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先日書いた、ボリュームを最小にしても左から音が出る現象は、ボリュームの素子(可変抵抗器)の故障(接触不良)だった。正確には、僕の改造の仕方が悪くて※、入力のコード(ミニジャックは接触が悪くなって嫌なので、ピンジャックのコードを出した)を動かした時にコード経由*で素子の端子に力が加わり、端子と抵抗の接触が悪くなっていた。

※ただ、記録を見たら(すっかり忘れて居たが、)最初に作った時も、一時的に接触不良になっていた(その時は測り直したら直ったので、「何かの間違い」と片付けた)ようなので、元々の製品の作りも良くないと思う。ボリュームの端子と出力のピンジャックの端子が近過ぎて、きつく曲がったコードの力が掛かりやすいのだ。

*コードには抜け止めを付けていたのだが、コードが硬いため、コードが貫通するケースの穴を支点にして中で動いて居た。こういうのは慣れた方には常識かも知れないが、僕は機械とか構造の知識に乏しくて想像できなかった・・・

ボリュームの抵抗は炭素などで端子と半田付けはできないから、カシメで圧着している(+導電性ペースト?)のだが、そこに力が掛かると動いて接触が悪くなるようだ。 (→ 構造の参照: たまにエラーになるかも)

手持ちのアルプスのものを見たら、端子と抵抗の間に黒いものが塗ってあるようで(壊れたもの(海外製)は銀色か何も塗ってないか)、何となく、そういうところがアルプスが(割高だけど)いいと されている理由なのかも知れないと思った。

昔のTVなどを「叩くと直る」っていう不思議な現象の原因の一つには、こういうことがあったのかも知れない。まあ、これ以外にも、チャンネル切り替えスイッチなど機械的な接触部分は多いし、当時は真空管もあったから、それ以外のこともあるだろう。

そんなことは全然想像できなかったのだが、検索したら問題の現象が起こることがあると分かり(→ 参照)、確かにコードを左右に動かすと音の漏れ方が変わった。それで、試しに端子部をラジオペンチで挟んだりして(ここで力を入れ過ぎると、抵抗が割れてオシマイ)端子が抵抗に密着するようにしたら、直った。

近頃は寒くなったので、元々硬かったコードが より硬くなって、力が伝わりやすかったのだろう。

めでたしめでたし。

などと安心するほど おめでたくはないwので、どう修理するか考えた。: 接触不良になった端子のところに導電性ペースト・塗料などを塗るのが簡単(安直)そうだが、既に接触が悪くなっているうえにペーストがどれだけ持つか不明だから、耐久性や安定性に疑問がある。しかも結構高く(送料を含めて400-1000円)、新しいボリュームを買うほうがマシだ。

それで、元々アンプで使おうと買ったものの使わずに仕舞っていたアルプスのものに交換することにした。これは抵抗値が元のより大きい(100kΩ, 元は10kΩ)ので そのまま交換できないが、新たに買うと高くて(送料込みで500円以上)もったいない(しかも、今は年末年始なので すぐには来ない)ので、回路を修正して使うことにした。

回路は、元々はアッテネータとボリュームを一体化させたもの(ボリュームの入力の前に抵抗を入れた)にしていたが、新しいボリュームは抵抗が大きいため、同じようにすると追加抵抗がかなり大きくなる(数百kΩ)ので良くないと考え、アッテネータを別に追加することにした。

そして、アッテネータを入れる場所(ボリュームの前か後(アンプの前)か)を考えた。: 前に入れると弱まった信号をボリュームで調整するので雑音の点で少し不利だと考えて、ボリュームの後にした。ただ、アッテネータがボリュームの抵抗とアンプの入力抵抗の間に入るから それらの相互作用があるので、問題があったら直すことにした。

アッテネータのゲインを元の-15.6dB(約1/6)に近くしたかったので、手持ちの抵抗でできる、10kΩと47kΩで-15.1dB(約1/5.7)とした。ボリュームに付けてチェックしてみたら、ゲインが想定より少し小さい(-16.5dB)せいか※、音が小さいようだった。おそらく上に書いた相互作用の影響なのだろうが、実用にならないほど音が小さい訳ではないので これにした。

抵抗値を変えたら大きくできたが、片方の抵抗を2本並列にする必要があって面倒なのと、両チャネルで聞いたら(上の時は片方だけだった)それほど小さくなかったので、止めた。

※書いたあとで気付いたが、数字を見ると差があるように見えるものの、実際には0.9dBしか違わないから設計どおりだったと言えるし、聞いても小さくなったとは感じないはずで、単なる思い込みとか片チャネルだったせいだろう(片チャネルだと音量は1/2, -6dBとなる)。

(1/4 12:35) その後、やっぱり もう少し大きいほうが良さそうな気がしたので(クラシック音楽で不足しそうな気がした)、ゲインを-12.3dB(約1/4.1)にした。ゲインは計算やシミュレーションから ずれるうえに、計算上同じゲインでも使う抵抗の大きさによって変わるので、試行錯誤し、10kΩと25.5kΩ(51kを並列に2本)を使った。

聞いた感じでは音量は余り変わらない気がするが、ポップ音楽のボリュームが1目盛り(11時→10時)くらい下げられるようだ。また、音は変わらない(良く言えば、落ち着いた感じ)ので、修理する前は左の接触不良のために変(不自然)な音になっていたのではないか。

それから、今回の問題を再発させないため、構造を改良することにした。最初に書いたように、ボリューム(素子)の端子と出力のピンジャックの端子が近過ぎて、コードが きつく曲がって力が加わりやすいので、ボリュームを180°回転させて、ボリュームまでのコードにゆとりを持たせてカーブを緩やかにすることにした。更に、コードをボリュームに固定して、仮にコードが動いても端子には力が伝わらないようにした。

(1/3 14:00) その後、コードをボリューム(素子)に固定すると力が掛かって良くない気がした(例: ケースが歪んで移動電極と抵抗がズレる)ので、ケースに自作アンプBA3886で余ったボスを貼り、それに結束バンドで固定した

ボリュームを回転させて取り付けると、ボリュームの回り止めの突起がケースの穴に入らなくなるので、突起を折り取り、ボリュームとケースの間に薄いゴムを貼って代わりにした。 (写真: ボリューム右側の黒い四角。左右に2個付けている。)

なお、ケースは台形で前が低くなっていて、ボリュームの端子がケースに接触しないか不安だったので、ブルタックを使ってチェックして端子の曲げ方を調整した。(→ 写真: 一番下の端子の上の薄灰色) 更に、端子に付近のケースにクリアフォルダーや絶縁テープを貼って、端子がケースに接触するのを防いだ。

また、実際に作ってみると、コードが硬くて曲がりにくくて端子に力が加わるようなので、ボリュームの回転量を180°より大きくした。回転させて取り付けた おかげで、ケース内の配線が随分すっきりした

組み上げて、雑音と周波数特性(振幅, 位相, 歪み)を確認したら問題なかったので、仕上げて完成した。と思っていたら、今朝、起きる頃にコードの抜け止めを付け忘れたことに気付いたので付けて、本当に完成した。

例によって ちょっと気になるのは、最初に曲を聴いた時に、音が違う(レンジや左右の広がりが狭い)感じがしたことだ(聴き続けたら直り、逆に、低音が出るようになったと感じた)。これは、元のは接触不良で音が変になっていたのが直って(わずかに)音が変わったためなのか、上記の相互作用の影響なのか、疲れのせいか、毎度の気のせいなのか分からない。あとで、スピーカーやアンプの特性の確認をする時に、ボリューム(+アッテネータ)+アンプの特性もチェックしたい。

(1/4 13:24) ボリューム(+内蔵アッテネータ(ゲイン変更前))+アンプの特性をチェックしたが、問題は なかった。だから、音が違って感じるのは、上に書いたように接触不良で音が変(不自然)になっていたのが直ったためか、接触不良だった左チャネルの音量が大きくなっていて、音のバランスが狂っていたためだと思う。

→ チェックで生じた ちょっとした謎について、別の稿に書いた。また、今(1/6夜)になって、音が変わった感じは直ったようだ。 (1/6 20:47)

 

余談

「1dBの左右音量差でも気になる人が居る」とか書いてあるページがあったが、眉唾だ。仮に分かったとして、それがどのくらい音楽演奏の質や音質に影響を与えるのか疑問だ。頭を少しでも動かしたら、1dBくらい簡単に差が出そうなものだし、単なる音量差なんて脳がいくらでも補正すると思う。

確かに、左右の音量差があると楽器などのバランスが変わって演奏の印象も変わるだろうが、頭や身体の移動による影響を排除するため、それらを(レースカーのシートベルトのように)ガッチリ固定し、空気の動きによる変動も排除するため、空調も停めて聴く必要があるだろう。

そこまで気にしたら、コンサートなんて まず行けないねw

そもそも、そんなことより、部屋やスピーカーの特性による周波数ごとの(左右どころか片チャネルでも)音量差は1dBなんてものじゃないと思うが、それは気にならないのか?? 「別の話」?

実際、僕のボリュームを直す直前は、常用する音量での左右の音量差は10dB以上あったが、音に関しては特に気にならなかった(ちょっと鈍感過ぎるがw)。

 

(1/3 14:00 入力コードの固定方法を変更した件を記述し、写真を追加。)

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