えぬけいさんのツイートが発端で、Spotifyでオルゴールの曲(好きな・興味のあるジャンルの8曲)を試聴し、周波数特性などを調べてみた。以下に試した曲を示す。

  1. イン・マイ・ライフ」 Relaxing Orgel (2009)
  2. きよしこの夜」 Relaxing Orgel (2008)
  3. ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」 The Orgels (2008)
  4. G線上のアリア」 街のオルゴール屋さん (2014)
  5. ピアノ協奏曲 第21番「みじかくも美しく燃え」 - オルゴール」 Relaxing Orgel (2005)
  6. ロビンソン (オルゴール)」 Relax α Wave (2017)
  7. モーツァルト:フィガロの結婚 序曲 (オルゴール)」 Orgel Sound J-pop (2017)
  8. いい日旅立ち Originally Performed By 谷村新司 (オルゴール)」 Orgel Sound J-pop (2018)

まず、主観的な印象は以下のツイートの通り、ひどいものだった。

印象の補足を以下に示す。

  • 演奏としての表現がない。テンポ、音量がすべて一定(録音なので毎回変わることはないが、表現としての、あるいは、人が演奏することに起因する揺らぎや微妙なズレがない)。まさに、「いかにもオルゴール」だが機械的なつまらない演奏。 : 構造上、音量は変えようがないだろうが、楽譜どおりに打ち込んだのだろうか?
  • 音が硬くて聞き疲れする。: チェンバロに近いものがある。
  • 残響を多目に掛けて「リラックス感」を演出しようとしている?: 誤魔化しで、感心できない。

印象が悪い原因を探るため、Audacityで周波数特性を調べた。気付いた点は以下である。

  • 帯域が狭いものが多い。概ね200Hz-2kHzの範囲に集中している。: オルゴールの構造的に広い帯域が出せないのは仕方ないだろうが、普通の楽器と違って倍音成分が少ないようだ。
  • ピークが鋭い: このために音が硬く聞こえるのだろうと思うが、オルゴールの発音機構の特徴によるものなので、仕方ないだろう。
  • 音質(録音)が悪いものがある。: 超高域(10kHz以上)・超低域(50Hz以下)に音が出ている。オルゴールでこんなところに音が出せることはあり得ないから それらは雑音で、録音・制作に問題がある。特に、聞こえない成分(20Hz以下)のレベルが大きいまま残っているのは手抜きだ。

以下にそれらのスペクトラムの例を示す。いずれも、任意の場所から5秒程度のものである。

それで、超低域が出ているものの超低域をカットしたら印象が変わるか試したが、それほど良くならなかった。演奏の単調さや音の硬さからの印象の方が大きいのだろう。

そして、今朝気付いた。あれは本物のオルゴールを録音したものではなく、シンセかなにかで自動演奏した音を録ったのではないかと。というのは、検索するとものすごく大量に曲があるうえに、最新の曲(例: 米津)だって多くあるからだ。いくらなんでも、まともな(本物の)オルゴールがそんなに大量に(曲種の意)作れる訳がない。それは演奏ではなく、「製品」としかいいようがない。こういうのが乱造されたら、本物のオルゴールに大変失礼なのではないだろうか?

なかなかなかったが、本物のオルゴールの製作工程を説明しているページがあった。これを読むと、やっぱり、山のようにオルゴール(での演奏)曲ができることはあり得ないと思う。そして、シンセでの制作の説明は沢山見付かった。オルゴール用の音源があるようだし、オルゴールっぽい音作りについても書いてあった。そこまではいいけど、問題は演奏(編曲)だろう。

こういう時は、「演奏」の出自を調べるのにCDのライナーノーツが役に立ちそうだが、Spotifyには入ってないのが残念だ。でも、webで検索すると出て来るかも知れない。(→ 簡単には見つからなさそうだ)

そして、本物のオルゴールの演奏はこれよりはずっとまともなはずだと想像する。更に、どういう人が(演奏のためのピン配置を)作るのか興味が出た。ピアノロールのように、本物の演奏を元に作るのか、音楽家や音楽に造詣の深い人が作るのか、それとも感性で作るのか。この点はいつか調べてみたい。

検索したら、本物を録音したCD(2012)が見付かった。この演奏なら許せる。音(→ 試聴)もただ硬いだけではなくていい感じだし、いかにもオルゴールではない音のもの(例: 「乙女の祈り」)もあった。スペクトラム(→ 「乙女の祈り」、「トロイメライ」)を見ても、帯域が広く(特に、低域が豊か)、ピークもそれほど極端でなく、超高域もなくて自然な感じだ(ただし、超低域は残っている)。(それでも「この音は好き」とは言えないが、)これならリラックスできるかも知れない。

もう一つ本物が見付かった(CDでなく、本物の本体と再生用ディスクを売っている)。こちらは、演奏も音(→ スペクトラム: 「別れの曲」)も、(偽物よりはいいが、)まあまあだ。

それにしても残念なのは、このいかにもすごそうな本物(Victor RJ-3000MK2)の音が試聴できないことだ(試聴できるのは日本電産サンキョーの別物)。売る気があるなら、音くらい載せれば、「まあまあ」とか思われずに客が増えるかも知れないのに。。。 (著作権関係が面倒なのだろうか? でも、あんなに高い物を売るんだから、それくらいやればいいのに)

それにしても、オルゴールの音が「リラックス」や「α波」に関連付けられる根拠や由来は何なのかと思う。好みの問題は大きいだろうが、あんなに硬い音を(テンポ・音量の)揺らぎなしの機械的演奏で聞かされたらイライラすると思うのだが。リラックスできる方の体験談を聞いてみたいものだ。

→ (書いたあとで本物を試聴して分かったのだが、)本物なら確かにリラックスできそうだが、偽物(合成品)では逆効果だと思う。偽物でリラックスできる方の話を聞いてみたい。

(19:19 わずかに加筆)

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2件のコメント

  1. naoki:

    素晴らしいです。

    特に帯域については、自称と本物のオルゴールで、(れんとさんの説明もあり)僕にもひと目で違いが理解できました。

    そして本物の試聴、あれは素晴らしかった。れんとさんも仰る通り、オルゴールの発音部のものではない機械音のようなものが聞こえますね。ピアノの演奏で言えば、ペダルを踏む音のような。

    そしてそれがあるから、自称オルゴールとは全然違うなと感じました。時間があったらどこかのオルゴール館に聴きに行きたいくらいです。

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  2. れんと:

    ●違いが分かって良かったです。僕も、(これを最初に書いた後に見付けて)本物を聴くまでは、その良さが全然想像できませんでした。

    余りちゃんと聴かなかったので、機械音には気付かなかったですが、ピアノ同様、それはいいですね^^

    オルゴール館には本当に行く価値がありそうです(とは言え、僕はなかなか行かないと思いますがw)。そして、自称オルゴールは真面目にやっている本物の営業妨害なので止めた方がいいですね。

    きっと、偽オルゴールの演奏を作る人は「オルゴールなんてこんなもんだろう」と軽く見ているところがあるんでしょうね。。。

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