近頃はオーディオネタばかりで自分でも飽き・疲れているものの、他にもまだ耳閉感の原因調査やDACの2次歪みやフィルタや特性補正フィルタの調整関連、次期DACの話など書きたいことが溜まっている。が、それらの検証・確定に時間が掛かって居るので、別の手軽なものを書く。 (それでも なんか長いよw)
昨夜、どうしてだったかは定かでないが※、再生中の音楽(グールドの「ゴルトベルク」(1981))のスペクトラムを見てみたら15kHzに山があった。FMのパイロット信号*のようなものだ。以前も気付いたのだが、同じアルバムでも、トラックによって あるものとないものがある。想像だが、このアルバムはビデオ作品も同時に制作されているので、音をビデオの処理系に通すと付いてしまうのではないか。@
※耳閉感の原因調査の一環だったか、DACや補正フィルタの設定変更の効果の確認だったか。
*今まで15kHzだと思っていたが、実は19kHzだった。
@調べると、ディスプレイの水平同期周波数は15kHzとかなので、それが混じる??
それから、そのアルバムはソニーなのでSBM(Super Bit Mapping)との関係が気になり、以前から謎だった その仕組みを調べたら、分かりやすく書かれたページ(FIDELIX 「アナログ約60dB、デジタル90dB以上というDレンジは比較不可(その2)」*)があった(ページの下のほう)。技術的に正確ではない理解だろうが、要するに、振幅の分解能をCD(16ビット)以上に細かくするため、音を高周波(ただし、CDなので22kHz以下)でPWMしているようだ。音を濁すことで、何ともおぞましい・・・
それにセコい! ギリギリ可聴域※のたった10kHz未満の帯域をケチって音質向上を目指すなんて・・・ 僕からすれば、いくら聞こえにくいと言っても、本来・メインの帯域を別の用途に使ったら音質低下になると思う。
※自分たちで可聴域に合わせてCDの仕様を20kHzまでと決めたのに、勝手に狭くしていいの?? まさに御都合主義ではないか。
あと、PWMみたいに振幅を変えるにしたって、どうせ「一番下のビットは微小で聴覚への影響はほとんどないから変動させても問題ない」とかいう論理なんだろうが、自分たちで必要だと思って決めた16ビットを狭めてどうするよ??
全くの想像だが、MQAも同様のことがあるのではないか?
*FIDELIXの技術情報のページは大変ためになった。一部を除いて僕と指向や考え方が合っている(もちろん、レベルは あちらのほうがずっと高い)ので、頷きながら読んだ。
なかなか おもしろかったのは、オーディオ(・ステレオ)は音が悪くなるほどBGMになってしまうという記述だ。
なお、僕はBGM向きのシステムを否定しない。そもそも各自の好みの問題だし、システムには それぞれの用途がある。それに、音の悪いBGMなんて なかなか耐えられないから、ある程度の質は必要だ。
だから、真意は、音の良さを突き詰めると真剣に聴かざるを得なくなって、それはBGMには向かないということなのだろう。
というのは、僕のシステムはBGMに向かないのだ。: 作業しながら だらだら聴くのは なんか難しい(大抵、作業・思考の邪魔になって停める)し、ちゃんと聴くと短時間(例えば、ポップ音楽なら数曲、クラシックだと1楽章)で満足してしまって、休憩したり寝て残りは翌日に回したりすることが結構あるのだ。
そもそも体力が落ちているとか、音が悪くて疲れるせいなのかも知れないが、音が良くて聴き込んでしまうからかも知れないと想像していたのだ。(同様なことは以前にも書いた。) だから、自画自賛的に言えば、僕の今のシステムは音が良いほうなのかも知れない。
もう一個、疲れる原因として、演奏の音質の良し悪しが分かってしまうことがある。BGMで音の悪いものが流れて来ると、疲れたり嫌になってしまうのだ。
それから おもろくなって、いろいろな録音演奏(CDなどの、電子的に収録されて配布された演奏、要するに生演奏以外)を調べてみたら、以下のような種類の雑音などがあった。
クソお粗末なノイズシェイピングらしき雑音 (約15kHz以上で増大する)- 露骨な高域カット: 15kHzなど
- スペクトラムが不自然な形状の場合もあり。
- ダウンロード販売版にあった。 → 実はCDと同じ音ではなく、ダウンロード購入するのは得策ではなさそうだ。
- 買うなら、デモ版で確認したほうが良い。
- が、デモ版が何を元にしているのか不明なので、分からなさそう・・・
- 買うなら、デモ版で確認したほうが良い。
- なぜか、同じ演奏の配信版(Spoitfy)には ないことがある。
- 15kHzの山: ビデオ系?
- VHS Hi-Fiを経由したものにもあり。: 上に書いたようにTVの水平同期周波数が混じっているようだ。
- Hi-Fiビデオはビデオの回転ヘッドで録音・再生しているため、ヘッド切り替えの雑音だろうか。
- 当時、そういうのがある(から駄目だ)と聞いた(けど聞こえないので無視した)覚えがある。
- Hi-Fiビデオはビデオの回転ヘッドで録音・再生しているため、ヘッド切り替えの雑音だろうか。
- SBMと書かれたCDでも、上のノイズシェイピングではなく15kHzに山のあるものがあった。
- VHS Hi-Fiを経由したものにもあり。: 上に書いたようにTVの水平同期周波数が混じっているようだ。
- 16kHz近くの山: MDソフト? CD-Rレコーダ?
- 検索してもMDにそういう規格は見つからないし、あるMDレコーダの仕様では周波数特性は20kHzまでとなっているので、このソフト固有のものかダビングに使ったCD-Rレコーダ(一瞬、PCでないものを持っていたことがある)か、その時の再生に使ったMDプレーヤのものだろうか。
- そう言えば、このソフトには元になったTV番組の名前(「百恵復活」(1992))が付いているので、その関係と思えなくもないが、単なるベスト盤だから違うだろう。
- 検索してもMDにそういう規格は見つからないし、あるMDレコーダの仕様では周波数特性は20kHzまでとなっているので、このソフト固有のものかダビングに使ったCD-Rレコーダ(一瞬、PCでないものを持っていたことがある)か、その時の再生に使ったMDプレーヤのものだろうか。
今回調べた限りでは(以下同)、当然ながら、レコードやカセットテープを取り込んだものには なかった。カセットテープはFMから録音するとパイロット信号が入りそうだが、上に書いたように19kHzなので、まず録音されない(当時の機材はラジカセだったし、律儀にMPXフィルタ(付いていたら)を入れていたかも知れない)。
以下に、今回測定した、演奏の冒頭の一部のスペクトラムを載せる。縦軸は振幅(音量)、横軸は周波数、赤線はピーク、黒線はリアルタイム値である。 (ポイントは どのグラフも右端だけだし、赤と黒の片方でいいのに、手抜きをして見せ方が悪いのは御容赦。それぞれの曲名などは記録しているが、特に意味がないので ほとんどを省略した。)
- グールドの「ゴルトベルク」 第24変奏 (1981, CD): 15kHz(右端近く)に山
- 同、山のないものもある(第25変奏)。
- ノイズシェイピングの雑音がひどい例 (Spofity): 約14kHz(右端近く)以上が増大
- 雑音が盛大なもの(ダウンロード版, 先頭の無音部)
- デジタルTVから取り込んだものでもノイズシェイピング?: 約14kHz以上が増大
- ダウンロード版で高域(約16kHz以上)がカットされているもの
- 不自然なスペクトラム・雑音のもの(ダウンロード版): この死の谷は一体何だ?
- レコード → VHS Hi-Fi → カセットとダビングを繰り返したものを取り込んだもの: 15kHzに山
- MDのソフトをCD-Rレコーダーでダビングしたもの: 16kHzくらいに山がある。
- レコードから取り込んだもの
- FM放送をカセットテープに録音したものを取り込んだもの
- ダウンロードで購入した時から何か音が悪いと思って居たもの: 約13kHz以上が盛り上がっている。
レーベルでの傾向としては、大変大雑把な言い方だが、レコード時代は海外のものを(手を掛けず)なるべくそのまま出していたように見受けられた、日本のワーナー系はノイズシェイピングのような雑音がなくて(余計なことをしてなくて)良さそうだった(ただし、現在の海外の本家ワーナーは そうでもなく、雑音のあるものがあった)。
ただ、メディアへの記録は素直でも、音作りでは「海苔弁」のものがあったりするから、必ずしも音がいい訳ではない。
一方、SBMを出しているように、ソニー系は(レコード時代もそうだったが、)余計なもの満載感が強い。※ そして、いかにも古風で自然派と思われたデッカにも雑音があった(そういえば、以前、繋がった楽章をフェードout/inして切ってしまった曲をダウンロードで売られたから、近頃は駄目になってしまったのかも知れない)。なお、グラモフォンは いかにも素直・実直そうなので調べていない。が、近頃はいろいろ頑張ってしまっているから どうだか。
※レコード時代に余計なことをしていたと言えば東芝EMI(今は もうないのか・・・)も気になるところだが、測っていない。余計なことの被害(?)を受けていたビートルズの手持ちは(その余計を嫌って)輸入盤(CD, EMIまたはCapitol)のみなので そっちしか見なかったが、問題はなかった。
音の良し悪しについては、上のような雑音やパイロット信号などの有無と その演奏の音が良く聞こえるかの相関は余りない。要するに、僕のこれまでの印象とも合うが、上のような雑音があろうがなかろうが、音の良し悪しには関係ない。
例えば、今回測って驚いたのだが、異常なスペクトラムの演奏(ルガンスキーのラフマニノフのピアノ協奏曲 第2番 (2005))を、今まで全く問題なく聴いていたのだ。
だから、確かにそこらは僕には聞こえない領域なのだろうけど、聞こえなくても感じる気がする(耳閉感の原因の一つかと考えて調査中)ので、そういう余計なものは嫌だ。
実際、何か分からないけど音が悪い感じ、聴くのが嫌な感じがしていたもの(ミヒャエル・ポンティ: 「ラフマニノフ:ピアノ曲集」(2010))には、高域に雑音があった。その雑音が音の悪さの原因とは限らないが、可能性はある。
結局、人は自由に「どこの周波数まで聴く」という設定は できないので、現代の録音演奏を聴くには、例えば僕のように15kHz以上が聞こえないほうが幸せそうだ。
なお、そういう周波数には聞いて分かる音は入っていない(聞こえないので想像w)。電子楽器を除けば、シンバルとか いかにも高い音も、基本波は数kHzだ。
そして、
聞こえない(聞こえにくい)から、カットしたりゴミを突っ込んだりしても問題ない(キリ)*
*全く別件だけど、Scarlettの会社フォーカスライトに30kHz以上で雑音が出る件が何とかならないか問い合わせたら、本当に「聞こえないから問題ではない」という返事が来た。まあ、そういう意識の低いところの製品を買ったのが間違いだったな。
「聞こえない」とは言うが、帯域としては超音波だから、レベルにもよるけど、気軽に出していいとは思えない。ユーザーの中には不調を訴える人もいるのではないか(僕はそうだ)。他には、アンプやスピーカーを壊す可能性も0ではない。
仕様では出力の周波数帯域は20Hz-20kHzだそうで、その外の音は出ないかと思うと そうではないのも問題だろう。
って態度で いいのかと思う。上げ底・ステルス値上げや食品添加物や放射性廃棄物みたいなものだ。そして、そういう態度は、聞こえないはずの帯域にまで音(や雑音※)を入れて出すハイレゾと相反しており、技術者・制作者・販売者の欺瞞を感じる。
※読んだだけだが、SACDの超高域(30kHz以上)にはノイズシェイピングの雑音が大量に入って居るものがあるそうだ。 (→ 参照: 「DSD64の問題」)
(15k or)20kHz以上は聞こえるんだか聞こえないんだか はっきりしろ!
PS. 上のグラフを見ていると、今までの試行錯誤(メーカーの うたい文句にコロッと騙された?)を思い出す。: 「(レコード・)カセットよりVHS Hi-Fiのほうが断然音がいい」と思い(込んで)それで録音・再生していたり、(一応良く検討はしたけど)確かな根拠もなく、「これからはCDでなくMD(市販ソフト)だ」と思って数枚買ってみたり、「(カセットでなく)CD-Rに録音しよう」と思って買ったが すぐに捨て、近頃は「CDよりもダウンロード版だ」と思って買ったが、上のようにCDとは質が違うものがある。
と、今になってみると全部失敗だったよwww まあ、それもおもしろいことだ。あと、ずっと一貫しているのは、レコード・カセット(ラジオも)、更に言えば、アナログや物理メディアは嫌だってことだろうか。どういう気持ちかと言えば、壊れやすい、音質が確保しにくい・劣化しやすいもの(もちろん、面倒なものも!)は嫌なんだと思う。その点ではダウンロード版が最高だが、現実は・・・
PS2. レコード時代の日本のレコード会社の「余計なお世話」について: 本文で触れたので、どういうことだったかの例を示す。
東芝EMI: 僕の場合はビートルズだったが、どうしてかは分からないが、海外のアーティストを無理して完璧に日本化して売っていた感が強い。今となっては寒過ぎる邦題(例: "This boy"を「こいつ」)とか、単語(翻訳?)にしても"where"を「ホエア」(何だい、貝かよと思うわ)と書いたり。。。ジャケットだって、シングルは全部(オリジナルは それぞれ別だった)国内のダサいデザインに統一されて居たし、LPも下手なツギハギとかボカシ(オリジナル盤の番号をアナログでボカして消し、その下とかに国内の番号を付けていた)までして国内盤にしていたのは すごく気に入らなかった。
他に、解散後に再発した初期(Appleができる前に出たもの)のレコードのジャケットや帯や紙にAplleのロゴを付けていたのは、時代を遡るみたいなミスマッチさがあった。
そんな訳で、東芝EMIのビートルズ作品には「余計なことすんな!!!」の印象しかない。
ソニー系: 東芝EMIと同じくらいに「余計なことすんな!」だった。例えばピンク・フロイドの"The Wall"の紙の内袋に歌詞が手書き風に書いてあるのだが(→ 参照)、その国内化に必要な部分(確か、権利関係とかメーカー名だった)を、それに似せようとはしているけど下手くそで「なんかおかしい」(子どもが真似た感じ)文字を書いていたのにはムカついた。
一方、ワーナー系は そういう無駄な手間は掛けずに「ほとんどスルー」的で気持ち良かった。でも、やっぱり、あの無駄な「帯」はあった・・・
さすがに そんな下らない手間を掛けられて高く売られても いいことは全くない(役に立ったのは日本語の説明文くらいか)ので、一通り揃えた(懲りた)あとは輸入盤に切り替えた。
とは言え、当時は情報が少なくて、Capitolも阿漕なことをしていたのを知らずに買った輸入盤("Rubber soul")の曲目がオリジナルと違うことに気付いて、大変がっかりしたこともあった。
だから僕は、今、「紙ジャケを完全復刻、国内盤の(復刻)帯付き」とかいうCDを見ると溜息しか出ない。そんなものをありがたがる奴が居るのか? なぜ??????????