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全く「終わった詐欺」で、気付いたら前回から2か月も経って居た。が、今度は本当で、散らばっていた道具や電子部品を片付けて すっきりした。

前回書いた残件の、自作アンプBA3886やサウンドカード(ASUS Essence STX II)のDAC部の仕上げ作業をしていたら、例によって ちょっと気に入らないことや いくつかの謎・問題が出たので、追加作業をしたり手こずったりした。

前回以降の追加作業・苦労・謎

  • アンプ本体
    • 前回から回路の変更はなく、確定したのだが、特性をチェックしたら以下の謎・問題が出た。
      • 50Hzの雑音(特に右が大きい):
        • アンプ単体では出ないので、ボリュームやカップリング回路に関係しているようだが、解決できず。 (参照: グラフ: ベージュ: アンプ単体時の右, オレンジ: ボリュームとカップリング回路を接続時の右: 50Hz辺りに山がある)
          • ボリュームなどで雑音が入りやすいのは分かるが、右だけに出ることがあるのが不思議だ。
          • ベース(放熱板兼固定台)をGNDに接続したら雑音が減るかも知れないと試したが、予想通り、効果はなかった。 (→ 写真: 左下のネジと黒いコード)
            • 単純にGNDに繋げた金属板があるだけで雑音が防げる訳ではなく、少なくとも周囲を囲う必要はあるだろうし、そうしても、アンテナになって雑音を拾ったり、変動するGNDが雑音を撒き散らすことがあるとのことだ。
        • 気に入らないものの、かなりレベルが小さく聞こえないので、保留にしている。
      • クロストークが大きい(作った時より悪化した)。: 対処できた。
        • 入力のコードと出力部(コイル, コンデンサ)が近かったこと。+残る謎の原因?
          • → コードを基板に密着させていたのを、なるべく基板から離すようにしたら、悪化は解消し、作った時より少し良くなった。
            • 更に検討したところ、推測ではあるが、基板でなくコンデンサに近いのが悪かったようだ。 (詳細は後述)
            • コイルについては、作った時も同じコードの通し方だったので違うだろう。
      • なぜか歪みが大きいことがある。: 対処できた。
        • 入出力のコードの通し方が悪かった。: なぜか、電源フィルタ付近(特にアンプの下)を通すのが駄目なようだ。
          • 作業が終わってコードを綺麗にしようとしてアンプの下に挟むと なぜか歪みが増大して、上のクロストークの改善作業で随分遠回りした。
          • → コードをアンプから少し離すようにした
      • 超高域での左右の歪みの差・左の歪みの増大 (参照: グラフ: 超高域での青系(左)と赤系(右)の差):
        • 電源の弱さ・経路の非対称性、基板の非対称性、LM3886(アンプIC)の個体差によるのではないか。
        • 出力に応じて歪みが増大し続ける訳ではなく、実用上の問題はないので保留とした。
      • 両チャネルで大出力時の高域での歪みの増大 (参照: グラフ: 実線: 片チャネル, 点線: 両チャネル):
        • 電源の弱さかも知れないが、高域なので違う気がする。
          • 上の問題(左右の歪みの差)の対処の試行でも分かったが、電源ではないのかも知れない。
        • 増大した状態でもひどい値ではなく、LM3886のデータシートの値に近いため、大きな問題ではないと考えている。
      • 左右のカットオフ周波数(高域)の差: なぜか右が30kHzくらい低くなった。: 対処できた。
        • 右の測定用出力を取リ出す位置を間違えていた。。。 → 修正したら直った。
          • 本来の出力の手前にあるZobelフィルタの抵抗とコンデンサの間から取っていた。 (参照: 回路図: 右端の"Out A/B"から取るべきところを、その少し左の"AltZobel"の右辺りから取っていた。)
          • 超高域(約30kHz以上)ではZobelフィルタが効き出して流れる電流が増え、そのために信号を取り出している点の電圧が下がるために、カットオフ周波数が下がったように見えたと考えている。
    • その他の作業
      • 交換後のコンデンサが結構大きく、また、並列接続などで数が多くて取り付け強度に不安があったので、ハリ玉と ひっつき虫の混合物(またはブルタック)で止めて補強した。 (→ 写真: 白いもの)
        • それらは熱で柔らかくなるが、作った時に温度センサをLM3886に固定するのに付けたブルタックが問題なさそうなので、大丈夫そうだ。
          • ただ、夏に状態を確認する予定だ。
        • また、余り期待しては居ないが、フィルムコンデンサが振動するのが良くないようなので、多少は防振できそうだ。
      • 同様に、クロストークの改善(上記)のために入力のコードを浮かせたため、基板に半田付けしている部分が力に弱いので、ハリ玉などを付けて動きを制限して補強した。 (→ 写真: 白いもの)
      • LM3886をベース(放熱板兼固定台)に固定する押え板をDVDケースを切ったもので作り直した
        • それまではPCケースのベイのトレイのレールを加工したものを使っていたが、厚くて基板の配置が不便なので作り直すことにした。
        • LM3886はネジ止めする部分が薄いので、そこにも板を密着させて押さえる力を高めるため、2枚重ねた。
        • 思い付きで始めたため、実寸を全く測らず、データシートのサイズと大体の想像で作ってしまったが、結束バンドを通す切り欠き部を調整したのと上記の重ねた部分以外は問題なかった。
        • DVDのケースの素材(PP)の耐熱性が気になったが、調べたら大丈夫そうだった。
      • 最終的な特性の測定時に、なるべく「綺麗」な特性を手軽に測りたかったので、アンプ基板に測定用出力コネクタを追加した。 (→ 写真: 下部に出ているコードとコネクタ)
        • その接続先(右チャネル)が誤っていて、上記の左右のカットオフ周波数(高域)の差の問題が起こった。。。
        • コネクタに測定用ピンコードを付けることで、簡単に測定できるようになった。
      • 同様に、最終的な特性の測定時に、なるべく「綺麗」な残留雑音を手軽に測りたかったので、アンプの入力をショートするピンプラグを作った。 (→ 写真: 上・中)
        • 同様に、ASUSのADCの入力をショートするミニプラグも作った。 (→ 写真: 下)
        • どちらも、手持ちの「使えない」部品でテキトーに作った。
    • 改良後の回路図 (入力部(下記のカップリング回路とボリューム)を含む)

改良後のBA3886の回路図 (入力部を含む)

  • カップリング回路 (ASUSとアンプを接続する部分)
    • カットオフ周波数が少し低いためか、わずかに耳に問題が起こりやすい感じだったので、少し高くした。
      • カットオフ周波数(後段の抵抗が90kΩの場合の理論値): 約4Hz → 約5.4Hz
      • アンプと組み合わせた場合(実測値): 約7.0Hz → 約9.4Hz
      • コンデンサの容量: 0.44μF → 0.33μF
        • 0.22μFと0.22μFx2個直列を並列接続した。
          • 合成容量= 0.22 + 1/(1/0.22 + 1/0.22)= 0.33
      • 高くなったとは言え わずかな差(約2.4Hz)なので、実は耳の調子の問題だったのかも知れず、本当に効果があったのかは分からない。
    • 正式版を作ったあとに、アンプ同様にクロストークが大きい落とし穴が見付かった。
      • ケースに入れたため、左右チャネルのコンデンサが平行に密着して干渉するようなので、約90°に配置し、GNDに繋いだ網線(VGAケーブルのもの)を間に入れて隔離(シールド)したら改善できて、最終版となった。
      • ※変遷を おまけに載せた。
    • なお、本アダプタのコンデンサをASUSのカップリングコンデンサにする(置き換える)ことも考えたが、ASUSもアンプも接続先や構成が変わる可能性があり、その時にはコンデンサの容量を調整する必要がある可能性があるため、それが容易な外付けにした。
  • ASUS (サウンドカード, DAC)
    • 新たな問題はなく、正式なDC出力化とそれに伴う電源off時のポップ音の防止のための改造をした。
    • 改造の目的・期待する効果・概要
      • 出力のカップリングコンデンサ(220uF, 電解)の音質への影響の排除
        • コンデンサの排除 → 出力のDC化
      • LPF出力から出力端子までの間の部品の音質への影響の排除
        • 出力抵抗(100Ω), コンデンサ(容量不明), その他(抵抗?)の排除
      • リレーの接点(3個/チャネル)の音質への影響の排除
        • 出力切り換え用, ミュート用の接点の直結化
      • 出力のDC化に伴う電源on/off時のポップ音の防止
        • 改造後もミュート機能が働くようにした。
    • 改造前後の回路図

ASUSのDAC出力の改造内容の回路図(関連部分のみ, オリジナルは推定): 上: 改造前(オリジナル), 下: 改造後

    • 改造箇所の写真

作った時(2021/6)・前回(2023/2)からの変化

特性は作った時と ほとんど変わりない(悪化したものはある)が、音は確かに良くなっている(主観的印象)。それに加え、以前から書いている、耳の問題(耳閉感)が起こりにくくなった。

  • 特性の違い
    • 良くなったもの: 歪み率(特に大出力時の超低域(参照: 改良前: 30Hz以下で増大 → 改良後))とクロストーク(少しだけ)(参照: 改良前改良後)
      • 比較
        • 歪み率 (20Hz, 約8W, 片チャネル出力): 約1/7になった。
        • クロストーク (L→RとR→Lの平均): 1-2dB程度減った。
      • 歪み率はDCサーボ(の作りの悪さ)による。クロストークは上述の入力のコードの引き回しが大きかったようだ。
    • 悪くなったもの: 振幅(低域の下限が少し高くなった)と位相(低域(100Hz以下)のズレが大きくなった)
      • 比較
        • 振幅特性: 下限が約6倍になった。
          • 作った時 (入力: DC): 3Hz-20kHz※: +0, -1.1dB
            • ※サンプリング周波数44.1kHzで測定したため、上限が正しく測れなかった。
          • 改良後 (カップリング回路接続時(入力: AC)): 17Hz-42kHz +0, -1dB
        • 位相 (30Hz): ズレが約8倍になった。
      • 悪化したのはDCサーボを止めてコンデンサ(カップリング, フィードバック)にしたためで、予期したもので異常・問題ではない。
      • なお、グラフでカップリング回路+ボリューム(水色, ピンク)の高域の特性が悪いのは、ボリューム※に起因する。ボリュームの寄生容量が関係しているのかと推測している。
        • ※カップリング回路単体の特性を測りたかったが、後続に約90k-100kΩの抵抗がないとカットオフ周波数(低域)が変わってしまうので使った。
  • 音が良くなったと感じる原因: 定かでない。
    • ASUSの出力のカップリングコンデンサ(電解コンデンサ)とアンプのDCサーボを撤去したのが一番大きく、次は上記のクロストークの改善※だと推測している。
      • ※クロストーク悪化の原因の、コードを基板に密着させて固定したのが いつからかは、調べないと定かでないが、その時に音が悪くなったが気付かず、今回直して良くなったと推測する。
        • ↑過去の写真を調べたら、作った時(2021年)には既にコードが基板に近い状態だった※ことが分かった。
          • ※当時はアンプ基板の隣にサーボ基板があったため、スペースが狭くてコードを浮かせられなかった。
        • だから、作った時からクロストークは悪かったようだ。確かに、作った時に書いた資料での結果は悪かったが、2022年の更新版の資料での結果(上を参照)は それほど悪くない。 → まだ他に謎があるのかも知れない。
          • 更新版でクロストークが良くなった経緯を調べたら、実は最初から悪くなかった。
            • 今回、特性を比較する時に参照した資料(PDF版)が古かったため、良くないクロストークが載っていて最初は悪かったと思って居たが、(このブログにも載せているように、)正式版の資料(Zim)では正しいクロストークになっている。
          • 結局、クロストークは元々悪くなかったのに、今回の改良時に一時悪化したようで、それが謎である。
            • フィードバックコンデンサ(左チャネル)や高域ゲイン抑制用コンデンサ(右チャネル)の直近に入力のコードを通したのが、良くなかったのかも知れない。 (→ 参照: 入力のコード(黒)がフィードバックコンデンサ(茶)や高域ゲイン抑制用コンデンサ(赤)に接して通っている。)
    • また、(以前の稿に書いたように、)カップリング, フィードバック, 超高域のゲイン抑制回路に使うコンデンサの品種を、可能な限り聴感が良いものに選別・交換したのも効いたと思う。
      • Zobelフィルタでも選別したものに交換したが、効いているかは不明。
  • 耳の問題が起こりにくくなった原因: 超低域(概ね10(-30)Hz以下の帯域と推測している)の変動(ゆらぎ)が減ったためと推測している。
    • 超低域が「出過ぎる」 ASUSの出力のカップリングコンデンサやDCサーボを撤去し、カップリング回路やフィードバック回路を調整することで超低域を抑制した。

実際に聞いてもらって説明しないと音の違い(客観的には「良くなった」とは言えない)を示すのは難しいが*、なるべく有名で幅広い手段で聴けそうな演奏で、以前との違いが顕著※と感じた例を示す。全般的には、高い小さい音や余韻の響きに違いが出やすい印象だ。

*しかも、改良前の音は出せないから説得力がない。

※「顕著」とは言っても かなり些細な違いでしかないので、全く差が分からない可能性はある。 (「分かるかなぁ、分かんねえだろうなぁ」の域?w)

なお、YouTubeでは聞こえ方が違って分からないものばかりなので、Spotifyか他のサービスかCDなどを参照されたい。

  • A Walk In Taormina (Eric Serra, 1988): 低音のパーカッションやオルガンの響きが それまでと全然違って聞こえる。
    • 一番違いが大きく感じるものだが、この表現では客観的には違いが分からない・・・
  • 夢先案内人 (山口百恵, 1977): 右でほぼ通して鳴って居る、すごく小さいシンバルとかハイハットみたいな「シャッ」という音が聞こえた。 (4/13 11:16)
  • Day Tripper - Remastered 2015 (The Beatles, 1965): イントロのギター(左側)の、弦が少し かすれるような音(ピックで弦が擦れる音?)が聞こえるようになった。
  • Drive My Car - Remastered 2009 (The Beatles, 1965): 上と同様に、イントロの小さいギター(左側)の かすれるような音が聞こえるようになった。
    • これもYouTube版では聞こえ方が違う。
  • 風立ちぬ(SEIKO STORY〜80's HITS COLLECTION〜) (松田聖子, 1981): 時々左で小さく「シャンシャン」と連打されるパーカッションが はっきり聞こえるようになった。
  • Urgent (Foreigner, 1981): 時々(例: 42秒から)左で鳴る、変わった音(パイプを叩いてるような音)のパーカッションが聞こえるようになった。
    • YouTube版では聞こえ方が違い、上の音は はっきり聞こえる。なお、公式版は音が悪くて駄目。

まとめ

いろいろ謎は あるものの、とりあえず片付いた。改良の効果なのか、耳の問題の緩和のためにPCからの出力に入れているHPFのカットオフ周波数を少し低く(80Hz → 65Hz)して、超低域を増やしても※大丈夫なようだ(確認中 → OKだった。ただ、実際には超低域は減っていた。詳細は下を参照)。

※実際には、そうしても低音が増すと感じることは なく(部屋の特性のため、低域に出にくい帯域がある)、気分の問題である。チキンレース的な「どこまで行けるか!?」のようなものだw

これで前回書いた残件の2/3が終わり、最後に残った、(そもそも やっていた、)(再生)音による耳の問題の原因調査の続きが ようやく(?)再開できる(けど面倒だ・・・)。

 

その後

(4/18 15:45) HPFのカットオフ周波数を以前より少し低くした65Hzで しばらく聴いてみて大丈夫だったので、スピーカーでの特性を測ってみたら、予想以上に「いい感じ」だった。

というのは、なぜか、前回に比べて低域(60Hz以下)が少し(30-50Hzで約2dB)下がったのだ。※ (→ グラフ: 灰: 前回, 緑: 今回) しかも、カットオフ周波数を少し上下させると30Hz辺り*が前回と同じくらいに大きくなるので、期せずして この部屋の特性に最適になったようだ。

※理論的には、HPFのカットオフ周波数を下げると低域が大きくなるはずだが、部屋の特性やフィルタ間・スピーカー間の相互作用(位相?)が関係しているのだろうか。

*この辺り以下の超低音が耳に問題を起こすと考えて、下げようとしている。

偶然だとは思うが、聴感(耳の問題の起こりにくさ)も考慮して65Hzにしたのが合っていた。また、まとめに書いたように、これで低音が増すと感じなかったのは実際にそうだったので、それなりに耳が正しいのかも知れない。

スピーカー(+部屋)の音の特性を測定した。: 灰, 青, 赤: 前回(2022/12/15, カットオフ周波数: 80Hz); 緑, 薄青, ピンク: 今回(同65Hz) (それぞれの線はL+R, L, Rの順)

 

(4/24 9:04) 昨日、HPFのカットオフ周波数でも「チキンレース」をしたw 別件(再開した耳の問題の原因調査)の途中で、ちょっと思い付いた。カットオフを下げると低域が増すかも知れない(→ 比較グラフ)以外に、補正フィルタによる低域の位相の変化(→ 位相のグラフの最高と最低の差)を減らすことができることが分かったからだ。位相の変化を減らすと音が良くなる根拠はないが、そういう気がするではないか。

カットオフ周波数を20-80Hzで変えて50Hz以上での位相の変化量を比較したところ、60Hz辺りで最小になるようで、この点でも、元々の設定の(、耳で決めた)65Hzは正しかったようだ。

が、「少しくらい下げて(低域を増して)も大丈夫なんじゃね?」という悪魔の囁きが聞こえて、カットオフを50, 55, 57.5Hzで聴いて試した。: 確かに低域が増して聞こえたが、50Hzにした場合はブーミーに聞こえることがあった。だから、部屋の特性(共鳴)で、超低域を多く出すと増強されてしまうのかも知れない。

更に、超低域が増強されるためか、いずれでも耳が駄目だった(例: 軽い唾飲み時の違和感、少し耳が聞こえにくくなった)ので却下して、元の65Hzに戻した。

なかなか敏感・過敏だ。でも、耳に再現性があることが確認できた。そして、今回も思い付きは失敗した。。。

 

付録: 代替カップリング回路(AltCC)評価用アダプタについて

この作業の初期に、ASUSのカップリング回路の代わりを試行錯誤する(主にコンデンサを取り替えて試す)ために、2種類のアダプタを作った。1つは普通の大きいコンデンサ用(#1)、もう1つはチップコンデンサ用(#2)である。以下に簡単に説明する。

#1: このアンプを作る時に買ったものの使わなかったスピーカー保護回路の基板と部品(ターミナル)を流用した。: カップリング回路を構成するコンデンサや抵抗をコード用のターミナルにネジ止めするようにした。

なお、基板のパターンや穴の都合でコンデンサ用のターミナルを付けられる場所に制約があり、入出力の左右が逆になった。

#2: チップコンデンサは小さい(1-2mm角)ため容易に取り替えられない※ので、試すコンデンサを基板に半田付けし*、それぞれに入力を繋ぐためのピン(ポスト)を立てておき、入力用コードに付けたジャックを試したいコンデンサに対応するピンに挿すことでコンデンサを選択できるようにした。 (→ 写真: 上側)

※チップにリード線を半田付けして脚を付けることで、普通のコンデンサ同様に交換することも考えたが、脚からチップに力が掛かって破損する可能性があったので止めた。

*1種類(PMLCAP)は あとから付けたのだが、なぜか間違って裏面に付けてしまった。 (→ 写真: 左寄り上下の4つの紫・銀色の四角)

それぞれのコンデンサは2個ずつ実装されているので、入力用コードを2本のピンに繋ぐことで2倍の容量で試すことができる。また、少し工夫して2個のコンデンサを直列接続にすれば、1/2の容量で試すことができる。

なお、基板に半田付けした場合、いずれかのコンデンサを正式に使う時に再利用できない※が、基板ごと使うつもりで居た。

※半田付けしたものを基板から剥がすと熱で破損する可能性が高いので、無理だ。

以下に写真や回路図を示す。

使ってみて分かったのは、これらは確かに便利でミノムシクリップなどよりはずっと安定だが、(半田付けに比べると)ターミナルやポスト・ジャックの接触が今一つなせいか、雑音が入りやすかった。また、#1は何度もコンデンサをターミナルに(キツく)付け外しして力が掛かったせいか、最後には右チャネルが断線してしまった。

だから、本来は毎回コンデンサを半田付けして試すのが一番良いが、何度も繰り返すとコンデンサも基板も駄目になってしまうから、難しいところだ。

他に、良くあることだが、入出力のコードも切れやすかった。コードが動きにくいようにベースに固定して居たが、それでも半田付けした部分が折れてしまう。試行用なので そこら辺にあったテキトーなコードを使ったのだが、硬かったのが良くなかった。硬いコードは大嫌いだ。

 

おまけ

作業で思ったこと

  • 今まで ない方が・なくても良いと思って居た、パワーアンプの前のプリアンプとかバッファアンプの必要性が分かった気がする。
    • パワーアンプの入力にボリュームやカップリングコンデンサ(CC)がある場合、音源(DACなど)の出力の構成(例: カップリングコンデンサ)によっては周波数特性(特に低域)が変わることがあるため。
    • → バッファ(プリ)アンプのあとにボリュームやCCを付ければ影響がなくなりそう。
      • ただ、バッファの入力を どうするかが問題かも。: DC? 入力抵抗は なしじゃないと無意味?

 

今回の改良関係の費用

  • 約8500円 (通販4回)
    • 送料抜き: 約7200円
      • 実際に使った分: 約2000円※
      • ※コンデンサを「取っ替え引っ替え」、買っても使わなかったりしたため、効率は30%未満と悪い。

 

正式版カップリング回路アダプタの変遷

本文に書いたように、一旦出来てからクロストークの問題が発覚したため、配置などを試行錯誤した。その過程の写真を載せる。

いつものように、作業中と終了後の作業机の比較

ボツ(未使用)写真集

 

(4/11 6:10 ASUSの改造内容の回路図のPCM1792Aの出力-I/Vを修正, 少し修正・加筆; 7:58 おまけのレイアウトを修正, 若干加筆; 11:40 アンプ(入力部を含む)の回路図を追加, 回路図をPNG形式に変更, その他の作業などを追加・加筆, 写真を追加, レイアウトを改良; 12:25 少し補足; 13:44 ボツ写真を追加; 15:12 入力のコードの通し方やクロストークの変化の経緯を調べた結果、その他を追記; 4/12 8:20 ボツ写真を追加, 作った時との特性の比較を追加; 4/12 12:26 代替カップリング回路(AltCC)評価用アダプタについてを追加, 13:24 正式版カップリング回路アダプタの変遷を追加。とりあえず、この稿も完成。; 4/12 18:12-21:07 少し加筆・修正他; 4/13 11:16 聞こえ方が違う例に「夢先案内人」を追加; 4/15 13:24 ボツ写真を追加; 4/18 15:45 スピーカーの特性の測定結果を追加)

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昨年末から延々と続いている、聴いていて起こる耳の問題(耳閉感など)を解消または緩和するためのオーディオ系の改良に ようやく目処が立った感じで、一安心している。

それまで諸悪の根源(耳の問題の原因)と考えていた(実際に悪かった)大容量の電解コンデンサを「撤廃」したら、概ね耳の問題が起こらなくなった。ただ、電解コンデンサだけでなく、小容量のマイカコンデンサも悪かった可能性が高い。というのは、別の目的※で外したら*、棚ぼた的に音が良くなったからだ。

※それを使う回路(フィードバックの超高域抑制)のカットオフ周波数が計算と合わない原因は これの容量がおかしいためではないかと疑ったため。ただ、外してもカットオフ周波数のズレは解消しなかった(測定時に付いていた他の要素の問題だった)ので、実際には原因ではなかった。が、そもそも設計の時点で適切な容量でなかった(小さ過ぎた)のは確かなので問題ない。

*片方の脚を抜くとか切ったりして一時的に無効にして試したかったものの、工具が入りにくいところにあるため面倒になって無慈悲な鉄槌を下した思い切って破壊的に外した(ラジオペンチで ひねって「ブチ切った」)。

再利用できなくなっても良いか迷ったが、以下に書くようにマイカは音が悪いことが分かったので もう使うことなどなく、怪我の功名ですらある。

マイカコンデンサは高価なせいか 音が良いとされ、一部のオーディオ界で珍重されているが、誘電体吸収(簡単に書くと、コンデンサが放電し切らずに電荷が残ってしまう現象。 → 参照1, 2, 3)が大きい(電解コンデンサも大きい)ことによる弊害を考慮しているのか怪しい。※ そんな特性で いい音が出るのかも怪しい。実際、歪みがひどい(特性の良いセラミックよりも悪い)という感想を目にした。*

まあ、音が良いと思う・感じる人は使えば良い。が、(他の部品もそうだが、)○○の一つ覚え的に、考え・検証なしに、あるいは、思い込みで採用するのは愚の骨頂だ。

※あと、想像の域ではあるが、マイカコンデンサの構造はセラミックコンデンサに似ているから、それと同様の問題(電圧に依存して電極が動く・振動する → 容量が変わる)が起こって、音が良くないのではないだろうか。

*マイカコンデンサの歪みについての情報があった。: 「オーディオ設計の世界」の「キャパシタの発生する歪」の「―マイカを5種―」の項や他の項によれば、マイカは概ね歪みが良くない結果である。更に、左の"(5) SOSHIN CML2YB 132J3 (1300pF J)"の項に以下のような記述がある。

歪波形を見るとクロスオーバー歪のように、印加電圧が反転する所で段差が見えます。何個測っても同じなので、マイカの特性か?

そのページには「歪波形」の図は載っていないが、時間軸の普通の振幅の波形を示しているとすれば、この「段差」は誘電体吸収で起こっているのではないだろうか?

いずれにしても、歪みに関しては、マイカコンデンサは普通のフィルムコンデンサに負けていることが分かる。それどころか、一緒に比較されているセラミック(村田chip型)にも負けているので、上に挙げた感想は正しそうだ。

では、実際にアンプのフィードバック回路にマイカコンデンサが使われている場合に どのような問題が起こるかを推測すると、以下のようになる。

  • 誘電体吸収のためにアンプの出力からフィードバックされた電圧が残り、それがアンプの負入力に入って、アンプの出力を増大させるか減少させる。 → 出力が歪む。
    • どちらになるかはコンデンサの出力の符号によるが、入力の逆になるとすれば、出力を増大させると思われる。
    • すると、大きくなった出力が またマイカコンデンサに入り、更に出力が大きくなるのだろうか。
      • ただ、フィードバックコンデンサのために直流近くのゲインは小さいので、それほど大きくならないのか。
  • 誘電体吸収の他に、上述のセラミックコンデンサのような容量変化による歪みがフィードバックに加わり、アンプのゲインが歪んで出力も歪む。
  • 誘電体吸収で生じる(残る)電圧は入力(アンプの出力)よりも低いだろうし、フィードバック抵抗で分圧されるのでレベルは小さくなるが、普通の歪み率の0.01%のようなオーダーは超えそうだ。

なんでこんなものをフィードバック回路に使ったかは分からないが、後述のように、このコンデンサを位相補償用と考えて(誤解して)、それなら容量が安定している(という定評の)マイカがいいと考えたのだろうか。あるいは どこかからのコピペを「良さげに変えた」(容量を小さくすればカットオフ周波数が上がって、帯域が広くなる)※とかか。

※似たようなことは、フィードバック中の大き過ぎる電解コンデンサ(MUSE ES)にも言える。データシートの例では10μFや22μFなのに、なぜ100μFもの大きなものにしたのだろうか? 大きいほうが(カットオフ周波数が下がって)帯域が広くなって良さげだと思ったのだろうか?

更に、その電解コンデンサに小さいコンデンサ(0.1μF, WIMA)が並列になっているのも解せない(電源では良く見るが・・・)。高域まで安定してフィードバックを掛けるようになのかも知れないが、自分で部品(コンデンサ)を決めるのだから、あらかじめ仕様・特性を確認して、使用する帯域でインピーダンスが充分に低いものを選べばいいのだ。

実際、MUSE ESのインピーダンスの実測例では2MHz辺りまで低いから、全く充分だ。一方、並列のWIMA 0.1μF MKP2の実測例では やっぱり2MHz辺りが谷になって居るものの、その手前(例: 100kHz以下)のインピーダンスはMUSE ESより随分高い。全然意味ない気がするがなあ・・・

間違っている!: 後述のように、これは位相補償用でなく超高域のゲイン抑制用なので、容量が ものすごく安定な必要はない。カットオフ周波数が可聴域の充分上になっていれば、(温度などで)多少上下に動いても大きな問題はないはずだ。容量の安定性を求めるにしても、そういう特性(や音)の良いフィルムコンデンサが使えるはずだ(そこでWIMAを使われる可能性もあったが)。

いずれにしても、偶然の結果ではあるが、マイカを捨てて音が良くなったのは とても喜ばしい

あんなの飾りです?w

 

以下、(ほとんど自分のために、)今までの経緯など(「何で やり出した?/これをしている?」)を整理する。

全体の流れ(経緯)

  1. 音楽を聴いていると耳の問題(例: 耳閉感, 音が聞こえにくくなる)が起こることがある。
    1. 出来の悪い機器(試用した某DACと手持ちのScarlett Solo Gen. 3)で耳の問題が起こったので、原因(それらに特有の雑音が原因と考えている)を調べようとした。
      • 目星は付いたが、下の作業を始めたので未完了
    2. そうこうしているうちに(?)、通常の再生系でも起こるようになった。
      • 結局、通常の再生系の出来も悪いことが分かった。使用状況や耳の調子で問題が起こるようだ。
    3. 原因を調べ、対処しようと思った。
      • 最初はASUSのサウンドカード(Essence STX II。以下、ASUS)のDAC部の劣化だと思った(歪み率(特に2次高調波)に左右差があったので)。 (↓2へ)
        • 結局、歪み率の差は音質には影響はなさそうで、DACチップかI/V部の劣化・不調と推測している。それでも仕様の範囲内で、実際には問題ではないのかも知れない。
      • 上と前後して、耳の問題に関係あるかと思ってDACのフィルタ(sharpとslow)を比較した。
        • それまで使っていたslowよりsharpのほうが正しいことに気付いたものの、(44.1kHzの)sharpは耳に問題が起こるため、96kHzにデジタルのLPFを追加した。
        • が、処理が複雑で嫌なので止め、なぜか問題の起こらない96kHzのsharpにして音の良いアップサンプラを選んだ。
          • ついでに、部屋の特性補正フィルタも簡素化した。
          • この設定にした少しあとに、DAC出力にコンデンサを追加することを思い付いて下に繋がる。
  2. ASUSのDAC部の対処・改良: 目処が立った。
    1. 電源・電解コンデンサの劣化?: おそらくなし。
      • 電源の問題なら左右差は起こりにくいため。
      • 出力のカップリングコンデンサと電源のバイパスコンデンサの劣化もなさそうだった。
    2. 出力カップリング回路(容量の大き過ぎる電解コンデンサ)が悪いことが分かった。 → DC(direct coupling; カップリングコンデンサなし)で出力して外部にカップリング回路を付け、元の回路を無効化した。
      • クラシック音楽を聴くと(再生すると)耳閉感が起こり、ポップ音楽にすると途端に治まり、クラシックに戻すと再発することがあったのと、その前後に、大きいカップリングコンデンサは時定数が長いためにドリフト(周期の遅い振幅の変動)を起こることがあるという情報を目にしたのが、大きな電解コンデンサを疑う切っ掛けになった。
      • その後、長い時定数以外に、最初に書いた誘電体吸収の問題もあるので、電解コンデンサ自体が悪いことも分かった。
    3. ついでに、出力切り換えのリレーを直結にしてみた。
      • 耳の問題でなく、わずかにでも音の経路の接触抵抗を減らすため(気分の問題)。
    4. 大分良くなったが、まだ耳閉感が起こることがあるので、アンプも疑った。 (↓3へ)
  3. アンプ(BA3886, 自作(キットを改変))の対処・改良: オリジナルのキットの設計は「ほとんど駄目」だったが、改良(修正)して ようやく目処が立った。 ← 今ココ
    • DCサーボ部(基板)が悪い。
      • 設計が悪くて性能が不充分で、弊害のほうが大きい。
      • そもそも、出力のオフセット(直流)をカットするだけのために、常に信号に手を加えるのはアホらしい。
    • フィードバック回路の設計が悪い。
      • 超低域抑制回路(DCサーボの代わり)が悪い。: 大き過ぎる電解コンデンサ(カットオフ周波数の設定)と音が悪そうなWIMAを使っている。
      • 超高域抑制回路も悪い。: 高過ぎるカットオフ周波数の設定と、誘電体吸収特性が悪く 音が悪そうなマイカコンデンサを使っている。
        • 説明書には このコンデンサを「位相補償用」と書いてあるが、何の位相を どう補償するのだろうか??
          • LM3886のデータシートには そんなことは書いてないが、「(高域のゲインを)補償するコンデンサ」とあるのを誤解したのか。以下に引用する。 (記号は回路図を参照のこと)

External Components Description

11. Cf(1) Compensation capacitor that works with Rf1 and Rf2 to reduce the AC Gain at higher frequencies.

    • Zobelフィルタも今一つ。
      • カットオフ周波数がフィードバック(超高域抑制)と合っていない。
      • 音が悪そうなWIMAを使っている。

現状の設定・構成

  • ASUSのDAC部
    • 出力のカップリングコンデンサ(AltCC): 0.44μF (UPZ 0.22μFx2) (元: FG 220μF)
      • カットオフ周波数: 7.2Hz (後段の入力抵抗が50kΩの場合) (元: 推定0.015Hz (抵抗: 推定50kΩ))
      • ※可聴域での位相ズレを減らすため、2/7に容量を2倍に増やした(元: 0.22μF)。それに伴い、カットオフ周波数が1/2になった。
  • BA3886アンプ
    • DC(direct current)サーボ基板: 撤去
    • フィードバック回路
      • 超低域抑制コンデンサ(AltFBC): 9.4μF (ECQE 4.7μFx2) (元: MUSE ES 100μF + WIMA 0.1μF)
        • カットオフ周波数: 7.1Hz (抵抗: 2.4kΩ) (元: 0.66Hz)
      • 超高域抑制コンデンサ(AltHCC): 50pF (UPZ 100pF/2) (元: マイカ 15pF)
        • カットオフ周波数: 103kHz (抵抗: 22kΩ) (元: 343kHz)
    • Zobelフィルタ
      • コンデンサ(AltZobel): 0.11μF (ECQE 0.22μF/2) (元: WIMA 0.1μF)
        • カットオフ周波数: 145kHz (抵抗: 10Ω) (元: 159kHz)

注: 上では複数のコンデンサを組み合わせているが、そうする必要はない。単に、購入する時に最適な値が分からなかったため、組み合わせて ある程度の種類の容量を実現できるようにしたためである。また、少ない種類で複数の用途に使うことも考慮した。

実際、AltFBCは当初の計画の2倍にし、AltHCCは当初の3/2倍(3個直列→2個)にし、AltZobelは当初の1/2にした。また、ECQEをAltCCにも試したかったので、別に0.1μFを買う代わりにAltZobelの0.22μFの予備を使った。

お金をふんだんに使うなら、それぞれぴったりの容量のコンデンサを買って使えば1個ずつにできる。

現状の回路図

BA3886(改良版)のアンプ部の回路図: AltFBC, AltHCC, AltZobelが今回改良した箇所

現状で感じている効果

従来より音が良い感じになり、耳の問題は ほとんど起こらなくなった(ただ、最後にも書くが、出やすい時間帯・状況があるようだ)。

今回も、いろいろなコンデンサ(AltFBC, AltHCC, AltZobel)を換えたり容量を調整するたびに音が変わったが、AltHCCのマイカコンデンサを除去した時が一番変わった気がする。高域や余韻のような細かい音の再現性が良くなり、耳が痛くなること、あるいは、キツく感じることがなくなった(音源や体調に起因する場合を除く)。

以下に、マイカコンデンサを除去したあとの印象・聴感の例(試聴中のメモより)を挙げる。

  • 「原音に忠実」に近づいた(原音は分からないので、正確には そういう「気がする」)。
  • 高音のキレがいい、あるいは、鋭い、あるいは、クリア(しかも うるさくない)。
  • 音がいい。シンバルやハイハットの音が いい。リアルな感じ。
  • 余韻のような細かい音が今までより ちゃんと(例: はっきり)聞こえる。
  • 今まで定位が悪かった(左右どちらから出ているか良く分からない)※、1kHz辺りの正弦波が少し良くなった。
    • ※想像だが、部屋での反射と僕の耳の問題(左右の特性に差がある)が関係していると思う。
  • 何となく、耳が痛くなる(高音のキツさ?)のはマイカコンデンサが悪かった気がする。外してから起こっていないし、音が いい。

動作確認と特性の測定

AltFBC, AltHCCの動作確認のため、アンプ単体(DC接続, ボリュームなし, アッテネータなし, アンプ入力: -30dBFS)での振幅-周波数特性を測定した。グラフでは、カットオフ周波数は線が水平のカーソル(-3dB)と交わるところで、左右チャネル共に低域(← AltFBC): 約7Hz, 高域(← AltHCC): 推定約94kHzである。それらは理論値の7Hz, 103kHzと合うか近いので、AltFBCとAltHCCは正しく動作している。

ちなみに、カタログなどで良く見る「周波数特性」(再生可能な周波数帯域)は、BA3886単体では、グラフより、例えば 20Hz-28kHz +0, -0.5dB と書くことができる。特に狙った訳ではないが、一応 可聴域をカバーしている。が、これ自体は それほど意味がなく、位相や歪みのほうが重要だと思う。

まあ、それらも、補正フィルタを入れたりすると豹変してしまうのだが・・・

なお、AltZobelはカットオフ周波数が145kHzと高いため、手持ちの機材では測定不能(下で追加検討)である。

次に、いつも測っている特性(振幅, 位相, 歪み率, 雑音(ノイズフロア))を測定し、改良前と比較した。更に、小・中・大出力時の歪み率を比較した(上の2番目以降のグラフ)。

以前にも書いたように、一般的な特性(振幅・位相・歪み)に、改良前後で聴感の変化の原因となりそうな差は見られなかった。※ 大出力時の超低域(30Hz以下)の歪みの増大は ほとんどなくなったが、それが聴感に影響しているかは疑問である。

※位相(ズレ)は悪化しているものの、改良後は音が良くなったと感じているので、大きな影響は ないようだ。そもそも、上述のように、聴く時には部屋の特性補正フィルタを入れていて、位相のズレは ひどいものになるから、こういう自然なズレ(時間的な遅れ)は余り影響がないのかも知れない。

以下に特記事項やコメントを書く。

  • 振幅の比較
    • 改良後に低域が下がっている※のは、AltFBCの影響である。コンデンサの容量を増せば増すほどカットオフ周波数が下がって改良前の平坦に近付くが、容量を大きくし過ぎるとドリフトが生じたり(推測)、コンデンサの音の影響を受けるだろう。*
      • ※グラフの縦軸は拡大しているので、見た目ほど ひどくはない。
      • *もちろん、電解コンデンサを使ったら・・・
    • 改良前後に高域が少し下がっているのは、測定時に使用したアッテネータの影響と思われる。
      • 改良前はサンプリング周波数が44.1kHzだったので、下がる量が若干大きい。
      • 改良後のものには更にAltHCCの影響があるが、このグラフには出ていない。
      • なお、AltCCを2倍にしたものにはアッテネータを入れていないため、高域が少し良くなっている。他の測定結果も、アッテネータがない場合には この辺りにあると推測する。
  • 位相の比較
    • 改良後に低域のズレが大きいのは、振幅と同様にAltFBCの影響である。振幅と同様に、容量を増せば増すほど改良前の平坦に近付く。
      • 振幅と違って位相のズレは結構大きく、看過できない感じがする。
    • カップリング回路(AltCC)を付けてAC接続にすると(薄水色, 薄ピンク)低域でのズレが大きくなるのは、コンデンサが増えるためで仕方ない。
      • → やっぱり、ちょっと気に入らないので、容量を2倍にしてカットオフを下げてズレを減らすことを検討・試行している。 (2/7 9:34) → 採用することにした。低域の位相のズレは、DCとそれまでのAltCCの間辺りになった。グラフを、その測定結果を追加したものに交換した。 (2/9 10:56)
    • 改良後の高域の位相が少しズレて居るのは、AltHCCの影響だろうか。
      • ↑高域の位相は測定のたびに変動するので、余り信用できないようだ。
  • 歪み率の比較
    • 注: AC接続の測定結果はAltCCの容量を2倍にする前(0.22μF)のものである。 (以下も同じ)
    • 改良後のDC接続時(水色, ベージュ)の中低域(約800Hz以下)での歪み率の増大はADCのカップリング回路の問題と考えられる。同じ出力でAC接続(AltCC)した場合(薄水色, 薄ピンク)には増大は起こらない。
    • 一方、改良前(青, 赤)にあった超低域(30Hz以下)での歪み率の増大は起こらなくなった。
    • なお、今回の測定の高域(約4kHz以上)の歪み率が増えているのは、今回は前回の2倍のサンプリング周波数のため、高調波を求める帯域が広がったためである。
      • 例えば、以前は4kHzでは5倍高調波までだったが、今回は最大12倍まで求めることができる。
  • 雑音の比較
    • アッテネータを通して測定しているため、実際の値は約12dB大きいため、それほど雑音レベルが小さい(≒ SNRやダイナミックレンジが大きい)とは言えない。ざっと見て、-100から-105dBFS(ざっくり計算すると30μV辺り?)くらいだろうか。
    • 50Hzの山は電源からの雑音、15kHz他の山はPCからと思われる。褒められたものではないが、スピーカーからは聞こえず、耳に問題を起こさないようなので、良しとしている。
  • 出力と歪み率
    • 通常聴いている時の出力・特性は、グラフでは約19mW(青)辺りである。

ところで、改良前後で特段の差がなかったからと言って、測定が不要ということは全くない。それは、例えば「*から放出される放射性物質は極めて微量なので、監視する必要がない」と言い張るのと同じことだ。少なくとも、どこかで間違って とんでもない特性になっていないことを確認する必要はあるし、今回の作業で交換したコンデンサが ちゃんと働いているか・カットオフ周波数が想定どおりか確認する必要はある。

とは言え、手持ちの機材の限界のために測れないものもある。※: AltZobelのカットオフ周波数はASUSの上限のサンプリング周波数の192kHzでは測れない。AltHCCは傾きを延長してどうにか推定できるが、無理がある。

※ここでも、「測れないから まあいいや」と済ますのは良しとしない。

その後、測る方法を考えた。: それぞれのコンデンサ(元のコンデンサ)に並列に同じくらいの容量のコンデンサを追加してカットオフを下げて測れば 以下のいずれかの結果が得られるはずで、元のコンデンサが働いているかが確かめられる。

    • 元のコンデンサが働いているなら、カットオフは合成した容量のものになる。
    • 元のコンデンサが働いていない(例: 断線, ショート)なら、カットオフは追加した容量のものになる(断線)か全く変わらない(ショート)。

この方法でAltHCCは確かめられたが、AltZobelは無理だった。というのは、カットオフが下がってもアンプのパワーバンド内ならアンプが頑張って振幅を保つからだ。

それで、AltZobelのカットオフを下げた状態(AltHCCは そのまま)でコンデンサまたは抵抗の両端の電圧を測れば、カットオフ周波数以上で電流が流れるため、電圧(振幅)が変わる(コンデンサは下がり、抵抗は上がるのではないか)だろうと考えたが、ここまでで力尽きた(面倒になったw)ので保留にした。代わりに、コンデンサの脚の根本(本体の近く)と基板のランドの導通をチェックすることで、とりあえずは良しとした。

写真

残件

  • アンプの仕上げ
    • 代替コンデンサの固定や脚の絶縁など。
    • 測定結果などのまとめ
    • 資料の作成・更新
  • ASUS DAC部の残り(続き)
    • DC(direct coupling)出力端子を付ける。
    • カップリング回路(コンデンサ)のアダプタを作る。 (← こんなイメージ)
      • DC出力とボリュームの間に入れる。
    • 電源on/off時ミュート機能をDC出力にも有効にする。
      • DC出力には元々のミュート機能が効かないため、電源off時に小さいポップ音が出る。
  • 耳の問題が起こる原因調査の続き
    • 今回対処した(大きい電解コンデンサによる)超低域の変動(ドリフト)以外に雑音も原因だと考えているので、その検証を再開する。

その他(気付いたこと・メモ)

  • いくらDACやアンプを改良しても、朝(朝食後?)に、ごく軽い耳閉感・唾飲み時の違和感が出やすいようだ。
    • 血圧や季節(室温)が関係ある? 疲れは関係ありそう。
      • 耳閉感は耳の血行に関係あるようだが、食後は腹に血が集中して耳では薄くなるのかも知れない。朝は その変化が特に大きいのか。
    • ただ、音によるものと違い、すぐに治る。
  • 同様に、演奏自体の音が悪くて耳の問題を引き起こすことは ある。が、元々そういう音なので諦めるしかない。
  • 今まで謎だったのは、ヘッドフォンに使っているPCのオンボードのサウンドでは耳の問題がほとんど起こらないことだが、オンボードなので出力のカップリングコンデンサの容量が大きくなくて、上に書いたような振幅の変動(ドリフト)を引き起こさないのではないかと推測している。
    • 他に、ヘッドフォンは(アンプへのラインでの接続と違って)インピーダンスが低いので、仮に大きなコンデンサを使っていたとしても、カットオフ周波数が高くなって(= 時定数が短くなって)変動が起こらないのかも知れない。
      • 例: カップリングコンデンサが100μFとした場合のカットオフ周波数, 時定数
        • ヘッドフォン(30Ωとした場合): 53Hz, 6.9ms
        • ライン(50kΩとした場合): 0.032Hz, 12s
  • 測定時に、意外なものが原因で特性が想定とズレて、原因探しや対処に結構手こずった。
    • さまざまな超高域の低下要因: ボリューム(意外に効く), アッテネータ(抵抗), ADCのカップリングコンデンサ?(その前にあるアッテネータとの関係?)
    • (特にDCの場合)低域の歪みの増大要因: ADCのカップリングコンデンサ?(超低域での電荷が溜まる?)
  • とても小さいコンデンサ(100pF)は、テスターでは容量が測れなかった。寄生容量の影響だろうか。
    • それでも、一応検品したかったので、複数個(8個)を並列に繋いで測ってから いくつか(4個)を外して再度測り、差分の平均値から1個あたりの容量を推測した。
    • それにしても、テスターの仕様上は測れるはずなのだが、どうして駄目だったんだろうか?
  • 最初に「電解コンデンサを撤廃した」と書いたが、実は少し残って居る。: アンプのスピーカー保護部の入力のLPFに使っている。
    • ここには音は通らないが、アンプの出力から電流が流れ込むので、ASUSのカップリング回路を残したまま代替カップリングコンデンサを付けた時と同様に、何らかの影響はあるはずだ。
    • 流れ込む電流をシミュレートしたところ、低域(約500Hz以下)で影響がありそうだった。
      • スピーカーに流れる電流との比は約0.022%(-73dB)だった。
    • ただ、容量が22μFとそれほど大きくないせいか、音が通らないせいか、アンプのスピーカー出力に繋がっているせいか、聴感上の問題はなさそうだし、特性の違いもなかった。
      • 実使用時はスピーカーによる負荷変動が大きく、充分アンプが吸収するのではないかと推測している。
    • どうしてこういう構成にしたのか(今となっては、LPFはオペアンプの後ろでもいい気がする)記憶がないが、さすがに「ちょっと動かしてみる」訳には行かないので、保留にしている。

 

おまけ: ボツ+α写真集

いつか書こうと思って居たけど、音が悪くて無駄などで使う宛てがなくなったものを消化。

 

書いたあとでの話 (2/8 15:33)

「動作確認と特性の測定」の「位相の比較」に追記したように、カップリングコンデンサ(AltCC)を2倍の0.44μFにして試してみたら、確かに位相のズレは減ってDC接続(カップリングコンデンサなし)と それまで(1個)のの中間になったが、特に音は変わらなかった。

更に思い付いてDC接続※でも聴いてみたのだが、以前と同様に、なぜか・やっぱり音が駄目だった。: 荒さ(ザラついた感じ)やキツさや うるささを感じたものの、耳の調子のせいかと思って我慢して聴いていたら、少し耳が痛くなった(なかなか回復しなかった)。

※以前は駄目だったが、今は電解コンデンサもマイカコンデンサもないので、もしかしたら行けるかと思った。

推測ではあるが、入力にコンデンサがないために、DACから超低域の揺らぎ(ドリフト)や雑音が流れ込んで音を悪くしたり、耳に問題を起こすのではないか。あと、「歪み率の比較」に書いたように、中低域の歪みの謎の増大が関係あるのかも知れない。なぜ、AC接続だと歪みが減るのかも分からない。

他の原因として思い付いたのだが、DC接続の場合、DACの出力オペアンプの出力がボリュームを介すものの直接アンプに繋がっているため、振幅に応じた負荷変動が起こって、歪みが悪化したり音質が劣化するのかも知れない。※ あと、カップリングコンデンサがない場合、出力オペアンプとアンプが直流的に繋がっているのは なんか悪そうな気がする。

※そういうことがあるのかは分からない。: 実際、アンプの入力抵抗は大きいので、可能性としてはボリュームのほうがありそうだが、ボリュームがなくても低域の歪みは増大するので、アンプが関係していそうだ。

ただ、単に耳の調子が悪かった可能性(期待w)もあり、まだDC接続を捨て切れない。AC接続で充分音が良いから そこまでの価値があるとは思わないが、仕組みがシンプルになるのが魅力だ。

そういう訳で、AltCCの正式版はアダプタにして着脱可能にするか、ASUSの元のカップリングコンデンサと交換しつつDC出力も付けるようにして、随時試せるようにしたい。

聴いて試す以外に、測定の時にDC出力は有用だ。

 

(2/11 9:01) その後、アンプ内蔵の、スピーカー保護回路の動作確認をした。ここは変更していないが、改良後の回路は以前と特性が変わっているので、それでも問題なく動くか確認したかった。

もちろん、保護回路は問題なく動く仕様だし、実際にアンプから出力しなくてもテスト回路でチェックできるが、実際に確認しなければ分からないことは ある。

改良後のフィードバック回路(AltFBC)によって超低域のゲインが抑制されているため、以前のように1Hzの正弦波を出力しても、最大振幅(-3dBFS RMS, 推定約1.3V※)でもオフセットと検出されずにミュートしなかった。

この時、手を抜いてスピーカーを繋げたまま出力したら、「ボツ」っという音が出て驚いた。調べたら、意外にコーンの動きが大きくて、何らかのタイミングでコーンが急に元の位置に戻る時に音が出たようだ(音を停める時にも、コーンの位置によっては出ることがあった)。

また、スピーカーは意外に感度が良いようで、1V程度でも大きく前後に動き(まあ、アンプが充分に電力(電流)を供給しているためだろう)、「ボツ」っという音も結構大きかった。

それでスピーカーを壊すのが怖いので、負荷を抵抗(大容量のもの)に換えた。が、そこでも「やらかし」たようだw チェックが終わって抵抗を外す時に、1個の脚1本が外れていることに気付いた。付ける時は問題なかったので、チェック中に外れたようだ。

推測だが、チェックの左右チャネルを切り替える合間に出力を切るのを忘れて居て、それなりに出力を掛けていた(最後の頃は15Hz, -8dBFS(推定出力: 約12W)の正弦波を試した)ために抵抗が熱くなって半田が外れたのではないか。聞こえないから気付かないが、なかなか危ない・・・

なお、最初にミュートしなかった最大振幅でのチェックのあとで耳閉感が起こったので、聞こえなくても耳に影響があることは確かだ。

※試行により、アンプの1Hzでの減衰(パワーバンドとの比)は約-22.5dBであることが分かり、また、事前の想定どおりに超低域でのアンプのゲインが抑制されていることが分かった(本来のゲインは10倍(20dB)なので、抑制によって概ね1倍になったと考えられる)。

どうやってDACから直流に近い信号を出すか試行錯誤し、デューティ比が100%に近い矩形波(1Hz, 99%)を出力することで「ほぼ直流」を出せた。そして-3.5dBFS RMS(推定約1.3V)でミュートした。これは保護回路の しきい値の+1.2, -1.4Vに合っているので、正常に動作していることが確認できた。

そして、上に書いたように、この確認では早速DC出力が活用できた。DC接続でなかったら、直流に近い矩形波はDACから出力も されないはずなので。

 

(2/12 8:23) 「出来た出来た詐欺」じゃないが、上で「看過できない」と書いた、低域での位相のズレが(音は全く問題ないものの)気に入らないので、「とりあえず試してみて、駄目なら使わなければ良い」という謎の論理でw、更にコンデンサ(AltFBC追加: ECQE 10μF, AltCC追加: UPZ 0.22μF(2個ずつ))を注文してしまった。

これらを追加すると、AltFBCもAltCCもカットオフ周波数が3.5Hzくらいに下がるので、幾らかは位相ズレが改善できるはずだ。

ただ、カットオフ周波数が下がると超低域の変動(ドリフト)も通りやすくなるのが気になるので、試して(聴いて)みないと分からない。だが、現状でも(耳の問題の原因と考えていた)10Hz以下が結構通っているけど問題ないので、大丈夫かも知れない。

そうすると、耳に問題を起こしていたのは超低域が通る・出ることでなく、(大容量の)電解とマイカコンデンサ(の誘電体吸収の害?)だったということになる(他に、DACとアンプを直結(DC接続)すると電気的な問題も起こるようだ)。

 

注釈

本文中の「DC接続」/「AC―」は冗長である。"DC"/"AC"は それぞれ"direct coupling"/"alternating-"の略で、既に接続の意味を含んでいるからだ。ただ、"DC"/"AC"だけだと直流/交流(direct/alternate current)との区別が付けにくいので、「接続」を追加した。

余談だが、「DCアンプ」のDCを「直流(まで増幅できる)」と解釈している方が居るが、それが正しいのか正しくないのかは分からない。 (僕も昔は そう理解していた。)

 

(-2/7 8:40 加筆・追記、修正、写真を追加など。煩雑なので、加筆・追記した日時を削除。; 2/7 9:34-10:25 低域の位相ズレと高域の歪み率の差について追記・補足, 「注釈」を追加; 2/7 10:59 振幅と位相のグラフを、DAC-ADC直結で正規化したものに交換し、特記事項を更新した。; 2/8 15:33 「書いたあとでの話」を追加; 2/8 17:55 振幅と位相の比較に加筆; 2/9 10:56 AltCCの設定を更新, 測定結果のグラフを交換, 13:40 BA3886単体の「周波数特性」他に加筆, 13:51 構成を若干修正, 15:55 題を修正; 2/11 9:01, 12:14 スピーカー保護回路の動作確認の話と関連写真を追加; 2/12 8:23 更なるコンデンサ追加の件を追加)

  •  1
  •  0
Keys: , , , ,

オーディオ系の改良、あるいは「作り直し」作業(主に耳への問題を改善しようとしている)は なかなかキリがなく、昨年末に書いたことの ほとんどが更新となっているうえに、新しいことも増えた。ちゃぶ台返しもあった。それでも、分かったことが少しずつ増え、耳にも良い方向に進んで居るので、そのうち終わりそうな感触ではある。

それにしても いろいろなことが あり過ぎて、今回も概略程度しか書けない。いつか、それぞれの詳細を書きたい(と書いておくw)。

 

サウンドカード(ASUS Essence STX II)のDAC部: カップリング回路

  • 出力のカップリング回路(下図を参照): 随分試行錯誤して代替カップリング回路("AltCC")を調整し、ようやく、「マイベスト」や「ファイナルアンサー」は東信のUPZというコンデンサを抵抗なしにした場合でありそうなことが分かった。
    • カップリング回路周りの概略
DACの出力 → カップリングコンデンサ ―→ ボリューム → アンプ
                                                  |
                                                (抵抗)
                                                  |
                                                GND
  • これまでに以下のような構成で試した。
    1. ASUSのオリジナルのカップリング回路("OCC")に、外付けのカップリング回路を追加(直列接続)
      • 「ちょっと試してみよう」の乗りだったが、意外に変化があったので、以下に繋がる・・・
    2. OCCを残したまま、DAC出力に代替カップリング回路(AltCC)を接続
      • この時は、OCCを残しておいても使わなければ(出力端子に接続しなければ)影響はないと考えていた。
    3. OCCを無効にしてAltCCを使用 (現在)
      • OCCでは抵抗でGNDに繋がっているために、弱いながらも電流が流れてDAC出力に影響があったので、OCCの手前で切り離して無効にした
  •  現在のAltCCの順位(耳に合う&音が良く感じる順)※
    1. ○ 東信 UPZ(0.22μF, 抵抗なし): 馴染める音。高域は丁度良い。
      • UPZだけは、試し始めた時から ずっと悪い印象がなく、せいぜい「地味」とか「華がない」のようなものだけだった。特性からは そういうことが想像できず、全く不思議なコンデンサだ。
      • カットオフ周波数: 約9Hz
    2. △ パナ ECHU(0.1μF, 抵抗なし): 音が いい感じはするが、高域が わずかに強目で派手な感じ。
      • カットオフ周波数: 約34Hz: 高いが、実用的には問題ない。
    3. △ パナ ECPU(1μF, 抵抗なし): 悪くはないが、高域が弱目で物足りなくなる。
      • カットオフ周波数: 約3.4Hz (測っていないので推定)
    4. △- ECPU/2(2個を直列接続 → 0.5μF, 抵抗なし): わずかに耳に問題が起こる。行けるかも知れないが、あえて選ぶことはない。
      • カットオフ周波数: 約7Hz
    5. △- ルビコン PMLCAPx2 (合計0.2μF, 抵抗なし): 少し耳が痛くなる(1個(下記)よりはマシ)。高目の帯域が近く聞こえた。あえて使う理由はない。 (AltFBCのついでに買ったものが届いたので、少し試した。: 1/24 18:00)
    6. 以下は不可(耳に問題(耳閉感など)が起こる)
      • ECPU(1μF)+20kΩ: 以前(アンプのフィードバックコンデンサが有効の時)は1-2番目に良い印象だった(今はECPU/2と同じくらいかも)。
        • 他もそうだが、なぜか抵抗を付けるのは良くないようだ。
        • カットオフ周波数: 約11Hz
      • ECHUx2(合計0.2μF, 抵抗なし): 少しキツい。少し前までは一番良かったのだが、確か、アンプのフィードバックコンデンサを無効にしたら(後述)駄目になった。
        • 試し始めた時は2-3番目くらいに良い印象だった。
        • なぜか、並列接続も良くないようだ。
        • カットオフ周波数: 約11Hz
      • PARC Audio(1μF)+20kΩ: 買った時の聴感が悪くて死蔵していたもの。今回も諦めずに数回試したが、やっぱり駄目だった。
        • カットオフ周波数: 約11Hz
      • ルビコン PMLCAP (0.1μF, 抵抗なし): 耳に問題(痛みや耳閉感: どちらも軽い)が起こる。音が不自然な感じ。 (AltFBCのついでに買ったものが届いたので、少し試した。: 1/24 18:00)
      • ルビコン MPS(0.22μF, 抵抗なし): 高音が強過ぎて耳が痛くなる。シャリシャリ感がすごい。うるさい。 (AltFBCのついでに買ったものが届いたので、少し試した。: 1/24 13:38)
        • あるページの歪み測定結果で良好なので試してみたが、音は良くなかった。
          • おそらく、そのページは単一の周波数(1kHzだったか)だけで歪みを測定しているため、それ以外の帯域の歪みの発生状況が異なるためだろう。一般的な方法ではあるが、余り有効・便利ではない気がする。(僕からすれば古い方法だ)
            • 余計なことだが、その方はその実態に合わない結果をもとに何かしただろうが、失敗しなかったのだろうか?? (まあいいかw)
        • まあ、電力用なので音が悪いのも仕方ないだろう。それにしても、容量はUPZと同じで特性も他と同様なのに、音が全然違うのが謎だ。
      • WIMA MKS2もどき?(1μF)+20kΩ?: 音がひどい(高音のギラつき)。以前の聴感も悪かった。抵抗は記憶が曖昧(記録を調べるのも面倒)。
        • カットオフ周波数: 約11Hz
      • オリジナルのカップリング回路(ニチコン FG 220μF+50kΩ(推定), OCC): 不思議なことに、この件を始める前は問題ないことも多かった。
        • そう言えば、音が良く感じる時と そうでもない時があったのは、僕の耳・体調や気分の影響や気のせいかと思っていたが、本当に音が変わっていたのかも知れない。
        • 電解コンデンサなので、カップリング回路に使うのは今一つ無理があるから、その関係があるのかも知れない。
        • カットオフ周波数: 約0.0015Hz(単体の場合): かなり低い。そのため、時定数も約25秒と長い。
      • DC(直結, コンデンサなし)
        • 「コンデンサを排除すれば(≒ DC構成にすれば) いい音になる」とは全く限らず!、カップリング回路が必要なことがある。
          • そもそも、聞こえない領域を苦労して伝達・増幅して弊害を出すなんて何と馬鹿らしいことだと、今は思う。
          • でも、安直な・にコンデンサを入れると僕のようにひどい目に遭うので、そのリスクを事前に回避する意味では意味があるかも知れない。
          • が、直流付近から そのまま出しても耳に問題が起こるので、やっぱり意味がない。
          • だから、直流付近を綺麗に切る必要があるが、それは難しい。そういうところが腕の見せどころの一つなのかも知れない。
  • 耳に合うものは、DACからアンプへの接続形態、アンプのフィードバック回路によっても変わる。今は、上記のように、DACとボリュームの間にカップリング回路を入れるのが一番良い。また、アンプのフィードバック回路のコンデンサ(詳細は後述)は無効(なし)にしている。
    • カップリング回路とボリュームの順序を入れ換える構成も試したが、アンプの入力抵抗(合成抵抗)が大きくなって出力のオフセットが増大するのと、雑音に弱くなるのに加え、手持ちには丁度良い容量のコンデンサがないので止めた。
  • ボリュームやアンプの入力抵抗やフィードバック回路とAltCCのコンデンサの関係で、カットオフ周波数やアンプのオフセットや全体的な超低域の挙動が変わるようだ。

※注: カップリング回路は前後の機器(回路構成)によって特性・挙動が変化するうえに、僕の耳は変な音に過敏なようなので、上に書いた感想や順位は僕の環境だけのもので、一般的なものではない。

だから、良く「コンデンサの聴き比べ」(オペアンプなども)とかあるけど、全く同じ環境でないと、そういうのは余り宛てにならないと思う。傾向をつかむ材料にはなるかも知れないが(全く違うかも知れない)、おそらく同じ結果にはならないと思う。そういう点で、事前検討なしでコンデンサやオペアンプを気軽に交換するのには賛成しない。

交換するにしても、一気に全部交換するなんてのは全く良くない。コンデンサの役割も効き方も全部同じではない。全部交換してしまったら、どこが効いたか/効かなかったか分からないではないか。

それにしても全く不思議なことは、上のどの回路もカットオフ周波数以外の特性(位相、歪み、雑音)は ほとんど変わらないのに(下にグラフを載せる)、耳が駄目とか高域が強いだの弱いだのといった、聴感の違いが生じることだ。想像だが、動的な特性や、(単純な正弦波でない)複数の音が混じった場合の特性(例: 混変調歪み)に違いがあるのだろうかと思う。

それぞれのコンデンサの特性(例: tanδ, 周波数-インピーダンス/位相特性)が関係しているのかも知れないが、知識が足らず、分からない。

 

DAC(TI PCM1792A)のフィルタとJACK(Linuxのサウンドシステム)のサンプリング周波数

  • 元: 44.1kHz /slow → 前回: 96kHz/slow → 今: 44.1kHz/sharp
    • 96kHz/slowで問題なかったものの、高品質なアップサンプル(speex-float-10)は負荷が高く、全体的な負荷が高い場合に音切れすることがあるので、止めた。
    • なぜか、耳の問題はDACのカップリング回路/AltCCやアンプのフィードバックとも関係があり(超低域の変動に関係があるようだ)、そこらを改良した今は44.1kHz/sharpでも問題ない。

さまざまな苦労の甲斐あって、ようやく、「普通」(デフォルト)の設定で問題なくなったようだ。

今までは その普通の設定で耳が駄目だったので どうしてかと思って居たし、他の人は良く大丈夫だと不思議に思って居た・・・

駄目だったのは決して気のせいや思い込みではなく、以前は44.1kHz/sharpにするだけで耳閉感が起こった(何度試しても同じ)のだが、原因が確定していないだけに証明が難しい。

それにしても、DACのフィルタやサンプリング周波数が耳の問題の起こり方に関係するのは謎だ。少し前までは以前書いたサンプリング定理を誤解した方の話から、ナイキスト周波数付近のAM変調成分が超低域に出て、それが耳に影響しているのかと思って居たが、そこまで高域が出ていなくても起こるので、そうではなさそうだ。

それに、元々44kHzではslowが良かったのだが、それだとエイリアシングの漏れが多いので、超低域に出るAM変調成分もsharpより多いはずなので、耳の問題が ひどくなるはずだ。だから、AM変調成分と耳の問題は関係なさそうだ。

それよりはDACチップの特性が気になって居る。データシートには可聴域外(20Hz以下, 20kHz以上)の雑音などは書いてないので、どうなっていようがTIは我関せずだ。

「我関せず」と言えば、Scarlett Solo Gen.3のフォーカスライトも同じようなスタンスで、仕様は20Hz-20kHzなのだが、30kHz以上で雑音が増大することを指摘しても、可聴域外だから全く問題ないと言われた。聞こえなければ いくら雑音を垂れ流してもいいのだろうか?

雑音といえども、仕様として書いている範囲外に それほど小さくない音を出すのは問題ないのだろうか? その論理なら、アンプが数百kHzで発振して とんでもない音量で超音波を出しても、壊れなければ問題ないことになりはしないか?

 

アンプ(BA3886, 自作(キットを改変)): フィードバック回路

  • 前回: サーボ基板が使い物にならないので撤去した。 → 今: サーボの代わりのフィードバックコンデンサ※も容量が大き過ぎて耳に問題を起こすようなので、変更しようとしている(→ 代替フィードバックコンデンサ, "AltFBC")。それでも駄目なら撤去する。
    • ※超高域でのゲインを下げて発振を防ぐため、フィードバックループとGNDの間の抵抗(下図のRi)の前にあるコンデンサ(下図のCi)。

フィードバック回路の説明図 (TI LM3886のデータシートのFig. 1): 図中のCiが本文のフィードバックコンデンサ

      • オリジナルのキットの容量は100μFと大きい(抵抗Riは1kΩ)。 → カットオフ周波数: 約1.6Hz (推定) (上図のTIのサンプルでは約7.2Hz)
      • なお、僕はゲインを下げるために抵抗Riを2.5kΩにしている(抵抗Rfは22kΩ)。 → カットオフ周波数: 約0.64Hz (推定)
    • 替わりのコンデンサAltFBCはルビコンのPMLCAP(10μF)を注文中で(→ 結果は後述: 1/25 16:51)、今はコンデンサなし(抵抗をGNDに直結)で試しているが、オリジナルより随分良い。
      • 問題がないならコンデンサなしでいいのだが、直流まで増幅するために出力のオフセットが大きくなるためか、入力を開放した状態で電源をoffにするとポップ音が出るのが気に入らず、小さいコンデンサで試そうとしている。
      • それから、キットでは100μFに並列にWIMA(0.1μF, 外見は上記の1μFのものより本物らしい)が付いており、実害がないのは分かりつつも、ボーカルの「かすれ」(後述)の原因ではないかという疑いや、上記の「もどき」で懲り懲りなので、一緒に排除したい。
        • 同様に、出力に付いている発振防止回路のコンデンサ(WIMA 0.1μF)もPMLCAPに交換する予定だ。
    • このような状況から、前回同様、あのキットを作った人の見識や技術力に疑問がある。
      • 以前も疑ったが、別の人が作った(考えた)ものに安易に自分の色付けをしたり、良かれと思って(逆効果な)変更をしたのかも知れない。
      • フィードバックコンデンサの容量以外にも、「ん? 分かってない?」と思われるものがある。あとで詳しく書きたい。
        • これらは今にして気付いたことで、そのキットを選ぶ時には知識が全く足りなくて、何の疑問も感じなかった。。。
        • そういう点で、今のアンプが とりあえずちゃんと音が出ているのは、結構な僥倖かも知れない・・・

(1/25 16:51) 届いたPMLCAP(10μF)をAltFBCに試したところ、意外にも※AltCCの0.1μFと同様に耳に問題(痛みや耳閉感)が起こって駄目だった。

※フィードバックコンデンサも音に影響があるのが意外だが、上に自分で書いているように、フィードバックコンデンサでも耳に問題が起こることを疑って交換したのだから、「何を寝ぼけてるんだ!」で、何に換えても いい訳は ない。

そもそも、フィードバックコンデンサはアンプのゲインを決める(低い周波数ではゲインを減らす)ので、出力する音自体を通しては居ないものの、言ってみれば出す音を決めているので、音に影響しない訳がない。

特性を測ると、低域(概ね60Hz以下)の歪みが大きいのと15kHz辺りに雑音があるのが気になった。ただ、前者は他の場合にも出ることがあるが問題のないことが多く、後者は基板や配線などが悪いのだが、やはり他でも出ていて問題ない。コンデンサを直列・並列にしたり、部品の取り付け方や配線を いろいろ改良してみたが、耳の問題は解消できなかった。だから、上にも書いているが、普通の測定では測れない違いがあるのだろうと思う。

一つ気になるのは、PMLCAPはメーカーの技術情報でも低域の歪みが大きいことだ。特に、今回のように直列に使う場合が良くなく、500Hz以下で増大するようだ。* (→ 参照: PMLCAPのテクニカルノート: P.7 「高調波歪み率」のグラフ(右側))

*実は、それが気になってAltCCに使うのを止め、同じくメーカーの情報で、通常使用時の振幅での歪み率が かなり小さい(→ 仮に低域で増大しても問題ないレベル)ECPUにした経緯がある。

そのグラフの形は僕の結果に少し似ている(歪みが増大し始める周波数は違う)ので、それが原因なのかも知れない。が、上にも書いたように、元々のフィードバックコンデンサやコンデンサなしの場合にも同様な歪みが出ることがあるので、それが耳の問題の原因なのかは確かではない。

結局、フィードバックコンデンサを改良する手立てが何もなくなってしまい、苦し紛れ、あるいは、いつもの思い付きで、試しにAltCCで却下したECPU(1μF)を2個並列にして使ってみたら意外に良く、今のところ耳の問題は起こっていない(いつものことだが、コンデンサを換えると「耳の感じ」の違いが劇的なので驚く)。ただ、合計容量が2μFと小さいため、カットオフ周波数が34Hzと高くなり、「ちゃんと」するには4-5個並列にしなくてはならず(→ カットオフ周波数は17または13Hzと、「まあ許せる」値になる)、なかなか大変だ。

とはいえ、偶然ながら(耳の問題を減らすため)部屋の特性補正フィルタで33Hz以下は切っているから丁度良いし、そもそもスピーカーの再生可能低限は42Hzだ。その関係もあって、この状態で低音が足りないとは全く感じないので、実用上の問題は全くない。気分の問題だ。

それにしても、「気分の問題」なのに、実用上不要な帯域までサポートして耳に問題を起こして、結局気分が悪くなるのは全く矛盾しているし、一体何のために頑張っているか分からないな・・・ うむ。

(1/25 19:09) まあ、(自称)技術者なので、制作するからには、「なんか分かんない・偶然だけど、丁度いいからいいや」じゃなくて、ある程度自分で考え・理解し・求めたとおりに動くものにしたい。それに、今の環境が変わっても そのまま使えるような汎用性を持たせたってバチは当たらないのではないか? というのを免罪符にするw

結局、仕事じゃなくて趣味で作っているってのが一番大きいw

それで、もう一回だけ別のコンデンサを試すことにして、パナのECQEを注文した。正直言って余り期待していないが、アンプで もう一箇所交換したい、出力の発振防止回路(Zobelフィルタ)用コンデンサにPMLCAP(MPSも)が使えなくなった(音が悪いため)ので、一緒に買い直すことにした。それが駄目なら、AltFBCはECPUを追加して4-5個並列にし、発振防止回路は現状のWIMAで我慢か。

(1/25 21:48) ちょっと思い付いて、PARC Audio(1μF)を上の暫定AltFBC(ECPUx2)に追加して、合計3μFにしてみた。これだとカットオフ周波数は22Hzになり(実測値は約24Hzだった)、少し「世の中のレベルに追い付いていそう」になる(それだけ。表面だけのこと)。

試す前から、「良いことはなく、あるとすれば悪いことだろうな・・・」と思って居たが、本当にそうだった。: 試聴開始して1分で少し耳が痛くなった。3分で耳が駄目なので止めた(あと、聴きたくなくなった)。

付ける前より音が良くない感じなのは確かだが、何が悪いのかは表現できない。ただ、外したら、明らかに音が違う(良い)ので驚いた(というか、安心した)。高域の抜けが良い感じ、あるいは、曇りが さっと晴れるような感じだ。

一応書いておくと、PARC Audioを けなすつもりはなく、逆に、「きっと、何かいいところがあるのだろう」と思って何度も試しているが、毎回駄目で がっかりしている。ネットでは良い感想が多いようなので、使う環境・回路の違いや僕の耳が過敏なせいだろうか。

これに限らず思うのは、音の良さで売るのなら、せめて詳しい特性を公開して欲しいとは思う。グラフ一つすらないってどうよ。「音の良さは数値には出ない」という考えなのだろうが、買う方としては一体何を宛てにすればいいのだろうか?: 良くある健康食品みたいに、「個人の感想」を信じろと?

(1/27 19:43) 届いたECQE(4.7μF)を試して驚いた。期待していなかったのに、すごく音が良くなったのだ。もちろん、耳閉感や耳の痛みはない。EPCU(2μF)の時より音が はっきり・くっきりした感じだ。最初は わずかに耳にキツかったのが気になるが、少ししたら慣れたので、大丈夫そうだ。普通の特性も全く問題ない。AltFBCはECQEに決まりだ。「期待していない」などと書いたのは全く悪かった。

また、基本的にはZobelの交換用に買ったECQE(0.22μF)をAltCCにも試してみたら、これも良かった。もちろん、普通の特性もUPZと変わらない。ただ、全体的な雰囲気はUPZと変わらないものの、UPZのほうが音が好み(高音だけでなく、低音も わずかに豊かな感じ)なので、AltCCはUPZに決まりそうだ。

現在の聴感での順位を、AltFBCとAltCCの組み合わせで書く。まあ、ほとんど選択肢がないのだが・・・

  1. AltFBC: ECQE (4.7μF), AltCC: UPZ (0.22μF) (以下、AltFBCとAltCCの記載順序は同じ。同じ容量の記載は省略する。)
    • フィードバックのカットオフ周波数(理論値): 14Hz (以下、カットオフ周波数はフィードバックの理論値)
  2. ECQE, ECQE (0.22μF): 上とほとんど同じ。気分や好みや気のせい。
    • カットオフ周波数: 14Hz
  3. ECPUx2 (合計2μF), UPZ: 「可能」(まあまあ、悪くはない)ではあるが、上を聴いてしまうと、敢えて選ぶレベルではない。
    • カットオフ周波数: 33Hz
  4. (以下は許容できない)
    • ECPUx2+PARC Audio (合計3μF), UPZ: ECPUx2の まあまあだった音が、駄目になってしまった。
      • カットオフ周波数: 22Hz
    • PMLCAP (10μF), UPZ: 耐えられない音。。。
      • カットオフ周波数: 6.6Hz

僕には明らかにUPZが良い(今となっては ほとんど「一択」)ので、当初からAltFBCもUPZにしたかったのだが、容量が足りない(最大0.22μF)ので、残念ながら無理だ。それで、代わりを いろいろ試して、ようやくECQEが見付かった。

それから、今までの経験から、定説とは違い、必ずしもPPのほうがPEより音が良いとは限らなさそうだ。あと、チップコンデンサは良い音になるものが少ない傾向だ。それにしても、どうして こんなに音が違うのだろうか。なぜ、聴くに耐えない音のコンデンサが あるのか?

(1/28 6:50) 昨夜、ECQEの音に気を良くして、Zobelにも試してみた。さすがに、音には特に変化はなかった(悪化もせず)。特性も振幅以外は変わらなかった。振幅は、概ね想定のカットオフ周波数(72kHz)に近い、約88kHz(推定※)となった。位相にも変化はないため、問題なさそうだ。

※約96kHz(サンプリング周波数を192kHzの上限)近くになると、測定に使ったASUSのDACやADCの限界(仕様の上限は90kHz)のためか、(アンプを通さず直結にしても)元々の振幅が下がるため、正しい値が得られない。それでアンプの測定値を直結のもので正規化すると真の値に近づくが、上限近くはスロープが振動しているような形状になって正しい値が得られないため、推定値である。

なお、想定の周波数との差が大きいように見えるが、部品(抵抗とコンデンサ)の値の誤差や周囲の部品や接続した外部機器(スピーカー、ASUSのADC)の影響によるのではないかと推測している。

この構成(AltCC: UPZ(0.22μF), AltFBC: ECQE(4.7μF), 代替Zobel: ECQE(0.22μF))で数日間聴いてみて大丈夫そうなら、最後に残ったフィードバックの超高域のゲイン低減用コンデンサをUPZ(100pF)に交換し※、全体的に正式版にしたい。

※この部分は手が届かないので、部品の脚を切って「ちょっと試す」ことができない。

まあ、駄目だった時はどうするかという問題はあるが、その時に考えよう。

前回以降に出た新たな問題

  • アンプのフィードバックコンデンサの影響 (上にも記載)
    • サーボを外した少しあとでフィードバックコンデンサを有効にしていたが、それで大分音が悪くなったようだ(当初は気付かなかったが、以降、耳の問題が増えた)。
      • 無効にしたら耳の問題が随分改善した。聴感的にも、音がすっきりした気がする。
    • ただ、この状態だと直流まで増幅するため、アンプの出力のオフセットが増大するのと、DACの超低域の変動(推測)の影響が防ぎ切れない感じ(推測)はある。
  • オーディオインタフェース(ScarlettやASUS)のADCの入力カップリングコンデンサの影響
    • 大容量のようで、アンプ出力のオフセットの電荷が溜まって、あるいは、時定数が大きいために音(超低域)がふらつく(推測)のが良くない感じ。
      • ScarlettやASUSの振幅-周波数特性の下限は それぞれ20Hzや10Hzなので、そもそも対応範囲外の領域を測ろうとしていたので無理はあるのだが、接続した先に影響を及ぼすのは いかがなものか・・・
    • それが測定対象のアンプに影響を及ぼし、耳に問題を起こしていた。
    • そのため、再生音の超低域の特性を正しく・頻繁に測定することができず、今は聴感(耳に問題が起こるかどうか)だけに頼っている。
      • これを良しとはしていないが、測定できる機器がないので仕方ない・・・
      • この問題が分かるまでは、低音(80Hz)の正弦波や実際の演奏(クラシック, ポップ)の超低域(録音には入っていなさそうな帯域: 約0-20Hz)の振幅から、試しているAltCCのコンデンサの変動抑止能力を調べ・比較していた。 → 破棄した測定結果の一部を最後辺りに載せる。

 

再生音と耳の問題について

当初はDACの超低域の変動*が耳の問題を引き起こす一因と考えていた。それが、試行を続けているうちに、それらやカップリング回路と耳の問題は余り関係がなく、耳や身体の調子によって起こり(要するに「不可避」)、起こったら治るまで待つしかない感じなのか※と諦めモードになっていた。

*この稿を書く時、あるいはカップリング回路の調整をしていて思ったのは、現代のデジタル技術の粋()であるDACでも昔のレコード時代にあったサブソニックフィルタの類が要るのかということだ。おそらく同じ現象・問題だと思う。でも、誰も言わないのを見ると、僕のDACが劣化して変動が大きくなっているのだろうか?

いや、手持ちの別の機器(Scarlett)でも、別のDACの試用でも同様なことはあったから、今でもあるのではないか? ということは、多くの人は感じないのか。

※ただ、起こりやすい(誘発する)・起こりにくいものや音が悪いものは確実にある。どうしてか・何が違うのかは まだ分からない。あと、体温や身体の活度にも関係ありそうだ。: 朝など、体温が低いとなりやすい感じだ。

が、近頃はそうでもなさそうなことが分かって来た。大きなコンデンサによる超低域の変動(DACのカップリング, アンプのフィードバック, ADCのカップリング※)は耳に効くようだ。

※ADCについては全くの想定外で、それまでの超低域の変動成分の測定結果を破棄する羽目になった(ちゃぶ台返し)。その変な測定結果のために、上に書いたように「余り関係がない」と思いつつあった。

不思議なのは、こういう話を聞いたことがないことで※、僕の耳に問題・原因があるのだろうと思う。ある種の音に過敏なのではないだろうか。そして、過敏という点で似たようなことが過去にもあったことを思い出す。

  • アンプ(ビクター A-X5)のライン出力にビデオデッキ(三菱, 電源off状態)を繋いでいると、ピアノ曲(内田のK.333 (1985)の頭辺りの単音(音が少ないの意)で鋭く弾く部分(記憶が あやふやになっているうえに今聴くと印象が違うが、おそらくこの辺り)で歪みを感じた。
    • 修理に来た人(当時はビデオも訪問修理してくれたようだ)は分からず・・・
    • 推測だが、ビデオデッキがoffの場合、入力部にある素子(コンデンサ? トランジスタ?)がアンプの信号に影響を与える(クリップさせる)のではないか。
  • 電子ピアノ(カワイ PW800)に、1個だけ音が歪んでいるキー(中央のA辺り)があった。
    • やはり、修理に来た人は分からず・・・
      • 自分でも、故障ではないし、修理(調整)もできないだろうなと思いつつも問い合わせてみた。
    • 明らかに隣のキーとは音の感じが違っていたのだが・・・

※検索していて近いと思い、ヒントになったのは、低周波音での健康被害である。僕が「耳閉感」と書いているのは その症状である。

 

現状・効果

まとめると、ASUSのDACのカップリングコンデンサをUPZ(0.22μF)に換え、アンプのフィードバックコンデンサを無効にしたところ、耳の問題(例: 耳閉感)は滅多に起こらなくなった。ただし、上述のように、午前中や疲れている時など耳の調子が悪い時(推測)は起こることがあるが、それまでよりずっと軽い。

音も良くなったように感じるが、いかんせん、通常の特性(振幅、位相、歪み、雑音)は何も変わっておらず、機器の性能・仕様の限界のために 疑っている超低域の変動の測定もできず、客観的な比較・証明ができないので、あくまでも「個人の感想」である。

(1/28 7:09) その後、フィードバックコンデンサをECQE(4.7μF)にし、出力の発振防止用コンデンサをECQE(0.22μF)に換えたところ、その前に暫定的にECPU(1μFx2)をフィードバックコンデンサにしていた時より随分音が良くなった(詳細は上を参照)。数日間聴いてみて大丈夫そうなら、フィードバックの超高域のゲイン低減用コンデンサをUPZ(100pF)に交換し、全体的に正式版にしたい。

 

書いたあとに見付かった問題 (1/26 11:54)

アンプの代替フィードバック(AltFBC)や発振防止回路(Zobelフィルタ)用コンデンサなどを追加注文したあとに思い出して それらの耐圧を確認していたら、公称値が数百Vと高いものでも高周波の交流については意外に小さいことが分かった。: 例えば、今回注文したパナ ECQE 0.22μF 250VDCの交流の許容電圧は、100kHzで約5Vrms, 200kHzで約3Vrmsでしかない。アンプの出力の最大振幅は約±15V(約10Vrms)なので、最悪の場合はコンデンサが壊れるが、そこまでひどいことは なさそうだと思った(その前に耳が壊れるか、電源の容量オーバーで落ちる?)。

LM3886の超高域発振防止回路とフィードバック回路の説明図 (TI LM3886のデータシートのFig. 3): 図中のCSN, RSNが発振防止(Zobelフィルタ)用コンデンサと抵抗, Cf, Rf2が超高域のゲインを下げるコンデンサと抵抗: なお、図は単一電源のものだが、正負電源でも同様である。

とは言え、念のため、アンプが どのくらい高い周波数まで増幅できるのか調べようと、フィードバック回路中にある超高域のゲインを下げるコンデンサ(上図のCf)でのカットオフ周波数を調べようと思った。

ところが、(以前も書いたように)アンプICのLM3886のデータシートの式が謎だ。下に示す。

"External Components Description"のRf2の項にある、カットオフ周波数fcの計算式(ママ):

fc = [Rf1 Rf2 (s + 1/Rf2Cf)]/[(Rf1 + Rf2)(s + 1/Cf(Rf1 + Rf2))]

式に不明な変数sがあって困っていたのだが、たまたま全く別のフィルタの特性を計算するページを見たら、どうやら周波数らしいことが分かり※、式が何か間違っている感じだ。この式はカットオフ周波数でなく、そのフィードバックの伝達関数(G(s))を求める式なのではないかと思う。

メーカーは修正せず、ユーザーも気付いて居ないのは謎だが、分かり切ったことなので飛ばしているのか、分からないけど とりあえずそのまま作っているのか、うやむやにしているのか。

※アンプを作る時の検討でも、"s"には見覚えがあったのだが、周波数だと分かって すっきりした。周波数fに2πを掛けたものだったか? 「角周波数」? (習ったのは大昔のことだし、不真面目だったので すっかり忘れて居る・・・)

伝達関数からカットオフ周波数を求める方法が分からない(怠惰なので考えていない)が、どうやら、その式から見るに、コンデンサ(Cf)と抵抗(Rf2)によるカットオフがコンデンサのない抵抗(Rf1)だけのフィードバックによって上がるだろうから、それらを「平均」※しているのではないかと推測した。(→ その後、式の意味が分かったので、下にカットオフ周波数の求め方を書く。)

上の式で、G(s)が与えられている(何らかの定数, 想定ゲインG)として変形して、回路のゲインがGとなる角周波数sを求めるようにすると、以下のようになる。

s= ((1 - Rf1 G )/Cf) / (G (Rf1 +Rf2) - Rf1 Rf2)

また、今回の回路に合わせてRf1= Rf2= Rfとすると、カットオフの角周波数sと周波数fcは以下式で求められる。

s= (1 - Rf G)/(Cf (2 Rf G - Rf2))
fc= s/(2π) (Hz)

※データシートのサンプル回路でのコンデンサCfと抵抗Rf1, Rf2の値を上の式に当てはめてカットオフ周波数fcを求めると、

Rf= 20k, Cf= 50p, G= 0.71 (カットオフの-3dB)
s= (1- 20*1000 * 0.71)/(50/1012 * (2 * 20 * 1000 * 0.71 - (20 * 1000)2))
= 710000
fc= 710000/(2*3.14)= 113057 (Hz)

と、カットオフ周波数は約113kHzとなり、この式は当初想像した相加平均でなく、相乗平均を求めていたことが分かった。

そして、データシートの問題の式の"fc"は"G(s)"などの誤りで、説明としては以下のよう感じが正しそうだ。

... A high frequency pole (lowpass roll-off) exists at angular freq. s in the next eq., where G= 0.71 (← -3dB):

G= [Rf1 Rf2 (s + 1/Rf2Cf)]/[(Rf1 + Rf2)(s + 1/Cf(Rf1 + Rf2))]

うむ。我ながらスッキリした!!!

そして、キットとデータシートのサンプル回路(Test Circuit #2)での、単体(コンデンサ+抵抗)と合成(抵抗だけの回路との相乗平均= データシートの式を変形した式(上記)で求められる値)のカットオフ周波数を求めてみた。少なくとも単体は正しいだろう。

  • キット (15pF+22kΩ)
    • 単体: 482kHz
    • 合成: 340kHz
  • データシートのTest Circuit #2 (50pF+20kΩ)
    • 単体: 159kHz
    • 合成: 113kHz

キットの300kHz以上は余りにも高い。100kHzでも充分なのに意味が分からない。ここでも不用意に部品の値を変えている感じだ。「帯域は広ければ広いほどいい!」といった馬鹿な考え?

それで、カットオフ周波数やコンデンサの容量はどのくらいが良いのか更に検討した。LM3886のオープンループ周波数応答のグラフ(データシートのFigure 49, 下に引用)を見ると、約100kHzまでは位相は概ね90°で一定だが、それ以上はズレが増し、約3MHzで180°になる。データシートのカットオフ周波数(120kHz辺り)は これに合わせてアンプの安定性を高めようとしているのだろう。

LM3886のオープンループ周波数応答 (TI LM3886のデータシートのFig. 49)

ところが、キットは400kHz近い。まあ、その辺りでも位相は115°辺りなので実害はないだろうが、「何考えてんの?!」だ。これは超音波用アンプじゃないよ?

他と同様に実害はないけど気になるので、気に入っているUPZ※を追加注文し、運良く間に合った。そして、「パンドラの箱」が閉じられるのが更に先になったw

※50pFがないので100pFにした。: それでもカットオフは約51kHzと充分な計算だ。それでも、もし低過ぎる場合には直列接続して50pFにできるように、多目に買った(一個16円と安いので できた)。

結局、このキットはLM3886以外は ほとんど全取っ替えだ。まあ、趣味だし勉強になるから いいけど、結果的には このキットは「駄目なもの」だった気がする。さまざまな変な値の部品には作った方の意図があるのかも知れないが、そうであれば それを資料に書くべきだ。その点で、作った方は技術者では ない感じがする。

そもそも、特性が一切書いてない時点で違う。キットだって、参考特性を載せてもバチは当たらない。とは言え、どういう訳か、載せているキット(それどころか、完成品の基板でも!)は滅多にないが。

(1/31 17:39) その後、各種コンデンサ(フィードバック(超低域制限, 超高域制限), Zobel)を交換して気付いたのだが、フィードバックの超高域制限("HCC")とZobelのカットオフ周波数は

HCCのカットオフ ≦ Zobelのカットオフ

の関係を満たさないとZobelが働かないことに気付いた。Zobelが働いて振幅が下がった途端に それがフィードバックされて、アンプがゲインを上げて振幅を元通りにするからだ。

オリジナルは当然駄目(HCC= 15pF: 340kHz > Zobel= 0.1uF: 159kHz)だ。当初の案(HCC= 100pF: 51kHz < Zobel= 0.22uF: 72kHz)や作業の容易さで変更した*最初の実装(65pF: 79kHz < 0.22uF: 72kHz)は良かったものの、カットオフを上げたくなって※変更した実装(15pF: 340kHz > 0.22uF: 72kHz)は駄目だ。

*オリジナルのコンデンサ(15pF)が手の届きにくい場所にあるのと 外すと再利用できなくなるので、まずはどんな感じか試そうと、50pF(100pFを2個直列)を並列に付けた。

※どういう訳か、実際のカットオフが理論値より低かった(約70%の55kHzだった)ため。

いつものことながら、思い付きで変更すると碌なことがない・・・ 再検討して実装し直す予定だ。

まあ、Zobelが働かないものの音は良いので、ちょっと安心している。

(2/1 22:49) 上のZobelの記述の前提に誤りがあった。超高域でゲインを下げるのはフィードバックの超高域制限用コンデンサ(HCC)で、Zobelは関係ない。完全には理解していないが、アンプの負荷(例: スピーカー)が超高域では開放のような状態になってアンプが発振することがあるので、それを防ぐため、Zobelは超高域で負荷になるようだ。 (→ 参照)

いずれにしても、 HCCのカットオフ ≦ Zobelのカットオフ のほうが良さそうだ。でないと、Zobelは発振を防ごうとしているのに、アンプはパワーバンドなのでZobelに対してガンガン パワーを掛けそうな気がするからだ。(どういうメカニズムで発振が起こるか分かっていないので、想像である。)

その件も踏まえてHCCとZobelの設定を検討し直し、以下で試している。HCCのカットオフ周波数については、可聴域での位相のズレをなるべく減らしたくて、当初の考え(50kHzくらいで充分)より高目にした。

  • HCC: 50pF (UPZ 100pF/2) + 22kΩ → カットオフ周波数: 理論値: 103kHz, 実測値: 77kHz
  • Zobel: 0.11uF (ECQE 0.22μF/2) + 10Ω → カットオフ周波数(理論値): 145kHz

(余談) HCCのカットオフ周波数の謎(上記)の原因を確かめたくて随分苦労した挙げ句に、オリジナルのコンデンサ(15pF)を破壊して取り外した(手の届きにくい場所に付いているため)。なお、実際にはオリジナルのコンデンサは謎とは関係なかった。そもそも(上述のとおり)小さ過ぎて無意味なので、無駄に外しても悔いはない。

 

その他

今使っている機器以外に、今までに耳に問題の生じた機器では、上のような大容量のカップリングコンデンサによる超低域の変動が起こっていたのではないかと想像している。ただ、それ以外に、雑音(超高域など※)でも耳の問題は起こるから、更に調べる必要はある(そういうのが、この「パンドラ」のそもそもの始まりだった気がする)。

※耳の調子もあるのだろうが、測定で超高域の雑音を目にしたものの、小さいからと気にせず出していたら、すぐに耳に来た。

それから、新年に買ったデジタルテスターは、アンプやDACのオフセットやカップリングコンデンサに溜まった電圧の測定に役立っている。上記のように、手持ちのADCでは正しく測れないことが分かったためである。クリップ付きリードもフルに稼働している。測定以外に、テスト的に部品を付けたり、端子を短絡させるのにも使える。線が細くて長いため雑音は乗るが(それが上記の超高域の雑音)。

 

参考: コンデンサの超低域の振幅変動抑止能力の比較 (破棄した測定結果)

AltCCの振幅変動(ゆらぎ)抑止能力を比較するため、低音(80Hz)の正弦波や実際の演奏(クラシック, ポップ)の超低域(録音には入っていなさそうな帯域: 約0-20Hz)の振幅を測定していたが、上述のように、測定に使ったインタフェース(Scarlett)の入力のカップリング回路の影響があることが分かったので破棄した。

それでも、グラフを見ると それぞれのAltCCのコンデンサの違いが出ているようだし、聴感にも合うことが多かったので、参考までに測定結果の例を載せる。いずれもアンプのフィードバックコンデンサが有効な場合のものである。

どういう訳かコンデンサ間で差が生じており、いずれでも10Hz以下のピークは概ねECPUが一番大きく、変動抑止能力が良くなさそうだと推定していた(それは聴感に合っていた)。

そして、得られた測定結果は疑わしいものの、測定・評価方法は それなりに正しいのではないかと考えている。直流から測れるスペアナがあれば確認できる。

 

おまけ: 録音の瑕疵?について

上記の過敏な耳に関連しているかも知れないが、以前からポップ演奏のボーカルの音で ちょっと気になることがある。

  • ELO: Last train to London (1979): 0'48"辺りからのサビの"Last train to London"からの声(摩擦音)が かすれる。
    • 検索しても出て来ない。
    • 公式のAudio(上)では かすれが聞こえる(これも15kHzで切られているが、公式MVより音質が良い)。
    • YouTubeの公式MVでは かすれは小さい。高域を落としているせいか(15kHzで切られている)。
    • カップリングコンデンサによって聞こえ(かすれの強さ)方が違うように感じたので詳しく調べたら違いはなかったので、気のせいだと思う。
      • 最初のrepeat("Last-")のかすれが一番目立つ。それ以降は小さくなるので、全部同じと思って聞くと差があると感じることがありそうだ。
  • Wings: With a little luck (1978): 1'14"辺りの"And a little luck, we can clear it up"の"we"に雑音(金管楽器かシンセ?)らしきものが被る。
  • John Lennon: #9 Dream - Remastered 2010 (1974): 曲を通して、ボーカルの声(摩擦音)が かすれている。

 

という訳で、まとまりがないし、以前の伏線(じゃないけど)の回収もできないが、少しずつ書こう。

 

PS. 参照のため、すごく久し振りに内田のモーツァルトのピアノソナタ(K.333 (1985))を聴いたが、結構いい(まあ、それはそうだ)。昔は大好きだった。ただ、今聴くと音(録音)が当時の印象に比べて ちょっとくすんだ感じなのが妙だ。そういう音作りだったのか、今は僕の耳が不調なのか、オーディオが不調なのかw

あ、思い出した! ピアノの音を ちゃんと出すのはすごく難しいんだ。これもそれではないか?

PS2. 草稿とかメモには書いたけど、いかにもなので使わなかった文言(を消化するw)

認めたくないものだな(コンデンサに音があるなんて)

いいもの(コンデンサ)もある、だけど、―

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意図していた訳じゃないのだが、近頃の稿がオーディオの話ばかりになって居るとおり、延々と続いている作業に、自分でも「何でこれを始めたんだったっけ?」と確認するくらいだ。大晦日の今日ですら いじって居たが、ようやく大丈夫そう、あるいは、許せる音になった(気がする※)。

※耳や身体の調子で聞こえる音の感じ(耳に合うかどうか)が変わるので、なかなか安心できない。

→ その後、大きな問題が起こっておらず、意外にも音も随分いい感じになったので、ひとまず大丈夫そうだ。 (1/3 7:58)

細かい話は あとで書きたいが、結局、オーディオ再生系のほとんど全部(ソフトもハードも)に手を入れた感じだ。全部作り直しとまでは行かないが、そういう部分もある。主なものを以下に示す。

以下で「感じ」のような表現が多いのは、今のところは特性のような値や理論が出せず、自分の印象・感想でしか良し悪しを表現できないためである。更に、おそらく僕の耳は過敏なようなので、それに合うことが音の良し悪しとして一般的かどうかは分からないこともある。

それから、オーディオで良く見る「数値で表せない音の良さ」のような言い方に近いが、そうではない。僕としては、適切な理論・測定方法が見つからない・実施できないだけで、何かしらの値で(定量的に)音の良し悪し(≒ 忠実度の高さ)が表せると考えている。

  • サウンドカード(ASUS Essence STX II)のDAC部
    • 出力のカップリング回路: オリジナルが駄目な感じ※なので、コンデンサの手前から出力を取り出して、外付けの暫定版(AltCC2a)を自作した。 → 耳閉感・音が聞こえにくくなる症状の防止に かなり効いた。
      • ※コンデンサの容量が220μFと大き過ぎるために、超低域(直流から30Hz辺りと推測している)の変動が出力されて耳閉感を引き起こしている感じ。
      • 使ったコンデンサ*の歪み特性が今ひとつ(とは言え、今は結構いい音になっている)なので、年明けに良さそうなもの(パナのECPU)を買って正式版を作りたい。
        • *以前買って気に入らずに死蔵していた、PARC Audioのフィルムコンデンサ 1μF
        • カップリング回路は実際にはHPFになっており、カットオフ周波数は後続の回路で変化することがあるが、参考までに単体と僕の環境(()内)での値は以下になる。 (→ グラフ: 振幅特性の比較)
          • オリジナル: 0.015Hz (0.030Hz)
          • 暫定版(AltCC2a): 8.0Hz (11Hz)
        • 細かくなるが、手持ちにWIMAのコンデンサ(MKS2?)も あって試したが、ものすごく音がひどかった(高音がギラつく感じ)ので止めた。
          • 1度だけでなく、数回試して いつもそうだった。どうしてかは分からないが、電源用で音を通しては いけないのかも知れない。
          • ↑書いたあとで調べたら、偽かも知れないものが出回っているようで(→ 参照)、マーキング(ロゴなし、天面に数字)や音の悪さが僕のと合う。。。 あとでもう少し調べたい。 (1/1 13:20)
            • ↑真偽・偽物については上のページと その関連ページ以外に情報がなかった。その情報が正しいにしても そうでないにしても、メーカーのロゴのないもの・音がおかしいもの(、あるいは、同一型番で数種類の音のもの)が正規品として出回っている(いた)時点で※、そのメーカーの信頼性はマイナスだ。
              • ※僕のは店で買ったのでなくキットに入っていたものなので、実際にはWIMAでない、色と形が良く似た偽物というオチも充分あり得る。
                • ↑キットの説明書を見たら、その1μFはWIMAとは書いてなく、しかも、どうでもいいところ(音は通らない)に使われていたので、本当に良く似たものだったのか(無指定で使われたものが あれだった? 「訳あり品」??)。それで音がひどかったのかな・・・ うむ。
            • いずれにしても、僕は あの音も色も懲り懲りで(それが正規品だったのなら なおさら!!)、使うにしても どうでもいい電源だけだ。 (1/1 20:35)
      • コンデンサの音を排除したいのでコンデンサなし(直結)も試したが、DACから直流(オフセット)や超低音が出るようで※、どうしても耳に合わなかった。
        • ※理論的には、I/Vのあとのバッファ(LPF)で打ち消されるはずだが、劣化のために どこかがアンバランスになっているのではないか。
      • (他もそうだが)この件については別途詳しく書きたい。
    • 出力切り替えリレー: 接点が音に良くない(という情報・定説がある)ので、試しにI/V変換部のあとの2個を排除した(直結した)。
      • 予想通り 特性は全く変わらなかったものの、確かに音が変わった(特に高域が少し良くなった)。
    • DACチップのデジタルフィルタ: なぜか、sharp(デフォルト, 遮断特性(傾き)が急)よりslow(傾きが緩やか)が音が良さそう(「slowでないと駄目」に近い)なことが分かった。 → 音のキツさが和らぐ以外に、sharpは音が悪く感じる。
      • それらの違いは超高域(ナイキスト周波数付近)だけだと思って居たが、実際にはそうでもない感じで、超低域にも影響があるのかも知れない(まだ良く分かっていない)。 (→ 参考グラフ: 右端の落ち方が違う)
      • サンプリング周波数44.1kHzのsharpが良くなさそうなのは分かるが、(理論的にはあり得ないのだが、)どうしてか96kHzのsharpも良くない感じだ。
  • JACK(Linuxのサウンドシステム): 上のDACのフィルタの関係でサンプリング周波数は44.1kHzでなく96kHzが良いので、変えた。
    • なぜか44.1kHzのslowより96kHzのslowのほうが音が良い印象だ。
      • 44.1kHzのslowはエイリアシング成分が漏れて超高域(20kHz付近)の音が劣化するが、僕には聞こえない帯域である。それ以外に何か違いがあるようだ。
    • 本当は44.1kHzの整数倍の88.2kHzが良いのだが、サウンドカードがサポートしていないので96kHzにした。
    • 無駄にアップサンプルしているが、急なフィルタは音に良くないのは確かで、その急な部分が44.1kHzでは可聴域ギリギリ(22kHz近く)だけど、96kHzなら聞こえないところ(48kHz近く)に移る点で音に良さそうだから、全くの無駄ではなさそうだ。
      • なお、更に周波数を上げて192kHzなどにすると、DACの歪みが増えるなどデメリットがあるので、96kHz辺りが良さそうだ。
  • 部屋の特性の補正用フィルタ: 一新(簡素化)した。 → 音のボヤけが結構減った感じ。
    • 左右を別の設定(補正値)にすると良くない気がしたので、同じにした
      • 左右別に細かく補正しても意味がなく、大体合わせればいいようだ。
      • 別にすると、左右で音が変わってしまう(位相差の影響が大きそう)弊害が大きい感じだ。
      • あと、そもそも、音に対する処理は なるべく少ないほうが良い。
    • 超低域をカットするフィルタを、パラメトリックイコライザでなく緩いHPFにした。
    • 以前書いた、DACの歪みの左右差を補償する処理(HD2C)を止めた。
      • この差が本当に起こっているのか(測定時にだけ起こっているのでは?)疑問なのと、補償処理によって低域と高域の振幅と位相特性が劣化し、かつ、左右でアンバランスになるためである。
      • そもそも、歪み率が充分小さいので、左右に差があっても大きな問題でないこともある。
        • が、いつか解決したい。
  • アンプ(BA3886, 自作(キットを改変)): サーボ基板が使い物にならないので撤去した。 → 耳閉感・音が聞こえにくくなる症状の防止に結構効いた感じ。
    • (耳閉感や動作が)どうも怪しくて いろいろ調べたら、設計(回路)が「なってない」感じで、付けても大した改善がなく(オフセットや超低域の低減能力が低い)、メリットよりもデメリットのほうが多そうなので外した。
      • まあ、良く分からず・考えず・テキトーな売り文句を信じて買った僕が悪い。: 微小なアンプの出力オフセット(数十mV)を補正するだけのために、出力に常に補正信号を加算するのは愚の骨頂でしかない。
      • これに ついては(も)いろいろ書きたいが、長くなるので別にしたい。

 

以上の成果として、耳のトラブル(耳閉感・音が聞こえにくくなる症状、音が悪く感じる現象、痛み)が起こりにくくなるとともに、随分音が良くなった感じだ。前者は確認継続中だが、音の良さは従来比2-3割増しくらいか。試した中には効果のないものや逆効果なものもあったが、上に書いたものは全部効果があった。

どういうふうに良くなったかというと、(毎度書いているが、)音がクリア・ストレートに聞こえる、以前は分からなかった繊細な部分が聞こえる(≒「情報量が増した」)、高音が良いといった感じである。

ただ、そういう感想は、音が悪くなっている場合(例: 歪みが増した)にも出るので難しい。その場合は、長く聴くと耳が痛くなったり、キツく感じたり、不自然な感じがして来るので分かる。

そして、CDなどには想像以上に さまざまな音が入って居るようだが、残念なことに長らく気付かず、こうして再生系を改良して初めて気付く。そういうことが今までに何度もあったことに驚くとともに、一体全体どのくらいの音が入っているのか考えると恐ろしいものがある。

ただ、いつも書くが、一つ明記したいのは、どれも音を「自分の好み」にするためでなく、スピーカーから出て来る音が自分の耳に合わなくて(例: 耳閉感が起こることがある)聴き続けられなくなるのを解消しようとして やっている。だから、音源(収録された演奏)の音は可能な限り そのまま出し(それが僕の「いい音」の定義)、音と一緒に出て来る(まだ明確にできていない)「耳に悪い要素」を減らす方向だ。

僕は、スピーカーから出すのは音源そのものだけにしたいと考えている。だから、音源の音が悪かったら悪いままで聴くより仕方ないと考える(あるいは、リマスターされるのを待つ)。

そういえば、以前、ダウンロードで買った曲の音が悪くて、自分でリマスターもどきをしたことがある。個人的には、明らかに音源の音がおかしいなら、再生系で音を変えるよりは音源自体を直すほうが ありかと思う。

それから、以前(サウンドカードを買った時)は問題なかったのに、どうして耳のトラブルが起こり出したかを考えると、サウンドカードの劣化、アンプを交換して特性が変わった(かなり向上した)こと(+余計なサーボがあったこと)、自分の耳の調子の変化(経年的なものと日々の時間的なもの)が絡み合っているのではないかという仮の結論になっている。が、まだ続きそうだ・・・

 

(1/3 7:58) 最初に追記したように、その後、耳の問題が ほとんど起こっていないので、現在の構成・設定で ひとまず大丈夫そうなことが分かった。そして、随分 紆余曲折して見付けた、耳閉感の原因の一つ(超低域の変動)が正しかったようで一安心だ。なお、耳の問題の原因は他にもあると推測しており、追って それらの確認を再開したい。

 

という訳で、まさに取って付けますが、来年も(こんな感じと思われますが、)よろしくお願いします。

 

(2023/1/1 7:52-12:19 加筆・修正, 写真・図を追加, 構成を改良; 13:20, 20:35 WIMAについて加筆; 1/3 7:58 現状で問題なさそうなことを追記)

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(数日前にツイートしたが)先日、ステレオで音楽を聴きながら思い付いたこと。

音楽の楽しみ方は人それぞれだが、もし、繊細な音を細かく、あるいは、詳しく聞くなら、静かな部屋でスピーカーの近くで小音量で再生するのがいいのではないだろうか。

というのは、平均音量が大きいと、耳の保護機能(感度を下げる)で小さい音が隠されてしまうだろうからだ。あと、疲れるから長く聴き込めないだろう。

前者は直感であるが、調べたら、耳の構造は確かに そういう感じになっているようだ。これを書くに当たって調べた範囲(最後の参考資料を参照)を大雑把にまとめると、以下になる(もちろん、医学的に正確な書き方ではない)。

耳は、

  • 小さい音は増幅し、
  • 大きい音(が連続した場合= 平均音量が大きい場合)は感度を制限する(→ 小さくする)。

なので、平均音量が大きい・大きい音が連続した場合には、耳が自動的に感度を制限する。ということは、そういう時には細かい音は聞こえにくいのではないか。実際、参考資料1には以下のように書かれている。

静かな環境下では、この内耳感度調整が音源に対し自由に機能することができるため、非常に大きなダイナミックレンジが得られます。

上の「非常に大きなダイナミックレンジが得られ」るというのは、細かい(小さい)音も大きい音も ちゃんと聞こえるということだ。

 

その他に、今回初めて知ったのだが、プロがミックスする時には、ミキシングルームにある大小のモニタスピーカーのうち、主に小さいほう(「ニアフィールドモニター」ということなので、ミックスする人の近くに置かれているようだ)で(小音量で※)再生しているとこのと。 (→ 参考資料4)

※元の文からの想像

まさに、最初に書いたことそのものである。

おもしろいのは、上記資料4によれば、「派手に聴こえるので、ミュージシャンにとっても気分よくプレイバックが聴けるわけです。」とのことだから、まあ、大音量で楽しむのも決して間違って いないのだろう。

言ってみれば、エンジニア側で聴くかミュージシャン側で聴くかになる? とすれば、後者のほうが本来的なのかも知れない。ただ、(生でなくて)制作された音をきっちり聴くという点では前者だろう。

更に書くと、生演奏を聴くのと録音された演奏を再生するのは全く異なるし、後者で前者を再現するのは不可能だから、ステレオ・オーディオで、機械を通して聴く分には前者の立場(エンジニア側)が真っ当だと思う。

 

結局、僕は、ミキシング時(想像)のように、微細な音を正確に(一音も漏らさず(とまでは行かないが))聴きたいので そのように思っている。が、一方で、ロックミュージシャン(想像)のように、(細かい音よりも、)「身体で音楽を感じたい!」というような方は、大音量で聴くのがいいのであろう。

ただ、これはどこかで読んだ記憶だけだが、ロックミュージシャンはライブで耳栓をしているというから、本心では超大音量で聴きたい訳ではなさそうだ。まあ、耳の保護もあるんだろう。

 

ついでに書くと、ステレオ・オーディオ用の大出力アンプは小音量での特性(特に歪み)が悪いものが多いので、僕のような者には小出力で(もちろん特性の良い)アンプが必須である。

が、そういう製品が少なくて困る。

それから、ヘッドフォンやイヤフォン(もちろん小さい音で)は まさに、「静かな部屋でスピーカーの近くで小音量で再生する」のに近いから、いい機材があるならいいだろう。が、開放感がないし(この時期は蒸れる)、部屋での音の反射がないのは良いことばかりでもなさそうだし、どうしても疲れるので長時間の再生には向かないように思う。

 

参考資料

  1. FitEarブログ: 「耳の話その2:耳が持つダイナミックレンジを活かす、とか何とか…」 (2011)
  2. Audio BBS 過去録: 「聴覚の特性」 (2012)
  3. 今日の必ずトクする一言: 「嗚呼、ヒトの耳は歪んでいるのか!!のナゾ」 (2006)
  4. おとてく: 「音量を下げるとミックスの印象が変わる!?「等ラウドネス曲線」と「ラウドネス効果」を知って楽曲制作のクオリティを上げよう!」 (2017)

 

補足 (実際の音量の推算) (8/23 10:47)

「小音量」とは一体どのくらいの音量なのか示さないと具体的でないしイメージも湧かないので、考えてみた。実際に再生しているのを測れば最も具体的だが、汎用性に欠けるので、最初に使おうと思って居た等ラウドネス曲線をちょっと使ってみる。

耳は周波数によって感度の差があるが、簡単のため、1kHzでの音量を考える。

再生音量範囲を定める制約は、以下が考えられる。

  • 音量の下限を定めるもの
    • 耳の感度(聞こえる下限の音量) S
    • 部屋の騒音 Na
      • 耳の位置で測った値とする。
  • 音量の上限を定めるもの
    • 耳の上限(それ以上は耳が壊れる音量) M
    • 部屋の防音性(周囲からの苦情が来ない音量) R
      • 耳の位置で測った値とする。
  • その他
    • 再生に希望するダイナミックレンジ(≒ 再生する演奏のダイナミックレンジ) Dr

目標は、再生に希望するダイナミックレンジの音の最小の音が騒音などに隠れずに聞こえ、しかも、周囲からの苦情が来ず、耳も壊れないような、(なるべく小さい)平均再生音量Aを求めることだ。

仮にAを以下のようにしてみる。

A= (max(S, Na) + min(M, R))/2

この時の再生ダイナミックレンジDは

D= min(M, R) - max(S, Na)

となる。

※上の制約や式は今考えたものなので、果たして妥当か定かではないが、概算としては使えるだろう。

ここで 上記の制約に仮に値を設定して、平均再生音量Aなどを求めてみる。決まっていないもの(Na, R, Dr)は推測・暫定値である。

  • 耳の感度 S: 約2dB SPL (等ラウドネス曲線のグラフより)
  • 部屋の騒音 Na: 約45dB (「市内の図書館・静かな住宅地の昼」(40dB)と「静かな事務所」(50dB)の間)
  • 耳の上限 M: 約100dB SPL (等ラウドネス曲線のグラフより)
  • 部屋の防音性 R: 約85dB (「地下鉄の車内・電車の中」(80dB)と「大声による独唱・騒々しい工事の中」(90dB)の間): 実際にはもっと小さいはず。
  • 再生に希望するダイナミックレンジ Dr: 約50dB

なお、部屋の騒音と部屋の防音性の値はモノタロウ「騒音値について」を参考にした。その単位の表記は等ラウドネス曲線とは異なるが、簡単のため同じとした。

上の式で計算すると、平均再生音量A= (45 + 85)/2= 65dB※となる。これは、「静かな乗用車・普通の会話」(60dB)と「電話の着信音・騒々しい街頭・騒々しい事務所」(70dB)の間である。

※最終的に計算で使った値の単位が全部dBなので、dB SPLとの混在がなくなった。

また、この時の再生ダイナミックレンジD= 85 - 45= 40dBとなり、希望の50dBは満たせないものの、通常の部屋では妥当そうだ。

実際、Sandal Audio: 「リマスター盤の音質と、ダイナミックレンジについて」によれば、一般的な環境でリスニングする場合の妥当なダイナミックレンジは40dB程度と示唆されているので、上の結果はそれなりに妥当そうだ。

また、そのページに挙げられているCDなどのダイナミックレンジは40dB以下のものが少なくない(クラシックだと大きいものがある)ので、この程度でも悪くなさそうだ。

なお、手元に騒音計がないので、実際に僕が再生している音量が測れず※、求めた平均再生音量と比べることはできないが、実際の音量より結構大きそうな印象だ(実際は最大音量が65dB SPLくらいな気がする)。おそらく僕の平均再生音量は50-55dB SPL程度で、とても小さい音が騒音で隠れている可能性はある。

※元の音源の平均音量、DACの出力電圧、ボリュームやアンプのゲイン、スピーカーの能率、スピーカーと耳の距離などから概算できそうだが、面倒なうえに合っている確率は低そうだ。

とはいえ、そもそも部屋の特性で聞こえない帯域(低音)があるし、そこまで小さい音が録音されているかも疑問なので、騒音で聞こえない小さい音があることが致命的な問題だとは言えなさそうだ。

それに、聞こえない・大き過ぎる時はボリュームで随時音量を調整するので、僕としては全く問題ない。: そうだよ、聴いている時に音量を変えちゃいけない決まりなんてないんだ!!

確かに、演奏としては音量の一貫性がなくなってしまうが、自分で音量を変えたのなら、その情報で感覚あるいは感想が補完・調整されるはずだ。

 

PS. 最初は有名な等ラウドネス曲線から耳の特性を考えて話を進めようとしたが、どうもグラフを見てもピンと来なかった(示しているものが僕の目的と違うような感じ)ので、検索して上の資料を元にした。

PS2. 余談: 参考資料3の「今日の必ずトクする一言」は おもしろく・ためになるので、昔は結構熱心に読んでいた(それで本も買ったくらいだし、ここの書き方も影響を受けているところはある)。何度か「終わりにする」という話があった気がしたが、まだ続いているのに驚いた。今となっては(デザインなどの趣味が違うし、)すべての内容に賛成できる訳ではないが、また読みたくなった。

それにしても目が疲れるな・・・ 耳鼻科の方は眼に感心が薄い?w

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