先日 インターフォンにブザーを付け、問題なく動いては いたものの、いつものワガママが出て、ACアダプタと そこから伸びる電源コード(写真: 中央辺りを上から下へ)をどうしても排除したくなった。慣れればいいのだが、滅多に使わないものに我が物顔で居座られるのが我慢ならないのだ。
それで、例によって さまざまな試行錯誤をした挙げ句、無事 排除できた。もちろん、電源がなければ回路は動かず、ブザーは鳴らないので、実際にはACアダプタも電源を通すコードも存在しているが、見えなくした。
以下、(ちゃんと書くのが大変なので)予想以上に長くなった道のりを時系列に並べる。
- 離れたところにあるACアダプタ(Wi-Fiルータ用)の出力を分岐し、そこから電源コードを引っ張った。
- そのACアダプタはWi-Fiルータのために常にonなので、今まで使っていたACの電源スイッチが不要になる※が、その代わり、ブザー側に電源スイッチ(音のon/offの選択)が要る。
- ※ブザーの電源をACでon/offするようにしたのは、ブザーを使っていない時のACアダプタの(微小な)待機電力をカットしたかったからである。今度は並列接続されたWi-Fiルータが常に動いているので、「ブザーの待機電力」は なくなる。
- そのACアダプタはWi-Fiルータのために常にonなので、今まで使っていたACの電源スイッチが不要になる※が、その代わり、ブザー側に電源スイッチ(音のon/offの選択)が要る。
- が、ケーブルが2本(電話線と電源の線)引かれているのは今ひとつスマートでなく、満足できなかった。
- ふと思い付いて、電話線(モジュラーケーブル)の未使用の線(4本のうちの外側2本)に電源を通してみた(「電源相乗り」)。
- 手持ちのLAN中継コネクタ(モデム側で電話線を延長していたもの)を改造して、中心のペア(電話)の外側に電源を入れるアダプタを作った。
- ブザーは ちゃんと動いたものの、電源に挟まれたVDSLの線にノイズが入りやすいようで、VDSLが不安定(不意に接続が切れる)になったので、諦めて(電話線+電源コードに)戻した。
- 以前起こった問題(ブザーのスイッチon/offでVDSL切断 ← 原因: MJに片方繋がってなかったため)に似ている。
- あとで気付いたが、今まで使っていた100円ショップの電話線は仕様がおかしく、品質も悪そうで、それでノイズが入りやすい気がしている。
- 「NTT仕様」(ストレート)でなく、両端での極性が反転していた。
- 他の普通のコードでは反転していなかった。
- おそらく、普通の電話機器では極性が反転していても問題なく使えるのだろう。
- 「NTT仕様」(ストレート)でなく、両端での極性が反転していた。
- 感覚的には分かるが、知識不足のため、どういう原理でノイズが入るのかは分からない。
- (ツイストペアでない)平行な信号線を挟んで電力線を置くのは駄目なのだろうか。(駄目そうな気はする)
- 隣接する線の状態(電圧や長さ?)変化に伴って大きなノイズが発生し、それがモデムの入力を飽和させて受信できない状態になってVDSLが切れるのかと想像している。
- モデムは差動入力だろうから、外側の線から入るのはGNDと無関係なノイズなのだろうか。
- が、寝ながら、コードがツイストペアならノイズに強くなるかと思い付き、手持ちのLANケーブルで試したら不思議なほどOKだったので、LANケーブルで「電源相乗り」を復活させた。
- ブザーの電源入力に逆接続保護が必要なことに気付いてダイオードを追加した。 (図のD, 写真中央の水色の棒2本の上の透明と黒のもの)
- 前の項に書いたように、電話線と同じように、LANケーブルの仕様や不具合によっては極性が反転する可能性があるため(実際には なさそうだが、ワーストケースを考えた)、必要だ。
- 電源出力の短絡保護も必要なことに気付いて保護抵抗を追加した。 (ACアダプタの直後に追加: 図のR0, 写真中央の太い茶色の棒2本: ブザー側の分圧抵抗を分割した。)
- 電源と負荷が離れているため、意図しない短絡からの保護は必要だ。
- 直接的な短絡でなくても、例えば、間違ってブザー側のLANコネクタをPCなどのLAN端子に挿すと、大きな電流が流れて受け側あるいはACアダプタが壊れる、あるいは発熱・発火する可能性がある。
- 短絡時には約45mA流れるが、これでPCなどが壊れないかは調べていない。
- ただ、抵抗がない場合(0.5-1Aくらい流れる)よりは ずっと安全だ。
- 電源に直列に抵抗を入れると消費電流に依存して電圧が変わる※が、今回は特定用途なので良しとした。
- ※そのため、ブザーの側の電源入力を「*V」と規定できない。代わりに、保護抵抗(R0)の入力を5Vと規定できる。
- 更に、ノイズ低減のためにコンデンサを追加した。 (図のC, 写真中央少し上の水色の長方形)
- 電源on時に発生するノイズのVDSLへの影響を減らそうとした。
- VDSLの周波数帯域は概ね26kHz-30MHzのようなので(→ 参照)、手持ちの部品を使い、推測されるカットオフ周波数を160k-320Hzとした。
- RC回路と考えられるが、電源側の短絡保護抵抗はおそらく効かず※、ブザー側の抵抗は効くかも知れないが、LANケーブルの線の抵抗の寄与が大きいと考え、それらを0.5-1Ωとして計算した。
- ※上を計算した時は、定常状態(ブザーが鳴って居る状態)で外部から入るノイズを想定していたが、今考えると、電源がonになった瞬間のステップで生じるノイズには短絡保護抵抗が効きそうだ。その場合のカットオフ周波数は1.4kHzとなる。
- また、定常状態ではACアダプタが繋がっているために、電源の線のインピーダンスが低くなってノイズは入らなさそうだ。
- 他に、使用したコンデンサ(フィルムコンデンサ, MKT)の高周波特性が気になるが、データシートを見ても良く分からなかった。ただ、用途の例にはあるので、不適ではなさそうだ。
- 本来は、セラミックコンデンサなどを並列に付けるといいのだろう。
- RC回路と考えられるが、電源側の短絡保護抵抗はおそらく効かず※、ブザー側の抵抗は効くかも知れないが、LANケーブルの線の抵抗の寄与が大きいと考え、それらを0.5-1Ωとして計算した。
- ついでに、取り扱いを容易にするため、MJと接続する線(4本)をXHコネクタで一括して繋げるようにし、無意味になったUSB micro Bコネクタを撤去した。
- ついでに電源ランプ(LED)も追加した。 (図のLED, 写真上側のオレンジ色に光っているもの)
- 明るくなり過ぎないように調整した。が、なぜか、実際に設置すると調整時より明るくなった。: 謎。
- 明るい昼でも見やすいので良い。
- 思い付きで付けたのだが、あとで、電源ランプがあれば、何らかの異常でスイッチをonにしていてもブザーに電源が来ていなくて いざという時に鳴らない可能性を減らせることに気付いた。
- 同様に、スイッチをonにした直後にブザーを一瞬鳴らす回路(電源以降の問題が分かる)を考えたが、素子の値の調整が難しそうなので諦めた。
- 明るくなり過ぎないように調整した。が、なぜか、実際に設置すると調整時より明るくなった。: 謎。
- 細いLANケーブルを買って交換した。
- 手持ちのLANケーブルは太く重くて ひっつき虫では貼れないうえに灰色で目立つので。
- ツイストペアの電話線(モジュラーケーブル)も探したが、種類が少ないうえに1ペア(2本)のものばかりなので諦めた。
- LANケーブルも、長さと色と仕様と価格が 丁度良いものが なかなかなかった※が、丹念に探したら知らない日本メーカーのもの(マクサー電機 MPC-050SSL, CAT6, 5m)が見付かって、試してみた。約750円だった。
- ※長さを7や10mから5mに短くしたら候補が増えた。
- 外形(断面)が平らだけど幅広のものと丸だけど細いもので迷ったが、角の取り回しが容易そうなので丸にした。
- すごく柔らかい訳ではないが、細く(直径2.8mm)軽いため、普通のものよりずっと引きやすかった。
- ただ、微妙なうねりによる柱や鴨居との間隔変化による視覚的ノイズ(?)が目に付く・・・ (もちろん、以前よりはずっといい)
- 大分すっきりした。
- 気分や外観だけでなく、余計な部品を撤去したりして、MJの箱の内部も簡素になった。
- 今までの数日間 問題なく動いている(NW断や速度低下※は起こっていない)。
- また、先日、荷物の配達で 実際にブザーの動作確認ができた。
- ※週末で混んでいるせいか、今(10/29 19:30)は速度は不安定だが、以前のような、速度が1/2ということは起こっていない。
なお、LANケーブルは一般的な電話線(モジュラーケーブル)より品質が高いが、通信速度が高速になった訳ではない(大抵はVDSLの上限近くまで出ているので、上がりようがない)。ただ、ツイストペアなのでノイズ耐性は上がっているのではないかと期待する(直接調べる手段がない)。
同様にツイストペアとノイズの話だが、建物内(端子盤から部屋のMJまで)に敷設された電話線はツイストペアのため※、随分距離があるものの普通のモジュラーケーブルのようにはノイズに弱くないようだ。
※ケーブルの種類(外形が丸く、4芯で、それぞれの線の色がモジュラーのとは違う)からの推測
(10/30 4:22) 書いたあとで、過電圧保護も したほうが良いことに気付いたが、手軽に実現する方法をすぐには考え付かないので見送る。そもそも、電源を繋ぐ部分はUSB Aコネクタなので、ACアダプタが異常でない以外は5V以外の電圧が入る可能性は少ない。
- ジャンク部品でUSB電源を分岐するアダプタを作った。
- 離れたところにあるACアダプタから電源を引き、ACアダプタと電源コードを見えないようにした。
- 電話線(4芯モジュラーケーブル)でVDSLの信号と電源を送るようにした構成
- 4芯モジュラーケーブルの未使用ペアに電源を入れるアダプタを作った。
- ツイストペアケーブル(LANケーブル)なら電源を一緒に送ってもノイズの影響が抑えられるか、試してみた。
- 作業中の光景
- LANケーブルでVDSLの信号と電源を送るようにした構成
- 電源の逆接続保護ダイオード(D)を追加した回路
- ブザーの電源側に逆接続保護用のダイオードを付けた。それに合わせてブザー電源の分圧抵抗を調整した。
- 電源の短絡保護抵抗(R0)を追加した回路
- 電源を送り出す側に短絡保護抵抗を入れた。
- 電源にコンデンサ(C)を入れ、ブザーon時にVDSLの線に入るノイズを減らそうとした回路
- ブザー側にコンデンサを追加してノイズの発生を抑えるようにした。また、MJと接続する線をXHコネクタで繋げるようにし、無意味かつ邪魔なUSB micro Bコネクタを撤去した。
- 新たに買った細いLANケーブル(マクサー電機 MPC-050SSL): 左は細いUSBケーブルと直径3-4mmくらいのドライバー
- 電源ランプ(LED)を追加した、最終的な回路
- ブザーの電源ランプを付けた。
- 仮に取り付けて、電源ランプの動作確認をした。
- ブザーの電源ランプの取り付け位置を改良して見やすくした。: 点灯時(ランプは中央辺りのオレンジ色。写真では目立たないが、実際には もう少し明るい)
- MJの箱の内部: 大分簡素になった。
- インターフォンのブザーのLANケーブルを正式に敷設した。
- LANケーブルの微妙なうねりによる、柱や鴨居との間隔変化が目に付く(見えやすくするため未補正のものを使ったが、それでも良く見えない)。
「ちょっと」思い付いたことをしようとしたら、いつものように随分作業量が かさんだ。それは、電源と負荷の距離が長くなった(一つのブロックに収まっていない)ことと、その接続に汎用ケーブルを用途外に使ったため、最低限の安全策が必要になったからだろう。その代わりというか、今回も いろいろな知識が得られた(例: 並列の電線はノイズを拾いやすく、ツイストペアが いかに有効か, モジュラー・LANケーブルの種類とピン配置, VDSLの周波数)。
(17:06-43, 19:30-20:14 若干加筆・修正, 写真・図を変更・修正; 10/30 4:22 構成を修正, 過電圧保護について追記)