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例によって寝ながら思い付いたことで、去年作った換気扇の自動制御(動的モード切り替え)処理を改良し、CO2濃度の長時間平均で切り替える換気能力(換気扇のon率)のステップを細かくすることで、CO2濃度の変化に きめ細かく対応できるようにした。

車に例えれば、 「4速ATを8-10速くらいに」した感じだ。 (→ イメージ: 実線と点線)

なお、換気扇の換気能力は本当の無段階にはできないので、(当初は期待したが、)CVTのようには ならない。※

※全くの余談だが、CVTに わざわざ段を付るのは馬鹿だと思う。CVTは無段階だからいいのに。

設定の調整と確認に時間が掛かったものの、概ね期待どおりに動くようになった。が、人間はCO2濃度には鈍感なせいか、細かく調整している効果は体感できない。

良いか悪いか分からないところは、車の多段ATと似ているかも知れない。

改良の概要

  • 従来の方式: CO2濃度(長時間平均)に応じて4段階程度の換気能力(モード)を切り替える。
    • それぞれの換気能力は、試行錯誤して以下のように設定した。
      • CO2濃度(長時間平均)の条件: モード, 換気能力(on率)
      • <= 710 (ppm): LL,  50 (%)
      • <= 750 (ppm): M, 55 (%)
      • <= 800 (ppm): H, 65 (%)
      • > 800 (ppm): H+, 75 (%)
  • 今回の改良版: CO2濃度(長時間平均)に応じて、式で換気能力を求める。
    • 理論上は換気能力(on率)は無段階の調整が可能だが、換気扇の換気能力は連続して変えられない(変調周波数が とても低いPWM的)のと、タイマーリレーの仕様上、換気能力(on率)を変える時にonまたはoffになり、リレー・電源のon/offが頻繁になって実用的でないので、ステップ(「段」, 後述)を付けた。

検討・設計

CO2濃度と換気能力の関係(計算式)が分からなかったので、まず、従来の切り替え設定のグラフの近似式を求めたところ直線のようだったので(→ グラフ: 実線: 設定, 点線: 線形近似)、ひとまず一次式にした。

CO2濃度(長時間平均)をxとした時、換気能力(換気扇のon率) yを以下とする。

y= k * x + B (式1)

k: 係数 (CO2濃度と換気能力の比例係数)
B: 定数 (CO2濃度が0の時の換気能力)

注: 真の換気能力(正確にはCO2低減能力)は外気のCO2濃度や室内と外気の濃度差に依存するため、換気扇の換気能力(on率)に比例して室内のCO2濃度が変化する訳ではなさそうだが、ここでは ひとまず比例とした。

その後、以下の式に変換した。上と等価(Cはk, B, X0から求められる)だが、こちらのほうが分かりやすい気がするのと、パラメタの調整が しやすいためである。

xと基準CO2濃度X0の差をd(= x - X0)とした時、換気能力(換気扇のon率) yを以下とする。

y= k * d + C (式2)

k: 係数 (CO2濃度と換気能力の比例係数)
C: 定数 (基準CO2濃度の時の換気能力)

※この式の解釈として、CO2濃度を基準値に保とうとする制御か、現在値と基準値との差に応じて換気能力を高める(下げる)制御が考えられるが、どちらが適切なのかは分からない。

あるいは どちらでもないのかも知れない。だから、パラメタによっては不安定になることがあるかも知れない。

更に、式2で得られたyをそのまま換気能力(on率)として設定すると、変更が無駄に頻繁になるため、以下のように換気能力にステップ(段)を付けた。

現在のxから求めたyと前回のy(yp)との差をq(= y - yp)とした時、ステップを付けた(量子化した)換気能力(換気扇のon率) y'を以下とする。

y'= (qにより、以下のいずれか) (式2')

    • q < Qの場合: yp (換気能力を変えない)
    • q >= Qの場合: y

Q: 換気能力(換気扇のon率)のステップ

調整・設定

従来の設定が丁度良い感じだったので(当時、良くなるように試行錯誤したため、当然のことではある)、そのグラフに合う(近くなる)ようにパラメタを調整して実際に運用してみたところ、全体的に換気能力を少し高目にし、CO2濃度が基準より高い場合には係数を大きくするのが良さそうだったため、結果的に(点を繋いだ直線は)わずかに折れ線になった。※

※このことや、(上述の)真のCO2低減能力は外気のCO2濃度や室内と外気の濃度差に依存することから、本当の線(式)は 2次や べき乗のような 下に凸の曲線なのかも知れない。

現在の設定や運用条件は以下のとおりである。

  • CO2濃度の測定間隔 TM: 1 (分)
  • CO2濃度の長時間平均の時間 TLA: =TF (下の換気扇のon/off周期, = 40 (分))
  • 換気扇のon/off周期(on時間+off時間) TF: 40 (分)
  • 基準CO2濃度 X0: 750 (ppm)
  • 基準CO2濃度の時の換気能力 C: 0.7 (70%)
  • CO2濃度と換気能力の比例係数 k:
    • x < X0の場合: 0.0025 (0.25%/ppm)
    • x >= X0の場合: 0.0030 (0.30%/ppm)
    • 参考: 従来の方式の近似式でのk: 0.0022 (0.22%/ppm)
  • 換気能力のステップ Q: 0.042 (4.2%)
    • これはCO2濃度の感度に相当し、16ppm前後になる。

CO2濃度(長時間平均)と換気能力のグラフを以下に示す。

CO2濃度(長時間平均)と換気能力のグラフ: 黒: 従来; 青: 改良版(CO2濃度の長時間平均が基準CO2濃度より低い場合), 赤: 同(高い場合)

注: 改良版では、上述の換気能力のステップ(量子化)により、段階の角の位置は、CO2濃度の状況によって±Q/2分程度左右に変動するはずである。

実装関連

プログラムの実装(タイマの制御)で工夫したこととして、タイマ(XY-WJ01)の設定を変える時に必ずonかoffになる(今一つ使いにくい)仕様を活用し、以下のようにした。

  • 換気能力(on率)を上げる時は換気扇をonにし、下げる時はoffにする。
  • ただし、下げる時でもoffにした次はonにする(交互にoff/onにする)。
    • 連続して下げる(下がる)時に、換気扇がoffになり続けるとCO2濃度が増加してしまうのを防ぐため。

Xfceのパネルへの動作状態表示の例を以下に示す。

従来の表示プログラムを なるべく変更せずに使うため、換気扇のon率を擬似的なモード"▷▷"や"Me"(拡張または外部※を示す"E"や"e"(左で太字)を追加)などと表示している。また、換気能力(on率)を連続して制御していることを示す""も表示している。

※今は何だったか思い出せないが、それらしければ何でも良いw

また、従来と同様、パネルの状態表示部をクリックすると制御ダイアログが出るが、そこで動的制御を設定できるようにした。(→ 右側のプルダウン: Current(変更なし), On, Off)

結果・効果

従来と改良版での実際のCO2濃度と換気能力の変化の例(約1日間)と今までの約1年間の変化を以下に示す。

最初に書いたように、体感できる効果は特段ない※が、換気能力(上のグラフのオレンジ)は今回の改良版従来より きめ細かい変化をしており、CO2濃度(緑)の変化が平坦に近くなっている期間(例: の中央付近の6-12時, 18時以降)がある点で、改良の効果が伺える。

※車のATの段数が少なくても、エンジン音や燃費や気分以外に実用的な問題がないのと同様?

また、長期(約1年間)の変化を見ると、改良後の換気能力(オレンジ)が上昇傾向である(グラフの右端付近)。これは、上述のように、計算式の設定で換気能力を少し高目にしたためと考えられる。その割にはCO2濃度(緑)が下がっていないのは、季節的なものだろうか。もう少し様子を見る必要がある。

なお、グラフの中央辺りから換気能力(オレンジ)が少し下がってCO2濃度(緑)が増えているのは、この頃に設定を変更して換気能力を全体的に低目にした※ためである。

※換気を必要最小限に抑えることで、空調の効きを改善しようとした。

考察

  • 人は、CO2濃度が極端に高くない限り、濃度や そのわずかな変化を感じられないようだ。
    • 濃度が結構高い場合、僕は、机などのべとつきや少し臭いを感じる気がすることや頭痛がすることもあるが、他の要因(外気が悪い、疲労など)かも知れない。
    • 良く言われている眠気もある。
  • グラフを見ると、CO2濃度の変化に合わせて細かく換気能力を調整するため、濃度が高い(例: 750ppm以上)時間が短くなっているかも知れない。
  • 換気量が最適化されて空調の効率が上がる(→ 電気代の削減)のかも知れないが、まだ分からない。 (余りなさそうな気はしている・・・)
  • 仮に部屋に居る人数が増えたとした場合、この制御では不足する気がするし、どうなるか気になるが、そういうことがないので とりあえずヨシとするw

 

メモ

この改良には直接関係ないが、以下のことに気付いた。

  • CO2が下がりにくい時(日)があるのは、以前からの謎である。
    • 湿度※や風向きの関係かと思ったが、そうではなさそうだ。
      • ※雨などで湿度が高いと、空気にCO2が溶け込んで高くなると考えたが、そういう訳でもない。
      • あと、CO2センサ(CO2Mini)に湿度補償機能が ないせいも疑ったが、余り関係なさそうだ。
    • 高湿以外に暑い時にも なるが、人(自分)から出るCO2が多くなるなど?
      • そう言えば、食後(特に朝)は増加が著しいので、人による変化の影響は大きそうだ。
  • トイレの換気扇を回す機会を減らしたら、なぜか、部屋が臭う(煙草・農薬臭など)ことが少なくなった。
    • 以前は人感センサで自動で回していたが、換気扇制御への影響(外乱)を避けるため、手動でon(遅延off)※するようにした。
      • ※手動onと遅延offは人感センサで実現している。
    • 臭いがトイレまたは風呂(今回の制御対象)の換気扇のダクトの汚れに関係あるのか、外気を取り込み過ぎるのが良くないのかと想像している。
  • (もしかしたら今度は大丈夫かと思い、)換気効率向上のため窓にわずかに通気口を付けたが、(何度も同じ結果ではあるが)やっぱり臭いが入って来ることがあるので、止めた。
    • どうしても窓側の空気は悪いようだ。
  • 連続換気しているため、クローゼット内のカビ臭さや湿っぽさが なくなった。
    • ただ、梅雨で雨が続くと湿度が高まるので、様子を見ている。

 

(7/4 4:27-8:10 加筆・修正, 従来の設定のグラフへのリンクと長期変化のグラフを追加)

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換気扇を自動的に間欠運転することで、部屋を常時適切に換気する話。

事前検討・試行の結論により、先月の中旬に間欠運転を実現するためのタイマー(XY-WJ01)を注文した。中国からなので届くまでに約2週間掛かり、届いてから5日くらい掛かって どうにか完成した。例によって苦労して疲れたものの、思って居たとおりに動き、いい感じに換気できているようなので満足している。

以下、注文してから出来上がるまでのことを列挙する。

タイマーが届くまで

  • 途中で(店が渡した運送業者から中国郵便に引き渡されてから)追跡番号が変わったため、AliExpress(以下、Ali)の追跡に出なくなってしまった。
    • しばらく進展がなくて、「どうしたのか?」と思って検索したら そういう情報が見つかり、別のサイトで追跡して番号が変わったのを知った。
      • サイトによっては全く出ないことがあるので いろいろ試すのが良さそうだが、17Trackが一番ちゃんと追跡できた。
    • ただ、なぜか(当然?)、こっちが受け取ったことはAliに伝わったようで、翌日に「受け取り確認しろ」というメールが来た。自サイトでは追跡できなかったくせに、そういうのが やけに早いのはちょっと気に入らない。
      • 「確認」するとお金が店に渡るので、急いで動作チェックした。
  • 結局、商品自体は安いけど送料は それほど安くないし、受け取るまでに時間が掛かる(届かないこともあるだろう)し、届いた商品が壊れているとか偽物の可能性もあるので、気長に何度でも待てる場合以外は(多少高くても)国内から発送する業者のほうがいいと思った。
    • その点では、Amazonマーケットプレイスで国内発送でない業者だったら、Aliのほうがマシだ。
      • Aliは客が「確認」しなければ お金が行かないから、業者もAmazonより真剣になるのではないか?
  • 意外にも、「タイマーのチップ」(時計みたいに「付ければ終わり」的なもの)を使っている訳ではなく、マイコン(ソフト)で制御していた。
    • 届くまで暇だったので、どういう回路か検索したら、回路図は出て来なかったもののCPUなどの写真が出て来て、写っていた番号で調べたらNuvotonの8051ベースのワンチップコントローラ(N76E003)だったのだが、実際に届いたものにはARMが使われて居た(後述)。
      • 「動けばいい」じゃなくて、意外に すごい更新をしているようなので感心した。
        • チップがディスコンになったので(実際は不明)、仕方なくそうしたのかも。
    • 依然としてメーカーが不明だが、誰がソフトを書いているのだろう?

タイマーが届いて

  • 基板を眺めて
    • 今回は使わないが、トリガ入力のコネクタ(写真: 基板上辺左寄りの白い長方形)がXHコネクタ(3ピン)で、偶然 今回使うために買ったものに一致していて、(買ったものは2組セットだったので)使った残りをトリガにも使えると喜んだ。
      • 僕の勘が冴えてるのか、XHが偉大なのか。
      • ただ、実際には2組使うことになったので、トリガには使えなくなった。それでも、アンプで余ったXHのジャック(金具)が残って居るので、それをトリガに使うことはできる。
    • 同様に、今回は使わないが、リレー(SONGLE SRA-05VDC-CL, 写真: 右端下部の黒い大きな長方形)にはNC(normally closed)接点があり、タイマーのターミナルには出ていないが、未使用のリレーの端子(写真: 中央辺り、基板左辺中央付近の大き目の銀色の丸)に線を繋げば使そうだ(未確認)。
    • 謎の未使用端子J1 (写真: 中央右寄りの縦に並んだ5つの点)
      • 何か繋げられる感じで興味はあるが、ソフトで制御しているため ただ繋ぐだけでは使えなさそうなので、特に調べることはせずに謎のままにした。
    • 謎のCPU!
      • 型番の文字が小さくて(写真: 中央の大きい長方形(LCDコントローラ)の右の小さい正方形)読みにくく なかなか検索できなかったが、CHIPSEAという会社のCS32L010F8U6らしいことが分かった。
      • コアはARM Cortex-M0だが、データシートが手に入らないので詳細は不明だ。
        • が、STMicroのSTM32L010F4(検索を繰り返すうちに引っ掛かった)に型番が酷似しているので、そのパチもの互換品なのではないかと想像している。
          • CHIPSEAのは5Vが可能なので、僕らには使いやすそうだ。あと、STMicroのに比べてSRAMの量が2倍になっている。
    • 事前に調べていたのと部品の形状、部品配置が微妙に異なる。
      • CPU同様、ちょこちょこ更新しているようだ。あるいは、CPUを変更したために基板も変わったのか。
  • 明る過ぎる液晶
    • 僕はそこら辺にこだわるほうなので(後述の電源ランプを参照)、暗くしたくて調べたら、LCDコントローラHoltek HT1621のVDDとVLCEDに繋がった抵抗(R6, 20kΩ)を大きくすれば できそうなことが分かった。
      • 問題の抵抗R6(チップ抵抗, 写真: 中央の大きな長方形(LCDコントローラ)の下の、白い枠に囲まれた小さい黒)には"30C"と書いてあり、目が悪くて読み間違えたのかと思ったが、検索したら チップ抵抗は小さくて多くの文字が書けないため、そういうクソな分かりにくい表記("EIA-96 code"とか「E-96 数列 2 桁化対応記号」というらしい)にしていることが分かった。
    • ただ、設定し終わったら液晶は見ないし、時間が経てば自動的に消えるので、そのままにした。
    • 最初は「いかにも(略)らしい」と思ったが、まあ、屋外など いろいろな環境で使うことを考えれば、明るくしたほうが正しいのだろう。
      • ボリュームで変更できればベストだが、上記のように常に見るものでないから そこまでする必要はない。逆に、壊れやすくなるから良くない。
        • これは本心で、「可動部品は壊れやすいから避けたい」と思っている。が、そんなことを言ったら、電解コンデンサなんて ものすごく頻繁に動いているから寿命が短い気がする(実際そうだろう)が、そこら辺は 分からないw

動作確認: OK

  • 半田付けやPC側にコネクタの必要なUART(シリアル通信)以外の ほとんど すべての機能をチェックし、正常に動作することを確認した。
    • 意外に(というと悪いが、)ちゃんと作られていて感心した。
    • この点でも、これは小さい会社がテキトーに作っているとは思えず、やっぱり、誰が作っているのか興味がある。
      • 前の稿でも書いたが、このタイマーは他にも いろいろ似たような機能・仕様の姉妹品があるので、元は一つなのだろうと思う。その「元」を作っているのは どこなのだろうか?
      • そして、なぜ、メーカー名を全く表示しないのだろうか?
    • タイマーには低・高レベルの2種類のトリガ入力があるが、それぞれ独立しているので、両方同時に(片方ずつ入力するという意味)使える。
      • また、片方をonにしたまま もう片方をonにしたらトリガが掛かった。
      • それから、「低レベル」とは負論理の意味だった。Lにするとトリガが掛かる。
  • 更に、実際のシステムの回路を仮に配線して試したらちゃんと動いた
    • それにしても、上の写真の光景は我ながらひどい。雑然とし過ぎている。良くマトモに動いたものだ・・・ 「ハードはソフトとは違うんだぞ!」って言われそうだ。

いくつかの事前検討・試行

  • リレーの耐久性の事前検討
    • このシステムは連続してリレーをon/offして換気扇の回転(電源)を制御するので、データシートでリレーの耐久性を調べた。
    • すると、意外に、機械的寿命より電気的寿命のほうが短いことが分かった。
      • 何度もon/offすると、メカ(支点やバネ)よりも先に接点(の表面)が駄目になって接触不良になるのだろう。
        • 僕としては、これも機械的寿命のように感じるが、どちらかと言えば電気なのだろう。
    • → 動作設定(特に間欠動作の周期)を決める際に、可能な範囲でon/offの回数を少なくすることにした。
  • 防音についての試行
    • 上記のように延々とリレーをon/offするので、作動音(「カチッ」という音)がうるさい可能性があって、気になって居た。
    • 動かしてみると、音量は大きくないものの小さくもないので、少し防音をしてみた。
    • → 音を小さくできそうなことが分かったので、実際のケースや設置場所で気になったら対処することにした。
  • PCからの遠隔操作についての事前検討・試行
    • 今回は遠隔操作はしないが、興味があったので、手元に余っている古いWi-Fiルーターでタイマーを制御できないか(途中まで)試してみた。
      • ルーターのLEDのon/off(の電圧)がタイマーのトリガとして使えそうなことが分かったが、LEDをon/offするにはルーターを再起動させるくらいしか手がない。
        • なお、デバッグモードのあるルーター(WHR-G301N)だと、コマンドでLEDをon/offできる(中でLinuxが動いている)ことが分かったが、既知の脆弱性があって使うべきでないから止めた。
          • その脆弱性を塞ぐファームウェアにすると、デバッグモードは なくなってしまうような気がする(デバッグモード自体が脆弱性と言われているのかも知れない)。
      • デバッグモードのないルーター(WSR-300HP)の再起動でLEDをon/offするにしても、LEDは点滅するのでタイマーのトリガにするには適切でなさそうなので、諦めた。
      • また、仮にそれで制御するにしても、PCから制御結果が分からないのは良くない。
    • → 結局、PCからタイマーを制御するには、Wi-Fi-シリアルアダプタをタイマーのUART端子に繋ぐのが一番良さそうだという結論になった。

システムの構築(接続・配線)

  • 届いた翌日、(確か上述の動作確認のあと)疲れているから翌日に延期しようと思って居たが、午後になって急に やる気が出たので配線に取り掛かってしまった(「止めときゃ良かった」w)。
  • 疲れていたので いろいろ失敗したが、何とかできた
    • 接続間違いを何度もした。
      • 回路図(注: 左は清書したもの。実際に使ったものは手描き)を確認せず、うろ覚えや思い込みで繋いで失敗した。
    • 気付いたら左手の指が少し切れて居た。ラジオペンチで?
  • ケースは、仮に段ボールの小さい箱にした。
  • ちゃんと動いたものの、さすがに疲れ果てた。

動作設定(間欠動作の周期, on/off比)の決定

  • 実際のシステムで換気扇を間欠動作させる設定を、いろいろな要素(下記)を考慮して決めた。: on: 10分, off: 35分の45分周期にした。
    • 換気能力(速度・量) → on/off比
      • 最低限実現しようとする換気能力とした厚労省の基準(30m3/h・人)と、使う(制御する)換気扇の仕様(換気能力)より、on/offが約1/5.4 (1:4.4)以上なら良さそうだった。
        • これは、事前検討・試行で勘で仮に決めていたon:off= 15分:60分に近い。
        • ただ、換気扇は居間から離れているので、もう少しonの割合を長くして換気能力(速度・量)を増やそうと考え、on:off= 1:3.5とし、周期を30分としてon/off= 6.7分/23.3分を仮の設定とした。
    • 追従速度 → 周期
      • 周期が長いと、室内のCO2の増加への対応が遅れるため、短時間的にCO2濃度が高くなって好ましくない。
      • 良く言われるように、長くても1時間くらいが適切だろうと考えた。
    • リレーの寿命 → 周期
      • 周期が短いと頻繁にリレーが動くため、寿命が短くなる。
      • 仕様から計算したところ、電気的寿命を10万回とした場合、周期が30分の場合、約5.7年、1時間の場合、約11年となった。
      • 実際には5年以上も使わない・持たない気がするので、周期は30分以上なら良さそうだと考えた。
    • 窓に張っている異臭侵入防止シートの寿命(劣化) → 周期
      • 換気扇が回ると室内外の気圧のバランスが変わるため、窓のシートに力が加わって動く(膨らむ・しぼむ)。
      • 頻繁だとシートが劣化する可能性があるので、周期は長いほうが良い。
      • ただ、実際には外の風の影響で細かく動いているはずだし、それ以前に、気温の変化や紫外線の影響のほうが大きそうなので、余り気にしないことにした。
    • 騒音 → 周期
      • 頻繁にリレーが動くと作動音が うるさく感じるかも知れないので、周期は長いほうが良い。
      • → 実際の設置位置で動かしてみて調整することにした。
        • → リレーの作動音は全然気にならず、実際に設定した周期(45分: 後述)で問題はなかった。
          • 作動音は音量が小さい上に、気温・室温変化などで生じる建物または建材の(ラップ音みたいな)音や冷蔵庫のコンプレッサーが起動する音に似ているので、聞こえても気にならない。
      • 他に、換気扇の運転音(低音)は聞こえるので、周期は長いほうが良いと思いそうだが、周期が長いと1回の運転音も長くなるから そうでもなさそうだ。
    • 外部の臭いの影響 → on/off比, 周期
      • 外が臭く(例: 煙草臭)、建物に風が吹き付けている場合、室内にその臭いが入って来ることがある。
      • その時に換気扇を回すと臭いを排除できることが多いが、逆効果のこともある。
      • どうすればいいか分からないし、そういう場合は少ないので、これは考慮しないことにした。
  • 仮の設定では周期= 30分、on/off= 6.7分/23.3分としたが、周期は30分と1時間のどちらかが良いか決められなかったので、「間を取って」45分(10/35分)とした。
    • ここで間を取るのは いかにもテキトー・玉虫色的だが、何がいいか分からないかったので仕方ない。
      • 「駄目なら変えれば良い」の精神である^^
  • 上のような さまざまな要因や紆余曲折を見ると、on/off比や周期を自由に設定して試せる点で、(最初のアイデアのアナログ回路でなく、)デジタルのタイマーにして良かったと つくづく思った。
    • アナログ回路でない、「普通のタイマー」にしたとしたら、周期動作でないタイマー(例: 毎日A時からB時までon)だったら、設定変更のたびに数多くの設定を変える羽目になって、とても実用にならなかっただろう。

※こういう処理(設定)を突き詰めるとPWMになり、換気能力を決める時にon/off時間や周期を考えなくても良くなり、on/offの時間比(デューティ比)だけの設定になる(そのうえリレーも要らないので、寿命も騒音も気にすることなく自由に設定できる)のだが、普通の換気扇(モーター)をPWMで動かしても大丈夫か分からないし、僕が買えるような安価な(海外製の)PWMコントローラでAC100Vを制御する勇気(蛮勇)は ないので、まあ、現状の処理が最適だろう。

だけど、低電力の直流(交流でも可)だったら そういうコントローラが使えるので、その時には是非試したい。(が、そういう機会ってあるのか?w)

仕上げ、追加作業

  • システムの基本部分は出来たが、使い勝手や安全性や耐久性や見栄えの向上のために以下の作業をした。
    • 正式なケースへの組み込み
      • 紙の箱は湿気に弱くて危険なので、別件でたまたま見付けた、車の非常用(実際は荷室内のザックの中に放置されて居た)の救急箱(の箱、プラ)を使った。
        • 救急箱の中身は、絆創膏やライターや胃薬と全く貧弱だし、車内に置いたままでは劣化して無意味・危険なので、いずれ ちゃんとしたいと思う(が、どうすればいいか見当が付かない)。
        • ちなみに、この救急箱は、大昔にUSに遊びに行った時に野山を歩くから要りそうだと思って現地で買ったものである。中身は とうの昔になくなっており、外側と説明書だけが残っている。
          • もう30年前後経っているのに随分綺麗だし、まだ強度が充分ありそうで破損もしていないのに感心する。
      • 加工の量が少ないのとプラ(PS)が柔らかかったので、僕としては結構綺麗に出来た
      • なお、リレーの動作音は気にならないので、ケースの防音・遮音処理は不要だった。
        • 正式な設置場所に置いた場合、夜など静かな時でも聞こえることは ほとんどなく、寝ていて それで目が覚めるということもない。
        • ただ、換気扇の起動・停止に伴って、窓に張ったシートが動く(膨らむ・しぼむ)音が聞こえることが多いし、換気扇の運転音(低音)は聞こえる(それらはリレーの問題でないので、仕方ない)。
    • 作動中ランプを追加
      • 換気扇が動いているのが分かったほうがいいので、リレーがonになったら点灯するように、LED(青)を付けた
        • ケースの下半分が青いので青にしたが、目立たず良かった。
      • これで完成と思ったのだが、以下のように追加の作業が多かった。
    • 電源ランプを追加するため、2色LEDに交換
      • 動かしてみると、電源は入っているけど換気扇は動いていない状態も知りたくなったので、付けたばかりの青LEDを2色LEDに交換し、電源onを緑換気扇作動中をオレンジにした。
      • 色、特に明るさ(暗さ)に こだわった(タイマーのように明る過ぎるのは嫌だった)。
        • 少し調整したら、緑が深い色で(発光体でなく)絵のような感じになって、期待以上に良くなった。
    • 配線の改良
      • タイマーの端子にコードを繋ぐ際の接続誤りを防ぐため、ラベルを付けた
      • また、端子に より線を1本ずつでなく、それらを まとめたものを繋いだピンを挿すようにして、折れによる断線や抜けを防ぐようにした。
      • 最初はケースの前面近くからコードを引き出していたが、邪魔なので、後ろのほうから出すようにした
    • 電源・作動中ランプの取り付け方の改良
      • 2色LEDは角型で取り付けが難しく、仮にブルタックで付けたのだが、配線を改良する時に外れてしまったので、カセットガスのキャップと紙でホルダーを作って付けた
      • そうしたら、なぜか電源ランプ(緑)が暗目になってしまったので、更に改良して何とかなった
        • ランプホルダーの穴を広げ、ケースの光を通す穴も少し広げ、ホルダーをケースに貼る両面テープが光の邪魔にならないようにした。
        • また、散光キャップが奥に凹んでいたかも知れなかったので、両面テープでホルダーに付けた。
        • → 緑も明るくなった(写真では同じように見えるが、実際に見ると明るい(感じがする))。
    • 設置場所決め
      • 風呂の換気扇を制御するので洗面所に設置する都合上、濡れた手などで間違って触ったり水滴を掛けて感電したり壊さないようにするため、本体を洗面台の上に置くことにした。
    • 本体から出ているコードを、壁などにちゃんと取り付けた。
      • 「ちゃんと」とは言っても跡が残る方法は取れないため、ハリ玉やブルタックを使ったので今ひとつ弱い。
    • PCファンを撤去した。
      • 今まで常時換気に使っていたPCファンは弱くて効果が少ない(そのために このシステムを作ろうとした)ので、撤去した。

気になったけど見送ったこと

  • 外部リレーの接点にサージキラー(例: バリスタ)を入れること。
    • 入れると接点の寿命が延びるそうだが、手持ちには ないので見送った。ただ、今は2回路のうち1回路だけ使っているので、駄目になったらもう片方を使えば良さそうだ。
      • 駄目になるのが早かったら、サージキラーを入れたい。
    • なお、タイマー内蔵リレーの接点については、繋がっている外部リレーのコイルにダイオードを入れたので大丈夫そうだ。
  • (書いたあとで思い付いた) タイマーの端子への接続間違いを防ぎ、接続を より安定にするため、XHコネクタ(4ピン※)で(車のハーネスのように)一括接続すると良さそう。作業性も向上する。 (3/4 7:58)
    • ※独立なのは3ピンなので3ピンでも可。将来、リレーのNC接点を使うなら、5(または4)ピンが良い。
    • ただ、今は手元にXHコネクタがないので できない。

動作チェック、効果の確認

  • 設定したon/off時間どおりに換気扇が動くことを確認した。
  • また、以前買った臭いセンサを使ってCO2濃度を測定し、効果を調べた。
    • このセンサは余り信頼性がないが、他に手段がないので使った。温度が一定なら それなりの(CO2濃度に比例してそうな)値が出るようだ。
    • 測定の結果、本システム(動作設定: on: 10分, off: 35分)稼働中のCO2の増加速度は-22.0(ppm/h, 例)となり、1人分のCO2は除去(換気)でき、更に0.8人分程度の余裕がありそうなことが分かった。
      • 換気扇を動かさない状態(人が1人居る)のCO2の増加速度を調べたところ26.0(ppm/h)だったので、システムとしては-22-26= -48(ppm/h)となり、1人分の1.85倍の換気能力があると考えられるので、上の表現とした。
  • ※実際には、この作業は上の設置場所決めの辺りで実施した。

昨日、ここまでの作業が ようやく終わって、一段落である。いつものことだが、いろいろ ちゃんとしたかったので、始める前に思って居たより ずっと手間が掛かった。

 

使ってみた感想

便利! 今までは、(当然ながら)換気しようと思ってスイッチを入れないと換気できず、入れてから ある程度時間が経ったら(15分を目安にしていた)忘れずに止めないと、寒くなったり湿度が下がったり外から異臭(主に農薬臭: 原因不明)が入って来たりしていた。逆に、換気を忘れると(当然ながら)室内の空気が悪くなった。そういう手間・神経を遣う必要がないのは、すごく ありがたい。

 

夢は広がる? (あとで やりたくなるかも知れない(けど、必要か不明だし面倒なw)こと)

PCからの遠隔(無線)制御: 少しの間、通常の設定より多く(または少なく)換気したい場合などに、PCから設定を変更できると便利。

  • 以前書いたWi-Fi-リレーモジュールのシリーズでWi-Fi-シリアルモジュールがあるので、それが使えそう。ただ、プログラムを書き込んだりする必要がありそう(必要の有無は製品ごとに違うらしい)なのが面倒。
    • 少し高い(2千円くらい)が、できているものを買うほうがいいかも。
      • ↑ 調べたら(Elfin EW10A)、技適を通っていないから駄目だ。知らん顔して使う人も居そうだが、(いい歳なので)なるべくズルを したくないから止めておく。すると、手頃な価格で楽に使えるものが皆無になってしまう・・・ (3/4 18:55)

 

PS. AC100Vを扱うのは危険なので、この稿では 姑息にも その辺りを ぼかしている。だから、初心者が見てそのまま作れて動くなんてことはない。※ 一方、エキスパートには分かり切ったこと(やればできる)なので、読む必要がないかも知れない。

※一般論として、個人的には、見て打ち込んで・配線してそのまま動く 昔のパソコンとかキット的なものの記事、あるいは、指示のとおりに鍵盤を押せば演奏(らしきことが)できる 初心者向けキーボードなどは果たしておもしろいのか大いに疑問だが、自分の経験としては、そういうのがイントロとか切っ掛けとして役立ったことも多いので、それはそれで あってもいいのだろうとは思う。

逆に、僕が大嫌いなのは、回路の仕様(例: 抵抗やコンデンサの値とかトランジスタの型番)を決めてしまって、それ以外は「知らない」・「分からない」(「動かない」というスタンスすら取る)という奴だ。そんなことはないのに、いろいろな可能性を摘んで居る。

そう言えば、逆に、キットの電源電圧の想定範囲すら書いてないアフォも居たな。そういうのもクソだと思う。

「手元に その部品がないけど、何とかならないか」と思った人に「できない」と言って、考えるのを止めさせてしまうのは良くない。例え結局できなくても、考えて試すことに意味はあると思う。

が、AC100Vは充分な覚悟を持って扱うものだから こうした。

そうすると、この稿の存在意義が不明になりそうだが、こういう使い方(アプリケーション、実例)があるという紹介とか、何かのアイデアを誘発するかも知れない価値は あると思う。

まあ、筆者としては、自分のための整理した記録として書いているので、他の方に何の価値がなくても、「一定の」※意味はあるw。

※あくまでも慣用句。その、一定たる量が どのくらいなのかは知らないw

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