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数日前に、ツイッターが切っ掛けで※題に書いた演奏があるのを知った。アムラン(Marc-André Hamelin)は以前にもアンスネスとの「春の祭典」(2台ピアノ版)を買ったりして、結構気になって居る人だ。

彼は有名人には珍しくフレンドリーというのか、彼に楽譜の一部をツイートすると、どんな難曲でも(?)(即座に?)それが何かを当てるという「掛かって来い!」的なことをやっていて、その点でも いい感じだ。

※元は何だったか思い出せない。調べれば分かるが、本題ではなく面倒なので、今は止める。本人のツイートの関連だったか。そう言えば、ラフマニノフの命日(3/28)に関連して、誰かがこの演奏を褒めていた気がする。

ただ、ポリシーなのだろう、Spotifyなどには ほとんど配信されていないので、作品(演奏)があることを知ったり試す機会が ほとんどない。特に、過去の作品はレコード販売店の広告にも出ることが少ないで、気付かない。ポリシーは人それぞれなので仕方ないが、作品に触れる機会が減るのは どうなんだろうと思う。

でも、以前見た、自分で配信を許可した癖に「金にならない」とか文句を言ってた奴(日本人)に比べれば、全く真っ当だ。

この演奏に関しては、試聴した感じが なかなか良さそうだった。上述のとおり配信されていないので、昨日、ものすごく久し振りに(約5年振り)に買った(Hyperionでダウンロード購入)。

なお、本来のアルバムとしては もう一曲(Medtnerのピアノ協奏曲第2番)あり、試聴の断片では まあまあだったのだが、Tozerの演奏(2005)を聴いてみたら、プロコフィエフ的、あるいはラフマニノフの好きでないピアノ協奏曲的な「変さ」があって苦手な感じだったので買わなかった。そういうのは大昔は好きだったが・・・

ただ、途中で止めるほどでないのが微妙だった。それでも、買っても一回だけしか聴かないと思う。

聴いてみると、試聴の時と同様にテンポの遅さが目立つ。そのため、好きなルガンスキーの(2003)とは随分違うが、落ち着いた感じでいい。僕は遅過ぎる演奏は嫌なのだが、そこまで遅くないのが絶妙な感じだ。しかも、近頃好きになっているアンスネスの多くの演奏(この曲では2010)とは違って、僕の好みとの違いは感じるものの違和感はない。そこでも「絶妙」だ。

アンスネスについては、モーツァルトのピアノ協奏曲(2021, 2022)について書きたいと思って居たけど手を付けていない。概略は、全般的に、彼の演奏は最初はすごく違和感があって拒否反応が出るが、我慢して(?)何度か聴くと馴染めることが多いのが全く不思議だということだ。ただ、出てすぐ評論家などに絶賛されているので、客観的には何も問題はなく、僕の好みとの相性なのだと思う。

ルガンスキーは いいのだが、アムランに比べると直線的とか直情径行的というのか、(それはそれで気持ち良くて好きなのだが、)深みが足りないように思えてしまう。だから、これからアムランを繰り返し聴くうちに、僕の中でルガンスキーを超えるかも知れない。

直情径行的と言えば、断片(今のコンサートまたはツアーのリハ)しか聴いていない、かつ曲が違うが、ワン(Yuja Wang)のラフマニノフのピアノ協奏曲 第2番は パワフルかつスピード感があって、是非聴きたいと思った。それとアムランは対極的・正反対な気がする。でも、どちらも好きだ。

 

(以下は技術的、あるいは、僕の耳に関係する話)

買う時に、フォーマットがいくつかあって迷った。もちろんMP3でなくFLACなのは決まりだが、CD品質(44.1kHz, 16bit)と「ハイレゾ」(96kHz, 24bit)で迷った。最初は、持論のとおりCD品質で充分だと思って決めていたのだが、注文する直前に迷いが出て「試しに・折角なので」ハイレゾ版にしてみた。値段はGBP 9.15(約1500円)で、CD品質より約500円高かった。

96kHzは再生時にサンプリングレート変換が必要になるため※、耳の問題が起こらないか心配があったのだが、買ったものを聴いたら当たってしまった。どういう訳か、第3楽章だけで問題(唾飲み時の違和感)が起こった。近頃は起こって居なかったので、いつもの耳の調子やオーディオの問題では なさそうだった。

※再生ソフトもサウンドカードも96kHzに対応しているが、JACKの設定が44.1kHzなので、そこに入れる時に変換が要る。

そこで、試しにsoxコマンドでサンプリングレートを44.1kHzに変換したものを再生したら、大丈夫そうだった。それから、再生時に(再生ソフト(gmusicbrowser)でなく)PulseAudioでサンプリングレート変換して試したら、わずかに唾飲み時の違和感が起こった。ただ、最初(再生ソフトで変換)よりは軽かった。

推測だが、再生時のサンプリングレート変換は品質が今ひとつ(例: 歪みが多い、超低域の変動が多い)だとか、PCの負荷状態でタイミングがズレて(= ジッター)耳に問題が起こるのかも知れない。

なお、第1楽章のスペクトラムを比較した限りでは、96kHzとsoxで44.1kHzに変換したものに大きな差は見られなかった。※ ただ、平均的には差がなくても、ダイナミックな特性が異なる可能性はある。

アムランのラフマニノフ PC 第3番 第1楽章 (左チャネル)のスペクトラム: 赤: 96kHz, 青: soxで44.1kHzにダウンサンプル

※もちろん、グラフの右端を見ると分かるように、96kHzのものには(44.1kHzの上限の)22.1kHz以上にも微量ながら成分がある点は異なる(が、そこらは まあ、雑音と思われる)。

という訳で、今回も余計な思い付きは失敗した。まあ、後付けだが、96kHzは駄目だったものの、24bitはCD品質(16bit)よりダイナミックレンジが広いという点でハイレゾ版にした価値はあった。※ 今後は、まずないだろうけど、44.kHz, 24bit版があれば それにしたい。

※とは言え、ちゃんとした音源であれば聴いて違いが分かるものではなく、フィルタなどの処理をした時に効く程度だと思う。

あと、書いたあとで思い出したが、上のグラフのように、96kHz版には どのくらい超高域成分があるかを調べたかったw

 

PS. なぜか ページ右側のフォントサイズが小さくなってしまった。何もしてないはずなのに・・・ またTODOが増えた。 ← 開発者ツールで調べたら、リンクしていたHyperionのOpen graph protocolでのページアイコンと説明がページ全体に影響を及ぼしていた。なぜか、この稿の下と右側をsmallにしてしまう。: あっちも こっちも いかんなあ・・・ → とりあえず、URLを昔みたいに書いた。

HyperionのページのOGPが その下と右側をsmallにしてしまう。

更に調べたら、HyperionのページのOGPのプロパティ(og:description)にHTMLタグが含まれているうえに 正しくないことが分かった。: あっちの作成ミスなんだろうけど、こっちも対処しないとXSSみたいなことに使われそうだ。

とりあえず対応(変なプロパティがあるOGPは破棄する)した。それで、リンクを普通に戻した。 (21:17)

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YouTubeを聴きながらツイートしていたが、量が多くなったので ここにまとめたい。当初は全部の日・演奏(3日, 12人)をまとめて書こうと思って居たが、1日分(約4時間だけでも結構疲れて いつ聴き終わるか分からないので、各日ごとに分ける。

参照: コンクールのトップページ, Wikipedia

各演奏の感想・印象

  • 本選1日目
    1. Pacholec (ポーランド, 第1番, スタインウェイ)
      • 僕はなぜか、曲を第2番と勘違いした(次の人の途中でコンクールのプログラムを見るまで気付かなかった)。間違える訳はないのだが、酔っていたせいか?
        • ただ、事前に1番の予感がしていたので、それは当たった。が、外れたと勘違いしたw
      • 第1楽章: 悪くない。が、パワーが足りないところがある気がする。迫力がもう少し欲しい。音は綺麗だ。オケ(テンポ)は少し遅い。
        • なぜかスタインウェイらしくない音だった。柔らか過ぎる?
      • 第2楽章: 綺麗ではあるが、今ひとつな感じ。音が滑らかでなく深みが足りない。
      • 第3楽章: 悪くない。こういうのが得意なのかも。ただ、音を切り気味で滑らかさが足りないところはある。
    2. Rao (中国, 第1番, スタインウェイ)
      • 第1楽章: テンポは丁度いいが、ピアノの出だしがちょっと大げさかな。一生懸命弾いている感じは するが、ちょっと違う感じ。余裕がないって感じか。
      • 第2楽章: 音が余り綺麗でなく、滑かさも足りない箇所がある。
        • スタインウェイは調子が出て来たのか、最初より少し音が良くなった気がする。弾き方の違い?
      • 第3楽章: 最後の速い部分は滑らかだったので、ちゃんと滑らかに弾けるのだ。だから、第2楽章などは ああいう表現だったのか。
    3. 反田 (日本, 第1番, スタインウェイ) → 2位
      • 以前聴いたラフマニノフのピアノ協奏曲(第2番(2016), 第3番(2019))は どちらも今ひとつだったが、今回は悪くなかった。彼(and/or 僕)と曲との相性か、彼(and/or 僕)の進化か。
        • 第3番はこの演奏を聴く数時間前に聴いたが、気の抜けたピアノで、最初の十数秒で聴く気が失せた。遅いテンポだけの問題ではないと思う。
      • 第1楽章: 気のせいか、イントロは今までで一番いい。オケも乗ってきた?
        • ピアノの出だしは許せる。ちょっと硬いところはあるが、今までの人よりはいい感じだ。
        • これは悪くない。乗れる。彼はショパンが向いているのかも知れない。
        • オケとの関係もあるが、ルガンスキーのちょっと甘い演奏より いいと思う。
        • 特に文句がない。今までの2人よりずっといい。上位に入っただけのことはあるようだ。
        • こっちも全力投球して疲れたw
      • 第2楽章: 結構遅いけど嫌にならないのが不思議だ。中盤の辺りは わずかに硬い感じ。
        • この辺りのパワーの入れ方がいい!
        • 最後の音の出し方も なかなかいい(もう少し弱いほうが好みだが)。
      • 第3楽章: 「もう大丈夫」って感じだった。
        • この当たりでは、スタインウェイはスタインウェイの音になっている。
        • 気持ち良く弾けたようだ。こっちも気持ち良かった。
      • ただ、乗れたけど、個性が薄かった気がする。それで違和感なく聴けたのでは? そして、僕が「いい」と思う演奏とコンクールで上位に入る演奏は別なので、(審査基準などは知らないが、)そこが1位になれなかった、かつ、単独2位でなかったポイントかも。
        • 優勝した人はどうなのか 楽しみではあるが、何となく気に入らない気がする。
      • (書いたあとで) この日のYouTubeのコメントを少し見たら、ほとんど(おそらく、日本人は多くないだろう)が彼を良く評価していた(例: Thomas Nguyen: "My rough guess, Kyohei Sorita will become the winner of this year competition")。それらのコメントがリアルタイムで(次の日の演奏の前に)書かれたとしたら、彼が一番いいというのは確かだ。であれば、僕が「いい」と思ったのは さほど一般ずれしていない(→ 上位に入ってもおかしくない?)ことが分かった。
        • それにしても、ここまで沢山の好評価を得るとは、彼は余程すごいようだ。
    4. Armellini (イタリア, 第1番, Fazioli) → 5位
      • イタリア人のせいか、ピアノはFazioliになった。何となく大きい(長い)。どんな音なのか、楽しみだった。
      • 彼女の演奏している姿・表情は なかなか感情豊か(passionate?)だった。反田も結構なものだったが、やっぱりラテン系は違うのかも知れない。
      • 第1楽章: 少し(結構)遅い。このテンポは余り好きでない。
        • いかにもラテン的に流麗に弾く。硬さが ないのはいいが、切れやパワーが少し欠ける気がする。
        • 切れ込みとか鋭さが足りない。
        • この辺りの音が不明瞭なのはなぜか?
          • ただ、今聴いてみるとそうでもないので、僕の問題か。通して聴くと感じるのか。
        • Fazioliのピアノは柔らかい音で、スタインウェイのような鋭さはないようだ。特に中域が柔らかいような、こもり気味で音が通らない・オケに負ける感じ(温まっていないせいかも)。
          • あと、高音などはそれなりに出るのだが、スタインウェイのように綺麗ではない。ただ、低音は綺麗で許せる。
          • うろ覚えだけど、カワイやヤマハ、あと、ヨーロッパの有名なピアノも こんな音だったかも。
        • 演奏かピアノか、音の線が細い感じもする。そこが一番物足りない。
      • 第2楽章: 最後の音の出し方は良かった。
      • 第3楽章: なぜか豹変した。それまでは、悪くはないが今ひとつな感じだったが、曲とピアノが合ったのか。
        • この楽章は今までと全然違って、かなりいい。彼女は こういう曲が得意なのではないか? テンポの変化がいかにもラテン的だ。ここだけなら上位に行けた気がする。
        • 終盤(この辺りから)がすごく良かった! そこはすごく気に入った。全部こういう感じだと良かった。
        • Fazioliのピアノはどうも今ひとつだと思って居たが、この楽章は良かったので、演奏の問題だったのかも。
          • あるいは、弾き始めのピアノの問題?

 

雑感

  • 今は、TVじゃなくてPCで好きな時に聴ける・観られる(しかも全部!)ので便利だ。
  • 審査員に懐かしい・名前を知っている人が居た。: ネルソン・ゲルナー(以前、コンサートでラフマニノフのピアノ協奏曲を聴いた), ケビン・ケナー(昔、ショパンコンクール 1990のTV番組で観た。その時は、日本人は確か横山幸雄ともう一人、女性が居たはず( ← 高橋多佳子。他に有森博 他も居て、日本人が多かった)), ダン・タイ・ソン
    • それから、低俗な話題だが、審査員に一人綺麗な女性が居たけど名前が分からなかった。さっき調べたら、それらしい人はSa Chenだけだが、なんか雰囲気が違う。まあ、どうでもいいことだ。
  • 何度も同じような曲を聴くのは苦痛。会場で聴いている人はすごい。決勝(協奏曲)だと、1日に最大4回(全部同じ曲の場合もある)、座って聴き続けるのだ。オケや審査員はもっと大変そうだ。
    • 僕は1日分を2日に分けて聴いた。しかも間に休みの日を挟んでw
  • 当然ではあるが、指揮者・オケが各演奏者ごとに異なる演奏をしているのがすごい。
    • 飽きて惰性で演奏しちゃいそうだけど、気が抜けないだろうな・・・
  • 1日の最初の頃に弾く人は不利な気がする。2-3番目くらいが良さそう。特に、決勝などの本当に一番最初は不利だ。
    • ピアノの調子 (車みたいに暖機が要りそう)
    • 審査員の調子・乗り・レベル感の確定
    • 聴衆の乗り
    • 会場(ホール)の調子?
  • 演奏者が出る時に、みんな会場の紹介アナウンスで名前を呼ばれたらすぐに出て行こうとするけど、タイミング(そのあとで少しオケが調整しているようだ)があるらしく、係の人に止められていたのがおもしろかった。フェイント?
  • 会場は結構こじんまりとしていて、いい感じ。ステージの床の木(「本物のフローリング」?)が良かった。
  • ページにある、コンクールのシンボルのデザイン(色遣い)は いい感じ。意味は分からないがw
  • 何度も聴いて(聴かされてw)分かったが、僕がショパンのピアノ協奏曲を好きでないのは、特に第1番に関しては、イントロが大げさで古臭く感じるからだ(僕にとってはモーツァルトの同第22番と同様)。それが進むにつれて解消され、第3楽章に至っては なかなか乗れて「いい感じ」ですらあることに気付いた。
    • 第2番のイントロは出だしは静かで(でも、すぐに大げさになるが)、ピアノの入り方がかっこいいので、第1番よりは好きだ。でも、なぜか今回は(いつも?)弾く人が少なかった。
  • 多くのYouTubeのコメントの中で、うまいこと言うと思ったのは次だ。
    • Lea Meine:

Pacholec : Polish essence
Rao : Great effort
Sorita : Controlled experience
Armellini : Musical freedom
I don’t think I can rank them, but that’s how I feel about their performances.

 

※最初、"final"を「決勝」としたが、スポーツのような感じがして落ち着かなかった。それと「本選」のどちらが適切か分からないが、日本のWikipediaにならって「本選」に修正した。

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