オーディオ系の改良、あるいは「作り直し」作業(主に耳への問題を改善しようとしている)は なかなかキリがなく、昨年末に書いたことの ほとんどが更新となっているうえに、新しいことも増えた。ちゃぶ台返しもあった。それでも、分かったことが少しずつ増え、耳にも良い方向に進んで居るので、そのうち終わりそうな感触ではある。
それにしても いろいろなことが あり過ぎて、今回も概略程度しか書けない。いつか、それぞれの詳細を書きたい(と書いておくw)。
サウンドカード(ASUS Essence STX II)のDAC部: カップリング回路
- 出力のカップリング回路(下図を参照): 随分試行錯誤して代替カップリング回路("AltCC")を調整し、ようやく、「マイベスト」や「ファイナルアンサー」は東信のUPZというコンデンサを抵抗なしにした場合でありそうなことが分かった。
DACの出力 → カップリングコンデンサ ―→ ボリューム → アンプ
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(抵抗)
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GND
- これまでに以下のような構成で試した。
- ASUSのオリジナルのカップリング回路("OCC")に、外付けのカップリング回路を追加(直列接続)
- 「ちょっと試してみよう」の乗りだったが、意外に変化があったので、以下に繋がる・・・
- OCCを残したまま、DAC出力に代替カップリング回路(AltCC)を接続
- この時は、OCCを残しておいても使わなければ(出力端子に接続しなければ)影響はないと考えていた。
- OCCを無効にしてAltCCを使用 (現在)
- OCCでは抵抗でGNDに繋がっているために、弱いながらも電流が流れてDAC出力に影響があったので、OCCの手前で切り離して無効にした。
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ASUSのオリジナルの出力カップリング回路(OCC)を無効にできるようにした。: パターンカットした部分(金色の電解コンデンサの左の2箇所: ペンでマークしてある)
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作業終了: 左に延びている線(下側)がDACの出力(暫定DC出力)。また、ジャンパピン(黒)でOCCを有効にできるようにした。
- 現在のAltCCの順位(耳に合う&音が良く感じる順)※
- ○ 東信 UPZ(0.22μF, 抵抗なし): 馴染める音。高域は丁度良い。
- UPZだけは、試し始めた時から ずっと悪い印象がなく、せいぜい「地味」とか「華がない」のようなものだけだった。特性からは そういうことが想像できず、全く不思議なコンデンサだ。
- カットオフ周波数: 約9Hz
- △ パナ ECHU(0.1μF, 抵抗なし): 音が いい感じはするが、高域が わずかに強目で派手な感じ。
- カットオフ周波数: 約34Hz: 高いが、実用的には問題ない。
- △ パナ ECPU(1μF, 抵抗なし): 悪くはないが、高域が弱目で物足りなくなる。
- カットオフ周波数: 約3.4Hz (測っていないので推定)
- △- ECPU/2(2個を直列接続 → 0.5μF, 抵抗なし): わずかに耳に問題が起こる。行けるかも知れないが、あえて選ぶことはない。
- △- ルビコン PMLCAPx2 (合計0.2μF, 抵抗なし): 少し耳が痛くなる(1個(下記)よりはマシ)。高目の帯域が近く聞こえた。あえて使う理由はない。 (AltFBCのついでに買ったものが届いたので、少し試した。: 1/24 18:00)
- 以下は不可(耳に問題(耳閉感など)が起こる)
- ECPU(1μF)+20kΩ: 以前(アンプのフィードバックコンデンサが有効の時)は1-2番目に良い印象だった(今はECPU/2と同じくらいかも)。
- 他もそうだが、なぜか抵抗を付けるのは良くないようだ。
- カットオフ周波数: 約11Hz
- ECHUx2(合計0.2μF, 抵抗なし): 少しキツい。少し前までは一番良かったのだが、確か、アンプのフィードバックコンデンサを無効にしたら(後述)駄目になった。
- 試し始めた時は2-3番目くらいに良い印象だった。
- なぜか、並列接続も良くないようだ。
- カットオフ周波数: 約11Hz
- PARC Audio(1μF)+20kΩ: 買った時の聴感が悪くて死蔵していたもの。今回も諦めずに数回試したが、やっぱり駄目だった。
- ルビコン PMLCAP (0.1μF, 抵抗なし): 耳に問題(痛みや耳閉感: どちらも軽い)が起こる。音が不自然な感じ。 (AltFBCのついでに買ったものが届いたので、少し試した。: 1/24 18:00)
- ルビコン MPS(0.22μF, 抵抗なし): 高音が強過ぎて耳が痛くなる。シャリシャリ感がすごい。うるさい。 (AltFBCのついでに買ったものが届いたので、少し試した。: 1/24 13:38)
- あるページの歪み測定結果で良好なので試してみたが、音は良くなかった。
- おそらく、そのページは単一の周波数(1kHzだったか)だけで歪みを測定しているため、それ以外の帯域の歪みの発生状況が異なるためだろう。一般的な方法ではあるが、余り有効・便利ではない気がする。(僕からすれば古い方法だ)
- 余計なことだが、その方はその実態に合わない結果をもとに何かしただろうが、失敗しなかったのだろうか?? (まあいいかw)
- まあ、電力用なので音が悪いのも仕方ないだろう。それにしても、容量はUPZと同じで特性も他と同様なのに、音が全然違うのが謎だ。
- WIMA MKS2もどき?(1μF)+20kΩ?: 音がひどい(高音のギラつき)。以前の聴感も悪かった。抵抗は記憶が曖昧(記録を調べるのも面倒)。
- オリジナルのカップリング回路(ニチコン FG 220μF+50kΩ(推定), OCC): 不思議なことに、この件を始める前は問題ないことも多かった。
- そう言えば、音が良く感じる時と そうでもない時があったのは、僕の耳・体調や気分の影響や気のせいかと思っていたが、本当に音が変わっていたのかも知れない。
- 電解コンデンサなので、カップリング回路に使うのは今一つ無理があるから、その関係があるのかも知れない。
- カットオフ周波数: 約0.0015Hz(単体の場合): かなり低い。そのため、時定数も約25秒と長い。
- DC(直結, コンデンサなし)
- 「コンデンサを排除すれば(≒ DC構成にすれば) いい音になる」とは全く限らず!、カップリング回路が必要なことがある。
- そもそも、聞こえない領域を苦労して伝達・増幅して弊害を出すなんて何と馬鹿らしいことだと、今は思う。
- でも、安直な・にコンデンサを入れると僕のようにひどい目に遭うので、そのリスクを事前に回避する意味では意味があるかも知れない。
- が、直流付近から そのまま出しても耳に問題が起こるので、やっぱり意味がない。
- だから、直流付近を綺麗に切る必要があるが、それは難しい。そういうところが腕の見せどころの一つなのかも知れない。
- 耳に合うものは、DACからアンプへの接続形態、アンプのフィードバック回路によっても変わる。今は、上記のように、DACとボリュームの間にカップリング回路を入れるのが一番良い。また、アンプのフィードバック回路のコンデンサ(詳細は後述)は無効(なし)にしている。
- カップリング回路とボリュームの順序を入れ換える構成も試したが、アンプの入力抵抗(合成抵抗)が大きくなって出力のオフセットが増大するのと、雑音に弱くなるのに加え、手持ちには丁度良い容量のコンデンサがないので止めた。
- ボリュームやアンプの入力抵抗やフィードバック回路とAltCCのコンデンサの関係で、カットオフ周波数やアンプのオフセットや全体的な超低域の挙動が変わるようだ。
※注: カップリング回路は前後の機器(回路構成)によって特性・挙動が変化するうえに、僕の耳は変な音に過敏なようなので、上に書いた感想や順位は僕の環境だけのもので、一般的なものではない。
だから、良く「コンデンサの聴き比べ」(オペアンプなども)とかあるけど、全く同じ環境でないと、そういうのは余り宛てにならないと思う。傾向をつかむ材料にはなるかも知れないが(全く違うかも知れない)、おそらく同じ結果にはならないと思う。そういう点で、事前検討なしでコンデンサやオペアンプを気軽に交換するのには賛成しない。
交換するにしても、一気に全部交換するなんてのは全く良くない。コンデンサの役割も効き方も全部同じではない。全部交換してしまったら、どこが効いたか/効かなかったか分からないではないか。
それにしても全く不思議なことは、上のどの回路もカットオフ周波数以外の特性(位相、歪み、雑音)は ほとんど変わらないのに(下にグラフを載せる)、耳が駄目とか高域が強いだの弱いだのといった、聴感の違いが生じることだ。想像だが、動的な特性や、(単純な正弦波でない)複数の音が混じった場合の特性(例: 混変調歪み)に違いがあるのだろうかと思う。
それぞれのコンデンサの特性(例: tanδ, 周波数-インピーダンス/位相特性)が関係しているのかも知れないが、知識が足らず、分からない。
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主な代替カップリングコンデンサの振幅特性(アンプ出力で測定, 平らな部分(86dBSPL)は約-40dBFS相当)の比較: AltCCがボリュームの前: 緑: ECPU+20k, 紫: ECHUx2, 赤: UPZ(抵抗なし), 茶: UPZ(抵抗なし, FBCなし); AltCCがボリュームの後ろ: 青: UPZ, 薄ベージュ: ECPU+20k: 振幅が小さいせいか、15kHz辺りに雑音が出ているものがある。
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同、位相
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同、歪み率: AltCCががボリュームの後ろだと雑音が多くなるために歪み率も悪化している。
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同、雑音(ノイズフロア): AltCCががボリュームの後ろだと雑音が多い。
DAC(TI PCM1792A)のフィルタとJACK(Linuxのサウンドシステム)のサンプリング周波数
- 元: 44.1kHz /slow → 前回: 96kHz/slow → 今: 44.1kHz/sharp
- 96kHz/slowで問題なかったものの、高品質なアップサンプル(speex-float-10)は負荷が高く、全体的な負荷が高い場合に音切れすることがあるので、止めた。
- なぜか、耳の問題はDACのカップリング回路/AltCCやアンプのフィードバックとも関係があり(超低域の変動に関係があるようだ)、そこらを改良した今は44.1kHz/sharpでも問題ない。
さまざまな苦労の甲斐あって、ようやく、「普通」(デフォルト)の設定で問題なくなったようだ。
今までは その普通の設定で耳が駄目だったので どうしてかと思って居たし、他の人は良く大丈夫だと不思議に思って居た・・・
駄目だったのは決して気のせいや思い込みではなく、以前は44.1kHz/sharpにするだけで耳閉感が起こった(何度試しても同じ)のだが、原因が確定していないだけに証明が難しい。
それにしても、DACのフィルタやサンプリング周波数が耳の問題の起こり方に関係するのは謎だ。少し前までは以前書いたサンプリング定理を誤解した方の話から、ナイキスト周波数付近のAM変調成分が超低域に出て、それが耳に影響しているのかと思って居たが、そこまで高域が出ていなくても起こるので、そうではなさそうだ。
それに、元々44kHzではslowが良かったのだが、それだとエイリアシングの漏れが多いので、超低域に出るAM変調成分もsharpより多いはずなので、耳の問題が ひどくなるはずだ。だから、AM変調成分と耳の問題は関係なさそうだ。
それよりはDACチップの特性が気になって居る。データシートには可聴域外(20Hz以下, 20kHz以上)の雑音などは書いてないので、どうなっていようがTIは我関せずだ。
「我関せず」と言えば、Scarlett Solo Gen.3のフォーカスライトも同じようなスタンスで、仕様は20Hz-20kHzなのだが、30kHz以上で雑音が増大することを指摘しても、可聴域外だから全く問題ないと言われた。聞こえなければ いくら雑音を垂れ流してもいいのだろうか?
雑音といえども、仕様として書いている範囲外に それほど小さくない音を出すのは問題ないのだろうか? その論理なら、アンプが数百kHzで発振して とんでもない音量で超音波を出しても、壊れなければ問題ないことになりはしないか?
アンプ(BA3886, 自作(キットを改変)): フィードバック回路
- 前回: サーボ基板が使い物にならないので撤去した。 → 今: サーボの代わりのフィードバックコンデンサ※も容量が大き過ぎて耳に問題を起こすようなので、変更しようとしている(→ 代替フィードバックコンデンサ, "AltFBC")。それでも駄目なら撤去する。
- ※超高域でのゲインを下げて発振を防ぐため、フィードバックループとGNDの間の抵抗(下図のRi)の前にあるコンデンサ(下図のCi)。

フィードバック回路の説明図 (TI LM3886のデータシートのFig. 1): 図中のCiが本文のフィードバックコンデンサ
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- オリジナルのキットの容量は100μFと大きい(抵抗Riは1kΩ)。 → カットオフ周波数: 約1.6Hz (推定) (上図のTIのサンプルでは約7.2Hz)
- なお、僕はゲインを下げるために抵抗Riを2.5kΩにしている(抵抗Rfは22kΩ)。 → カットオフ周波数: 約0.64Hz (推定)
- 替わりのコンデンサAltFBCはルビコンのPMLCAP(10μF)を注文中で(→ 結果は後述: 1/25 16:51)、今はコンデンサなし(抵抗をGNDに直結)で試しているが、オリジナルより随分良い。
- 問題がないならコンデンサなしでいいのだが、直流まで増幅するために出力のオフセットが大きくなるためか、入力を開放した状態で電源をoffにするとポップ音が出るのが気に入らず、小さいコンデンサで試そうとしている。
- それから、キットでは100μFに並列にWIMA(0.1μF, 外見は上記の1μFのものより本物らしい)が付いており、実害がないのは分かりつつも、ボーカルの「かすれ」(後述)の原因ではないかという疑いや、上記の「もどき」で懲り懲りなので、一緒に排除したい。
- 同様に、出力に付いている発振防止回路のコンデンサ(WIMA 0.1μF)もPMLCAPに交換する予定だ。
- このような状況から、前回同様、あのキットを作った人の見識や技術力に疑問がある。
- 以前も疑ったが、別の人が作った(考えた)ものに安易に自分の色付けをしたり、良かれと思って(逆効果な)変更をしたのかも知れない。
- フィードバックコンデンサの容量以外にも、「ん? 分かってない?」と思われるものがある。あとで詳しく書きたい。
- これらは今にして気付いたことで、そのキットを選ぶ時には知識が全く足りなくて、何の疑問も感じなかった。。。
- そういう点で、今のアンプが とりあえずちゃんと音が出ているのは、結構な僥倖かも知れない・・・
(1/25 16:51) 届いたPMLCAP(10μF)をAltFBCに試したところ、意外にも※AltCCの0.1μFと同様に耳に問題(痛みや耳閉感)が起こって駄目だった。
※フィードバックコンデンサも音に影響があるのが意外だが、上に自分で書いているように、フィードバックコンデンサでも耳に問題が起こることを疑って交換したのだから、「何を寝ぼけてるんだ!」で、何に換えても いい訳は ない。
そもそも、フィードバックコンデンサはアンプのゲインを決める(低い周波数ではゲインを減らす)ので、出力する音自体を通しては居ないものの、言ってみれば出す音を決めているので、音に影響しない訳がない。
特性を測ると、低域(概ね60Hz以下)の歪みが大きいのと15kHz辺りに雑音があるのが気になった。ただ、前者は他の場合にも出ることがあるが問題のないことが多く、後者は基板や配線などが悪いのだが、やはり他でも出ていて問題ない。コンデンサを直列・並列にしたり、部品の取り付け方や配線を いろいろ改良してみたが、耳の問題は解消できなかった。だから、上にも書いているが、普通の測定では測れない違いがあるのだろうと思う。
一つ気になるのは、PMLCAPはメーカーの技術情報でも低域の歪みが大きいことだ。特に、今回のように直列に使う場合が良くなく、500Hz以下で増大するようだ。* (→ 参照: PMLCAPのテクニカルノート: P.7 「高調波歪み率」のグラフ(右側))
*実は、それが気になってAltCCに使うのを止め、同じくメーカーの情報で、通常使用時の振幅での歪み率が かなり小さい(→ 仮に低域で増大しても問題ないレベル)ECPUにした経緯がある。
そのグラフの形は僕の結果に少し似ている(歪みが増大し始める周波数は違う)ので、それが原因なのかも知れない。が、上にも書いたように、元々のフィードバックコンデンサやコンデンサなしの場合にも同様な歪みが出ることがあるので、それが耳の問題の原因なのかは確かではない。
結局、フィードバックコンデンサを改良する手立てが何もなくなってしまい、苦し紛れ、あるいは、いつもの思い付きで、試しにAltCCで却下したECPU(1μF)を2個並列にして使ってみたら意外に良く、今のところ耳の問題は起こっていない(いつものことだが、コンデンサを換えると「耳の感じ」の違いが劇的なので驚く)。ただ、合計容量が2μFと小さいため、カットオフ周波数が34Hzと高くなり、「ちゃんと」するには4-5個並列にしなくてはならず(→ カットオフ周波数は17または13Hzと、「まあ許せる」値になる)、なかなか大変だ。
とはいえ、偶然ながら(耳の問題を減らすため)部屋の特性補正フィルタで33Hz以下は切っているから丁度良いし、そもそもスピーカーの再生可能低限は42Hzだ。その関係もあって、この状態で低音が足りないとは全く感じないので、実用上の問題は全くない。気分の問題だ。
それにしても、「気分の問題」なのに、実用上不要な帯域までサポートして耳に問題を起こして、結局気分が悪くなるのは全く矛盾しているし、一体何のために頑張っているか分からないな・・・ うむ。
(1/25 19:09) まあ、(自称)技術者なので、制作するからには、「なんか分かんない・偶然だけど、丁度いいからいいや」じゃなくて、ある程度自分で考え・理解し・求めたとおりに動くものにしたい。それに、今の環境が変わっても そのまま使えるような汎用性を持たせたってバチは当たらないのではないか? というのを免罪符にするw
結局、仕事じゃなくて趣味で作っているってのが一番大きいw
それで、もう一回だけ別のコンデンサを試すことにして、パナのECQEを注文した。正直言って余り期待していないが、アンプで もう一箇所交換したい、出力の発振防止回路(Zobelフィルタ)用コンデンサにPMLCAP(MPSも)が使えなくなった(音が悪いため)ので、一緒に買い直すことにした。それが駄目なら、AltFBCはECPUを追加して4-5個並列にし、発振防止回路は現状のWIMAで我慢か。
(1/25 21:48) ちょっと思い付いて、PARC Audio(1μF)を上の暫定AltFBC(ECPUx2)に追加して、合計3μFにしてみた。これだとカットオフ周波数は22Hzになり(実測値は約24Hzだった)、少し「世の中のレベルに追い付いていそう」になる(それだけ。表面だけのこと)。
試す前から、「良いことはなく、あるとすれば悪いことだろうな・・・」と思って居たが、本当にそうだった。: 試聴開始して1分で少し耳が痛くなった。3分で耳が駄目なので止めた(あと、聴きたくなくなった)。
付ける前より音が良くない感じなのは確かだが、何が悪いのかは表現できない。ただ、外したら、明らかに音が違う(良い)ので驚いた(というか、安心した)。高域の抜けが良い感じ、あるいは、曇りが さっと晴れるような感じだ。
一応書いておくと、PARC Audioを けなすつもりはなく、逆に、「きっと、何かいいところがあるのだろう」と思って何度も試しているが、毎回駄目で がっかりしている。ネットでは良い感想が多いようなので、使う環境・回路の違いや僕の耳が過敏なせいだろうか。
これに限らず思うのは、音の良さで売るのなら、せめて詳しい特性を公開して欲しいとは思う。グラフ一つすらないってどうよ。「音の良さは数値には出ない」という考えなのだろうが、買う方としては一体何を宛てにすればいいのだろうか?: 良くある健康食品みたいに、「個人の感想」を信じろと?
(1/27 19:43) 届いたECQE(4.7μF)を試して驚いた。期待していなかったのに、すごく音が良くなったのだ。もちろん、耳閉感や耳の痛みはない。EPCU(2μF)の時より音が はっきり・くっきりした感じだ。最初は わずかに耳にキツかったのが気になるが、少ししたら慣れたので、大丈夫そうだ。普通の特性も全く問題ない。AltFBCはECQEに決まりだ。「期待していない」などと書いたのは全く悪かった。
また、基本的にはZobelの交換用に買ったECQE(0.22μF)をAltCCにも試してみたら、これも良かった。もちろん、普通の特性もUPZと変わらない。ただ、全体的な雰囲気はUPZと変わらないものの、UPZのほうが音が好み(高音だけでなく、低音も わずかに豊かな感じ)なので、AltCCはUPZに決まりそうだ。
現在の聴感での順位を、AltFBCとAltCCの組み合わせで書く。まあ、ほとんど選択肢がないのだが・・・
- AltFBC: ECQE (4.7μF), AltCC: UPZ (0.22μF) (以下、AltFBCとAltCCの記載順序は同じ。同じ容量の記載は省略する。)
- フィードバックのカットオフ周波数(理論値): 14Hz (以下、カットオフ周波数はフィードバックの理論値)
- ECQE, ECQE (0.22μF): 上とほとんど同じ。気分や好みや気のせい。
- ECPUx2 (合計2μF), UPZ: 「可能」(まあまあ、悪くはない)ではあるが、上を聴いてしまうと、敢えて選ぶレベルではない。
- (以下は許容できない)
- ECPUx2+PARC Audio (合計3μF), UPZ: ECPUx2の まあまあだった音が、駄目になってしまった。
- PMLCAP (10μF), UPZ: 耐えられない音。。。
僕には明らかにUPZが良い(今となっては ほとんど「一択」)ので、当初からAltFBCもUPZにしたかったのだが、容量が足りない(最大0.22μF)ので、残念ながら無理だ。それで、代わりを いろいろ試して、ようやくECQEが見付かった。
それから、今までの経験から、定説とは違い、必ずしもPPのほうがPEより音が良いとは限らなさそうだ。あと、チップコンデンサは良い音になるものが少ない傾向だ。それにしても、どうして こんなに音が違うのだろうか。なぜ、聴くに耐えない音のコンデンサが あるのか?
(1/28 6:50) 昨夜、ECQEの音に気を良くして、Zobelにも試してみた。さすがに、音には特に変化はなかった(悪化もせず)。特性も振幅以外は変わらなかった。振幅は、概ね想定のカットオフ周波数(72kHz)に近い、約88kHz(推定※)となった。位相にも変化はないため、問題なさそうだ。
※約96kHz(サンプリング周波数を192kHzの上限)近くになると、測定に使ったASUSのDACやADCの限界(仕様の上限は90kHz)のためか、(アンプを通さず直結にしても)元々の振幅が下がるため、正しい値が得られない。それでアンプの測定値を直結のもので正規化すると真の値に近づくが、上限近くはスロープが振動しているような形状になって正しい値が得られないため、推定値である。
なお、想定の周波数との差が大きいように見えるが、部品(抵抗とコンデンサ)の値の誤差や周囲の部品や接続した外部機器(スピーカー、ASUSのADC)の影響によるのではないかと推測している。
この構成(AltCC: UPZ(0.22μF), AltFBC: ECQE(4.7μF), 代替Zobel: ECQE(0.22μF))で数日間聴いてみて大丈夫そうなら、最後に残ったフィードバックの超高域のゲイン低減用コンデンサをUPZ(100pF)に交換し※、全体的に正式版にしたい。
※この部分は手が届かないので、部品の脚を切って「ちょっと試す」ことができない。
まあ、駄目だった時はどうするかという問題はあるが、その時に考えよう。
前回以降に出た新たな問題
- アンプのフィードバックコンデンサの影響 (上にも記載)
- サーボを外した少しあとでフィードバックコンデンサを有効にしていたが、それで大分音が悪くなったようだ(当初は気付かなかったが、以降、耳の問題が増えた)。
- 無効にしたら耳の問題が随分改善した。聴感的にも、音がすっきりした気がする。
- ただ、この状態だと直流まで増幅するため、アンプの出力のオフセットが増大するのと、DACの超低域の変動(推測)の影響が防ぎ切れない感じ(推測)はある。
- オーディオインタフェース(ScarlettやASUS)のADCの入力カップリングコンデンサの影響
- 大容量のようで、アンプ出力のオフセットの電荷が溜まって、あるいは、時定数が大きいために音(超低域)がふらつく(推測)のが良くない感じ。
- ScarlettやASUSの振幅-周波数特性の下限は それぞれ20Hzや10Hzなので、そもそも対応範囲外の領域を測ろうとしていたので無理はあるのだが、接続した先に影響を及ぼすのは いかがなものか・・・
- それが測定対象のアンプに影響を及ぼし、耳に問題を起こしていた。
- そのため、再生音の超低域の特性を正しく・頻繁に測定することができず、今は聴感(耳に問題が起こるかどうか)だけに頼っている。
- これを良しとはしていないが、測定できる機器がないので仕方ない・・・
- この問題が分かるまでは、低音(80Hz)の正弦波や実際の演奏(クラシック, ポップ)の超低域(録音には入っていなさそうな帯域: 約0-20Hz)の振幅から、試しているAltCCのコンデンサの変動抑止能力を調べ・比較していた。 → 破棄した測定結果の一部を最後辺りに載せる。
再生音と耳の問題について
当初はDACの超低域の変動*が耳の問題を引き起こす一因と考えていた。それが、試行を続けているうちに、それらやカップリング回路と耳の問題は余り関係がなく、耳や身体の調子によって起こり(要するに「不可避」)、起こったら治るまで待つしかない感じなのか※と諦めモードになっていた。
*この稿を書く時、あるいはカップリング回路の調整をしていて思ったのは、現代のデジタル技術の粋()であるDACでも昔のレコード時代にあったサブソニックフィルタの類が要るのかということだ。おそらく同じ現象・問題だと思う。でも、誰も言わないのを見ると、僕のDACが劣化して変動が大きくなっているのだろうか?
いや、手持ちの別の機器(Scarlett)でも、別のDACの試用でも同様なことはあったから、今でもあるのではないか? ということは、多くの人は感じないのか。
※ただ、起こりやすい(誘発する)・起こりにくいものや音が悪いものは確実にある。どうしてか・何が違うのかは まだ分からない。あと、体温や身体の活度にも関係ありそうだ。: 朝など、体温が低いとなりやすい感じだ。
が、近頃はそうでもなさそうなことが分かって来た。大きなコンデンサによる超低域の変動(DACのカップリング, アンプのフィードバック, ADCのカップリング※)は耳に効くようだ。
※ADCについては全くの想定外で、それまでの超低域の変動成分の測定結果を破棄する羽目になった(ちゃぶ台返し)。その変な測定結果のために、上に書いたように「余り関係がない」と思いつつあった。
不思議なのは、こういう話を聞いたことがないことで※、僕の耳に問題・原因があるのだろうと思う。ある種の音に過敏なのではないだろうか。そして、過敏という点で似たようなことが過去にもあったことを思い出す。
- アンプ(ビクター A-X5)のライン出力にビデオデッキ(三菱, 電源off状態)を繋いでいると、ピアノ曲(内田のK.333 (1985)の頭辺りの単音(音が少ないの意)で鋭く弾く部分(記憶が あやふやになっているうえに今聴くと印象が違うが、おそらくこの辺り)で歪みを感じた。
- 修理に来た人(当時はビデオも訪問修理してくれたようだ)は分からず・・・
- 推測だが、ビデオデッキがoffの場合、入力部にある素子(コンデンサ? トランジスタ?)がアンプの信号に影響を与える(クリップさせる)のではないか。
- 電子ピアノ(カワイ PW800)に、1個だけ音が歪んでいるキー(中央のA辺り)があった。
- やはり、修理に来た人は分からず・・・
- 自分でも、故障ではないし、修理(調整)もできないだろうなと思いつつも問い合わせてみた。
- 明らかに隣のキーとは音の感じが違っていたのだが・・・
※検索していて近いと思い、ヒントになったのは、低周波音での健康被害である。僕が「耳閉感」と書いているのは その症状である。
現状・効果
まとめると、ASUSのDACのカップリングコンデンサをUPZ(0.22μF)に換え、アンプのフィードバックコンデンサを無効にしたところ、耳の問題(例: 耳閉感)は滅多に起こらなくなった。ただし、上述のように、午前中や疲れている時など耳の調子が悪い時(推測)は起こることがあるが、それまでよりずっと軽い。
音も良くなったように感じるが、いかんせん、通常の特性(振幅、位相、歪み、雑音)は何も変わっておらず、機器の性能・仕様の限界のために 疑っている超低域の変動の測定もできず、客観的な比較・証明ができないので、あくまでも「個人の感想」である。
(1/28 7:09) その後、フィードバックコンデンサをECQE(4.7μF)にし、出力の発振防止用コンデンサをECQE(0.22μF)に換えたところ、その前に暫定的にECPU(1μFx2)をフィードバックコンデンサにしていた時より随分音が良くなった(詳細は上を参照)。数日間聴いてみて大丈夫そうなら、フィードバックの超高域のゲイン低減用コンデンサをUPZ(100pF)に交換し、全体的に正式版にしたい。
書いたあとに見付かった問題 (1/26 11:54)
アンプの代替フィードバック(AltFBC)や発振防止回路(Zobelフィルタ)用コンデンサなどを追加注文したあとに思い出して それらの耐圧を確認していたら、公称値が数百Vと高いものでも高周波の交流については意外に小さいことが分かった。: 例えば、今回注文したパナ ECQE 0.22μF 250VDCの交流の許容電圧は、100kHzで約5Vrms, 200kHzで約3Vrmsでしかない。アンプの出力の最大振幅は約±15V(約10Vrms)なので、最悪の場合はコンデンサが壊れるが、そこまでひどいことは なさそうだと思った(その前に耳が壊れるか、電源の容量オーバーで落ちる?)。

LM3886の超高域発振防止回路とフィードバック回路の説明図 (TI LM3886のデータシートのFig. 3): 図中のCSN, RSNが発振防止(Zobelフィルタ)用コンデンサと抵抗, Cf, Rf2が超高域のゲインを下げるコンデンサと抵抗: なお、図は単一電源のものだが、正負電源でも同様である。
とは言え、念のため、アンプが どのくらい高い周波数まで増幅できるのか調べようと、フィードバック回路中にある超高域のゲインを下げるコンデンサ(上図のCf)でのカットオフ周波数を調べようと思った。
ところが、(以前も書いたように)アンプICのLM3886のデータシートの式が謎だ。下に示す。
"External Components Description"のRf2の項にある、カットオフ周波数fcの計算式(ママ):
fc = [Rf1 Rf2 (s + 1/Rf2Cf)]/[(Rf1 + Rf2)(s + 1/Cf(Rf1 + Rf2))]
式に不明な変数sがあって困っていたのだが、たまたま全く別のフィルタの特性を計算するページを見たら、どうやら周波数らしいことが分かり※、式が何か間違っている感じだ。この式はカットオフ周波数でなく、そのフィードバックの伝達関数(G(s))を求める式なのではないかと思う。
メーカーは修正せず、ユーザーも気付いて居ないのは謎だが、分かり切ったことなので飛ばしているのか、分からないけど とりあえずそのまま作っているのか、うやむやにしているのか。
※アンプを作る時の検討でも、"s"には見覚えがあったのだが、周波数だと分かって すっきりした。周波数fに2πを掛けたものだったか? 「角周波数」? (習ったのは大昔のことだし、不真面目だったので すっかり忘れて居る・・・)
伝達関数からカットオフ周波数を求める方法が分からない(怠惰なので考えていない)が、どうやら、その式から見るに、コンデンサ(Cf)と抵抗(Rf2)によるカットオフがコンデンサのない抵抗(Rf1)だけのフィードバックによって上がるだろうから、それらを「平均」※しているのではないかと推測した。(→ その後、式の意味が分かったので、下にカットオフ周波数の求め方を書く。)
上の式で、G(s)が与えられている(何らかの定数, 想定ゲインG)として変形して、回路のゲインがGとなる角周波数sを求めるようにすると、以下のようになる。
s= ((1 - Rf1 G )/Cf) / (G (Rf1 +Rf2) - Rf1 Rf2)
また、今回の回路に合わせてRf1= Rf2= Rfとすると、カットオフの角周波数sと周波数fcは以下式で求められる。
s= (1 - Rf G)/(Cf (2 Rf G - Rf2))
fc= s/(2π) (Hz)
※データシートのサンプル回路でのコンデンサCfと抵抗Rf1, Rf2の値を上の式に当てはめてカットオフ周波数fcを求めると、
Rf= 20k, Cf= 50p, G= 0.71 (カットオフの-3dB)
s= (1- 20*1000 * 0.71)/(50/1012 * (2 * 20 * 1000 * 0.71 - (20 * 1000)2))
= 710000
fc= 710000/(2*3.14)= 113057 (Hz)
と、カットオフ周波数は約113kHzとなり、この式は当初想像した相加平均でなく、相乗平均を求めていたことが分かった。
そして、データシートの問題の式の"fc"は"G(s)"などの誤りで、説明としては以下のよう感じが正しそうだ。
... A high frequency pole (lowpass roll-off) exists at angular freq. s in the next eq., where G= 0.71 (← -3dB):
G= [Rf1 Rf2 (s + 1/Rf2Cf)]/[(Rf1 + Rf2)(s + 1/Cf(Rf1 + Rf2))]
うむ。我ながらスッキリした!!!
そして、キットとデータシートのサンプル回路(Test Circuit #2)での、単体(コンデンサ+抵抗)と合成(抵抗だけの回路との相乗平均= データシートの式を変形した式(上記)で求められる値)のカットオフ周波数を求めてみた。少なくとも単体は正しいだろう。
- キット (15pF+22kΩ)
- データシートのTest Circuit #2 (50pF+20kΩ)
キットの300kHz以上は余りにも高い。100kHzでも充分なのに意味が分からない。ここでも不用意に部品の値を変えている感じだ。「帯域は広ければ広いほどいい!」といった馬鹿な考え?
それで、カットオフ周波数やコンデンサの容量はどのくらいが良いのか更に検討した。LM3886のオープンループ周波数応答のグラフ(データシートのFigure 49, 下に引用)を見ると、約100kHzまでは位相は概ね90°で一定だが、それ以上はズレが増し、約3MHzで180°になる。データシートのカットオフ周波数(120kHz辺り)は これに合わせてアンプの安定性を高めようとしているのだろう。

LM3886のオープンループ周波数応答 (TI LM3886のデータシートのFig. 49)
ところが、キットは400kHz近い。まあ、その辺りでも位相は115°辺りなので実害はないだろうが、「何考えてんの?!」だ。これは超音波用アンプじゃないよ?
他と同様に実害はないけど気になるので、気に入っているUPZ※を追加注文し、運良く間に合った。そして、「パンドラの箱」が閉じられるのが更に先になったw
※50pFがないので100pFにした。: それでもカットオフは約51kHzと充分な計算だ。それでも、もし低過ぎる場合には直列接続して50pFにできるように、多目に買った(一個16円と安いので できた)。
結局、このキットはLM3886以外は ほとんど全取っ替えだ。まあ、趣味だし勉強になるから いいけど、結果的には このキットは「駄目なもの」だった気がする。さまざまな変な値の部品には作った方の意図があるのかも知れないが、そうであれば それを資料に書くべきだ。その点で、作った方は技術者では ない感じがする。
そもそも、特性が一切書いてない時点で違う。キットだって、参考特性を載せてもバチは当たらない。とは言え、どういう訳か、載せているキット(それどころか、完成品の基板でも!)は滅多にないが。
(1/31 17:39) その後、各種コンデンサ(フィードバック(超低域制限, 超高域制限), Zobel)を交換して気付いたのだが、フィードバックの超高域制限("HCC")とZobelのカットオフ周波数は
HCCのカットオフ ≦ Zobelのカットオフ
の関係を満たさないとZobelが働かないことに気付いた。Zobelが働いて振幅が下がった途端に それがフィードバックされて、アンプがゲインを上げて振幅を元通りにするからだ。
オリジナルは当然駄目(HCC= 15pF: 340kHz > Zobel= 0.1uF: 159kHz)だ。当初の案(HCC= 100pF: 51kHz < Zobel= 0.22uF: 72kHz)や作業の容易さで変更した*最初の実装(65pF: 79kHz < 0.22uF: 72kHz)は良かったものの、カットオフを上げたくなって※変更した実装(15pF: 340kHz > 0.22uF: 72kHz)は駄目だ。
*オリジナルのコンデンサ(15pF)が手の届きにくい場所にあるのと 外すと再利用できなくなるので、まずはどんな感じか試そうと、50pF(100pFを2個直列)を並列に付けた。
※どういう訳か、実際のカットオフが理論値より低かった(約70%の55kHzだった)ため。
いつものことながら、思い付きで変更すると碌なことがない・・・ 再検討して実装し直す予定だ。
まあ、Zobelが働かないものの音は良いので、ちょっと安心している。
(2/1 22:49) 上のZobelの記述の前提に誤りがあった。超高域でゲインを下げるのはフィードバックの超高域制限用コンデンサ(HCC)で、Zobelは関係ない。完全には理解していないが、アンプの負荷(例: スピーカー)が超高域では開放のような状態になってアンプが発振することがあるので、それを防ぐため、Zobelは超高域で負荷になるようだ。 (→ 参照)
いずれにしても、 HCCのカットオフ ≦ Zobelのカットオフ のほうが良さそうだ。でないと、Zobelは発振を防ごうとしているのに、アンプはパワーバンドなのでZobelに対してガンガン パワーを掛けそうな気がするからだ。(どういうメカニズムで発振が起こるか分かっていないので、想像である。)
その件も踏まえてHCCとZobelの設定を検討し直し、以下で試している。HCCのカットオフ周波数については、可聴域での位相のズレをなるべく減らしたくて、当初の考え(50kHzくらいで充分)より高目にした。
- HCC: 50pF (UPZ 100pF/2) + 22kΩ → カットオフ周波数: 理論値: 103kHz, 実測値: 77kHz
- Zobel: 0.11uF (ECQE 0.22μF/2) + 10Ω → カットオフ周波数(理論値): 145kHz
(余談) HCCのカットオフ周波数の謎(上記)の原因を確かめたくて随分苦労した挙げ句に、オリジナルのコンデンサ(15pF)を破壊して取り外した(手の届きにくい場所に付いているため)。なお、実際にはオリジナルのコンデンサは謎とは関係なかった。そもそも(上述のとおり)小さ過ぎて無意味なので、無駄に外しても悔いはない。
その他
今使っている機器以外に、今までに耳に問題の生じた機器では、上のような大容量のカップリングコンデンサによる超低域の変動が起こっていたのではないかと想像している。ただ、それ以外に、雑音(超高域など※)でも耳の問題は起こるから、更に調べる必要はある(そういうのが、この「パンドラ」のそもそもの始まりだった気がする)。
※耳の調子もあるのだろうが、測定で超高域の雑音を目にしたものの、小さいからと気にせず出していたら、すぐに耳に来た。
それから、新年に買ったデジタルテスターは、アンプやDACのオフセットやカップリングコンデンサに溜まった電圧の測定に役立っている。上記のように、手持ちのADCでは正しく測れないことが分かったためである。クリップ付きリードもフルに稼働している。測定以外に、テスト的に部品を付けたり、端子を短絡させるのにも使える。線が細くて長いため雑音は乗るが(それが上記の超高域の雑音)。
参考: コンデンサの超低域の振幅変動抑止能力の比較 (破棄した測定結果)
AltCCの振幅変動(ゆらぎ)抑止能力を比較するため、低音(80Hz)の正弦波や実際の演奏(クラシック, ポップ)の超低域(録音には入っていなさそうな帯域: 約0-20Hz)の振幅を測定していたが、上述のように、測定に使ったインタフェース(Scarlett)の入力のカップリング回路の影響があることが分かったので破棄した。
それでも、グラフを見ると それぞれのAltCCのコンデンサの違いが出ているようだし、聴感にも合うことが多かったので、参考までに測定結果の例を載せる。いずれもアンプのフィードバックコンデンサが有効な場合のものである。
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正弦波80Hz(1分間)の振幅のピーク(上)と平均(下): 紫: ECHUx2, 黄緑: ECPU+20k, 赤: UPZ(抵抗なし)
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クラシック演奏(FrayのK.503 (2010)の先頭の1分間)の振幅のピーク(上)と平均(下): 紫: ECHUx2, 黄緑: ECPU+20k, 赤: UPZ(抵抗なし)
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ポップ演奏(ELO “Last train to London” (1979)の先頭の1分間)の振幅のピーク(上)と平均(下): 紫: ECHUx2, 黄緑: ECPU+20k, 赤: UPZ(抵抗なし)
どういう訳かコンデンサ間で差が生じており、いずれでも10Hz以下のピークは概ねECPUが一番大きく、変動抑止能力が良くなさそうだと推定していた(それは聴感に合っていた)。
そして、得られた測定結果は疑わしいものの、測定・評価方法は それなりに正しいのではないかと考えている。直流から測れるスペアナがあれば確認できる。
おまけ: 録音の瑕疵?について
上記の過敏な耳に関連しているかも知れないが、以前からポップ演奏のボーカルの音で ちょっと気になることがある。
- ELO: Last train to London (1979): 0'48"辺りからのサビの"Last train to London"からの声(摩擦音)が かすれる。
- 検索しても出て来ない。
- 公式のAudio(上)では かすれが聞こえる(これも15kHzで切られているが、公式MVより音質が良い)。
- YouTubeの公式MVでは かすれは小さい。高域を落としているせいか(15kHzで切られている)。
- カップリングコンデンサによって聞こえ(かすれの強さ)方が違うように感じたので詳しく調べたら違いはなかったので、気のせいだと思う。
- 最初のrepeat("Last-")のかすれが一番目立つ。それ以降は小さくなるので、全部同じと思って聞くと差があると感じることがありそうだ。
- Wings: With a little luck (1978): 1'14"辺りの"And a little luck, we can clear it up"の"we"に雑音(金管楽器かシンセ?)らしきものが被る。
- John Lennon: #9 Dream - Remastered 2010 (1974): 曲を通して、ボーカルの声(摩擦音)が かすれている。
という訳で、まとまりがないし、以前の伏線(じゃないけど)の回収もできないが、少しずつ書こう。
PS. 参照のため、すごく久し振りに内田のモーツァルトのピアノソナタ(K.333 (1985))を聴いたが、結構いい(まあ、それはそうだ)。昔は大好きだった。ただ、今聴くと音(録音)が当時の印象に比べて ちょっとくすんだ感じなのが妙だ。そういう音作りだったのか、今は僕の耳が不調なのか、オーディオが不調なのかw
あ、思い出した! ピアノの音を ちゃんと出すのはすごく難しいんだ。これもそれではないか?
PS2. 草稿とかメモには書いたけど、いかにもなので使わなかった文言(を消化するw)
認めたくないものだな(コンデンサに音があるなんて)
いいもの(コンデンサ)もある、だけど、―