Archive for the ‘耳の不調’ Category

耳の問題の原因調査昨年末からのアンプ・DACの改良の草稿や余りを捨てるのも もったいないので、最低限の加筆・修正で公開して「消化」する。僕以外の方に有用かは不明だ。

最終的に「分かった」こととは異なる内容や今までの稿と重複している内容もあるが、発端や経緯や試行錯誤が うかがえる。

稿を書き出した順序や内容から、アンプなどの改良をし出し(てしまっ)た切っ掛けが分かった。: まず、冬になって耳の問題が起こりやすくなり、その原因を調べているうちに、DACのカップリングコンデンサの劣化を疑い、試しにコンデンサを追加したら効果があったことから始まったようだ。

なお、補足を「注: *** (2023/5/16記)」のように書いた。また、公開する時に図(主にグラフ)を追加しようと思って居たが、概ね却下したもの または公開した稿で更新しているので、以下には ない。


[耳・オーディオ] 耳の問題の原因が概ね分かった!」の余り (草稿: 2022/12/5-)

音が悪いと耳が辛くなる(耳閉感が多い)現象・症状

※身(耳)調の影響は大きい。それと外部要因を切り分けるのが難しい。かと言って、耳閉感が全部身(耳)調からのものという訳ではない。というのは、それまで調子は問題なかったのに、悪い音を聞いた途端に なることがあるからだ。

  • ASUSで44kHz(フィルタ: slow)は問題なく、sharpだと危うい(昔は問題なかったが、近頃は ほとんど駄目)が、96kHz(sharp)なら問題ないので、超高域の量ではなさそう。
    • 可聴域ギリギリの高音域(15k-20kHz)での位相(か何か)の急変が関係あるのかも知れない。
      • 実際、中低域でも急なフィルタは駄目だった。 → 高域・位相とは限らず、どの帯域でも急なフィルタが駄目なのかも知れない。 (原因候補1)
        • それが何(歪み? 雑音? 位相?)に関係して耳閉感になるのか、まだ分からない。
        • 超低域(原因候補4)との関係が不明。独立なのか、超低域を補強するのか。12/31の投稿を参照。 (2023/1/3)
    • slowは問題ないが、特性が物理的に正しくないことが分かったので、使わないことにした。 (12/15)
    • なぜか、96kHzのslowが良かった。次は44kのslow。sharpは ほとんど駄目な感じ。12/31の投稿を参照。 (1/3)
    • 注: "ASUS": Essence STX II (DAC);  "44kHz", "96kHz": サンプリング周波数; "sharp", "slow": DACのフィルタの特性 (2023/5/16記)
  • また、Scarlett(96kHz)は駄目だったので、全体的な歪みと雑音の量も関係あるではないか。 (原因候補2)
    • 信じられないことに、それらの上限は とても低いようで、Scarlettの歪み: -94dB, 雑音(DR): 108.5dB(A)※では駄目だ。
      • ※ScarlettとASUSの差は約16dBなので、ASUSの約6倍。
      • 更に、(昔の?)CirrusのDACやADC(Scarlettのはコーデック)は、駄目なノイズシェイピングで可聴域外の雑音が多いせいか、耳閉感が起こる。
        • → 20kHz以上を落とす簡易なLPFを試したが失敗した。。。
          • LPF自体の性能(落とし方)の問題か、出力回路のドライブ能力の制限のために歪みが増えるためかは不明。
    • ASUSは歪み: -110dB, 雑音(SNR): 124dB(A)なので、仮に その2倍まで耐えられるとすると、歪み(THD+N): -104dB, 雑音(SNR, DR): 118dB(A)くらいだろうか?: ここらはCDの限界を超えているから、どうも信じられない。
      • 雑音の質(アナログ(ホワイトノイズなど)とかデジタル(量子誤差)とかのタイプや周波数的分布)にも関係するのかも知れない。
        • 例: 上のCirrusの可聴域外の雑音。
      • あと、小音量・SPの近くで聴いているのも関係あるだろうか。
      • 車とかヘッドフォンの音(特性・性能)は随分悪いはずなのに耳閉感が起こらないのが、謎。
        • アンプと関係ある?
          • 微細な雑音や歪みまで忠実に増幅するため?
          • 本当に発振していない? (以前測定した時は、100kHz辺りまでは大丈夫だったが・・・: スピーカーの上限が40kHzなので、100kHz以上は出なさそう。ただ、それより低い音が変質する可能性はある。)
            • 音を出していなければ症状は出ない。 → 発振していないか、音に合わせて発振することがあるか。
            • 音を出していても、「駄目なこと」(上記・下記)をしなければ問題ない。 → 発振していない可能性が高い。
    • 超低域(原因候補4)との関係が不明。独立なのか、超低域を補強するのか。12/31の投稿を参照。 (2023/1/3)

その後の追加

  • 雑音(34kHzなど)の結果 → (原因候補3)?
    • 34kHz → (3-1)
    • 8kHzと高調波 → (3-2)?
    • 1kHz以下の広い雑音 → (3-3)?
  • DACのカップリングコンデンサの劣化による超低域の変動? → (原因候補4)
    • DACのフィルタ(slow, sharp)や超高域の量や補正フィルタの傾きは無関係??
    • ただ、ASUSは そうでも、他のDAC(DS-200), インタフェース(Scarlett, DEQ)は無関係では。
    • なぜか、本当にコンデンサで音が違う。 (12/22) (DACのフィルタの稿に書く?)
      • 以前買って使わなかった黄色いものは悪くなかった(最初は少し違和感があった)が、WIMAは全然駄目だった。 (どちらも1uF)
        • 注: 「黄色いもの」: PARC Audioのフィルムコンデンサ (2023/5/16記)
      • 特性は全く同じ。
      • その前の電解コンデンサとの相性?
  • コンデンサの劣化とは関係なく、容量が大き過ぎて超低域がスピーカーから出て来て・あるいは超低域が変動して耳閉感が起こったようだ。12/31の投稿を参照。 (2023/1/3, 2/7) → (原因候補4)
    • 気付いた切っ掛けは、クラシック音楽を掛けると耳閉感が出て、ポップ音楽にすると消えたこと。それがリピートした。 (1/3)
    • カップリングコンデンサをフィルムに換え、アンプのフィードバックの電解コンデンサもフィルムに換えた。 (2/7記)
  • アンプのフィードバックのマイカコンデンサは音が悪いことが分かった。それが耳閉感に関係していたかも。 →  フィルムに換えた。 (2/7記) → (原因候補5?)
    • 誘電体吸収のため。 (2/13記)
  • 音以外に耳の調子によるものはある。朝、食後に問題が起こりやすい。  (2/7記) → (原因候補6)
    • 太い道路の自動車(朝の通勤時間帯は渋滞する)の低周波騒音? (2/13)

 

新DAC: 今のところ、手が出せる価格帯で可能な製品が ほとんどない。: iD4とAXE I/Oだけ(ESSとサポートがクソなところを除外した場合)。だが、どちらもCirrusなので超高域の雑音が駄目っぽい。

注: "iD4": Audient社; "AXE I/O": IK Multimedia社; "ESS", "Cirrus": DACのチップメーカー (2023/5/16記)


「三歩進んで二歩下がる? オーディオは作っては壊し? (今のDACのフィルタの謎解き → なぜか他のフィルタを作り直し)」 (改良の発端の頃の草稿: 2022/12/11-)

僕のオーディオシステムはソフトの割合が結構多いので、ハードを いじらなくても、主に部屋の影響の補正関係の調整や改良ができる※のだが、それで却って堂々巡りみたいなことをしている。ソフトなので、指を動かすだけで いくらでも作り直しができるのが痛し痒しだ。

※この前提は、基本的に出力装置(DACやアンプ)が音を そのまま出すこと、(何度も書いている、)無色透明・無味無臭なことである。そうでなかったら、何を補正するのか分からなくなってしまう。

 

DACのフィルタの謎

(いつも困っている)耳閉感の原因調査をしている時に、サウンドカードのDAC(PCM1792A)のデジタルフィルタのsharpとslowの違いを調べたら、思わぬことが分かった。: sharpは きっちりと減らすべき成分を減らすのだが、slowは超高域で大量に漏らしているのである。その成分はナイキスト周波数(サンプリング周波数の1/2)より上なので、僕の普通の測定では分からなかったことで、たまたま、スイープ信号や正弦波で調べていて気付いた。

それでいろいろ調べたら、slowの「漏れ」は既知のことだったようだ。

そんなに漏れがあるのに、僕の耳に合って耳閉感を起こさなかったのが不思議だ。 想像だが、漏れた成分の位相が逆になっていて、ナイキスト周波数の反対側の成分(本来の音)とうまく打ち消しあっているのだろうか。僕の環境では、そこまで測定するのは難しい。それでslowの緩いカーブが実現できているのだとしたら、TI(BB)のエンジニアはすごいと思う。

逆に、以前も書いたが、サンプリングレートが44.1kHzの場合は きっちり漏れないsharpが耳にキツいのも謎で、まだ良くわからない。これも想像だが、やっぱり急なフィルタ(の謎の副作用)が良くないのではないかと思っている。更に想像だが、調べていて、sharpにある長いプリ・ポストエコー(リンギング)の影響かも知れないとも思うが、はっきりしない。そもそも、このプリ・ポストエコーを含めてDACの音が構成される理論なので、見た目はおかしくても※必要なんだと思う。

※slowとsharpのインパルス応答を比較すると、slowはプリ・ポストエコーがほとんどなくて綺麗だ。ただ、必ずしも それが正しいとは限らない。

正しい処理(フィルタリング)を実装してみた。

44kHz+slowの音は耳に合うが、ナイキスト周波数の上の漏れが多いのは物理的に「正しくない」気がするので、アップサンプリング(96kHz)と耳閉感を抑えるため、超高域を減らすslowに似せた特性の LPFを使うことにした。 (→ 参考? → 参考?: 偶然だが少し似たシステムがあった)

趣味なので、別に正しくなくても、耳に合って気分良き聴ければいいとは思うが、物事はなるべく綺麗にしたいという気持ちもあるので、敢えて苦労・苦闘した。

LPFは いろいろ試行錯誤して、音が悪くならず(耳を痛めず)、特性がslowに近くなるものを見付け・調整した。

これのインパルス応答はslowほどではないものの結構綺麗で、プリエコーがほとんどない。

まあ、全くの酔狂ではあるが、これがうまく行けば、あとでDACを買い替えた時に、仮にそのフィルタが耳に合わず、更に切り替えできなくても、この方法で音を調整できそうだから良い。

この音をしばらく試して問題なければ「一段落」となり、載せる図などを集めて文章を整えれば終わりのはずだったのだが、、、

ちゃぶ台返し! (フィルタ関係を ほとんど全取っ替え)

そのLPFを いろいろ確認・調整・改良している うちに、位相や振幅の周波数変化や左右差が大きいのは良くない(要するに、音に対する処理は最低限にしたい)と考えて、(苦労した)上のフィルタも(その前にちょっと思い付いた)HD2Cも止め、補正フィルタも左右統合して、処理を随分簡素化した。

部屋の特性補正用のフィルタの超低域(< 100Hz)の歪みが増大しているのが気になって、上で使ったフィルタにしてみたら うまく減ったのが切っ掛けだった。

注: HD2C: ソフトでDACの2次歪みを補償する(しようとした)処理 (2023/5/16記)

スピーカーから出した実際の特性は分からないが、聴感は良い。何となく、音がよりクリアになり(音が「一皮剥けた」感じ)、よりストレートに聞こえるのにキツくなく、却って聞きやすくなった気がする(例によって、たまたまとか耳の調子とか気のせいの気はするが)。

→ 実際の特性は問題なかった。その後、微調整したり長く聴くにつれ、本当に音がクリアになったのを実感している。いつものように、今まで聞こえなかった音が更に聞こえるようになった。「情報量が増した」ってやつか。

左右の特性(特に位相?)を揃えるのは重要そうだ。 (12/22)

その代わり、HD2Cも止めたので歪みは全域で左右がアンバランスだ。ただ、歪みが増大しているといっても、RがLの約2倍になって0.0012%程度なので、大きな問題ではない(実際、HD2Cを入れる前も気にならなかった)気がする。それでも何とか解消したくて、原因と対処案を考えている。が、それはソフトではできないので、貴重なサウンドカードを壊す可能性もある・・・ (12/13 17:37)

更にどんでん返しが!

昨夜寝る前に、96kHzへのアップサンプルは良くない気がした。というのは、96kHzは44.1kHzの整数倍でないので、複数のサンプルが混じるためだ(まあ、高精度な処理をすれば実害はないのだが)。

それで、44kHzに戻ることを考え、その時のフィルタをどうするかと、slowとsharpフィルタのエイリアシング成分の漏れを再度比較するためにグラフを見返していたら、おかしなことに気付いた。入力している周波数のエイリアシング成分でない、更に高い周波数に大きい漏れがあるのだ。どうも、測定時に意図しないレート変換があったようで、どうやら、測定のために44.1kHzのテスト信号を再生する時にALSAが48kHzに変換していたようだ。

が、それでも、slowフィルタが良くないことには変わりない。

それで、結局、一番最初に戻って44.1kHzでsharpフィルタで試すことにした。これが耳に合わないなら、96kHzにアップサンプルするか。。。 (12/15 7:39)

だがしかし、まだまだw

やっぱり44.1kHzとsharpフィルタは駄目で、数時間で耳に来た。耳閉感が起こり、音が悪くも感じた。それで96kHzにしたら、耳は嘘のように治り、音がクリアになった。それから丸一日聴いているけど、問題は起こっていない。

全く謎は深い。

その後、アップサンプルに使うリサンプラを比較して、PAのものだとspeex-float-10が一番良さそうだった。なお、soxr-vhqが良い説が強く、最初はそれにして居たが、比べたら1kHzくらいからの位相の遅れが気になるので止めた。speex-float-10はsoxr-vhqの半分くらいだった。

また、GMBはPAにもJACKに出せるので、JACKに出す時に設定するリサンプラGstreamerのaudioresampleの引数を変えてPA(speex-float-10)と比較したら、特性の測定が難しいこともあって、明確な答えが出なかった。今は、小さな差ではあるが、雑音は多いものの歪みが少ない(まだ結果に自信がない)ので、PAに出すことにしている。 (12/16記)

注: "PA": PulseAudio(Linuxのサウンド系), "JACK": JACK Audio(Linuxのサウンド系), "GMB": gmusicbrowser(Linuxの音楽再生アプリ) (2023/5/16記)

まだまだ!

(出力の追加コンデンサで、なぜか耳閉感が出なくなった話。あと、コンデンサの音の話)

注: 「出力の追加コンデンサ」: ASUSのDAC出力にコンデンサを追加したこと。代替カップリングコンデンサの最初。 (2023/5/16記)

 

最後に言い訳じみたことを書くが、僕は決してオーディオの音を良く・好みにしようとして こんなことをしている訳ではない。部屋の作りとスピーカーと聴く位置で音が変わるから補正は必要だし、DACは そのままの音で問題なければ何もしないが、たまたま元々の音が耳に合わない(例: 耳閉感)※ので、仕方なく調整しているのだ。まあ、おそらく一般の方は全く関係ないことで、僕の耳が過敏とかちょっと病気なためだろう・・・

※記憶をたどると、サウンドカードを買ったばかりの頃は問題なかったが、ここ数年で合わなくなったようだ。アンプを自作に換えたのと時期が合うのが気になる。: アンプが劣化して雑音が多いのか、逆にすごく良くなって微細な音(雑音まで)も聞こえるようになったのか・・・

 

(あと、ScarlettのLPFも書く? Focusriteへの問い合わせの結果(やっぱりクソだった)と一緒に別にする?)

注: 「ScarlettのLPF」: ScarlettのDACから30kHz以上の雑音が出ていたので、外付けのアナログLPFで抑制しようとしたけど うまく行かなかった話。 (2023/5/16記)

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4年以上に及ぶ調査と実験・試行錯誤の末、分からないことは残って居るものの、耳の問題の原因が大体分かって対処できた。

過去のブログを調べたところ、2019年の10月末頃※から問題が起こり出した(以前あったものが ぶり返した)ようで、それから断続的に延々と続けて居た。

※このことから、問題は部屋(2020年に今のところに越した)やアンプ(2021年に今のアンプが出来た)には直接起因しないことが分かった。

症状

PCで演奏を再生して聴いていると、耳に以下の問題が起こることがある。

  • 耳閉感, 圧迫感
    • 耳閉感と圧迫感は微妙に違う。耳閉感がひどくなると圧迫感になるのかも知れない。
    • 低周波音に曝されると起こるとのこと。 (→ 参照)
  • 唾飲み時の違和感
    • 高所に行った時の感じ。
  • 音が聞こえにくい感じ
    • 耳閉感や圧迫感のまま続けると起こる気がする。
    • 低周波音の被害のアンケートで症状を訴える方があったとのこと。 (→ 参照)
  • 耳の痛み
    • (音が)よほど ひどい場合に起こる。
    • 低周波音に曝されると起こるとのこと。 (→ 参照)

なお、上は僕の耳の問題であり(一般の方に共通して起こるとは思えない)、過去の病気(突発性難聴)の後遺症かと推測している。そのためか、体調(「耳調」)の影響が大きく、今までの経験では冬(特に午前)に起こりやすい。血行の影響があるのだろうか?

妙なのは、耳鳴り(疲れているときや体調が悪い時に起こるようだ)と上の問題は独立なようで、耳鳴りしているからと言って上の問題が起こりやすい訳ではないことだ。いずれにしても調子は悪いのだろうが、問題の起こるメカニズムが違うのだろうか。

そして、耳鳴りは上の問題と違って演奏を聴いて居る時の嫌な感じが ほとんどないので、本稿での耳の問題には含めない。

原因(推定)

実験により、耳の問題の原因を推定した。耳に悪い順に示す。

  • キツいフィルタ → 唾飲み時の違和感, 聞こえにくい感じ, 耳の痛み, 圧迫感
    • それらの何が悪いのかは分からないが、位相の急な変化(→ : 緑が位相)や歪みの増加が問題かと想像している。
  • 超低音の過多 → 耳閉感, 唾飲み時の違和感, 聞こえにくい感じ, 圧迫感
    • 概ね50Hz以下の成分が関係しているようで、ある振幅(音量)を超えると「駄目」になるようだ。
    • 僕の耳が それらの成分に過敏なようなのと、部屋の特性(共鳴)で増幅されて耳に問題を起こすのではないかと推測している。
  • 歪み → うるさい感じ, 唾飲み時の軽い違和感, わずかな耳の痛み
    • 再生音に歪みを加えて試行したが(後述)、明らかに歪んでいるとは分からない程度の小さい歪みでも耳に影響がある。

上記の外部要因以外に、上述のように身体や耳の調子(耳調)は大きい。調子が悪い場合は、いくら対処して居ても問題は起こる。今までの経験から、どういう訳か冬の午前は調子が悪いことが分かっている。

原因が上記以外にない確証はないが、上のポイントを対処したら(後述)問題が起こりにくくなったので、他にあるとしても大きな影響を及ぼすものではないと考える。

なお、今まで不思議に思って居たのだが、ヘッドフォン(オンボードのサウンド出力に繋いでいる)や車のステレオでは滅多に耳の問題が起こらないのは、超低音が出ない(ヘッドフォンや車のステレオ(純正のナビ)は元々低音は出ないだろうし、どちらも部屋のような共鳴はない)こととキツいフィルタを使っていないため※ではないかと推測している。ただ、歪みや雑音が多いので聴き心地は良くない。

※以前、ヘッドフォンに出す音に耳を保護するようなフィルタ(コンプレッサーなど)を掛けたら、却って耳がおかしくなった記憶がある。

それから、再生音中の微小な雑音(単体では聞こえない)では耳に問題は起こらないが、嫌な音(≒「音が悪い」)に感じる。雑音の種類によっては、一見、音が良く感じることがある。

対処

今までに以下の対処をした。なお、上述のように僕の耳の問題への対処なので、一般の方に共通して適用可能なものは少ない。ただ、一般論として正しいことはありそうだ。

  • 部屋の特性補正用フィルタ(以下、補正フィルタ)の改良・調整
    • 使うソフトの選択
      • JACK(Linuxのサウンド処理系)のフィルタで耳に悪くないものは少なく、今使っているのは、"4-band parametric filter"と"High Pass Filter (One Pole)"である。
    • フィルタの特性をキツくしない。: 補正量を抑え、幅を狭くし過ぎない/傾斜を急にし過ぎない。
      • 4-band parametric filter: 最小バンド幅: 0.13, 最大ゲイン(絶対値): 9までにした。
      • High Pass Filter (One Pole): 傾きが緩いので良い。
    • 簡素化: 要素数を減らし、左右同じにした。
      • 当初は左右別で多かったが、今は4個にしている。 (→ 振幅のグラフ: 緑(HPFのカットオフ= 65Hz)を使っている)
        • ただ、今は4個でも多い気がして来た。(HPFは削れないが、)3個にできると良いが、減らすのが目的でないことを忘れてはいけない。
  • 超低域(概ね100Hz以下)の抑制
    • 補正フィルタのHPF(低域カット): カットオフ周波数: 65Hz
      • 80Hzが安全だが、少しでも低域を増やしたいので、試行錯誤でギリギリまで下げた。冬の調子で調整する必要がありそうだ。
    • スピーカー(KEF Q300)のバスレフポートを塞ぐ。
      • 最近はポートを開閉した時の特性を比較して居ないが、以前の測定では、塞ぐと100Hz辺りから下がり出し、40Hz付近で6dB程度下がるようだ。 (→ グラフ)
    • DAC(サウンドカード: ASUS Essence STX II), アンプ(BA3886, 自作)のカップリング/フィードバック回路: カットオフ周波数: 約10Hz
      • 上記の補正フィルタのHPFとスピーカー自体の低域特性(公称の下限は42Hz, 実測は30Hz辺り)やバスレフポートを塞ぐことで超低域が抑制できるはずだし、約20Hz以下は聞こえないはずなので、これは不要な はずだが、実際にはサウンドカードとアンプを直結(DC)したりカットオフ周波数が低過ぎると耳に問題が起こったため、高目に制限した。
        • DACから直流に近い変動成分が出力され、後述の可聴域外(34kHz)の雑音と同様に可聴域に影響を与える(例: ふらつき・ドリフト)のではないかと推測している。
  • PCのオーディオ(JACK, DAC)出力設定の調整
    • リサンプルしない。 → JACKとDAC(PCM1792A)は聴く演奏の主なサンプリング周波数の44.1kHzに設定している。
      • PulseAudioで最も品質が良いとされるリサンプラ(speex-float-10)を使っても音質が悪化する(少しだが、耳に問題が起こる)。
        • PCの負荷で変動する要素があるのかと想像している。
        • アップサンプルするとして、唯一使える96kHzが44.1kHzの整数倍でないのも、話を面倒にしている。
          • サウンドカードが88.2kHzをサポートしていないため、96kHzか192kHzを使うしかない。
          • PCM1792Aは192kHzでの特性が少し悪いので、余り好ましくない。
    • DACのフィルタ(sharp/slow)は余り関係なさそうだが、エイリアシングを抑えるためにsharpにした。
      • 僕は約15kHz以上は聞こえないので、エイリアシング成分が出ても聴感上の問題はなさそうだ。
      • アンプの改良前は44kHz, slowでないと耳に問題が起こったのが謎である。
        • Sharpとslowで超低域成分(直流の変動成分?)の出方が違うのかと推測している。
  • 耳に/音の悪い機器・部品の排除, その他の改良
    • 排除した機器: (DACとして)Scarlett Solo Gen3(歪みと雑音が多い), (DACとして)DEQ2496(歪みと雑音が かなり多い), 以前試用した某DAC(さまざまな雑音があった)
      • 僕にすれば、最初の2つはオーディオ用途には使えない。最後のは それらよりはマシだけど、出来が悪くて買う価値はない。
    • 排除したDACの部品: 電解コンデンサ, リレー
      • 電解コンデンサ(カップリング回路)の容量が大きくて直流の近くまで通すために耳に問題を起こすことと、電解コンデンサ自体の音の悪さを排除した。
      • リレーは余り関係ない気がする(気分の問題)。
    • アンプ
      • 排除した回路・部品: DCサーボ回路, 電解コンデンサ, マイカコンデンサ, WIMAのコンデンサ(一部)
        • DCサーボ回路は直流の近くまで通すために耳に問題を起こすことと、大出力時に超低域で歪みが増大するので排除した。
          • また、オリジナルのキットの回路では、入力にダイオードがあって歪みを生ずるので、かなり以前にダイオードも撤去した。
        • マイカコンデンサ, WIMAのコンデンサは余り関係ない気がする(気分の問題)。
          • ただ、オリジナルのキットのマイカコンデンサの値は適切でなかったし、別の容量のWIMAらしきものの音は ひどいものだった。
      • クロストークの改善
        • 片チャネルずつ特性を測るだけでは分からないが、クロストークは(高域で増大し、)雑音や歪みのように働くのではないか。
    • ※アンプとサウンドカードの改良については別稿1, 2などを参照のこと。

今回試したことと結果

これまでに目星を付けていた、キツいフィルタ, 超低音, 微小雑音と、追加として歪みについて最終的な確認をした。いずれもABX法のような客観的な比較方法でなく、自分で 状態が分かって比較している点で客観性は低い。ただ、「どちらの音が良い」という印象でなく身体的症状の発生を基準にしているので、完全に主観的なものではなく、今までに何度も同様の試行を繰り返して同様な傾向の結果を得られているので、再現性はある。

  • キツいフィルタ
    1. CalfのEQ 5bandのLPF(HSフィルタ)をキツくして試した。
      • 設定: カットオフ: 15kHz, ゲイン: -36dB(最大), Q: 0.76(ピークができない程度にした) (→ 特性: 青: 振幅, 緑: 位相)
      • 結果: 約25分で問題(唾飲み時の違和感、聞こえにくい)が出た。 → Offにしたら治った。
    2. Jack rackのC*Eq4pのHPFをキツくして試した。
      • 設定: モード1(通常のPEQと思われる), カットオフ: 65Hz, ゲイン: -30dB, Q: 1.0 (→ 特性: 赤: 振幅, 緑: 位相)
      • 結果: 約30分で問題(少し耳が痛い。あと、少し圧迫感)が出た。 → Offにしたら治った。
  •  超低音
    1. 補正フィルタのHPF(65Hz)をoffにして試した。
      • 結果: 約30分で少し圧迫感と軽い耳閉感が出た。 → Onにしたら治った。
    2. 補正フィルタのHPFのカットオフを50Hzに下げて試した。 (→ 特性(赤, 他のカットオフもあり: 65Hzは青))
      • 結果: 約30分で問題(軽い唾飲みの違和感)が出た。
      • 低域が増す感じはしたが、ブーミーな感じもした。
    3. 補正フィルタのHPFのカットオフを57Hzにして試した。
      • 結果: 約40分(途中休憩あり)で問題(少し耳が聞こえにくい)が出た。→ 65Hzに戻したら治った。
      • 考察: 問題が起こらないカットオフ65Hzとの周波数の差は8Hzと小さく、超低域の振幅の違いも高々2dBと小さいにも関わらず耳の問題が起こることから、超低域の量の耳への影響は かなりシビアなようだ。

 

  • 微小雑音: 先日試用した某DACで見られた雑音3種類を模擬した。
    1. 中域(数百Hz-1kHz辺り)に広がる雑音
      • 設定: REWの信号発生器で概ね440Hz-1.2kHzに広がるホワイトノイズ(出力: -104dBFS, BU4フィルタで500-1000Hzの帯域制限)を出して再生信号に加えた。 (→ 再生音と雑音の比較)
        • 雑音の音量: -85dBFS (A)
          • ボリュームを最大にしても雑音は聞こえない。
      • 結果: 約40分で問題らしきもの(わずかに耳が痛い)が出た。→ 元に戻したら治った(すっきりした、嫌な感じがなくなった)。
        • 他に、音が悪い感じやわずかな耳閉感や超低音とは違う良くなさを感じた。
      • 備考: この雑音の発生原因は想像できないが、回路の設計や実装(要するに「出来」)が悪いのではないかと思われる。
    2. 8kHzと高調波
      • 設定: REWの信号発生器で高調波を持つ約8kHzの正弦波(7600Hz, -83dBFS, 歪み制御で6次まで-6dBの高調波を追加)を出して再生信号に加えた。 (→ 再生音と雑音の比較)
        • サンプリング周波数96kHzで試すと上述のように、リサンプラの問題で何が悪いか分からないため、44.1kHzで試した。そのため、2次高調波までしか出ていない。
        • 雑音の音量: 約-86dBFS (A)
          • ボリュームを最大にしても雑音は聞こえない。
      • 結果: 約40分で問題らしきもの(少し耳が変な感じ)が出た。 → 元に戻したら治った。
        • 約20分で高音が ちょっとキツい感じになったが、高域が出ているようにも感じた。
        • 最終的には、耳はおかしくないものの、聴きたくなくなったので中止した。
      • 備考: この雑音の発生原因はUSB(High speed)からだと思われる。光や同軸入力では起こらなかった。
    3. 34kHz辺りに広がる雑音
      • 設定
        • REWの信号発生器で概ね30k-40kHzに広がるピンクノイズ(出力: -80dBFS, BU8フィルタで30000-37798Hzの帯域制限)を出し、Jack rackのGlame Highpass Filter(カットオフ: 33000Hz, Stages: 2)で帯域を狭めて再生信号に加えた。 (→ 再生音と雑音の比較)
        • 雑音の音量: 約-86dBFS (A)
          • 可聴域外のせいもあり、ボリュームを最大にしても雑音は聞こえない。
        • 注: 雑音が可聴域外のため、これだけはサンプリング周波数を96kHzにした。
      • 結果: 約30分で問題らしきもの(軽い唾飲みの違和感, うるさい感じ)が出た。 → 元に戻したら治った(耳が楽になった)。
        • なお、再生音なしで雑音をスピーカーから出すだけでは、数分間では問題は起こらなかった。
      • 備考・考察
        • この雑音の発生原因はACアダプタ(スイッチング電源)だと思われる。実際に、DACの負荷を変えたらピークの周波数が変動した。
        • 可聴域外の雑音が聴感や耳に影響を与えるのは信じられないが、例えば、混変調のような仕組みで可聴域に影響を与えるのではないか。
        • Scarlett Soloは適切でないノイズシェイピングのために30kHz以上に雑音が出るので、その影響も これと同様と考えられる。
        • (4/27 8:33) 書いたあとで調べたら、スピーカーの超高域(約30kHz以上)の振幅特性が増大している(40kHzで約+10dB)測定結果があった。(出典: 中央辺りの"Im Zeichen des Z"のグラフ) 物理的に疑わしいが、グラフのキャプションによれば、おそらくユニットの共振によるようだ(Google translateでの英訳: "Resonance well above the audible range.")。もしそれが正しいなら、このような超高域の雑音の影響が増大する可能性がある。
          • これで思い出したが、FocusriteのサポートはScarlettから30kHz以上の雑音が出ていることについて、「普通にあることだし、可聴域外だから全く問題ない」(概略)と返答したが、実際に こういうスピーカーがあるのだから、全く問題ないとは言えないことは確かで、連中の見識の浅さが証明できた。
          • それとは別に、僕のスピーカーの思わぬ欠点(Scarlettと同様)が今頃見つかって ちょっとがっかりした。
  • 歪み: 先日、Spofityの音量正規化を試していてい気付いた、増幅とリミッターでの歪みの影響を調べた。
    • 設定: 再生信号をJack rackのFast Lookahead limiterでリミッター付き増幅(ゲイン: 6dB, Limit: 0dB, Rel. time: 0.5s)して出力した。(→ 設定と歪みの比較: 試したのは濃紫)
    • 結果: 約25分で問題(聞こえにくい感じ)が出た。 → 元に戻したら治った(音が透き通った感じになった)。

 

追加: スピーカーのバスレフポートを閉じる影響のチェック

上に加え、低域を減らすためにスピーカーのバスレフポートを閉じているので、冬などにスピーカー内部の温度変化の影響でコーンに圧力が掛かって(オフセットと同様の効果で音が悪くなって)耳に問題が起こる可能性(下を参照)を思い付いて試したが、関係なさそうだった。

温度変化でのスピーカー内の圧力変化の試算

ボイル・シャルルの法則: P(圧力)V(体積)/T(温度)= K(一定) を用いる。

スピーカー内部の温度が14℃(T1)から7℃上がった(→ T2)場合(冬の朝を想定)の、中の空気の圧力(P1 → P2)の変化率(ΔP)は、

P1= K T1/V, P2= K T2/V (Vはスピーカーの容積で一定)
T2= T1 +7なので、P2= K (T1+7)/V
ΔP= P2 / P1= (T1+7)/T1
T1= 14なので、ΔP= (14+7)/14= 1.5倍

と、圧力が かなり大きくなってコーンに力が加わる可能性がある。

圧力変化の影響の検討

    • 圧力変化の結果、コーンが前後(上の場合は前)に動き、アンプのオフセット出力と同様にコーンの運動を制限する可能性がある。
    • ただ、「1.5倍」は大きく見えるものの、スピーカーの仕様・特性で全く影響がない可能性があるし(密閉型スピーカーでは当然のことである)、どこかから空気が漏れて(比較的短い時間で)外の圧力と同じになる可能性もある。

実際に、ポートにフィルム(PEのゴミ袋)を張って塞ぎ、暖房を停めて室温を1.3℃下げてみたが、フィルムの張りに変化は なかった。(→ 室温が下がる前, 下がった時) なので、このスピーカーは完全な密閉構造ではなく、どこかから空気が漏れていると推測した。同軸型ユニットなので、ウーハーとツイーターの隙間からか と思う。そもそも、これはバスレフ型なので密閉構造にする必要がなく、多少漏れても当然と思われる。

ただ、急な温度変化時の圧力を逃がすのは意味があると考え@、今までの完全に塞ぐタイプのプラグ(純正品 → 写真: 黒いスポンジ)の代わりに、直径5mmくらいの通気口があるプラグを作って※交換した。なお、穴が小さいため、低域の特性には ほとんど変化がなく*、聴感上の違いもなかった。

@ただ、もし効果があるとしても、次の冬まで分からない

※ストローに古いバスタオルを切ったものを巻いた。

*プラグからの漏れのせいか、左右別だと50Hz以下が少し(1-1.5dB)大きいが、両方出して測ると なぜか差がなくなる。部屋の特性の関係だろうか。

 

むすび

ひとまず、長年の謎と課題が片付いた(実際には次の冬まで分からない)。耳の問題が大きく、部屋の特性が拍車を掛けている感じだ。※ 設定や機材の問題もあるものの、おそらく、過去の病気で耳が敏感・過敏なために厳しくなっているのだろう。

※部屋に関しては吸音材で何とかなりそうに思われるが、超低域は そんなに生やさしいものではない。確か、数十Hz辺りでは数十cmの厚みが要る気がした。コンサートホールやスタジオの天井や壁の厚みとか そこに付いている拡散板(想像)を見れば分かる。

検索したら、ある波長の音の吸音に必要な吸音材の厚さの求め方として、波長/4波長が出て来た。それらで例えば50Hzに必要な厚さを考えると、波長は6.8m※であるから、前者では1.7m、後者では約7mと、全く実用的でない値となる。

※吸音材でも空気中の波長で計算して良いのか分からない。吸音材の空間で吸収するからそうなのか。逆に、空気でないものには入って行かない(反射する)か。

しかも僕の場合は50Hzどころか20Hz辺りから対応したいから、天文学的だw まあ、吸音材の材質にもよるだろうから、あくまでも例として挙げたが、普通に吸音材で共鳴(反射)を防ぐのは難しく、部屋の構造から対処する必要がある(例: 共鳴しないように、平行な壁を作らない)。

実際、後者のページに載っている吸音材の特性は、最も良いものでも300Hz辺り以下には対応していない。前者のページには無響室で使われる吸音くさび(高いらしい)の例が載っている。が、超低域では性能が悪いようだ。(ただ、グラフでは平板の吸音材の60Hz台の性能が500Hzと余り変わらないことになっており、とすると1m以上もの厚さで測ったのか、測定結果には ちょっと疑問がある。)

まあ、残りは いずれも容易には解決できないことは分かったので、とりあえずは我慢だ。

 

その後の話 (2023/4/28 10:11)

いつものように、書いたあとで分かったことなどを書く。

マイクの特性について+補正フィルタは神聖にして変えるべからず。

本文に書いたように、部屋+スピーカーの補正フィルタを減らせないか検討していて、測定用マイク(Dayton audio EMM-6)の実測特性(製品にグラフが添付されていた)を見たら、意外に平坦でないことが分かった(グラフの縦軸のスケールが荒いために平坦に見える)。

更に説明書を見たら、測定データがダウンロードできることに(今頃)気付いたので、(買ったのは随分前だけど)試したらできた。ボケていたのか、最初は測定値の表記をリニア(基準を1とした時の比)と思い込んで、最大で2倍近い山("1.9")があると思い、それだと測ったスピーカーの特性も怪しいから補正フィルタの補正量が大き過ぎるのではと思って補正フィルタを再調整しようとした。

が、データをREWに取り込むためにdBに変換するコマンドを実行したら、エラーが出て(負の値があったため)、測定値がdB表記であることに気付いた。それであれば、最大1.9dB(1.2倍)と悪くない。実際、スピーカーの特性を補正しても大きな差は出なかった。 (→ グラフ: 緑(補正前)とベージュ(補正後), 灰はマイクの特性: 左のグラフと同じもの)

それでも、マイクの特性※が山になっている辺りの補正量を下げるとか なくせるかも知れないと試したが、意外にも無理だった。: 補正フィルタはHPF以外に160, 358, 790Hzがある。まず、160と358Hzの補正量をマイクの補正として2dBくらい減らした(出力は増加する)が、耳が拒否した(こもる感じ、耳が変な感じ)。更に、補正量を元に近づけても駄目だったし、358Hzだけ調整しても駄目だった。また、元々補正量が小さい790Hzを なしにするのも駄目だった。

※同時にスピーカーの特性も考慮しようとしたが、それは部屋で測定した値に含まれているので、考慮する必要がないことが分かった。

不思議なのは、そういうのを止めて元に戻すと変な感じが治るので、なぜかは分からないが、今の補正フィルタは少しでも変えては いけないようだ。* 他に、音の好みや慣れもあるのかも知れない。

*その理由は分からないが、時間が経ってマイクの特性が変わった(平坦に近くなった?)とか、元々の補正量がギリギリで必要量より小さいのかと思う(確かに、なるべく小さくした覚えはある)。

スピーカーの超高域の共振について

本文に書いたように、使っているスピーカー(KEF Q300)は超高域に山がある(他者の測定結果がある)件について疑問が湧いた。

  • 製品仕様での記述("Frequency response (±3dB): 42Hz-40kHz")と その測定結果(40kHzでは+8dBくらい)のどちらが正しいか。
  • 超高域での増大が なぜ問題にならないか。

いろいろ調べてみたら、同じ製品ではないものの、同じメーカーのRシリーズの資料に、超高域(30kHz辺り)に山があるグラフが載っており(P. 15, Fig. 23)、ハードドームツイーターの共振をウェーブガイドで抑えている※という記述があるので、僕のスピーカーの測定結果も正しそうなことが分かった。つまり、仕様の記述が正しくなさそうだ。

実際、後継製品(例: Q350)の記述は"Frequency response (±3dB): 63Hz-28kHz"と、高域が低くなっている。上位機種(R3)では、"Frequency range (-6dB) 38Hz-50kHz"のように、(どんな音になるかは分からないが、)以前よりは正直に、増分(+XdB)を記載せずに共振する帯域を含めて書いてある。

"KEF R series 2018"中のツイーターの特性: 赤: 単体, 青: ウェーブガイド付き (From: https://assets.kef.com/documents/rseries/rseries2018-white-paper.pdf)

※グラフを見ると、僕にすれば、抑えたって まだまだひどい。共振するなら100kHz以上にしたいところだ。(高価な素材でなく)アルミだから共振周波数が低いのかは分からないが@、上位機種でも こうやって無理する理由が分からない。

@スピーカーの超高域での共振について更に調べたら、分割振動*によるものだと書いている資料があった。(参照: P.9 「5.2 Tweeter(ツイーター)」) そこに示されたグラフは 上と同様に、アルミ振動板の23kHz辺りに山がある。そして、ベリリウム%には それがない。また、柔らかいから良さそうだと思って居たソフトドームも比較的低い周波数で分割振動を生ずるということなので、一概に、金属でなければ良い訳ではなさそうで、難しい。

*詳しくないが、分割振動すると歪みになるのであって、ある周波数の出力が増大するのとは違う気がする(分割振動したら、基本波は弱くなるのではないか?)。まあ、用語は どうでも良い。

%大昔、ベリリウム(ヤマハ NS-1000M)やボロンやダイアモンドを採用したスピーカーがあって、良く分からずに憧れていたが、こういう問題に対処していたのかと今になって分かった。

結局、僕のスピーカーはハイレゾでは使い物にならないというか、使ってはいけないことが分かった。「超音波発生機」になってしまう。これに、30kHz以上で雑音が増大するScarlettを組み合わせたら最悪だ。

まあ、僕はハイレゾを使う予定が ないから実害はないが、今になってメーカーの思想が全く受け入れられないことが分かった。

あと、確証はないが、本文にも書いた、サンプリング周波数を96kHzにした時の印象が悪い問題に関係しているのかも知れない。

ハイレゾ音源やサンプリング周波数を96kHz以上にした時の問題に対処する方法を少し 考えたが、どれも今一つな感じだ。いずれにしても、サンプリング周波数が高い意味を削ぐので馬鹿らしい。

    • △ DAC出力の前にソフトのLPF(カットオフ: 20kHz辺り、以下同)を入れる。: 悪くなさそう(以前やっていた)だし、手軽に出来るが、結構低い周波数から振幅や位相に影響があった覚えがある(キツいものは音質を劣化させる)。あと、良いフィルタを選ぶ必要がある。
    • △ DAC出力とアンプの間にLPFを入れる。: 悪くないが、結構低い周波数から特に位相に影響がありそうだ。
    • × アンプの出力とスピーカーの間にLPFを入れる。: スピーカーのインピーダンスは周波数で変わるので、安定に動作させるのは難しそうだし、アンプに容量性負荷(LPFのコンデンサ)を掛けるのは良くないという話もあるので、簡単ではなさそうだ。

世の中(欧米?)には、「聞こえなければ問題ない」と考えるメーカーが結構あるのに驚く。

その点、日本のメーカーは昔から律儀・健気に頑張っており※、例えば、ヤマハ NS-5000は強い共振を防ぐため、ZYLONというものを使っている。(昔からいろいろ繰り返されて来た)そういう工夫が本当に効くのかは不明だが、イメージ的には良さそうだ。以下、上のページからの引用(太字は筆者):

We have chosen textile made of 100% ZYLON® — a synthetic fiber of exceptionally high strength, having acoustic velocity as well as the ability to reproduce the finest details of audio equivalent to those of beryllium but without a sharp resonance peak inherent in a hard material

※そういう、実益があるのかないのか分からないところで頑張るのが、欧米に馬鹿にされたり「ガラパゴス化」したり没落する原因なのだろうが、思想や技術的には間違っていない。

もし次にスピーカーを買うとしたら、こういう共振のないものにしたい。良く調べていないが、ソフトドームや(金属でない)コーンなら大丈夫そうだが、どうだろうか(上記のように、一概に柔らかい素材が良い訳ではなさそうだ)。 例えば、Fostex辺りが出していて人気のある、シングルコーンのフルレンジがいいのかも知れないな。

こういうことが、そこらの、一見何の変哲もないものが人気がある理由のひとつなのかも知れない。昔は何も知らず、安易に金属コーン・ハードドームを選んだが、僕も進歩したものだ。

 

PS. だから、僕はきっとスーパーウーハー満載で超パワフルに「ドゥオンドゥオン」鳴ってる車には乗れないだろうし、クラブとかDJ(想像)にも行けないだろうw そう言えば、昔(耳の病気以前)、ロックのコンサートに行ったことがあるが、超低域以前に耳栓がないと耐えられなかった。

とは言え、低音が嫌いな訳じゃなく(ある程度 低音が豊かな ほうが生演奏に近付く)、持論(収録された音を そのまま出すのが「いい音」)に従って可能な限り平坦に出したいとは思っている。それで、本文に書いたように、勝てないと分かっているチキンレースをする訳だ。

 

(20:43 吸音材について追記; 21:08 原因(推定), 対処に加筆, 構成を修正; 21:28 その他に補足・修正; 22:19 症状(聞こえにくい)に参照先を追加; 4/27 8:33 アンプとサウンドカードの超低域の抑制に補足, 構成を修正, 34kHzの雑音に加筆; 4/28 6:36 Q300の振幅特性のグラフを追加(引用); 4/28 10:11 その後の話を追加, 15:56 わずかに補足, 16:22-18:38 スピーカーの超高域での共振について加筆, その他を少し修正・補足)

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数日前に、ツイッターが切っ掛けで※題に書いた演奏があるのを知った。アムラン(Marc-André Hamelin)は以前にもアンスネスとの「春の祭典」(2台ピアノ版)を買ったりして、結構気になって居る人だ。

彼は有名人には珍しくフレンドリーというのか、彼に楽譜の一部をツイートすると、どんな難曲でも(?)(即座に?)それが何かを当てるという「掛かって来い!」的なことをやっていて、その点でも いい感じだ。

※元は何だったか思い出せない。調べれば分かるが、本題ではなく面倒なので、今は止める。本人のツイートの関連だったか。そう言えば、ラフマニノフの命日(3/28)に関連して、誰かがこの演奏を褒めていた気がする。

ただ、ポリシーなのだろう、Spotifyなどには ほとんど配信されていないので、作品(演奏)があることを知ったり試す機会が ほとんどない。特に、過去の作品はレコード販売店の広告にも出ることが少ないで、気付かない。ポリシーは人それぞれなので仕方ないが、作品に触れる機会が減るのは どうなんだろうと思う。

でも、以前見た、自分で配信を許可した癖に「金にならない」とか文句を言ってた奴(日本人)に比べれば、全く真っ当だ。

この演奏に関しては、試聴した感じが なかなか良さそうだった。上述のとおり配信されていないので、昨日、ものすごく久し振りに(約5年振り)に買った(Hyperionでダウンロード購入)。

なお、本来のアルバムとしては もう一曲(Medtnerのピアノ協奏曲第2番)あり、試聴の断片では まあまあだったのだが、Tozerの演奏(2005)を聴いてみたら、プロコフィエフ的、あるいはラフマニノフの好きでないピアノ協奏曲的な「変さ」があって苦手な感じだったので買わなかった。そういうのは大昔は好きだったが・・・

ただ、途中で止めるほどでないのが微妙だった。それでも、買っても一回だけしか聴かないと思う。

聴いてみると、試聴の時と同様にテンポの遅さが目立つ。そのため、好きなルガンスキーの(2003)とは随分違うが、落ち着いた感じでいい。僕は遅過ぎる演奏は嫌なのだが、そこまで遅くないのが絶妙な感じだ。しかも、近頃好きになっているアンスネスの多くの演奏(この曲では2010)とは違って、僕の好みとの違いは感じるものの違和感はない。そこでも「絶妙」だ。

アンスネスについては、モーツァルトのピアノ協奏曲(2021, 2022)について書きたいと思って居たけど手を付けていない。概略は、全般的に、彼の演奏は最初はすごく違和感があって拒否反応が出るが、我慢して(?)何度か聴くと馴染めることが多いのが全く不思議だということだ。ただ、出てすぐ評論家などに絶賛されているので、客観的には何も問題はなく、僕の好みとの相性なのだと思う。

ルガンスキーは いいのだが、アムランに比べると直線的とか直情径行的というのか、(それはそれで気持ち良くて好きなのだが、)深みが足りないように思えてしまう。だから、これからアムランを繰り返し聴くうちに、僕の中でルガンスキーを超えるかも知れない。

直情径行的と言えば、断片(今のコンサートまたはツアーのリハ)しか聴いていない、かつ曲が違うが、ワン(Yuja Wang)のラフマニノフのピアノ協奏曲 第2番は パワフルかつスピード感があって、是非聴きたいと思った。それとアムランは対極的・正反対な気がする。でも、どちらも好きだ。

 

(以下は技術的、あるいは、僕の耳に関係する話)

買う時に、フォーマットがいくつかあって迷った。もちろんMP3でなくFLACなのは決まりだが、CD品質(44.1kHz, 16bit)と「ハイレゾ」(96kHz, 24bit)で迷った。最初は、持論のとおりCD品質で充分だと思って決めていたのだが、注文する直前に迷いが出て「試しに・折角なので」ハイレゾ版にしてみた。値段はGBP 9.15(約1500円)で、CD品質より約500円高かった。

96kHzは再生時にサンプリングレート変換が必要になるため※、耳の問題が起こらないか心配があったのだが、買ったものを聴いたら当たってしまった。どういう訳か、第3楽章だけで問題(唾飲み時の違和感)が起こった。近頃は起こって居なかったので、いつもの耳の調子やオーディオの問題では なさそうだった。

※再生ソフトもサウンドカードも96kHzに対応しているが、JACKの設定が44.1kHzなので、そこに入れる時に変換が要る。

そこで、試しにsoxコマンドでサンプリングレートを44.1kHzに変換したものを再生したら、大丈夫そうだった。それから、再生時に(再生ソフト(gmusicbrowser)でなく)PulseAudioでサンプリングレート変換して試したら、わずかに唾飲み時の違和感が起こった。ただ、最初(再生ソフトで変換)よりは軽かった。

推測だが、再生時のサンプリングレート変換は品質が今ひとつ(例: 歪みが多い、超低域の変動が多い)だとか、PCの負荷状態でタイミングがズレて(= ジッター)耳に問題が起こるのかも知れない。

なお、第1楽章のスペクトラムを比較した限りでは、96kHzとsoxで44.1kHzに変換したものに大きな差は見られなかった。※ ただ、平均的には差がなくても、ダイナミックな特性が異なる可能性はある。

アムランのラフマニノフ PC 第3番 第1楽章 (左チャネル)のスペクトラム: 赤: 96kHz, 青: soxで44.1kHzにダウンサンプル

※もちろん、グラフの右端を見ると分かるように、96kHzのものには(44.1kHzの上限の)22.1kHz以上にも微量ながら成分がある点は異なる(が、そこらは まあ、雑音と思われる)。

という訳で、今回も余計な思い付きは失敗した。まあ、後付けだが、96kHzは駄目だったものの、24bitはCD品質(16bit)よりダイナミックレンジが広いという点でハイレゾ版にした価値はあった。※ 今後は、まずないだろうけど、44.kHz, 24bit版があれば それにしたい。

※とは言え、ちゃんとした音源であれば聴いて違いが分かるものではなく、フィルタなどの処理をした時に効く程度だと思う。

あと、書いたあとで思い出したが、上のグラフのように、96kHz版には どのくらい超高域成分があるかを調べたかったw

 

PS. なぜか ページ右側のフォントサイズが小さくなってしまった。何もしてないはずなのに・・・ またTODOが増えた。 ← 開発者ツールで調べたら、リンクしていたHyperionのOpen graph protocolでのページアイコンと説明がページ全体に影響を及ぼしていた。なぜか、この稿の下と右側をsmallにしてしまう。: あっちも こっちも いかんなあ・・・ → とりあえず、URLを昔みたいに書いた。

HyperionのページのOGPが その下と右側をsmallにしてしまう。

更に調べたら、HyperionのページのOGPのプロパティ(og:description)にHTMLタグが含まれているうえに 正しくないことが分かった。: あっちの作成ミスなんだろうけど、こっちも対処しないとXSSみたいなことに使われそうだ。

とりあえず対応(変なプロパティがあるOGPは破棄する)した。それで、リンクを普通に戻した。 (21:17)

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しなくちゃならないけど面倒で、なかなか進まないことが溜まった。ただ、いくつかは事前の予想と違って すんなりできた。

  • PHPとLinux Mintの更新。。。
    • 久し振りに両方がメジャー更新なので、互換性の事前確認をする必要があったり、更新中・後に必ず問題が起こるので、全く気軽にできない。
      • ただ、Linux Mint(実際にはUbuntu)を更新すれば それに含まれるPHPも更新されるので、手間は少ない?
    • デスクトップだけでなくサーバもなので、面倒さは2倍だ・・・
    • まあ、Winのように鬱陶しい通知や強制更新がないから、自分のペースでできるから助かる。
  • [済] digiKamの更新: 比較的容易に更新できた。結構改良されていた。
    • メジャー更新直後は まともに使えなかったので2年近く放置していたが、今回は ちゃんと動いて良かった。
    • ただ、どういう訳か、OSの再起動後に一度カタログ(画像のディレクトリ)全体を更新しないと、新しい画像が自動認識されなかった。
  • [済] Spotifyのアプリ: 旧版から現行版に乗り換えた。
    • 現行版だと耳に問題(例: 耳閉感)が起こるので旧版を使っていたが、逆に以下のような問題が起こるようになったので、乗り換えた。
      • Autoplayをoffにしているのに、ミックスやアルバムが終わると勝手に曲が追加されてしまう。
      • レイアウトがおかしくなった。: 例えば、Made for youのアイコンが巨大になってしまう。
    • 耳の問題は、オーディオシステムの改良(あとで「その後」(完結編?)を書きたい)の効果か、あるいは、季節が変わって耳の調子が良くなったのか、起こらなくなった。
      • 想像では両方だと思う。: 現行版のアプリは旧版より耳に良くない音(超低域(例: 10Hz以下)と推測している)が出やすいのではないかと思う。
        • オーディオを改良して それらの音が出にくくなり、また、春になって耳の血行が良くなったために問題が起こりにくくなったのではないか。
          • → 改良が片付いてから原因を調べる予定だが、おそらく再現せず分からない気がする。その場合は次の冬に確かめられる。
  • [保留] スマフォの買い替え? → 壊れるまで保留にした。
    • OSが古くなってセキュリティの問題はあるが、「今まで大丈夫だったのでヨシ!」ということにしたw
    • 今のスマフォに格別欲しいものがない。
      • いろいろ退化しているのが許せない。
        • 例: 巨大で重いものばかり、画面にカメラの穴・・・、背面に不格好なレンズの出っ張り、通知ランプがない、イヤフォンジャックもない。
      • 買うならAQUOS sense 7だろうけど消去法で、特別欲しくない。

 

結局、溜まっていたけど残りは1個になった。

が、その前に、オーディオの改良の片付け(最終チェック・まとめ)をしなくてはいけない。1個謎は残って居るものの問題なく聴けているので、なかなか面倒になってしまったw

 

(3/28 6:53) が、その後、厄介なものが2つも増えた。。。

  • Joplin (ノートをPCとスマフォで同期するために使っている)の代替探し?
    • 少し前から、スマフォのJoplinアプリの同期が開始するまでに すごく時間が掛かるようになったので、アプリのストレージを消して再設定して同期(ダウンロード)しようとしたら、何時間掛かっても終わらない。
      • 仕方ないので、サーバ側のノートなどを全部削除してPCから再アップロードし、そのあとでスマフォに同期(ダウンロード)しようとして居るが、これで直るか分からない。
      • → PCからサーバにアップロードし直し(これも遅く、約5時間掛かった)、スマフォにダウンロードしているが、約0.6ファイル/sと余りにも遅い。 (3/28 13:35)
    • 以前からJoplin(開発の仕方と出来)は怪しいと思って居たが、そもそもクソな(設計がひどい※)ことが確定したので、他を探し始めた。
      • ノートをスマフォに同期できて表示できるだけで良い。
        • 今のところ、Zettel Notesが良さそうだ。
      • ※サーバでノートやリソース(添付画像)が それぞれ全部単一ディレクトリに格納されるため、ディレクトリが肥大化してしまう。論外な作りだ。
        • 何らかの上限はあるだろうから いつか破綻するし、それ以前にも同期の効率が悪くなるだろう。
          • これが問題の原因かと思っている。
        • クライアントでもリソースは単一ディレクトリに入る。
    • ※他にも、Androidアプリの同期がクソ遅い問題を抱えている方が結構居るようだ。: 例: Sync issues finally drove me away from the Joplin note-taking app (2022)
      • 上の方は、僕同様にJoplinから他に移ることにしたとのこと。 (その後は不明)
        • ノート数が増えると遅くなるとのことなので、上に書いたように、ノートなどのファイルを全部単一ディレクトリに格納しているのも悪いのではないか(それだけではないと思う)。
      • フォーラムにも何件か問い合わせがあるが、やっぱり暖簾に腕押し状態で、結局、(以前も書いたが、)ユーザのことは どうでも良くて、自分のやりたいことしかしない人たちのようだ。
        • 結局、そういうお遊びが おもしろい人が使えば良くて、僕らのように(Joplinの志向を誤解して)真面目に使おうとする者には全く使いものにならない。時間と手間の無駄だ。
  • NextCloud(PIMやファイル共有)の代替探し?
    • ちょっと前にバージョンアップしてから、管理画面のUIが醜くなり、スクロールバーでのスクロールが効かなくなってしまった。
    • フォーラムを見ると、何件か問い合わせがあるにも関わらず、「再現しない」や無視していて、Joplin同様にクソな体制と出来になってしまった。
    • OwnCloud(OCISという新しい版が出た)に戻るか、他(例: Seafile)にするか考えている。
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昨年末から延々と続いている、聴いていて起こる耳の問題(耳閉感など)を解消または緩和するためのオーディオ系の改良に ようやく目処が立った感じで、一安心している。

それまで諸悪の根源(耳の問題の原因)と考えていた(実際に悪かった)大容量の電解コンデンサを「撤廃」したら、概ね耳の問題が起こらなくなった。ただ、電解コンデンサだけでなく、小容量のマイカコンデンサも悪かった可能性が高い。というのは、別の目的※で外したら*、棚ぼた的に音が良くなったからだ。

※それを使う回路(フィードバックの超高域抑制)のカットオフ周波数が計算と合わない原因は これの容量がおかしいためではないかと疑ったため。ただ、外してもカットオフ周波数のズレは解消しなかった(測定時に付いていた他の要素の問題だった)ので、実際には原因ではなかった。が、そもそも設計の時点で適切な容量でなかった(小さ過ぎた)のは確かなので問題ない。

*片方の脚を抜くとか切ったりして一時的に無効にして試したかったものの、工具が入りにくいところにあるため面倒になって無慈悲な鉄槌を下した思い切って破壊的に外した(ラジオペンチで ひねって「ブチ切った」)。

再利用できなくなっても良いか迷ったが、以下に書くようにマイカは音が悪いことが分かったので もう使うことなどなく、怪我の功名ですらある。

マイカコンデンサは高価なせいか 音が良いとされ、一部のオーディオ界で珍重されているが、誘電体吸収(簡単に書くと、コンデンサが放電し切らずに電荷が残ってしまう現象。 → 参照1, 2, 3)が大きい(電解コンデンサも大きい)ことによる弊害を考慮しているのか怪しい。※ そんな特性で いい音が出るのかも怪しい。実際、歪みがひどい(特性の良いセラミックよりも悪い)という感想を目にした。*

まあ、音が良いと思う・感じる人は使えば良い。が、(他の部品もそうだが、)○○の一つ覚え的に、考え・検証なしに、あるいは、思い込みで採用するのは愚の骨頂だ。

※あと、想像の域ではあるが、マイカコンデンサの構造はセラミックコンデンサに似ているから、それと同様の問題(電圧に依存して電極が動く・振動する → 容量が変わる)が起こって、音が良くないのではないだろうか。

*マイカコンデンサの歪みについての情報があった。: 「オーディオ設計の世界」の「キャパシタの発生する歪」の「―マイカを5種―」の項や他の項によれば、マイカは概ね歪みが良くない結果である。更に、左の"(5) SOSHIN CML2YB 132J3 (1300pF J)"の項に以下のような記述がある。

歪波形を見るとクロスオーバー歪のように、印加電圧が反転する所で段差が見えます。何個測っても同じなので、マイカの特性か?

そのページには「歪波形」の図は載っていないが、時間軸の普通の振幅の波形を示しているとすれば、この「段差」は誘電体吸収で起こっているのではないだろうか?

いずれにしても、歪みに関しては、マイカコンデンサは普通のフィルムコンデンサに負けていることが分かる。それどころか、一緒に比較されているセラミック(村田chip型)にも負けているので、上に挙げた感想は正しそうだ。

では、実際にアンプのフィードバック回路にマイカコンデンサが使われている場合に どのような問題が起こるかを推測すると、以下のようになる。

  • 誘電体吸収のためにアンプの出力からフィードバックされた電圧が残り、それがアンプの負入力に入って、アンプの出力を増大させるか減少させる。 → 出力が歪む。
    • どちらになるかはコンデンサの出力の符号によるが、入力の逆になるとすれば、出力を増大させると思われる。
    • すると、大きくなった出力が またマイカコンデンサに入り、更に出力が大きくなるのだろうか。
      • ただ、フィードバックコンデンサのために直流近くのゲインは小さいので、それほど大きくならないのか。
  • 誘電体吸収の他に、上述のセラミックコンデンサのような容量変化による歪みがフィードバックに加わり、アンプのゲインが歪んで出力も歪む。
  • 誘電体吸収で生じる(残る)電圧は入力(アンプの出力)よりも低いだろうし、フィードバック抵抗で分圧されるのでレベルは小さくなるが、普通の歪み率の0.01%のようなオーダーは超えそうだ。

なんでこんなものをフィードバック回路に使ったかは分からないが、後述のように、このコンデンサを位相補償用と考えて(誤解して)、それなら容量が安定している(という定評の)マイカがいいと考えたのだろうか。あるいは どこかからのコピペを「良さげに変えた」(容量を小さくすればカットオフ周波数が上がって、帯域が広くなる)※とかか。

※似たようなことは、フィードバック中の大き過ぎる電解コンデンサ(MUSE ES)にも言える。データシートの例では10μFや22μFなのに、なぜ100μFもの大きなものにしたのだろうか? 大きいほうが(カットオフ周波数が下がって)帯域が広くなって良さげだと思ったのだろうか?

更に、その電解コンデンサに小さいコンデンサ(0.1μF, WIMA)が並列になっているのも解せない(電源では良く見るが・・・)。高域まで安定してフィードバックを掛けるようになのかも知れないが、自分で部品(コンデンサ)を決めるのだから、あらかじめ仕様・特性を確認して、使用する帯域でインピーダンスが充分に低いものを選べばいいのだ。

実際、MUSE ESのインピーダンスの実測例では2MHz辺りまで低いから、全く充分だ。一方、並列のWIMA 0.1μF MKP2の実測例では やっぱり2MHz辺りが谷になって居るものの、その手前(例: 100kHz以下)のインピーダンスはMUSE ESより随分高い。全然意味ない気がするがなあ・・・

間違っている!: 後述のように、これは位相補償用でなく超高域のゲイン抑制用なので、容量が ものすごく安定な必要はない。カットオフ周波数が可聴域の充分上になっていれば、(温度などで)多少上下に動いても大きな問題はないはずだ。容量の安定性を求めるにしても、そういう特性(や音)の良いフィルムコンデンサが使えるはずだ(そこでWIMAを使われる可能性もあったが)。

いずれにしても、偶然の結果ではあるが、マイカを捨てて音が良くなったのは とても喜ばしい

あんなの飾りです?w

 

以下、(ほとんど自分のために、)今までの経緯など(「何で やり出した?/これをしている?」)を整理する。

全体の流れ(経緯)

  1. 音楽を聴いていると耳の問題(例: 耳閉感, 音が聞こえにくくなる)が起こることがある。
    1. 出来の悪い機器(試用した某DACと手持ちのScarlett Solo Gen. 3)で耳の問題が起こったので、原因(それらに特有の雑音が原因と考えている)を調べようとした。
      • 目星は付いたが、下の作業を始めたので未完了
    2. そうこうしているうちに(?)、通常の再生系でも起こるようになった。
      • 結局、通常の再生系の出来も悪いことが分かった。使用状況や耳の調子で問題が起こるようだ。
    3. 原因を調べ、対処しようと思った。
      • 最初はASUSのサウンドカード(Essence STX II。以下、ASUS)のDAC部の劣化だと思った(歪み率(特に2次高調波)に左右差があったので)。 (↓2へ)
        • 結局、歪み率の差は音質には影響はなさそうで、DACチップかI/V部の劣化・不調と推測している。それでも仕様の範囲内で、実際には問題ではないのかも知れない。
      • 上と前後して、耳の問題に関係あるかと思ってDACのフィルタ(sharpとslow)を比較した。
        • それまで使っていたslowよりsharpのほうが正しいことに気付いたものの、(44.1kHzの)sharpは耳に問題が起こるため、96kHzにデジタルのLPFを追加した。
        • が、処理が複雑で嫌なので止め、なぜか問題の起こらない96kHzのsharpにして音の良いアップサンプラを選んだ。
          • ついでに、部屋の特性補正フィルタも簡素化した。
          • この設定にした少しあとに、DAC出力にコンデンサを追加することを思い付いて下に繋がる。
  2. ASUSのDAC部の対処・改良: 目処が立った。
    1. 電源・電解コンデンサの劣化?: おそらくなし。
      • 電源の問題なら左右差は起こりにくいため。
      • 出力のカップリングコンデンサと電源のバイパスコンデンサの劣化もなさそうだった。
    2. 出力カップリング回路(容量の大き過ぎる電解コンデンサ)が悪いことが分かった。 → DC(direct coupling; カップリングコンデンサなし)で出力して外部にカップリング回路を付け、元の回路を無効化した。
      • クラシック音楽を聴くと(再生すると)耳閉感が起こり、ポップ音楽にすると途端に治まり、クラシックに戻すと再発することがあったのと、その前後に、大きいカップリングコンデンサは時定数が長いためにドリフト(周期の遅い振幅の変動)を起こることがあるという情報を目にしたのが、大きな電解コンデンサを疑う切っ掛けになった。
      • その後、長い時定数以外に、最初に書いた誘電体吸収の問題もあるので、電解コンデンサ自体が悪いことも分かった。
    3. ついでに、出力切り換えのリレーを直結にしてみた。
      • 耳の問題でなく、わずかにでも音の経路の接触抵抗を減らすため(気分の問題)。
    4. 大分良くなったが、まだ耳閉感が起こることがあるので、アンプも疑った。 (↓3へ)
  3. アンプ(BA3886, 自作(キットを改変))の対処・改良: オリジナルのキットの設計は「ほとんど駄目」だったが、改良(修正)して ようやく目処が立った。 ← 今ココ
    • DCサーボ部(基板)が悪い。
      • 設計が悪くて性能が不充分で、弊害のほうが大きい。
      • そもそも、出力のオフセット(直流)をカットするだけのために、常に信号に手を加えるのはアホらしい。
    • フィードバック回路の設計が悪い。
      • 超低域抑制回路(DCサーボの代わり)が悪い。: 大き過ぎる電解コンデンサ(カットオフ周波数の設定)と音が悪そうなWIMAを使っている。
      • 超高域抑制回路も悪い。: 高過ぎるカットオフ周波数の設定と、誘電体吸収特性が悪く 音が悪そうなマイカコンデンサを使っている。
        • 説明書には このコンデンサを「位相補償用」と書いてあるが、何の位相を どう補償するのだろうか??
          • LM3886のデータシートには そんなことは書いてないが、「(高域のゲインを)補償するコンデンサ」とあるのを誤解したのか。以下に引用する。 (記号は回路図を参照のこと)

External Components Description

11. Cf(1) Compensation capacitor that works with Rf1 and Rf2 to reduce the AC Gain at higher frequencies.

    • Zobelフィルタも今一つ。
      • カットオフ周波数がフィードバック(超高域抑制)と合っていない。
      • 音が悪そうなWIMAを使っている。

現状の設定・構成

  • ASUSのDAC部
    • 出力のカップリングコンデンサ(AltCC): 0.44μF (UPZ 0.22μFx2) (元: FG 220μF)
      • カットオフ周波数: 7.2Hz (後段の入力抵抗が50kΩの場合) (元: 推定0.015Hz (抵抗: 推定50kΩ))
      • ※可聴域での位相ズレを減らすため、2/7に容量を2倍に増やした(元: 0.22μF)。それに伴い、カットオフ周波数が1/2になった。
  • BA3886アンプ
    • DC(direct current)サーボ基板: 撤去
    • フィードバック回路
      • 超低域抑制コンデンサ(AltFBC): 9.4μF (ECQE 4.7μFx2) (元: MUSE ES 100μF + WIMA 0.1μF)
        • カットオフ周波数: 7.1Hz (抵抗: 2.4kΩ) (元: 0.66Hz)
      • 超高域抑制コンデンサ(AltHCC): 50pF (UPZ 100pF/2) (元: マイカ 15pF)
        • カットオフ周波数: 103kHz (抵抗: 22kΩ) (元: 343kHz)
    • Zobelフィルタ
      • コンデンサ(AltZobel): 0.11μF (ECQE 0.22μF/2) (元: WIMA 0.1μF)
        • カットオフ周波数: 145kHz (抵抗: 10Ω) (元: 159kHz)

注: 上では複数のコンデンサを組み合わせているが、そうする必要はない。単に、購入する時に最適な値が分からなかったため、組み合わせて ある程度の種類の容量を実現できるようにしたためである。また、少ない種類で複数の用途に使うことも考慮した。

実際、AltFBCは当初の計画の2倍にし、AltHCCは当初の3/2倍(3個直列→2個)にし、AltZobelは当初の1/2にした。また、ECQEをAltCCにも試したかったので、別に0.1μFを買う代わりにAltZobelの0.22μFの予備を使った。

お金をふんだんに使うなら、それぞれぴったりの容量のコンデンサを買って使えば1個ずつにできる。

現状の回路図

BA3886(改良版)のアンプ部の回路図: AltFBC, AltHCC, AltZobelが今回改良した箇所

現状で感じている効果

従来より音が良い感じになり、耳の問題は ほとんど起こらなくなった(ただ、最後にも書くが、出やすい時間帯・状況があるようだ)。

今回も、いろいろなコンデンサ(AltFBC, AltHCC, AltZobel)を換えたり容量を調整するたびに音が変わったが、AltHCCのマイカコンデンサを除去した時が一番変わった気がする。高域や余韻のような細かい音の再現性が良くなり、耳が痛くなること、あるいは、キツく感じることがなくなった(音源や体調に起因する場合を除く)。

以下に、マイカコンデンサを除去したあとの印象・聴感の例(試聴中のメモより)を挙げる。

  • 「原音に忠実」に近づいた(原音は分からないので、正確には そういう「気がする」)。
  • 高音のキレがいい、あるいは、鋭い、あるいは、クリア(しかも うるさくない)。
  • 音がいい。シンバルやハイハットの音が いい。リアルな感じ。
  • 余韻のような細かい音が今までより ちゃんと(例: はっきり)聞こえる。
  • 今まで定位が悪かった(左右どちらから出ているか良く分からない)※、1kHz辺りの正弦波が少し良くなった。
    • ※想像だが、部屋での反射と僕の耳の問題(左右の特性に差がある)が関係していると思う。
  • 何となく、耳が痛くなる(高音のキツさ?)のはマイカコンデンサが悪かった気がする。外してから起こっていないし、音が いい。

動作確認と特性の測定

AltFBC, AltHCCの動作確認のため、アンプ単体(DC接続, ボリュームなし, アッテネータなし, アンプ入力: -30dBFS)での振幅-周波数特性を測定した。グラフでは、カットオフ周波数は線が水平のカーソル(-3dB)と交わるところで、左右チャネル共に低域(← AltFBC): 約7Hz, 高域(← AltHCC): 推定約94kHzである。それらは理論値の7Hz, 103kHzと合うか近いので、AltFBCとAltHCCは正しく動作している。

ちなみに、カタログなどで良く見る「周波数特性」(再生可能な周波数帯域)は、BA3886単体では、グラフより、例えば 20Hz-28kHz +0, -0.5dB と書くことができる。特に狙った訳ではないが、一応 可聴域をカバーしている。が、これ自体は それほど意味がなく、位相や歪みのほうが重要だと思う。

まあ、それらも、補正フィルタを入れたりすると豹変してしまうのだが・・・

なお、AltZobelはカットオフ周波数が145kHzと高いため、手持ちの機材では測定不能(下で追加検討)である。

次に、いつも測っている特性(振幅, 位相, 歪み率, 雑音(ノイズフロア))を測定し、改良前と比較した。更に、小・中・大出力時の歪み率を比較した(上の2番目以降のグラフ)。

以前にも書いたように、一般的な特性(振幅・位相・歪み)に、改良前後で聴感の変化の原因となりそうな差は見られなかった。※ 大出力時の超低域(30Hz以下)の歪みの増大は ほとんどなくなったが、それが聴感に影響しているかは疑問である。

※位相(ズレ)は悪化しているものの、改良後は音が良くなったと感じているので、大きな影響は ないようだ。そもそも、上述のように、聴く時には部屋の特性補正フィルタを入れていて、位相のズレは ひどいものになるから、こういう自然なズレ(時間的な遅れ)は余り影響がないのかも知れない。

以下に特記事項やコメントを書く。

  • 振幅の比較
    • 改良後に低域が下がっている※のは、AltFBCの影響である。コンデンサの容量を増せば増すほどカットオフ周波数が下がって改良前の平坦に近付くが、容量を大きくし過ぎるとドリフトが生じたり(推測)、コンデンサの音の影響を受けるだろう。*
      • ※グラフの縦軸は拡大しているので、見た目ほど ひどくはない。
      • *もちろん、電解コンデンサを使ったら・・・
    • 改良前後に高域が少し下がっているのは、測定時に使用したアッテネータの影響と思われる。
      • 改良前はサンプリング周波数が44.1kHzだったので、下がる量が若干大きい。
      • 改良後のものには更にAltHCCの影響があるが、このグラフには出ていない。
      • なお、AltCCを2倍にしたものにはアッテネータを入れていないため、高域が少し良くなっている。他の測定結果も、アッテネータがない場合には この辺りにあると推測する。
  • 位相の比較
    • 改良後に低域のズレが大きいのは、振幅と同様にAltFBCの影響である。振幅と同様に、容量を増せば増すほど改良前の平坦に近付く。
      • 振幅と違って位相のズレは結構大きく、看過できない感じがする。
    • カップリング回路(AltCC)を付けてAC接続にすると(薄水色, 薄ピンク)低域でのズレが大きくなるのは、コンデンサが増えるためで仕方ない。
      • → やっぱり、ちょっと気に入らないので、容量を2倍にしてカットオフを下げてズレを減らすことを検討・試行している。 (2/7 9:34) → 採用することにした。低域の位相のズレは、DCとそれまでのAltCCの間辺りになった。グラフを、その測定結果を追加したものに交換した。 (2/9 10:56)
    • 改良後の高域の位相が少しズレて居るのは、AltHCCの影響だろうか。
      • ↑高域の位相は測定のたびに変動するので、余り信用できないようだ。
  • 歪み率の比較
    • 注: AC接続の測定結果はAltCCの容量を2倍にする前(0.22μF)のものである。 (以下も同じ)
    • 改良後のDC接続時(水色, ベージュ)の中低域(約800Hz以下)での歪み率の増大はADCのカップリング回路の問題と考えられる。同じ出力でAC接続(AltCC)した場合(薄水色, 薄ピンク)には増大は起こらない。
    • 一方、改良前(青, 赤)にあった超低域(30Hz以下)での歪み率の増大は起こらなくなった。
    • なお、今回の測定の高域(約4kHz以上)の歪み率が増えているのは、今回は前回の2倍のサンプリング周波数のため、高調波を求める帯域が広がったためである。
      • 例えば、以前は4kHzでは5倍高調波までだったが、今回は最大12倍まで求めることができる。
  • 雑音の比較
    • アッテネータを通して測定しているため、実際の値は約12dB大きいため、それほど雑音レベルが小さい(≒ SNRやダイナミックレンジが大きい)とは言えない。ざっと見て、-100から-105dBFS(ざっくり計算すると30μV辺り?)くらいだろうか。
    • 50Hzの山は電源からの雑音、15kHz他の山はPCからと思われる。褒められたものではないが、スピーカーからは聞こえず、耳に問題を起こさないようなので、良しとしている。
  • 出力と歪み率
    • 通常聴いている時の出力・特性は、グラフでは約19mW(青)辺りである。

ところで、改良前後で特段の差がなかったからと言って、測定が不要ということは全くない。それは、例えば「*から放出される放射性物質は極めて微量なので、監視する必要がない」と言い張るのと同じことだ。少なくとも、どこかで間違って とんでもない特性になっていないことを確認する必要はあるし、今回の作業で交換したコンデンサが ちゃんと働いているか・カットオフ周波数が想定どおりか確認する必要はある。

とは言え、手持ちの機材の限界のために測れないものもある。※: AltZobelのカットオフ周波数はASUSの上限のサンプリング周波数の192kHzでは測れない。AltHCCは傾きを延長してどうにか推定できるが、無理がある。

※ここでも、「測れないから まあいいや」と済ますのは良しとしない。

その後、測る方法を考えた。: それぞれのコンデンサ(元のコンデンサ)に並列に同じくらいの容量のコンデンサを追加してカットオフを下げて測れば 以下のいずれかの結果が得られるはずで、元のコンデンサが働いているかが確かめられる。

    • 元のコンデンサが働いているなら、カットオフは合成した容量のものになる。
    • 元のコンデンサが働いていない(例: 断線, ショート)なら、カットオフは追加した容量のものになる(断線)か全く変わらない(ショート)。

この方法でAltHCCは確かめられたが、AltZobelは無理だった。というのは、カットオフが下がってもアンプのパワーバンド内ならアンプが頑張って振幅を保つからだ。

それで、AltZobelのカットオフを下げた状態(AltHCCは そのまま)でコンデンサまたは抵抗の両端の電圧を測れば、カットオフ周波数以上で電流が流れるため、電圧(振幅)が変わる(コンデンサは下がり、抵抗は上がるのではないか)だろうと考えたが、ここまでで力尽きた(面倒になったw)ので保留にした。代わりに、コンデンサの脚の根本(本体の近く)と基板のランドの導通をチェックすることで、とりあえずは良しとした。

写真

残件

  • アンプの仕上げ
    • 代替コンデンサの固定や脚の絶縁など。
    • 測定結果などのまとめ
    • 資料の作成・更新
  • ASUS DAC部の残り(続き)
    • DC(direct coupling)出力端子を付ける。
    • カップリング回路(コンデンサ)のアダプタを作る。 (← こんなイメージ)
      • DC出力とボリュームの間に入れる。
    • 電源on/off時ミュート機能をDC出力にも有効にする。
      • DC出力には元々のミュート機能が効かないため、電源off時に小さいポップ音が出る。
  • 耳の問題が起こる原因調査の続き
    • 今回対処した(大きい電解コンデンサによる)超低域の変動(ドリフト)以外に雑音も原因だと考えているので、その検証を再開する。

その他(気付いたこと・メモ)

  • いくらDACやアンプを改良しても、朝(朝食後?)に、ごく軽い耳閉感・唾飲み時の違和感が出やすいようだ。
    • 血圧や季節(室温)が関係ある? 疲れは関係ありそう。
      • 耳閉感は耳の血行に関係あるようだが、食後は腹に血が集中して耳では薄くなるのかも知れない。朝は その変化が特に大きいのか。
    • ただ、音によるものと違い、すぐに治る。
  • 同様に、演奏自体の音が悪くて耳の問題を引き起こすことは ある。が、元々そういう音なので諦めるしかない。
  • 今まで謎だったのは、ヘッドフォンに使っているPCのオンボードのサウンドでは耳の問題がほとんど起こらないことだが、オンボードなので出力のカップリングコンデンサの容量が大きくなくて、上に書いたような振幅の変動(ドリフト)を引き起こさないのではないかと推測している。
    • 他に、ヘッドフォンは(アンプへのラインでの接続と違って)インピーダンスが低いので、仮に大きなコンデンサを使っていたとしても、カットオフ周波数が高くなって(= 時定数が短くなって)変動が起こらないのかも知れない。
      • 例: カップリングコンデンサが100μFとした場合のカットオフ周波数, 時定数
        • ヘッドフォン(30Ωとした場合): 53Hz, 6.9ms
        • ライン(50kΩとした場合): 0.032Hz, 12s
  • 測定時に、意外なものが原因で特性が想定とズレて、原因探しや対処に結構手こずった。
    • さまざまな超高域の低下要因: ボリューム(意外に効く), アッテネータ(抵抗), ADCのカップリングコンデンサ?(その前にあるアッテネータとの関係?)
    • (特にDCの場合)低域の歪みの増大要因: ADCのカップリングコンデンサ?(超低域での電荷が溜まる?)
  • とても小さいコンデンサ(100pF)は、テスターでは容量が測れなかった。寄生容量の影響だろうか。
    • それでも、一応検品したかったので、複数個(8個)を並列に繋いで測ってから いくつか(4個)を外して再度測り、差分の平均値から1個あたりの容量を推測した。
    • それにしても、テスターの仕様上は測れるはずなのだが、どうして駄目だったんだろうか?
  • 最初に「電解コンデンサを撤廃した」と書いたが、実は少し残って居る。: アンプのスピーカー保護部の入力のLPFに使っている。
    • ここには音は通らないが、アンプの出力から電流が流れ込むので、ASUSのカップリング回路を残したまま代替カップリングコンデンサを付けた時と同様に、何らかの影響はあるはずだ。
    • 流れ込む電流をシミュレートしたところ、低域(約500Hz以下)で影響がありそうだった。
      • スピーカーに流れる電流との比は約0.022%(-73dB)だった。
    • ただ、容量が22μFとそれほど大きくないせいか、音が通らないせいか、アンプのスピーカー出力に繋がっているせいか、聴感上の問題はなさそうだし、特性の違いもなかった。
      • 実使用時はスピーカーによる負荷変動が大きく、充分アンプが吸収するのではないかと推測している。
    • どうしてこういう構成にしたのか(今となっては、LPFはオペアンプの後ろでもいい気がする)記憶がないが、さすがに「ちょっと動かしてみる」訳には行かないので、保留にしている。

 

おまけ: ボツ+α写真集

いつか書こうと思って居たけど、音が悪くて無駄などで使う宛てがなくなったものを消化。

 

書いたあとでの話 (2/8 15:33)

「動作確認と特性の測定」の「位相の比較」に追記したように、カップリングコンデンサ(AltCC)を2倍の0.44μFにして試してみたら、確かに位相のズレは減ってDC接続(カップリングコンデンサなし)と それまで(1個)のの中間になったが、特に音は変わらなかった。

更に思い付いてDC接続※でも聴いてみたのだが、以前と同様に、なぜか・やっぱり音が駄目だった。: 荒さ(ザラついた感じ)やキツさや うるささを感じたものの、耳の調子のせいかと思って我慢して聴いていたら、少し耳が痛くなった(なかなか回復しなかった)。

※以前は駄目だったが、今は電解コンデンサもマイカコンデンサもないので、もしかしたら行けるかと思った。

推測ではあるが、入力にコンデンサがないために、DACから超低域の揺らぎ(ドリフト)や雑音が流れ込んで音を悪くしたり、耳に問題を起こすのではないか。あと、「歪み率の比較」に書いたように、中低域の歪みの謎の増大が関係あるのかも知れない。なぜ、AC接続だと歪みが減るのかも分からない。

他の原因として思い付いたのだが、DC接続の場合、DACの出力オペアンプの出力がボリュームを介すものの直接アンプに繋がっているため、振幅に応じた負荷変動が起こって、歪みが悪化したり音質が劣化するのかも知れない。※ あと、カップリングコンデンサがない場合、出力オペアンプとアンプが直流的に繋がっているのは なんか悪そうな気がする。

※そういうことがあるのかは分からない。: 実際、アンプの入力抵抗は大きいので、可能性としてはボリュームのほうがありそうだが、ボリュームがなくても低域の歪みは増大するので、アンプが関係していそうだ。

ただ、単に耳の調子が悪かった可能性(期待w)もあり、まだDC接続を捨て切れない。AC接続で充分音が良いから そこまでの価値があるとは思わないが、仕組みがシンプルになるのが魅力だ。

そういう訳で、AltCCの正式版はアダプタにして着脱可能にするか、ASUSの元のカップリングコンデンサと交換しつつDC出力も付けるようにして、随時試せるようにしたい。

聴いて試す以外に、測定の時にDC出力は有用だ。

 

(2/11 9:01) その後、アンプ内蔵の、スピーカー保護回路の動作確認をした。ここは変更していないが、改良後の回路は以前と特性が変わっているので、それでも問題なく動くか確認したかった。

もちろん、保護回路は問題なく動く仕様だし、実際にアンプから出力しなくてもテスト回路でチェックできるが、実際に確認しなければ分からないことは ある。

改良後のフィードバック回路(AltFBC)によって超低域のゲインが抑制されているため、以前のように1Hzの正弦波を出力しても、最大振幅(-3dBFS RMS, 推定約1.3V※)でもオフセットと検出されずにミュートしなかった。

この時、手を抜いてスピーカーを繋げたまま出力したら、「ボツ」っという音が出て驚いた。調べたら、意外にコーンの動きが大きくて、何らかのタイミングでコーンが急に元の位置に戻る時に音が出たようだ(音を停める時にも、コーンの位置によっては出ることがあった)。

また、スピーカーは意外に感度が良いようで、1V程度でも大きく前後に動き(まあ、アンプが充分に電力(電流)を供給しているためだろう)、「ボツ」っという音も結構大きかった。

それでスピーカーを壊すのが怖いので、負荷を抵抗(大容量のもの)に換えた。が、そこでも「やらかし」たようだw チェックが終わって抵抗を外す時に、1個の脚1本が外れていることに気付いた。付ける時は問題なかったので、チェック中に外れたようだ。

推測だが、チェックの左右チャネルを切り替える合間に出力を切るのを忘れて居て、それなりに出力を掛けていた(最後の頃は15Hz, -8dBFS(推定出力: 約12W)の正弦波を試した)ために抵抗が熱くなって半田が外れたのではないか。聞こえないから気付かないが、なかなか危ない・・・

なお、最初にミュートしなかった最大振幅でのチェックのあとで耳閉感が起こったので、聞こえなくても耳に影響があることは確かだ。

※試行により、アンプの1Hzでの減衰(パワーバンドとの比)は約-22.5dBであることが分かり、また、事前の想定どおりに超低域でのアンプのゲインが抑制されていることが分かった(本来のゲインは10倍(20dB)なので、抑制によって概ね1倍になったと考えられる)。

どうやってDACから直流に近い信号を出すか試行錯誤し、デューティ比が100%に近い矩形波(1Hz, 99%)を出力することで「ほぼ直流」を出せた。そして-3.5dBFS RMS(推定約1.3V)でミュートした。これは保護回路の しきい値の+1.2, -1.4Vに合っているので、正常に動作していることが確認できた。

そして、上に書いたように、この確認では早速DC出力が活用できた。DC接続でなかったら、直流に近い矩形波はDACから出力も されないはずなので。

 

(2/12 8:23) 「出来た出来た詐欺」じゃないが、上で「看過できない」と書いた、低域での位相のズレが(音は全く問題ないものの)気に入らないので、「とりあえず試してみて、駄目なら使わなければ良い」という謎の論理でw、更にコンデンサ(AltFBC追加: ECQE 10μF, AltCC追加: UPZ 0.22μF(2個ずつ))を注文してしまった。

これらを追加すると、AltFBCもAltCCもカットオフ周波数が3.5Hzくらいに下がるので、幾らかは位相ズレが改善できるはずだ。

ただ、カットオフ周波数が下がると超低域の変動(ドリフト)も通りやすくなるのが気になるので、試して(聴いて)みないと分からない。だが、現状でも(耳の問題の原因と考えていた)10Hz以下が結構通っているけど問題ないので、大丈夫かも知れない。

そうすると、耳に問題を起こしていたのは超低域が通る・出ることでなく、(大容量の)電解とマイカコンデンサ(の誘電体吸収の害?)だったということになる(他に、DACとアンプを直結(DC接続)すると電気的な問題も起こるようだ)。

 

注釈

本文中の「DC接続」/「AC―」は冗長である。"DC"/"AC"は それぞれ"direct coupling"/"alternating-"の略で、既に接続の意味を含んでいるからだ。ただ、"DC"/"AC"だけだと直流/交流(direct/alternate current)との区別が付けにくいので、「接続」を追加した。

余談だが、「DCアンプ」のDCを「直流(まで増幅できる)」と解釈している方が居るが、それが正しいのか正しくないのかは分からない。 (僕も昔は そう理解していた。)

 

(-2/7 8:40 加筆・追記、修正、写真を追加など。煩雑なので、加筆・追記した日時を削除。; 2/7 9:34-10:25 低域の位相ズレと高域の歪み率の差について追記・補足, 「注釈」を追加; 2/7 10:59 振幅と位相のグラフを、DAC-ADC直結で正規化したものに交換し、特記事項を更新した。; 2/8 15:33 「書いたあとでの話」を追加; 2/8 17:55 振幅と位相の比較に加筆; 2/9 10:56 AltCCの設定を更新, 測定結果のグラフを交換, 13:40 BA3886単体の「周波数特性」他に加筆, 13:51 構成を若干修正, 15:55 題を修正; 2/11 9:01, 12:14 スピーカー保護回路の動作確認の話と関連写真を追加; 2/12 8:23 更なるコンデンサ追加の件を追加)

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