デジカメ(リコー Caplio GX100、以下GX100)を下さった。実は、これは、発売当時(2007年)にとても欲しかったもので、今の(キヤノン IXY Digital 3000IS、以下IXY3000)を買う時(2009年頃)に迷った覚えがある。どうしてIXY3000にしたかはもう思い出せないが、いつもと同じように、いろいろ比較した結果なのだろう。
それが昨日届いたので、さっそく、今のと比較したりした。
外観など
頂く前に仕様表を確認した時には同じくらいの大きさだろうと思っていたが、実物を見ると、GX100は大きく感じる。レンズ部が突出しているせいだろうか。また、分かっていたが、重さは今のより重い(約+60g)。ただ、これを持って山に登るとかいうことはないだろうから、サイズや重さは大きな問題ではなさそうだ。
本体は角ばっているが、革風のグリップが付いていたりするので、持ちやすい。IXY3000はスリムで丸くてかっこいいのだが、指で保持できる面積が少ないために持ちにくい。それ以上に、底面が平らでない(ポチッとした脚4本だけで水平を取る)ので、セルフタイマー撮影で置く時にいつも難儀する。
逆に、GX100はストラップが左から出ているのが不便な感じだ。それから、コネクタカバーは、構造的弱い。プラスチックのヒンジがボディーに固定されているので、何度も開閉して曲げられるうちに折れる(実際、届いたその日に取れてしまった)。その点、IXY3000は工夫していて、ヒンジを固定せず、引っ張り力に応じてヒンジが前後にスライドするようなっているので、折れにくそうだ。
それから、naokiさんによれば、鏡胴が動きにくいことがあるとのことだったのだが、なぜか大丈夫な感じだ。輸送時の振動で直ったか、これから出るのか分からない。ただ、今日、撮影時にピントが合わなかったことがあり、それがその問題によるものだったのかも知れない。様子を見たい。
- 頂いたCaplio GX100 (レンズキャップは自動開閉のものに交換)
- IXY Digital 3000ISとGX100
- IXY Digital 3000ISとGX100 (上から)
- IXY Digital 3000ISとGX100
- 早くもコネクタカバーが取れてしまった。
- 取れたカバーをテープで貼った。
その他に気付いたことは以下である。
画素数の設定バリエーションが少ないので、選択が難しい。画質がいいというFineモードで4:3の画角にするには、10M(約3700x2700)画素にする必要があり、僕には多過ぎる。が、ファイルサイズはそれほど大きくない(3.6MB程度。IXY3000は5M(約2600x2000)画素で2MB程度)ので、10Mにしている。3:2や1:1だと画素数がもう少し減るが、どうも馴染めないので使っていない。
PCとの通信がPTPでなく、USB Mass storageクラスか独自プロトコルとなっている。独自プロトコルを作るなんて面倒なことをするくらいならPTPにすればいいのにと思うが、メーカーにありがちなことだ。Mass storageでも問題はないのだが、僕の画像取り込みプログラムはPTPなので、そのままでは使えない。仕方ないので、対応するように修正した。
Mass storageなら、ファイルマネージャ(Windowsのエクスプローラー)でカメラが開けるので、(画像取り込みプログラムを使わなくても)手軽に画像をコピーできるのだが、実際には、カメラを繋げたら自動で取り込みたいし、画像ファイル名にカメラのIDを付けたいし、取り込み済みのものは再度取り込みたくないし、コピー先のディレクトリを年月日で自動で振り分けたいし、新しい画像が一目で分かるようにしたいので、自分の取り込みプログラムを使いたいのだ。
撮影
つぎに、撮影して画像を比較した。参考のため、スマフォ(シャープ AQUOS sense lite、以下AQUOS)も比較した。GX100の色味がAQUOSに似ていると感じたため、意外にAQUOSのカメラも実力があるのかと思ったためだ(実際にはそうではなかった)。比較を容易にするため、各カメラではなるべく同じ位置から撮影し、構図(撮影範囲)がなるべく同じになるように、ズームを調整している。また、画質(特に色再現性)が分かりやすくなるように、このブログの通常(500画素)より大きいサイズにした。以下、画像の並びは、IXY3000、GX100、AQUOSの順である。
室内で比較
まずは室内で試した。(散らかっているのは見えないことにして頂きたいw)
- IXY Digital 3000IS
- Caplio GX100
- AQUOS sense lite
- IXY Digital 3000IS
- Caplio GX100
- AQUOS sense lite
GX100は少し暗めで赤っぽいが、色は一番自然だ(実物に近く感じる)。上にも書いたが、意外に、AQUOSの色はGX100に近い。IXY3000は明るめにしているようで、実物より少し白っぽい。また、GX100は広角なので、同じように撮るとIXY3000より広く写る。AQUOSも同様に広い。
ディスプレイの写真ではなぜかIXY3000は破綻している(色温度がおかしい)。以前からそうなのだが、理由が分からない。その前のカメラ(IXY900)では問題なかった気がするので、この機種の問題なのかも知れない。色温度の設定を変えれば直ると思うが、他は大丈夫なのだから、通らないと思う。意外に、この写真はAQUOSが一番良く見える。人工的な絵柄だからだろうか。
屋外で比較
近場の公園に撮影旅行散歩して来た。
- IXY Digital 3000IS
- Caplio GX100
- AQUOS sense lite
- IXY Digital 3000IS
- Caplio GX100
- AQUOS sense lite
- IXY Digital 3000IS
- Caplio GX100
- AQUOS sense lite
- IXY Digital 3000IS
- Caplio GX100
- AQUOS sense lite
- IXY Digital 3000IS
- Caplio GX100
- AQUOS sense lite
- IXY Digital 3000IS
- Caplio GX100
- AQUOS sense lite
- IXY Digital 3000IS
- Caplio GX100
- AQUOS sense lite
- IXY Digital 3000IS
- Caplio GX100 (明るさを調整)
- AQUOS sense lite
- Caplio GX100 (オリジナル)
個人の好みによるし、各画像ごとにどれがいいかは異なるが、全体を通してみるとGX100が最良だと思う。特に色の自然さ(実物への近さ)がいい。ただ、IXY3000に大差を付けているかというとそうでもなく、25-50%増し程度と思う。
IXY3000は、室内同様、全般的に白っぽい。明るいのはいいと思うが、色は実際と異なる。特に、赤・緑は駄目だ。AQUOSは、他と比べると「おもちゃ」になってしまう。色自体は悪くないのだが、細部の色が潰れているのが分かる(例: 朝顔)。
それから、IXY3000は広角でないので、他と比べると使い勝手が悪く感じてしまう。実は、これの前のカメラ(IXY900)は広角で、当時は標準の方がいいと思っていたのだが、やっぱり広角の方が便利だったようだ。
以下、主な画像について書く。
朝顔の花は、IXY3000の方が細かい模様の表現がいい感じだが、葉の色はGX100の方が良さそうだ。そして、AQUOSの花はべったりと塗られてしまっている。JPEGの圧縮の問題なのだろうか。
バスケットボールのポストの赤いマットの色がどこまで再現できるか気になっていたが、予想通り、IXY3000は白っぽくなってしまった。GX100が一番近い。ヒストグラム(画像をクリックし右上の i マークを押すと出る)を見ると、赤成分の量や分布が違うようだ。
オレンジ色の花の時に、GX100の焦点が合わなかった。花が風で動いていたせいかも知れない。 (9/13 2:37追記) この写真では、IXY3000の背景のぼけ具合がGX100より良いことに気付く。絞り値を見ると、GX100の方が大きい(IXY3000: F2.8, GX100: F3.6)ので、自分で調整すれば同等になるのかも知れない。が、絞り値が同じ朝顔でも同じ傾向なので、光学系の違いが出ているのかも知れない。あるいは、GX100では、IXY3000と構図を合わせるためにズームしたことが関係しているのだろうか。いずれにしても、この辺り(撮影パラメタの設定のし方)は、カメラやメーカーの画作りの指向が出ていそうだ。
ぎんなんの実や銀杏並木や落ちたぎんなんは、意外にIXY3000とGX100は同じようになった(AQUOSも)。IXY3000は何かの条件が揃うと綺麗に写るのだが、それに関係しているのかも知れない。AQUOSも同様ということは、この画は「難しくない」のだろうか?
機関車では、画角の違いで露出条件が変わってしまったので、あとでGX100を暗くして他に合わせた。IXY3000はズームを最小にしてもここまでしか写らないが、GX100は随分広く写るので、便利な気がした。
GX100の撮影モードの比較
(9/13 11:23, 16:53追記) 後述のフラッシュ撮影では、GX100の撮影モードはオートよりPモードのほうが破綻が少なそうなので、それらの違いを比べてみた。その結果、Pはオートより若干明る目に写ることが分かった。そのためか、赤が少し白っぽくなってしまう。ただ、試しにバスケットのポストで、オートモードを約30%明るくしてPモードに合わせると(3枚目)、マットの色が同等になるので、Pモードの色再現性が劣っている訳ではなく、露出の違いで色が違って見えると考えられる。また、Pモードが明るくて白っぽくなっていてもIXYよりは良いと思われる。比較のため、4枚目に昨日のIXY3000のものを再掲する(撮影条件(特に日当たり)が違うので、正確には比較できない)。
- GX100: オートモード
- GX100: Pモード
- GX100: オートモードの明るさをPモードに合わせた場合
- IXY Digital 3000IS
- GX100: オートモード
- GX100: Pモード
(オートモードが)少し暗目なのは最初から気になっていたし、Pモードの明るさは好ましいので、こちらを使ってみることにする。ただ、もし気に入らなければ、オートモードにしようと思う。
AQUOSのカメラアプリの比較
(9/13 11:23, 17:01追記) 朝顔でのAQUOSの細部の潰れはカメラアプリによるのかを調べるため、再度、純正カメラアプリで撮影して比較した。その結果、純正アプリでも細部は潰れており、それどころか純正はわずかに良くない感じなので、カメラアプリは関係ないことが分かった。
- AQUOS: Footej camera
- AQUOS: 純正カメラアプリ
- GX100
ちなみに、ヒストグラムを比べると、AQUOSとGX100の分布は全く違うので、カメラ(色フィルタ?)の特性が違うようで、やはり、カメラ自体が今一つなようだ。まあ、スマフォは元々メモ用と考えているので問題ないが、使う時はこういう点に留意する必要がありそうだ。
フラッシュ使用時を比較
(9/13 2:08追記) 思い出したので、フラッシュを使った場合も比べたら、思わぬ結果となった。
- IXY Digital 3000IS (非マクロ、自動発光)
- Caplio GX100 (非マクロ、自動発光、ISO Auto-HI)
- AQUOS sense lite (純正カメラアプリ)
- GX100 (強制発光、マクロ、ISO Auto-HI): 飛び
- GX100 (非マクロ、ズーム、自動発光、ISO Auto): 明るさのばらつき
- GX100 (非マクロ、ズーム、ソフト発光、ISO Auto): 明るさのばらつき
- GX100 (非マクロ、ズーム、自動発光、ISO Auto): 明るさのばらつき
- IXY Digital 3000IS (マクロ、自動発光)
- AQUOS sense lite (Footej camera)
GX100は、特にマクロで強制発光時、フラッシュが強過ぎて飛んでしまうことがある。ISOがAuto-HIやフラッシュを強制発光にするのが良くないようで、ISOはAutoでフラッシュは自動発光かソフト発光にすればいいようだが、それでも明るさにばらつきがある(5-7枚目)。ただ、うまく行った時はとてもいい感じになるので、ちょっと癖がある感じだ。もしかすると、背景が白なのが良くなかったのかも知れない。また、今回は焦点が合わないことが多かった。合いにくい被写体だったのか、鏡胴の動きの問題が出ているのかはまだ分からない。
(9/13 7:48追記) GX100でフラッシュが強過ぎて飛ぶことがある問題は、撮影モードが通常のオート(カメラのマーク)モードの場合には、ISO設定や強制発光には関係なく起こり、P(プログラムシフト)モードにすると起こらないようだ。また、オートモードでは真っ暗に写る場合もあった。オートとPで何が違うのかは分からないが、Pで試したい。ちなみに、偶然だが、IXY3000もPで使っている。詳しい理由は忘れたが、確か、Pの方が処理が単純で問題が起こらなそうだと思ったのではないか。
画像のEXIF情報を調べたところ、飛ぶ場合は、正常な場合に比べてF値が小さくなっている(例: 正常時は9.2が2.5)か、ISO値が大きくなっていた(例: 正常時は100が271)。どうやら、露出の計算がうまく行かない場合があるようだ。また、Pモードはオートよりも露出の処理が簡単(露出を動的(勝手)に変えない)なので、飛びにくいことが期待できそうだ。
また、焦点が合わない問題は、合焦時には鏡胴は動かないから、鏡胴の問題とは関係なく、苦手な被写体があるようだ。
(9/13 8:31追記) なお、ファームウェアのバージョンは最新のようだった。
IXY3000はフラッシュが強過ぎることはないが、暗目だしムラがあるので、今一つである。今までも、フラッシュを使ってうまく行くことは少なかった(明る/暗過ぎたり、ムラになったり・・・)。AQUOSはフラッシュでなくLEDライトなので、強過ぎることはなさようだ。色や明るさに関しては、これが一番いい雰囲気だ。なお、カメラアプリは純正がいい感じである(朝顔の潰れの問題の原因がアプリにあるかも知れないので、今回は純正も試した。朝顔についても追って試す予定だ)。
結論
最後に総評的なことを書くと、GX100は、まさに「質実剛健」で、ちょっと見た時に目をひくことや外見の見栄えなどを追わずに、きちんと基本を押さえているという点で好ましい。特に、色の自然さに感心した。なので、(いくつかの欠点はあるものの、)今後はメインカメラをGX100に切り替える方向で試して行きたい。
その他
以下に細かいことを列挙する。
- GX100
- IXY3000に比べて、わずかに撮影時の「手軽さ」が少ない。ただ、撮影の失敗は少ない気がする。
- マニュアルフォーカスが使いやすい。これなら、積極的に使う気がする。
- メニューの操作性が今一つのところがあり、意図せずに設定を変えて気付かないことがある。: どうも画像の並びがおかしいと思ったら、間違って年を2017年にしてしまっていた。。。
- USBケーブルをつなぐと自動で電源が入ってPCに画像を転送できるのが、便利。
- 画像ファイルに縦横情報(orientation)が入らない(→ 自分で画像を見て回転させる必要がある)のが惜しい。当然入ると思っていた・・・
- 画像ファイルの通し番号がリセットできない?
- 画像ファイルのコメントに余計な文字列("Exif_JPEG_PICTURE")が必ず入る。
- LinuxでフォーマットしたSDカードをなぜか認識せず、カメラで初期化する必要があった。
- 充電器のACプラグの位置(オフセット)がIXY3000のと左右逆なので、テーブルタップの使用箇所を変える必要がある。
- 画像取り込みプログラムの改良をしたい(取り込み時に出るダイアログを出さないようにする。Wi-Fi接続でのAQUOS対応)。
最後になりましたが、naokiさん、いいものをありがとうございました!
PS. 画像のサイズ(画素数)について: カメラの評価・比較をするのに画素数を減らしたら意味がないと言う方も居るだろうが、僕は、(音楽と違って、)写真の細部(精細度)は余り重視しておらず(もちろんピンボケは駄目)、また、ディスプレイでも等倍(100%)表示することはまずなく、細かい部分を拡大して見ることもせず、全体的な雰囲気や色や見え方の自然さを重視しているので、画素数を減らしても問題ないと考えている(画素数を減らす時に色なども変わってしまう可能性があるが、今まで見て来た感じでは問題なかった)。実際、上に挙げた例のように、違いは充分分かる。 (9/13 3:12)
naoki: 2018-09-12 22:38
どういたしまして!
完動品ではありませんが、喜んで頂けたようで良かったです。
僕も親しんだカメラですし、れんとさんに引き取って頂けて有り難かったです。
それにしても、とても興味深いエントリでした!
画質は、比較してみると違うもんですね。特にAQUOSが。
IXY3000とGX100は比較しなければ分からないレベルでした。
比較しなければ分かりませんが、比較してみた時に、
朝顔の写真で、うしろの緑の部分の色が濃いんですよね(れんとさんも指摘されてますね)。
他にも写っている緑の写真を何度も見比べて、何となくですが、
GX100は黄色みが濃い気がしてきました。
(そこで、昨晩お送りした黄色いジャングルジムの発色にアタマの中で結びつきました)
改めて作例を見ると「ああ、こういう発色だったよなあ!」と懐かしいです。
でも確かに若干暗めな写真になりますね。
そして、昨日(おととい?)まで手元にあったデジカメを
れんとさんのブログで見るこの違和感w
ヒンジ部の話ですが、よく考えたら僕は、
この部分を開けたことが多分1~2回位しかありません。
というか、記憶が無いほどです。
いつも、SDカードを抜いてPCに挿して写真を移動してたので。
そういう意味では、ヒンジは貧弱ですね。
あと画角については今まで意識してなかったんですが、
特に電車の写真で、雰囲気が全く異なることに感心しました。
ストラップですが、左だと不便ですよねえ……と思って
画像検索してみたら、右にもストラップ穴があるようです。
なんか、このエントリを見ていたら、
(写真はスマフォで十分と思っていましたが)
今度デジカメを買うときには、
CCDにしようという気になりましたw
れんと: 2018-09-13 00:14
●そう、僕も、こうやって比較しないと分からないことが結構ありました。
AQUOSは、もしかして、アプリ(Footej camera)が無料版でJPEGの品質が上げられないせいで細部が潰れているかも知れないことに気付いたので、純正アプリでもう一回試したいです。
GX100の黄色みについては、僕は気付かなかったのですが、緑がいいのはそこなんでしょうね。
ヒンジ、そうだったんですか・・・ 経年劣化なんでしょうが、余りにも弱いですw 材質が良くなかったようですね。
そして、ストラップの件、ありがとうございます! 僕の目がフシアナでしたw その時はまったく分からなかったのですが、今、付け替えました。
次回、是非またCCDでお楽しみ下さいw