Archive for July, 2021

この稿では、自作アンプBA3886の製作に関する、今まで出していなかった素材をまとめて出す。製作に関しては本当にこれで終わりだ。

使わなかった話と写真

  • スピーカー端子の固定
    • 元々の横長の穴にテキトーに付けただけだと、着脱の時に端子が回転してズレるので、ケースをヤスリで削ってちゃんと取り付け穴を作った。そこに端子の広い部分が嵌って固定できた
    • なぜか、端子の間隔は2.54cm(1インチ)くらいがしっくり来たので そうした(つもり)。人間工学的にいい単位なのだろうか?
  • 小さいリレー2個がスキー板みたいに大きな箱に1個ずつスカスカに入って、2個口で送られて来た・・・
    • 間違ってレール(?)2本分(数十個)頼んだかと心配した。
    • 送料無料だからいいけど、ある意味嫌がらせ??
  • ミノムシクリップ付きコードの修理: 駄目になったミノムシは自作したものではなかった。コードが金具に圧着されているところの手前(クリップの反対側)が折れて接触不良になっていた(事前に予想していた圧着部ではなかった)。そのため、引っ張ると簡単にちぎれた。駄目なものは直し、残りは補強した。
    • しかし、直したものもすぐに反対側が駄目になったので、もう寿命と判断し、新しく買うことにした。
    • → 新しいもの(秋月)はつるつる滑って親指を痛くした?? 右の親指の外側だけが痛む。 → しばらく使わずに居たら痛みは軽くはなったが、まだ治らない。他に原因??
      • 滑る以外にバネが硬いせいもある。
      • → 滑りは台所用アルコールや洗剤では落ちないが、ディゾルビットならなんとかなりそうだが、全部にやるのは面倒なので、そのままにしている。
  • 基板の固定
    • 放熱のためにLM3886をベースに付けているので、基板がベースに垂直になっていて固定が難しかったが、ネジ穴に細長いプラ板(DVDケースの背を切ったもの)を付け、それをベースの端とベースを固定しているゴムスポンジの間に挟んで、基板が動きにくくした。
  • 最後のピンジャックの交換
  • ランプの光を延長: 雑音の少ない置き方にしたら、電源・ミュート通知ランプがヒートシンクの陰になって見えなくなったので、とりあえず、ストローの導光管を付け、上端のマスキングテープで散光した。それまでの散光フードは外した。
    • 余っているオーディオ用の光ファイバを使おうかと思ったが、難しそうなので、断念した。
    • 暗い(薄い)が、点いていることは なんとか分かる。
    • ミュート時の赤は、いつもながらいい色だ。
  • ボリュームの入力をピンジャックに
    • 雑音の入りにくい8-oneのコードをボリュームの入力にも使いたくなったので、入力をピンジャックにした
    • 元々アンプの入力に使っていた、中心電極が回ってしまうピンジャックを使った。
      • 期待せずに瞬間接着剤を付けたら、なぜか まあまあ付いていた。
      • まだ弱いが、このコネクタはあまり着脱しないので良しとした。
    • それを、(なぜか手元にあった)ピンプラグのカバーに嵌めた
      • これも弱いが、あまり着脱しないので良しとした。
  • 部屋(スピーカー)での測定結果
    • アンプを換えてもスピーカーでの特性はほとんど同じだった(上(LR)中(L)下(R)、それぞれ2本ずつの線が交換前後の特性)。
    • それでも音が違うのは、動的な特性や複数の音が混じっている場合の挙動が違うせいだろうか?
    • (アンプには関係ないが、)以前からあるLの120Hz辺りの広く深い谷をなんとかしたいが、どうにも難しい。
  • 片付いた作業机の様子
    • さまざまな物がなくなって、随分すっきりした。今はもっと片付いている。

細かい工夫や発見・トラブル・アイデアなど

  • コイルの作り方: キットの説明書には「10回」と大雑把な指定しかなかった(直径は「鉛筆」、ピッチの指定はなし。インダクタンス値の指定もなし)ので、別の回路図で想定されるインダクタンスの値を調べ、便利なページで正確な巻数、直径、ピッチを確認した。
    • まあ、大雑把なものでいいのだとは思うが、基準を明確にしたかった。
  • サーボ基板を繋ぐコネクタを壊した。
    • キットの説明書に何も注意がなかったので、長いコネクタ(3つに分割して使う)をニッパで普通に切り分けたら外装が割れてしまった。。。
    • → かなり苦労して補修したが、接触不良を疑って新しいものに交換した。
    • 上のコイルもそうだが、説明書の写真が不鮮明で見にくかったり回路図の描き方もいい加減(線が接続されていない箇所がある)だったりして、このキットは(箱に比べて)随分大雑把な印象だ。
      • 線が接続されていないってことは、手描きの回路図をドローツールで清書したのだろうか? 当然、シミュレーションもしていないのだろうか。
  • (ヒートシンクを使おうとした時) 基板の奥行きがわずかに(<1mm)広く、LM3886の下部とヒートシンクの接触が不充分だった(隙間ができた)。 → ヒートシンクに力を掛けてLM3886の脚を曲げて外に出した。
  • 何回もの修正・変更で、コンデンサなど大きい部品の外装が(間違って触れた半田コテの)熱でボロボロ・・・
  • 電線は見た目は細くても大電流が流せる。
    • 例: AWG22(径: 約0.6-0.7mm)でも7A前後も流せる。
    • ただ、電源のインピーダンスとは別かも。
      • 過渡特性の関係なのか。特にコネクタは良くなさそうで、大出力時に超低域の歪みが増える。
  • 電源電圧は±12Vか15Vか? → 検討して±15Vにした。
    • DC-DCコンバータの出力は固定(30W)で、それを電圧と電流に按分(?)する(P= IE)のとLM3886の電圧降下の関係で、15Vのほうが最大出力が大きくできるため。
      • 12Vでは電流に比べて電圧が低いため、電源容量に無駄ができてしまう。
      • 書いたあとで気付いたが、ステレオなので左右で同時に大きな音が出る場合が多いことを考えると、電流が多目に取れる12Vのほうが良かったのかも知れない(誤差の範囲かも知れないが)。 (7/6 7:37)
        • まあ、そもそもそこまで大きな音量で聴かないので、実用上は関係ないことは確かだ。
  • 内部のモジュール間の接続にXHコネクタを使ったのは大正解だった。PCの電源で言えば「フルモジュラー式」で、作業や調整や確認の時に半田付けなしで手軽に着脱できるのが良い。
    • ただ、線やコネクタの容量は充分でも電源のインピーダンスが上がるようで、大出力時に中低域の歪みが増えたので、GNDはコネクタなしで直結の線を追加した。
    • あと、入力やスピーカーの音を通す線は接点を減らすために直結にしたので、手軽にできない作業もある。
  • ブレッドボードは便利だが、意外に部品が載らないし、込み入ってくると配線に手こずる。そして、GNDと電源のラインがあったほうがいい。ないと、足りなくて苦労する。あと、ジャンパ線も15本では全然足りない。関係ないけどミノムシも足りない。直しても足りないw
  • エネループは単3ですら強力で、ショートさせると本体もコードも熱くなる。
    • 気付かないでいると、コードの被覆が溶けるのでは?
  • 作業中に工具や部品が落ちそうになった時、咄嗟に取ろうとしないほうがいいのかも。
    • 鋭利なものや熱いものの場合、危険 (例: ナイフやドライバーが太腿に刺さる、火傷する、潰れて壊れる)
  • 段々細くなる半田
    • 太いと横に流れることがあるし、無駄に使うから良くない。
    • 元々は確か1.2mmだったのが、1mm(アンプを作る時に補充) → 0.8mm(最後に補充)となった。
  • 先端が磁石の工具は全然良くない。特にラジオペンチ。
    • 部品やリード線をセットして放そうと思っても くっついたままそのまま戻ってしまうので、苦労が水の泡になる。
    • 使おうと思うと、先端にリード線の切れ端がくっついていて汚らしいし、危険。しかも簡単には外れないから面倒。
  • ハリ玉よりブルタックのほうが柔らかいうえに強くて良い。
    • ただ、剥がしたあとにくっついて少し残ることが多い。柔らかいためで、その分付きがいいので、一長一短。
    • 白でなく薄い水色なので、見えるところに使う場合は問題になるかも(そういう想定のものではないが)。
    • 量も多く、割安な感じ。
  • 半田吸い取り器が全然吸い込まなくて がっかりした。なぜ??
    • その後、使い方を思い出して なんとかなった。ただ、少し弱い感じ。ピストンとシリンダーの隙間が大きいせいか?
  • 基板から外に出している線が折れやすい。
    • 半田の付いた部分が硬く、付いていない部分との境目辺りが弱いようで、何度も線を動かすと切れる。
    • → 接着剤ではうまく保護できず、ブルタックを被せて動きにくくした。
      • 本当は、半田の付いていない部分(被覆)を基板に固定すべきなのだろう。
  • 「海苔」音源(例: ELT)が以前より普通に聴けるのは、歪や雑音が少ないとか、低域の再生能力(← 歪 ← 電源)が上がったせい?
    • それでも、疲れている時は長くは聴けない。

使えたもの/使えなかったもの

  • 最も使えたもの
    • 回路シミュレータ: アナログ回路は詳しくないので、これがないと何も試せなかった。
    • ブレッドボード: 半田付けなしで回路を動かせるのは すごく便利だった。
    • XHコネクタ付きコード(ラジコン用): (上述のとおり)
  • 最も使えなかったもの
    • プラのメッシュ: 電源コードをまとめるのに使おうとしたが、使わず。
      • 触るだけで端がバラける(そうしているうちに、使うところがなくなりそうだった)。それを固定する方法が不明。
      • 僕の確認不足だが、太過ぎた。
    • Scarlett Solo
      • アンプの測定には特性が悪過ぎる。歪みや雑音がサウンドカード(ASUS Essence STX II)の10倍くらい大きい。

参考にした・便利なサイト・ページ

ためになった&なかなかスゴいページ

※以前の投稿で紹介したページは省略した。

指向や考え方などが違うせいか、ページ間で記述が異なる・矛盾していて、どれを採用すればいいか迷うこともあった。例: GNDの処理(1点GND)について

いいパーツの店(通販)

  • 秋月電子通商
    • 基本は ここ一択だが、意外にない物もある。
    • メール便もやってくれるとありがたいが・・・
  • 宮崎電子パーツ
    • 一度しか使っていないが、他の店よりもメール便の送料が安く、欲しいものがそれなりに揃って居た。

 

(7/5 5:14 画像ギャラリーがなくなっていたので、復元した。; 7/5 5:57 加筆・修正; 7/5 6:15 画像を追加; 7/5 9:46 少し加筆・修正; 7/6 7:37 少し加筆)

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当初は他のいくつかの製品・自作アンプと比較しようと思って居たのだが、僕の測定はPCを用いた簡易的なもので、もちろん較正している訳ではなく、公平・客観的な比較ができないので止めた。

すると、以前書いたまとめのコメントでほとんど「全部」だ。としては味気ないので、少しコメントを追加する。その中で、参考程度に他の製品の値も書く。

全般的にBA3886の特性・性能は期待以上(当社比w)となって充分満足しているが、以下だけは あえて言えば「もう少し何とか」したかった。

  • 消費電力: 無音時でも5W近いのは、気にはならないが、現代としては「食い過ぎ」な気はする。
    • メーカー製品の例: ヤマハ A-S501の待機電力は0.5W, DENON PMA-30は0.2W, TEAC AI-503は0.5W以下
      • ただ、これらは待機・スタンバイモード(実質的にoffの状態)の場合と思われ、再生中で無音の時はもっと大きいのだろう。
      • どの製品にも非スタンバイ時の無音時の値が書いてないということは、それほど小さくないのかも知れない。 (検索すれば、誰かが測った値があるかも知れない)
        • → 検索したら、上記の機種はなかったが、PMA-30に近いPMA-60の実測値が出て来た。デジタルアンプにも関わらず、無音時 12-13Wと随分大きいので安心したw
          • そして、スタンバイモードは、車のアイドリングストップと同様に、単なるスペック・規制逃れだけのための欺瞞だと感じた。
        • それから、BA3886に近い、(普通の)AB級らしいトランジスタアンプでは9Wというものがあったので、BA3886の5Wは、まあ、「そんなにおかしくない」と推測できる。
        • 一方、小さいデジタルアンプで1.1Wというものもあったので、5Wは小さいとは言えないのは確かだ。
        • 他には、AVアンプはとんでもない大食いのようで、無音時でも40W近くあるようだ。それどころか、80W以上もある製品すらある。一体何に使っているのだろうか。チャネル数が多いのと、ビデオ回路があるせいだろうか?
  • ゲイン: 5倍程度(以下)にしたかったが、アンプIC(LM3886)の制限で、10倍以下にはできない(発振してしまうそうだ)ので どうしようもない。
    • 入力にボリューム+アッテネータを入れて、全体的なゲインを小さくしても充分な特性が得られたので、良しとしている。
  • クロストーク(チャネルセパレーション): 現状(約92dB @1kHz, 約77dB @10kHz)でも充分良いが、10kHzで80dBくらいだと「完璧」な気がする。ただ、メーカーの製品でも高域はそれほど良くないようだ。
    • 例: A-S501: 50dB以上 (10kHz)
      • なお、消費電力で挙げたその他の製品には記載がなく、その他の特性についてもヤマハほど詳しく書かれて居ない(それどころか、上に挙げなかった一般的なオーディオ機器でも、ヤマハ以上のものは見当たらなかった)が、どういう思想・指向なのか推して知れそうだ。
    • それから、BA3886のL→RとR→Lの漏れ量に差があるのは、アンプ基板とスピーカー端子の位置関係によるのかも知れない。
      • アンプ基板のL側のすぐ脇(距離約3cm)にRのスピーカー端子があるので、Lの信号がRに漏れやすいのではないか。
  • アンプICの温度: 消費電力と同様、もう少し低いといい気がする(現状は、無風時に室温+18℃前後)。が、電源のDC-DCコンバータはもっと熱いので、アンプだけ冷たくても仕方ない。

 

次に、個人的に最も重要と考えている歪みに関して分かった、興味深いこと(カタログに書いてない歪み率の推測方法)を書く。

歪みを測定していて気付いたのだが、どういう訳か、歪みの量(歪み率ではない)は出力が変わってもそれほど変化しなかった。もちろん、出力が限界近くまで大きくなると増大するが、それより充分に小さい場合では ほぼ一定だった。不思議に思って調べたら、例えば、AB級アンプのクロスオーバー歪みの量は振幅によらずほぼ一定という情報(Benchmark社)や、残留雑音(→ THD+NのN)の量がほぼ一定なために、小振幅時には歪み率が増える(→ 歪み量がほぼ一定と解釈した)という情報(new_western_elec)があった。

特性測定ソフトREWで測った「歪み」がTHDなのかTHD+Nなのか未だに判然としないのだが("THD"と書かれているし、歪みのグラフとは別にノイズフロアのグラフが描かれるので、THDだと思っては居る)、いずれにしても、歪み(THDまたはTHD+N)の量は小出力時には ほぼ一定なのは確かそうだ(もちろん、そうでないアンプもあるだろう)。そこから、カタログに書かれていない、小出力時の歪み率を推測する式を考えた。

ある出力P(振幅はA)での歪み率をRとすると、歪み量Dは以下となる。

D= A * R

※書いていて、歪み量は振幅でなく出力に比例するのかも知れないと思ったが、最初の考えどおり振幅を用いる。

一方、振幅Aは負荷をLとすると、

P= A2 / L → A= sqrt(P * L)

となり、L= 8Ωの場合、A= sqrt(P*8) V となる。

ここで、小出力時にはDが一定と仮定すると、Pとは別の出力P'(振幅A')での歪み率R'は、以下のように推測できる。

R= D / A → Dが一定とすると、R'= D / A'

L= 8Ωとし、A'を置換して、 R'= D / sqrt(P' * 8)

Dを置換すると、

R'= R * sqrt(P * 8) / sqrt(P' * 8)

となる。

※これは要するに、典型的な歪み率のグラフ(→ : ページ中のグラフ)の左側の右肩下がりの直線に近い部分の(小出力での)値を推算する。

上の式の妥当性を いくつかの例で検証・推算してみる。以下での歪み率は すべて1kHzでの値である。

1. LM3886(データシート)の歪み率のグラフ(Fig. 23: 1kHz, 8Ω, Vcc= 28V)で試す。 → 式が成り立つ。

※1W付近で歪みが少し増大しているので、その手前の0.7Wでの値を用いる。

  • 0.7W: グラフより約0.005%
    • 0.1Wでは、推定0.013%: グラフでは約0.015%: 概ね合っている。
      • 計算: 0.005/100 * sqrt(0.7*8) / sqrt(0.1*8) *100
    • 0.01Wでは、推定0.041%: グラフでは約0.04%: 合っている。

2. 以前のアンプSAYA SP192ABの歪み率のグラフで試す。 → 式が成り立つ。

※1kHzのグラフは余りにも値が小さく、形状も普通でなくて妥当性に疑問があるので、20kHzを使う。

  • 1W: グラフより約0.009%
  • 0.2Wでは推定0.02%: グラフでは約0.02%: 合っている。
    • 0.1Wでは、推定0.028%
    • 0.01Wでは、推定0.090%

小出力時(0.01W)の歪み率はBA3886の10倍程度と推測でき、実測値の傾向と合っている。

3. new_western_elec 「アンプの歪率カーブの読み方」のVFA-01の歪み率のグラフ(上から2番目)で試す。 → 概ね成り立つ。

  • 1W: グラフより約0.0028%
    • 0.1Wでは、推定0.0089%: 本文の記載は0.007%: 少し大きい。
    • 0.01Wでは、推定0.028%: グラフでは約0.022%: 概ね合っている。

4. オーディオデザインのコラム「パワーアンプの性能・音質比較」のDCPW-100とB社セパレートアンプの歪み率のグラフで試す。 → 1Wからの推算は成り立つ。 (7/5 11:33追加)

  • DCPW-100: 1W: グラフより約0.001%
    • 0.1Wでは、推定0.0032%: グラフでは約0.003%: 合っている。
    • 0.01Wでは、推定0.0010% (グラフはなし)
  • B社: 1W: グラフより約0.008%
    • 0.1Wでは、推定0.025%: グラフでは約0.02%: 合っている。
    • 0.01Wでは、推定0.080% (グラフはなし)

※1Wからの推算は成り立つが、表に書かれている1kHz 80Wの歪み率からの推算値は数倍になった。グラフを見ると、DCPW-100では約10W以上で右下がりでなくなり、B社も傾きが変わっているためだと考えられる。そのため、定格出力に近い大出力での値からの正確な推算は難しいようだ。

5. メーカー製品の(、カタログに書かれていない、)小出力時(0.01W)の歪み率を推算してみる。

  • ヤマハ A-S501
    • カタログ値: 45W時、0.019%以下 → 0.01W時、推定約1.3%以下
  • DENON PMA-30
    • カタログ値: 定格出力-3dB時、0.05% → 0.01W時、推定約1.6%
      • 「定格出力-3dB」の意味が不明だが、電力比として定格出力(20W)*0.5= 10Wとした。
  • TEAC AI-503
    • カタログ値: 1W時、0.005%以下 → 0.01W時、推定約0.050%以下

あくまでも個人的な推測だが、カタログ・仕様に大出力時の歪み率を載せているものは、その値が かなり小さくないと、小出力時の歪み率は良くなさそうだ。もちろん、それらが特別な技術・回路を使っていて(例えば、デジタルアンプの特性はAB級とは違う可能性が高い)、小出力時の歪みを低減させている可能性もある(であれば、カタログにもそのように書くし、小出力時の値も出すはずではあるが・・・)。

すごく穿ったことを書くと、まず、

メーカーは、良い機能やスペックは必ず出す

ことは確実だ(じゃなかったら、何のために新しい技術・製品を作っているか分からない)。とすれば、カタログのテンプレートにならって定格出力時の歪みを載せたとしても、他製品に比べて小出力時の歪みがすごく小さければ、それも出すはずだ。値どころかグラフすらも出していないということは、小出力時の歪みは良くないと想像できる。

そのことは技術者もメーカーも百も承知だけど(そりゃあ、社内で測ったグラフを見れば一目瞭然だ)、(今までの流れで作っていては)どうにもできないので、(いかにも目をひく)大出力向けの機能や性能をうたって、(一般ユーザーにとって最も重要な)小出力時の特性については(知ら)なかったことにして(、なおかつ、大出力時の話を書くことで、ユーザーには小出力でもいかにも良さそうに思わせて)いるのではないだろうか? (あくまでも僕の想像だが、そうだったら全く嫌だね)

また、当然のことかも知れないが、最大出力が大きなアンプより、小さなもの(しかも、カタログでの歪み率が小さいもの)の方が小出力時の歪み率が小さそうだ。要するに、やたらに出力が大きいアンプは良くなさそうだ。 → 大は小を兼ねない。

ちょっと違うけど、車に例えれば、大排気量・大パワーの車は いいと言われるが、小排気量・小パワーの車の「おいしいところ」(大抵は回転数の高いところ)をキープして走るほうがおもしろいのに通じるかも知れない。実際には、排気量・パワーに関わらず、トルクが大きい車が一番楽だし走りやすいと思うがw

もちろん、歪み率が大きい/小さいからといって音が悪い/良いとは言えないが、僕は、歪みは少ないに越したことはないと思うので、仮に次にアンプを買うとしたら、上の方法で選別してみたい。

 

最後に、このBA3886を作る時に、いくつかの候補の中から、特に歪みに着目してLM3886を採用したのは正解だった。そもそもデータシートでの(小出力時の)値が良く(歪みが少ない)、自分の測定結果もそれに反せず良かった。

そして、BA3886の音が良く(正確には、再生能力が高く)感じる原因が歪みの少なさにあるのか(あるいは、雑音の少なさかも知れない)は不明だ(し、そもそも音がいいのか悪いのかも確かでない)が、少なくとも、数値上は当初の期待・要望に違わないものが出来た。

そういう点で、BA3886は技術的には成功だったと言える。

 

(7/5 11:33 歪み率の推算例を追加、例の番号を修正)

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