(なぜか分からないが、オーディオネタは長くなるようだ。)
以前書いたように、僕のPCのサウンドカード(ASUS Essence STX II)が経年劣化で怪しくなって来ている(まあ、PC全体がそうだが)。すぐに壊れることはないだろうが、趣味や暇つぶしを兼ねて次の候補を考えている。
以前から書いているように、次期PCは(来年辺りには いろいろ出て来そうだと期待している)ARMデスクトップにしたいし※、まともなサウンドカードは絶滅しつつあるので、次は外付けDACになるだろうと考えている。すると、その心臓や脳とも言えるDACチップは何が良いかを考える必要がある。
※ARMのPCでもPCIeカードは使えるだろうが、ドライバが対応しているか怪しいため、内蔵カードは避けたほうが良さそうだ。
とは言え、チップだけで音や性能は全く決まらず、フィルタ※や周辺の回路が重要だ。
※近頃実感したが、チップのデジタルフィルタは本当に重要そうだ。
が、僕としては、元々性能の低いものや問題を はらんだチップは選びたくないし、趣味なので、気分的に嫌なメーカー・製品は選びたくない。そういう観点で現在主流のDACメーカーを検討すると、以下のようになる(概ね、心情的に好ましい順)。
- △+ TI: いいものは元BBのPCM179xシリーズに限るが、古いため採用製品が絶滅している。
- あと、詳細なアナログ性能を出しているものの、THDチート※が分かって気分的に嫌(「信じてたのに・・・」的)になった。(けど、どこも やってるみたいだ・・・)
- △ AKM: 詳細なアナログ性能が非公開なので、気分的に嫌
- × ESS: 詳細なアナログ性能非公開で気分的に嫌だし、"IMD hump"問題*は解決していないようだし、それに対処した製品が分からない。
- 今もチップにその問題の原因があるなら、どうやって製品を選べばいいのか? ("No IMD hump"とか書いて欲しい! (けど偽かも知れない・・・))
- ×× Cirrus Logic(オリジナルか旧CS?): 駄目なもの(「安物」)しかない(個人的印象)。
- Focusrite Scarlett SoloのCodec(CS4272)はひどいし(Scarlettも ひどい)、今のサウンドカードのADC(CS5381)もひどい。 (→ PS2を参照のこと。)
※今のサウンドカードのDAC PCM1792Aのデータシートで、歪み(THD+N)が小さくなる条件(すべてのサンプリングレートで測定上限20kHz)で測定されている。
書いたあとで確認したら、ESSも20kHzでTIより更に簡単にしか書いてなかったので、TIはまだマトモなのかも知れない。なお、AKMは歪みなどのグラフはないものの、20または40(一部80)kHzだし数値が比較的多くてマトモな部類だ。
オーディオ機器の特性では40kHzや80kHzの帯域での値を良く見るから、そこらが標準なのだろう。ただ、回路の出来の評価・比較基準としては妥当だが、聞こえもしないところまで測る意味があるのかとも思う(まあ、「ハイレゾ」を うたう場合は必要そうだ)。
*ESSのDACチップを採用している製品の歪み(IMD)特性で、中間辺りの振幅の領域の歪みが増える(歪みグラフの線が盛り上がって見える)問題。周辺回路を うまく設計・実装しないと解決できないようだ。 (→ 参照1(2022): 最初の投稿の右のグラフ, 参照2 (2019): 投稿の最初のグラフ, 参照3(2019): まとめスレッドに投稿された解決・対処方法(なかなか面倒))
いつものように、「これ!」というメーカー候補すらなくなってしまったが、消去法(+同国のよしみ?)でAKMだろうか※と思っている。次点はTI(ただし、元BBの製品に限る)だ。
※PS2に書いたように、Cirrusと違ってAKMのADCはマトモなことが分かったのも印象が良い。DACとADCは違うが、企業体質は期待できる。
それから、前回いくつか挙げた候補は ほとんど却下となった。というのは、まず、(上述のように)ESSのチップは駄目だし、中国などの海外製品で国内に代理店がないものは、故障などの対応が面倒だから駄目だ。いちいち中国まで発送してられない(お金も時間も掛かる)。それ以前に、問い合わせても話が通らない可能性も高い。
今までの経験から、日本語にしても英語にしても、ちゃんと書いても ちゃんと読まない、読んでも分からない振りをしたり、時間稼ぎをして自然消滅させるフシがある。マトモなところもあるが、とても少ない。
更に、オーディオ用DACでなく、音楽収録用(PC用)オーディオインタフェースも余り期待できなさそうなので却下した。何と言うか、「良い音」(忠実度の高い音)にするための細かい工夫とかとか鑑賞用途には無頓着に思える。ScarlettやBehringer(イコライザ)は まさにそれだった。
それでは何に頓着しているのか、僕には良く分からない。: 堅牢性? Scarlettは駄目だったが。ものすごく微細は音はどうでも良くて、演奏(素材)が きちんと収録できれば良い? (スタジオ用途でなくデモ収録用ってこと?) だから再生性能は二の次? 演奏者や制作者にとっての使いやすさ? あとは、忠実性を追うよりもメーカーごとの音を出しているのか。
強引に車に例えれば、オーディオマニアが目指すものはスポーツカーやロールスロイスで、音楽用機器メーカーが出しているのはプロボックスとかハイエースみたいなことなのかも知れない。どっちが上とか良い悪いじゃなくて、目指すものが違うのだろう。
そして僕はスイフトスポーツみたいな「丁度いい」のが欲しいのだが、なかなかないとwww
あと、制作側が そういうものを使ってるのに、聴くほうだけ妙に細かくなる意味があるのかという疑問はあるが、実際には制作側が気付かない細部が聞こえて、(意図や本質でないにしろ)それが おもしろいかも知れないではないか。
そうだ! そもそも、演奏者や制作者が録る・作った音が「原音」なので、それがどんなに駄目な音でも、本人たちが"OK"なら どうしたって「駄目」になりようがないということを思い出した。厳しい。だから、Scarlettなどは、あれに満足して使う人が居る限り それでいいのだ。
言ってみれば、その「悪い流れ」がリマスターなのかも知れない。まあ、良い(例: 綺麗、迫力ある)音で聴けるのはいいけど、それでいいのかと思う。それは「原音」ではないのではないか?
もちろん、リミックスや再録なんて僕には論外だ。
だから、音楽用機器をオーディオに使うのは合わない。
そしてDACのwishlistは空になってしまった。が、そもそも、DAC+アンプ+スピーカーと別々に揃えるよりはデジタルアクティブスピーカー(DAC・アンプ内蔵スピーカー)のほうが良さそうだ。それならPCが何になっても使い続けられるし、アンプも要らなくなるし、セットとして整合が取れていてトータルでは音が良いはずだ。
実は、そういう合理的・論理的なことを最初に考えたのはでなく、たまたま、BBCの方のツイートのスタジオでの写真の背景に良さそうなスピーカー(おそらくDynaudio BM Compact mkII)が写っていて、それがアクティブだったという、ミーハーさだw
ただ、高いうえに音が僕に合うかは かなり不明(単体より調整・交換不可)なので、そう簡単には行けない。あと、一体型PCのような不便さはありそうだ。なので、これはPCもアンプもスピーカーも駄目になった時の話になるだろう。
あと、個人的な事情として、特性が良いだけでなく、音が耳に合う(例: 耳閉感を起こさない)必要があるが、そういう製品を探すのは不可能に近い。
いろいろ考え・選んでいるうちに、(今のアンプのように)DAC基板(Terra-BerryDAC 3)が見付かり、おもしろそう・良さそうな気がして いろいろ検討したが、概ね却下だ。: 音質にこだわっているように書いている割には、メーカーも他者も特性(グラフどころか値も)を全く公開していない。※ 結局、ターゲットやユーザー層が違うのかと思う。あと、問い合わせ対応も微妙だ。
※メーカーは測定していないのか、測定したけど出せないのか。どっちにしても論外だ。
測定して良い値が出たら出さない理由はないし、測定せずに「上級DAC」として出しているなら、それはもう・・・ 「音の良さは数値では表わせない」とか言うのは正しいが、製品が正しく作れたことのエビデンスとか客が判断するための参考値は必要だ。
(11/21 18:15) 一週間近く掛かって問い合わせへの回答がようやく来たが、ほとんど「話にならない」ので却下した。というのは、測定結果は一切出さず、「音質向上」をうたっていることの「聴感上の影響は不明」なのでは、一体何を信じればいいのだろうか? 一体、これの音質は いいのか悪いのか? 僕には全く分からない。まあ、信じる人が買って満足するものなのだろう。。。
そもそも、Raspberry Pi用のためPCから使うのが面倒で、USBからI2Sに変換する基板(Combo384)が要って直接的でないし、問題が起こる可能性が増えるのが嫌だ。それから、僕はUSB接続にも懐疑的だ。
その後 気付いたら、別の製品(SoundFort DS-200)の試用を申し込んで、いろいろ試して居るw※ これは今のサウンドカードのDACの系列のPCM1795を使っているので、(失礼な書き方だが、)他に何もなくなった時には頼りになりそうだ。
※やっぱり いろいろあって、試行錯誤している。
今試す必要があるほど切羽詰まっていないが、無料で試せるのはありがたい。レビューを公開するとAmaギフト(2千円)がもらえることもある。評価結果は別の稿に書く予定だ。 → 書いた。全くの徒労だった・・・ (11/22 22:25)
PS. (本文には直接関係ないが、調べていて思ったこと) Audio Science Reviewのレビュー記事についての文句と感謝
ASUS Essence STX IIのレビューで、ASIOドライバの設定で16ビット出力しか選べないから それで測定して特性が悪くなって、「ひどい」("The Asus STX II despite looking otherwise, has a number of serious engineering problems.")とか「推奨しない」("my strong advice remains to spend your money on external DACs.")と書いているが、あとから16ビットでない設定ができて、まともな性能が出ることが分かっても(スレッドのあとのほうに書いてある)、本文・結論を訂正・修正しないのが すごくひどい。みんな誤解する。
ちょっと考えれば、16ビット出力では特性が悪くなるのは当たり前なのに、基本が分かっていないようだ。24ビット対応をうたうサウンドカードなのに、16ビットしか設定できないのは おかしいと思わないのだろうか? (ウマシカじゃね?? まるで この現場猫だよ!)
メーカーに聞くとか、(表示がおかしくて できないように見えていた)ASIOではできなくてもWASAPIはできるかも知れないから、(ASIOに こだわらずに)試せば良かったではないか。
それなのにそのレビュアーは大抵偉そうな口調で書いて居るので、信用できない部分がある。
とはいえ、いろいろな製品の測定結果は(上のようなことに注意して使う分には)とても有用で、今回のDAC選びの参考にしているから、そこには感謝する。
PS2. ASUS Essence STX IIのADC(CS5381)が ひどい
試用しているSoundFort DS-200の特性を測る時に、どうせならと思って、高いサンプリングレート(例: 96kHz, 192kHz)で測ったら、超高域(50kHz以上)の歪み・雑音がすごく大きくなった。※ DS-200そのDAC(PCM1795)が駄目なのかと思ったが、いろいろ調べたらそうではなく、サウンドカードのADC(CS5381)が駄目だった。
※実際には、雑音の量は最高-90dBFS(最大値の約1/3万)と絶対的には ものすごく大きい訳ではない(CDの2倍程度)。が、通常は-120dBFS(同約1/100万)程度なので、落差(約32倍)がひどい。
なお、DACも高いサンプリングレートで歪みが増大する(192kHzで約3倍)ことが分かったが、ADCほど ひどくない。それは他社製品も同様な傾向のようだ。
これに関連して、AKMのDAC(AK4493S)はDSDモードの場合には歪みはサンプリングレートには関係ないようで、理由は分からないが、PCMをDSDに変換して入れるのも良さそうだと思った。ただ、DSDに変換する時に何か問題が起こるかも知れない。
CS5381は、192kHz(Quad-speed mode)では、50kHz辺り以上の歪み(正確には雑音)が増大するのだ。※ しかも、データシートには40kHz帯域での歪み率(THD+N)しか書いてないので、使うまで分からない。TI(BB)以上のチートだ。
※調べた先の記述(→ 図: グラフの上の文章)によれば、ADCのノイズシェイピングのために雑音が増大するようだ。そうだとしたら、仕様では最大サンプリングレートは216kHzだから100kHzくらいまでは「使える」と思うのに、50kHz以上が使えなかったら詐欺だ。だいたい、それは まともにノイズシェイピングできてないのではないか???
以下、調べて見付かった、他者による測定結果と それらに一致する僕の結果を示す。
- ASUS Xonar Essence STXの1kHz入力のスペクトラム: 50kHz以上の雑音が増大している。 (Ref1)
- 左に似せた条件での僕の測定結果: 超高域の雑音の増大は同様
- Essence STX IIは50kHz以上でADCの雑音が増大することが分かった。
- Essence STX IIに使わわれているADC CS5381の雑音特性 (Ref2-1)
- 左の超高域の拡大 (Ref2-1)
- 参考: AKM(AK5394?)は問題ない。。。 (Ref2-2)
他者の測定結果の出典(Refs)
-
- John Atkinson: ASUS Xonar Essence ST/STX soundcards Measurements, stereophile (2010)
- Frex: DIY Analog-to-Digital Converter project.Audio measurements tool, diyAudio (2010)
- https://www.diyaudio.com/community/attachments/aa5381_noisefloor_192khz_0dbfs-pdf.164627/
- https://www.diyaudio.com/community/attachments/eadcakm_noisefloor_192khz_0dbfs-pdf.164632/
余談: 良く読んでいないが、出典2の方は以前にAKMのADCで良い雑音特性を得ているのに、なぜわざわざCirrusで作っているのだろうか。他の特性がいい? 安いから? 国? 物好き? なんでもいいけど、こんなクソな特性じゃ、まともなオーディオ測定ツールは できなかっただろうに・・・
結局、今のサウンドカードに音を入れる場合はサンプリングレートは96kHzまでしか「使えない」ので、それで測定している。そもそも そこらを使うことは滅多にないが、48kHz以上の領域が測定できず、なんだか騙された気分だ。