以前書いたように、昨日、ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2019で3つの演奏(公演)を聴いた。演奏は一部を除いて良かったのだが、施設(東京国際フォーラム)や運営がひど過ぎて(「[悲報] ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2019の運営がひどすぎた件」という題にしようと思ったくらいだ)、演奏は別にして、あそこにはもう二度と行きたくない(無料でも断る!)。それについては別途書くことにして(→ 書いた)、まずは聴いた演奏の感想を中心に書く。以下の"No."はラ・フォル・ジュルネの公演番号である。

No. 113: アンヌ・ケフェレック: モーツァルト ピアノ協奏曲 第25番

指揮: ミハイル・ゲイツ、オケ: シンフォニア・ヴァルソヴィア

この演奏については、席の問題が大きくて、純粋な演奏の感想を書くのが難しい(「評価対象外」とした方が適切なくらいだ)。席が最後列(後ろは壁)だったため、音が最悪だった。

このホール(ホールA, 次の2公演も同じホールだった)は5千人くらい入るようで、かなり大きいせいか、最後列は完全に「アウェー」な感じで、音も見た目も一体感が全くなかった(観たことはないが、野球の外野席のような感じだろうか)。「なんか遠くでやってるな」、「向こうで拍手の音が聞こえるね」って感じだ。だから、音に包まれるなんてことが全くなくて、コンサートの意味が感じられなかった。音量も小さく、例えば、全奏で大音量のはずの箇所でも自分の動きで出る音(例: ハンカチが擦れる音)が聞こえるくらいだった。

音量以上にひどかったのは、ステージからの距離が長いための遅延のせいで音が混ざってしまい(いろいろな遅延時間の音が混ざったのだろう)、短い音符、特に連打がぐちゃぐちゃになってしまった。更に、音質もひどいものだった。生演奏の良さは全くなく、質の悪いスピーカーで出してるのかと思った。はっきり言って、あの音をずっと聞かせられるんだったら、家で僕のステレオで聴いた方が100倍マシだと思った。あのホールは音楽用ではないのではないだろうか? それは、ステージの外見でも分かると思う。少なくとも、クラシック音楽のプロは居ないようだ。それでも使いたいなら、せめて後ろ半分の席を使わないようにするとかしないと、かなり無理がある。

別の投稿で書いたが、既に演奏の前に完全に嫌な気分になっていたので、第1楽章が始まって、とんでもない音なのが分かったらすぐに帰りたくなったのだが、通路から遠くて途中で出るのが難しかったし、連休なので新幹線の自由席には座れなさそうなことに気付いたので、我慢した(結果的には、それで以降の演奏を聴けたので、良かった)。

前にも予想したが、ケフェレックのこの曲は僕にはイマイチだった。僕は、この曲は、フレイのような豪快とかパワフルな演奏が(曲の性格にも合っているように思えて)好きなのだが、その正反対であったせいは大きい。まず、音が弱い。弱くて良く聞こえない。これは席の問題だけでない気がする。仮に近くても物足りないと思っただろう(多分、古楽器の好きな人は問題ない)。あと、何となく神経質そうな音に聞こえたのも、気に入らなかった。

モーツァルトの時代は(今のピアノはなく、)フォルテピアノだったから、大音量はあり得なくて、小さい音で弾くのが歴史的には正しいという考えなのかも知れないが、それなら小さいホールでやって欲しかった。ただ、弾く動作が大ぶりなところ(例: 少し長い休符の前の音を切る時に腕をバッと引く)があって、実は本人は大きく弾いているつもりなのかも知れない。それなら弱過ぎる。実際、同じオケでショパンを弾いたベレゾフスキーの音量は充分だった(ただし、席はずっといいところだったから、単純な比較はできない)。おもしろいことに、彼の振りは全く大人しいものだった。

いずれにしても、僕の好みではなかった。何となく、中学時代の、すぐに小言を言ううるさいオバさん先生を思い出してしまった。

※2曲目にバルディルーによるモーツァルトのクラリネット協奏曲も演奏されたが、知らない曲だし、そもそも早く出たかったから良く聴いていなかったので、感想は省略する。曲としては好きではない。

No. 114: ネルソン・ゲルナー: ラフマニノフ ピアノ協奏曲 第3番

指揮: スラドコフスキー、オケ: タタルスタン国立交響楽団

最高だった! 終始乗れて、完全燃焼して真っ白な灰になったw ケフェレックで帰らなくて良かったと思った。

ゲルナーは想像と違って小柄で(上述のフレイの指揮者ズヴェーデンと混同していたようだ)、人の良さそうな、ちょっと頼りなさそうなおじさんだった。だから、始まる前は、「(パワーなどの点で)大丈夫かな?」と心配したのだが、最初のフレーズを聴いた時点で全く問題ないことを確信した。実際、彼はこの曲を完璧に弾き切った。見事だったとしか言いようがない。下のベレゾフスキーを評したようなことを書くとすれば、「恐ろしい子!」だw

彼は頻繁に指揮者を見ていたのだが、難曲なので、致命傷になりかねない音ズレなどを減らそうという気持ちだったのではないか(そういう動作で、「いいおじさん」の印象を受けた)。音ズレの点では、結果としては、下に書くベレゾフスキーとは逆で、ほとんど感じられなかった。

席については、2階席だったのでステージが遠く(ステージ脇にディスプレイがあったので、遠くてもちゃんと見ることはできたが、後の稿で書くが、それもいいことばかりではなかった)、上から見下ろす感じで今ひとつだったものの、音は問題なかった。S席(この演奏)とA席(ケフェレック)の違いは大きいようだ。ただ、ケフェレックのAはCとかDのほうが妥当な気がする・・・

席が良かったので、普段、家では聞こえない低音が聞こえて、「なるほど、こういう作りだったのか」と思った(腑に落ちた気がした)。そういう音が聞こえることで、更にいい感じに・気持ち良くなったので、こういう音が家でも出せるといいのだが、そこから無間地獄が始まるので止めておくw

あと、別投稿の雑記の項に書く方がいいかも知れないが、途中で赤ちゃんが泣き出してしまって、母親に抱かれて退出したが、なぜか全然気にならず、微笑ましく思えるくらいだった(「そりゃあ泣くよね」、「どっちも可哀想に・・・」くらい)。(曲の)場所にもよるだろうが、この曲は僕の中では格闘技なので、細かいことはいいようだw でも、モーツァルトやショパンでは全くありえない。それにしても、この曲に赤ちゃんを連れて行くのはどういう考えなのか、聞いてみたい。けしからん以上に(それは今回は許せた)、どういう効果や価値があると思ったのだろうか。下手するとトラウマになる気がするw 単に、何も考えてないのか。まあ、誰も預かってくれないとかいう事情はあるだろうから、仕方ないが・・・

No. 115: ボリス・ベレゾフスキー: ショパン ピアノ協奏曲 第2番

指揮: なし (コンマス: ハウファ)、オケ: シンフォニア・ヴァルソヴィア

大変僭越ながら、「君はもっと良く弾ける子でしょ?」と言いたい。いや、実際のところ、彼の音は、溜息が出たほど・「死ぬほど」美しかった。オケもピアノに負けず綺麗だった。後で気付いたが、このオケは最初のケフェレックのと同じだったようだ。それにしては、音の聞こえ方が全然違っていた。編成や席の違いが大きいのだろうか。

協奏曲の前に、彼だけで練習曲を数曲演奏したのだが、最初の「エオリアン・ハープ」には本当に参った。あんなに綺麗な音が出るものかと思った。これだけで満足だったし、他にも練習曲を多く演奏したので、それだけでも充分な気がしてしまった。

一方、メインの協奏曲では(練習曲でもそういうフシがあったのだが)、どうも、本気を出してないような気がした(そんなことは全然ないとは思うのだが)。損しているのは、彼は、フルコンが小さく見えるくらい身体が大きくて、小さく見える鍵盤を大きな手で軽々と、いかにも赤子の手をひねるように弾いているように見えてしまうことだろう。その他に、ごくわずかに音が軽く感じたせいもある。ただ、前に書いたように、彼はサラッと弾く人のようなので、それが彼の表現なのかも知れない。そういうところが、以前買ったラフマニノフ ピアノ協奏曲 第3番のCDを気に入らなかった原因かも知れない。

他に気になったのは、何度も、オケとピアノやオケの中での音ずれがあったように聞こえたことだ。指揮者が居ないせいなのだろうか。最初は、ピアノが中央に配置されているところから見て、ベレゾフスキーが弾き振りしているように思ったのだが(実際には、弾き振りだったらピアノの前後が逆で、ピアニストが奥を向くように配置する)、パンフにはそうは書いてなかった(コンマスがリードするような雰囲気だった)。ただ、ステージ脇の画面には、時折彼が他の楽器に目配せして(睨んで?)いるのが写っていた。だから、主導権が誰にあるか不明な状態で演奏されているために音ずれが出たのではないかと思う。そういうところも、本気を出してないように感じた一因かも知れない。

今回の席は、1階の中央の少し後ろと、この日の中で一番いいところ(一般的には普通の席)だった。そのため、音質は全く問題なかった。ゲルナーの時と同様に、家では聞こえない低音が聞けて良かったし、音の作りが分かった。

まとめ

全体的には良かった。一番は、やっぱり、ラフマニノフのおじさんだったw ただ、さすがに一日で3つの演奏を聴くのは疲れた。例えば、最後の演奏が終わった時、左脚のふくらはぎがつりそうになった。でも、疲れは演奏以外の問題によるもののほうが大きかったと思う。それでも行って良かった(しかし、再度書くが、あそこはもう真っ平御免だ)。

 

(14:35, 17:21 加筆・修正)

  •   1
  •   1

2件のコメント

  1. naoki:

    なんかとても、続きのエントリが気になりますw

    しかし、No.113と114以降の、れんとさんの感想の差が激しくて面白いです。

    それにしても、赤ちゃんをこういうコンサートに連れてくるのは非常識ですねえ。周囲や演奏者の迷惑になるんですから、ちゃんとお子様向けのコンサート( https://piulento.net/marty/?p=3183 )に行ってほしいものです。

    •   1
    •   0
  2. れんと:

    ●ははは。最初は一緒に続けて書こうと思ってたんですが、演奏だけで長くなって疲れたので区切りました。

    後半は、東京国際フォーラムへの罵詈雑言が山ほど出そうです。ご期待下さいw

    やっぱり、赤ちゃんは一般的に非常識ですよね。確かに子育ては大変なのは分かりますが、ルールは守らないとねえ。

    ただ、これの案内には未就学児童はどうだったか書いてなかったのですが、一緒に入れたところを見ると、OKだったのかも知れません。

    そして、今になって怖くなるのですが、実はこれは、「ファミリー(と軟弱者)向けコンサート」だったというオチがあったりしてw (後半で書きますが、今になってそれが妙に納得できるんですよ・・・)

    •   1
    •   1

コメントを書く

名前    

メール 

URL