昨日絶賛したPQI Air Card II(以下、Air Card)。引き続き、デジカメ画像取り込みシステムの構築作業を続けていて、ふと思った。先日のLEDランプを測った時の治具で消費電力が測れるのではと。早速やってみたら、何とか測れた。

単体では無理なので、カードリーダー(I-O Data USB2-7inRW)に挿した状態で測定した。比較のため、カードなしの場合、Air Cardなしの場合(16GB micro SDをアダプタで使用)、Air CardのWi-Fi接続時と切断時(アイドル状態)を測定した。以下に結果を示す。なお、電流値は約1Ωの抵抗の両端の電圧をアナログテスターで測った。そのため、精度は低い。なお、カードのみやAir Card+SDカードの消費電力は、アダプタ込みの値からアダプタ単体の値を減算して求めた。また、電力は電圧を5Vとして計算した。

  • カードなし(アダプタ単体): 60mA (300mW)
  • SDカードのみ(Air Cardなし): 70mA (350mW) → SDカードのみ: 10mA (50mW)
  • Air Card
    • 起動直後: 120mA (600mW) → Air Card+SDカード: 60mA (300mW)
    • Wi-Fi on時(APに接続状態): 220mA (1.1W) → Air Card+SDカード: 160mA (800mW)
    • Wi-Fi off時: 160mA (800mW) → Air Card+SDカード: 100mA (500mW)

Air Cardの消費電力がかなり大きいことが分かり、愕然とした。Wi-Fiがonの時は仕方ないにしても、offにすれば減ると思い込んでいたので、offにしてもほとんど減らないのは想定外だった。そこで、何とか減らせないものかと試行錯誤した。

ほとんどは効果がなかったが、Wi-Fiの電力管理の設定で減らせた。具体的には、Air Cardにログインして以下のコマンドを実行する。

wl PM 2

"2"は"1"でも良い。2だと高速(状態変化に速く適応する)に電力を制御するようだ。この設定をしてもWi-Fi off時の消費電力は変わらないが、on時(APに接続)のアイドル時の電力が下がることが分かった。"2"の場合の測定結果を以下に示す。

  • Air Card (電力管理設定あり)
    • Wi-Fi on時(APに接続、アイドル状態)、Wi-Fi off時: 160mA (800mW) → Air Card+SDカード: 100mA (500mW)

つまり、Air Cardのアイドル時の消費電力は、Wi-Fiのon/offに関わらず約100mA (500mW)となる。どうにも信じ難いのだが、Wi-Fi部でなく基本部が電気を食っているようだ(あるいは、電力制御機能がなくて、Wi-Fiを"off"にしても電気は流れているのかも知れない)。そして、上記のとおり、SDカードのみだと10mA (50mW)なので、Air Cardを使うと消費電力が10倍になる計算で、更に愕然とした。ただ、調べたところでは、東芝のFlashAirはWi-Fiをoffにすると消費電力が小さくなるが、Air CardのWi-Fi off時の消費電力は大きいままだ。(3/25 4:44 訂正)

(3/25 4:44) SiSO-LABによれば、FlashAir単体の消費電力は以下のとおりだったので、Air CardのWi-Fi off時の消費電力はFlashAirの5倍程度と、特に大きい。

Wi-Fi on時: 622mW, Wi-Fi off時: 104mW

普通のLinuxだと、CPUやSDカードなどのクロック周波数を下げて消費電力を減らせる可能性があるのだが、Air Cardにはそのようなコマンドはない。また、poweroffのような、システムを停めるコマンドもない(別の製品(Flucard)のpoweroffコマンドを試したが、効果はなかった)。

ただ、カメラ本体の消費電力が大きい場合には、SDカード部の消費電力が増えてもそれほど影響がない可能性があるので、カメラ(IXY Digital 3000IS)の消費電力を調べてみた。CIPAの測定値と連続再生時間は以下のとおりである。

画面表示時: 280枚, 再生時間: 6時間
バッテリ: NB-5L: 3.7V, 1120(1050)mAh, 3.9Wh

それで、CIPAの測定方法から、撮影時のおおよその連続使用時間を求めて平均消費電力を推定しようとした。CIPAの測定方法の概略は、以下のとおりである。

  • 30s間隔で撮影
  • 2回に1回フラッシュ
  • 10枚ごとに電源off, on

そこで、平均撮影間隔を1.5枚/分とすると、280枚では3.1時間なので、平均消費電力は

3.9Wh/3.1h= 1.25W

となる。Air Cardのアイドル時の消費電力は上記のとおり0.5Wなので、約40%の増加(撮影可能枚数は40%減)となり、やっぱり大きい。なお、再生時の消費電力は3.9Wh/6h= 650mWなので、Air Cardによってほぼ倍増する(再生可能時間は1/2)計算になる。

これでは使う意味がない気がして来た。無理をしてでも消費電力を下げるには、例えば、micro SDをアダプタでカメラに入れて撮影し、家に戻ってPCに画像を転送する時だけAir Cardに挿し直すことだが、手間が増えて何がいいのか分からない。ケーブルがないことだけがメリットだが、カードを挿し替えるくらいならカードリーダーを使う方がいい。。。

作業を続けるべきか迷う(やる気は結構下がったw)が、とりあえず作って、ひととおり使って、電池がどのくらい持つのか確かめてみたい。

 

PS. 一つ、Air Cardが使える可能性があるのは、カードリーダーの動作時の消費電力が大きい場合だ。カードを挿していない時の消費電力は上記のように低いけれど、カードを挿して動かすと増える可能性がある。その時にはAir Card+SDカード(カードのみも)の消費電力が相対的に減るので、Air Cardによる消費電力の増加は少なくなる。これを調べるにはSDカードの端子を引き出さなければいけないので、無理だ。本当に使ってみるしかない。

いやいや、良く考えると、SDカードのみの場合の消費電力も小さいから、カードが挿さっていなくてもカードリーダーは動いているようだ。そして、仮にSDカードの消費電力が0Wだったとしても、カードリーダー単体の消費電力が50mW増えて、Air Cardがその分減って450mWになる程度だ。「詰んだ」ってやつかな。。。

PS2. もう一つの可能性は、Air CardのLinuxのカスタマイズ部分を解読して改造することだ。Linuxが起動するまでは消費電力が低いようなので、その逆に、Wi-Fiを使わなくなったらLinuxが起動する前の状態に戻せばいい。はずだが、かなり面倒なうえに、それで消費電力が減らせるかどうかは不明だ。そもそも、僕はAir Cardで遊びたい訳ではない(おもしろかったのは確かだが、機能が貧弱過ぎるので、余りおもしろくない)ので、FlashAirに乗り換えるほうがいい。 (3/25 9:31)

PS3. Linuxが起動しなければ(各種デバイスが動かないから)消費電力が低いのかどうか確かめてみた。別の投稿のPS2にも書いたように、Air Card用のプログラムをコンパイルすることすら困難だったので、ブートローダ(u-boot)ファームウェア更新プログラム(program.bin)を改造した。Air Cardの更新ファームウェアのZIPを展開したうち※のprogram.binというファイルがブートローダ更新プログラムである。その中に書かれたスクリプト(u-bootのサブセット?)でファームの更新とLinuxの起動を行っているようなので、u-bootの終了や長時間のスリープに置き換えて、Linuxを起動させないようにした。具体的には、以下のようにして改造した。

sed -e 's/bootcmd=run set_bootargs; run bootf/bootcmd=sleep 123456; sleep 234567/g' -e 's/fatload mmc/exit; /g' program.bin > /tmp/program.bin

※PQI Air Card IIのファームウェアファイルの内容(推測)は以下のとおり。

    • program.bin: ブートローダ(u-boot) ファームウェア更新プログラム
    • mtd_jffs2.bin: /mnt/mtdのファイルシステムの内容
    • Image3: Linuxカーネル
    • initramfs3.gz: Linuxのルートファイルシステム(/)の内容
    • autoload.tbl: (ない場合もある)不明。読み込むファイル一覧?

試すには、改造したprogram.binと残りのファームをmicro SDに書き込んで電源を入れてしばらく待てば良い(元に戻すには、本来のファームをmicro SDに書き込んで電源を入れてしばらく待てば良い)。

残念ながら、結果は駄目だった。Air CardのAPはできていないので、確実にLinuxは起動していないのだが、消費電力は減っておらず、上記のアイドル時の消費電力と同じ100mA (500mW)だった。

結局、そもそもAir Card自体が何もしなくても消費電力が大きいようだ。ここから減らそうとしたら、電源管理モジュールの機能を使ってシステム(ハード)の動作を停止させる必要がありそうだが、そういう機能があるのか不明だし、この状態ではWi-Fiモジュールは動作していないことが確実なので、それ以外の消費が大きいということなので、まず減らないだろう。

という訳で、Air Cardが日の目を見ることはなさそうだ。

(3/25 4:44 FlashAirの消費電力を訂正; 8:56 題に追加、加筆・修正; 3/27 12:07 PS3を追加; 3/29 13:36 program.binの内容を訂正)

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3件のコメント

  1. naoki:

    すごい……。僕に言わせれば、れんとさんがされている、この測定とかの方が「ものすごいこと」です。

    以外に電力を喰うんですね。僕の持っているFlashAirも同様らしいとのことで、改めてガッカリしましたw

    ただ、れんとさんの思う方向に進んでいないんですが、このエントリは資料として役立つ気がとてもしています。

    僕なんかだと、ざっくりと「デジカメのバッテリーの減りが早くなる。体感で半分くらいか」みたいな言い方になりますw

    ちなみにバッテリーは3本持ってますw

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  2. れんと:

    ●ありがとうございます。昔から、なぜか計測とか測定が好きなんです^^ あと、そういう結果を書き残すのも好きですね。

    ただ、書きながら疲れてしまって、FlashAirの値を再確認しなかったのですが、確か同じくらいでした(使用時かアイドル時か不明です)。あとでまた見てみますね。

    確かに、なおきさんの体感は合ってそうです。体感とか感覚とか直感って、外れることもありますが、結構正しいんですよね。

    なるほど、バッテリーを追加すれば、気兼ねなしにAir Cardを使えますね。まさにコロンブスの卵?www

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  3. れんと:

    ●FlashAirの消費電力を確認したところ、Wi-Fi off時はAir Cardの1/5程度と、かなり小さかったです。がっかりしました。

    僕の測定ミス(Wi-Fiがoffになっていない)だといいのですが、何度もやり直したので・・・

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